No.161265

真・恋姫無双呉√アフター第十話 昭烈帝

米野陸広さん

ぶっちゃけ眠いです。
誤字は少ないはずですが、指摘あればしてください。
後文章表現がいつもより流暢じゃないと思います。
拙筆ですいません。
次回に繋がるよう頑張りました。

続きを表示

2010-07-28 04:55:39 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:4179   閲覧ユーザー数:3522

連日の投下です。

yahoo!!!……バイト上がりでテンション上がってるんですいません。

さぁて、今回の話は、新キャラがメインですが目線は出来るだけ、呉にしておこうと思いました。が、できていない。

とりあえず、オリキャラ登場ですよ。

誰かって?

まぁ正史でも三国時代にこの人を除いて語るのは、少し無理がありますからね。

というか、一応米野大好きファミ通文庫にも出てくるので、他の外史に出てきても問題はないはず。

多分。

では、早速、お話を語るといたしましょう

 

第十話 昭烈帝

 

朝廷は混乱の渦にあった。誰もが予想していなかった、という時点で朝廷の官の無能振りがさらされるのだが、実際、献帝の皇太子が若くして死んでおり、その嫡流である劉康がまだ幼いため、皇太子が立っていない状態だったのである。

また、えてして政治とはそういうものだが、社会が回っているうちはその仕組みに穴があってもあまり気付かないものなのだ。

気付いていたとしても気付かない振りをする。

現漢王朝にもそれが当てはまった。

歴史を振り返れば献帝が即位してからというもの、覇権を争っていたのはほぼ三国に等しい。

反董卓連合の後、勢力はそれぞれその三国に吸収合併され、天は三つに分かたれた。

曹操を主とする魏。

劉備を主とする蜀。

そして孫権を主とする呉である。

だが、この均衡も、魏が赤壁の戦いにで大敗することによって崩れ去る。

魏の領地は蜀と呉によって分割され、都もまた両国の監視下に置かれていた。

それから、十数年、二国によって戦災も復興しつつあり、両国の都から街道を延ばすことで治安維持にも努め、天は再び一つに収まろうとしていたのだ。

しかし、だからこそ問題が生じた。

その政治を行っていたのは帝ではない。

蜀と呉の王なのである。

体面上は取り繕っても、人の心は既にそれぞれの国に寄り添う形になっている。

既に帝という形に求心力はなかったのだ。

更なる問題がある。

蜀の王が天の血筋を引いているということ。

呉の王の夫は『天の御遣い』と呼ばれていることである。

ある意味では、両王ともに天を名乗る資格はあるのだ。

そこに、今になって気付いた官たちは、連日会議を開いた。

もちろん次の皇帝を決めるためである。

しかし、決まらない。いや、決められないのである。

その様相を見ている一人の官がいた。

(この状態で、まだ自らの利を得ようと考える輩がいるとは。いやはや、朝廷といってもこの程度ということですか)

すらりとした長身ながらも髪は短く、その色はどこまでも深い緑。うっそうとした夏の森の色を思い起こさせる。

白い肌を慎み深く見せる朝廷の衣服。特注なのか、一人だけ黒いそれに自然と人々は、目移りするだろう。

しかし、今は誰もがそんな場合ではない。

誰を帝とするのかで頭がいっぱいである。宦官・外戚、相も変わらず両派閥は世間の事情に疎いようである。

(誰が帝になった所で、権勢を振るおうとしたら蜀や呉に潰されるのがおちだろうに)

そうして十常侍も何進も董卓も討たれたのだから。

(しかし、呉がこれから覇権を握るだろうと思い仕官しに行ったが、まさか門前払いを食らうとはなぁ)

この女性は天の御遣いの一言で試されることすらなかったのだ。

姓を司馬、名を懿、字を仲達。名門司馬家の一人だった。

これはまだ司馬懿が、諸国を回っていた頃、赤壁の地にてあの大戦乱を見る機会がたまたまあったのである。

そして、彼は信じられない光景を目にしたのだ。

魏の敗北という、ありえない光景を。

連環の計で繋がれた船に次々と火が燃え移り、吹くはずのない東南の風がさらにその火を燃え上がらせた。

まさに奇策、奇策であった。

話に聞くに、なんでも呉と蜀はそれだけのことを打ち合わせもせずにやってのけたという。

だが、それでも司馬懿はまだ魏はやり直せると思っていた。

それだけの領地を持っていたし兵もいる。

だが、突如この大陸から魏という国はなくなった。

あのときの悔しさは今でも彼女にとって忘れられなかった。

ようやく仕えるべき人を見つけたはずだったのに。

しかし、蜀呉の永久同盟成立後、彼女は恐るべきことに気付くことになる。

それは呉の国としての発展速度の異常性である。

街道の整備、治安の維持方法、穀物の生産量の増加、医療の発達、どれもこれもが圧倒的に蜀を上回っていたのだ。

戦時中は内政に力を入れにくい。

だが、戦争が終わってしまえば、いくらでも力を入れられる。

特に驚いたのは治水工事である。長年掛けてもどうにもならなかった長江の氾濫を、最小限に食いとどめることに成功したのだ。

そして私塾とは異なる学校という制度。

建業の都では子供が詩を吟ずるなどと聞いて、なにを馬鹿なことをと思ったが、詩どころか算術までこなす有様である。

彼女が最初に建業の都に入ったとき、ここは天の町かと馬鹿みたいに訊いてしまったほどであった。

しかも返された答えは、そうだよ、なにせ御遣い様がいるからねぇと肯定の返事。

都はどこも天の御遣いの噂で持ちきりであった。

このときである。

彼女にとって、天の御遣いが何か特別なものであると感じられたのは。

それまでは、呉が自らの風評を高めるために使っている戦略の一つだと思っていた。

黄巾党の乱からその名称は出るものの実名を聞く事はなかったからだ。

また性別が男ということも引っかかっていた。

えてして男というものは一介の労働力としては優秀だが、何かを生み出す力に欠けている所があるものだ。

そんな人種が一つの国の中枢に位置しているはずがない。彼女はそう考えていたのである。

しかし、建業に来て彼女の考えは覆される。自らの理想を体現した町のありようを見て。

これで呉に仕官するなというのも、そして呉の御遣いとやらに興味を持つなというのが無理だった。

もともと呉という国の中でのし上がっていくのは、かつて諸侯が乱立している時代の中でもかなりの難を要したであろう。

なぜなら、呉の発端は盟主孫堅によるいわば、先住民族である山越に対する自警団の集まりみたいなものである。

すなわち、他国に比べると登用制度が融通が利かないのである。

まだ末端の組織員なら何とかなるかもしれない。

しかし、彼女が求めるのは天の御遣いと対面で話せる立場。そこへとのし上がるのであれば、むしろ司馬の名は呉国において邪魔といえた。

そんなところに文官の募集を無条件で行っているとの話が耳に入る。

 

実情、蜀でも行われていることであるが、魏の領土が蜀と呉に分割されて、膨大な人員整理が行われた。

そのため、どうしても足りない部署が生まれるのも仕方のない話である。

しかし曹魏にの重臣の血筋に連なっていたものを登用することは立場上難しい。

なにしろ曹操が死んだのならまだしも行方不明になっているのだ。

さすがに十年近く見つからなければ、乱世の奸雄ももう話題にはされないが、それでも警戒するに越したことはない。

処罰されたものは数多く上った。だが呉ではその罪人達を開拓の労働力として用いていたのに対し、蜀は処罰を与えても人材不足のためかそのまま役所を機能させていたりしているようだった。

この甘さが彼女にとって呉よりも蜀を好きになれない理由の一つであったりもする。

 

文官だけでなく武官も募集しているようだったが、彼女に関係あるのは文官である。

その条件とは特に学問に秀でて、応用が利くものを選抜するものだった。

この条件を聞き、彼女が少しおかしな顔を浮かべると話してくれた旅商人の一人が面白そうに笑った。

「みんなあんたと同じ顔をするので、つい笑っちまったよ」

変な条件である。具体的でないこともあるが、当たり前すぎる条件なのだ。

文官を目指すものは誰しもが、学問に秀でていることを看板にしてその門をたたく。

その扉を通れるものは、本当の智を身に付けているものだけだ。

だからあえて、そこに条件としてくわえる必要はないように彼女には思えたのだ。

他の文官志望も同様だろう。

だからこそどんな試験になるのかがわからない。

しかしそれでもその試験を合格するに値する能力を彼女は自身が持っていると思っていた。

だからこそ試験日、彼女は多くの人間が向かうように説明された試験会場。

呉の学校の中の学校。名を『呉国立大学校』へと足を運んだ。

「どういうことです!!」

彼女は激憤していた。しかしそれもそのはずである。

あらましはこうだ。

彼女が試験会場の入り口にて、飛び入り参加の受験希望者用の欄に名前を書くと、その場でしばし待たされることとなった。

名前を偽るものや、既に不正が発覚している場合があるらしい。彼女の前にも幾人かその場で強制的に試験官や憲兵に捕らえられたものがいたからである。

しかし、彼女は自分に非のあるところはどこにもないのでおとなしく待っていた。

もし自分の名を騙るものがいたとしても、それはそれで解決できる問題でもあったと考えたからだ。

だが、なにやら雰囲気が穏やかではなかった。

しばらく待たされて後、受付係と思われる女性にこんなことを言い渡されたのだ。

「司馬仲達殿、残念ながらあなたは受験資格を得られません」

つい感情的に応えてしまったと彼女は思った。

しばしの間が流れた。そして一旦息を吸い彼女は問いただした。

「待ってください、理解できるように説明をお願いいたします」

「すみませんが、北郷様から直接言い渡されているんです。司馬仲達殿」

「何故? この国を見、この空気を感じ、私はようやく自分の住処を見つけられると思ったのに」

「私にはどうしようもない、かわいそうだと思うし、北郷様は、このような方ではないと私も思うのだが……」

「だったら、なぜ……」

(面識もないのに、私を、名指しで?)

確かに、司馬八達の一人として名前が知られていてもおかしくはないのだが、その程度で自分の実力がわかるわけでもない。

ましてや自分の人となりをわかるわけもない、と彼女は考えていた。

受付嬢の声。

「お引取りください」

「否、といえば」

彼女は極めて冷静だった。

こんな理不尽なことがまかり通ってなるものかと、論破にかかる。

「残念ですが強制的にでもお帰り願うことになります」

だが、今度は別方向から声が聞こえてきた。振り向くと後ろから歩いてきたのはモノクルの片眼鏡に亜麻色の髪。

「こ、これは呂蒙様」

平伏しようとするのを、彼女が手の動きでせいした。

「よい、作業を続けなさい」

「はっ」

(呂蒙子明、孫呉の大都督)

とんでもない人物が出てきたものだと、彼女は驚きを隠せなかった。

冥琳こと周瑜の亡き後を継いだのは彼女であった。彼女の姉弟子でもある陸遜は今はこの大学校で教鞭を振るっていたりする。

「司馬仲達殿、何の説明もなしに貴方を帰すことになることをお許し願いたい。しかし主からのご命令なのです」

「呉王からの? これはまた、そんなに私は有名になりましたか?」

「いえ、御遣い様からの宣託です」

宣託、という言葉に彼女は引っ掛かりを覚えたが、それ以上に王の決断を左右する権限を持つ御遣いの言葉に彼女は驚いた。

「宣託、ですか」

「はい、宣託です」

呉王孫権が何かを信心しているという噂は特に聞かない。

そして今、主といった。つまり、天の御遣いこそが主ということになる。

(この国は一体どうなって……)

そこで思考を一端きり、彼女は何も言わずに礼をとると、その場を立ち去った。

この国にますます興味を持ったが、彼女は呂蒙が暗器を構えていることを知り下がったのである。

(もし本当にこのまま食い下がらなかったなら彼女は私を殺していた)

そのこと自体にうらみはなかった。

だが、何故という気持ちが膨らむばかりであった。

しかし彼女は知る由もない。天の御遣い北郷一刀がこの世界の人間ではないことなど。

そう、北郷一刀にとってその名は鬼門でしかなかった。

司馬懿仲達。

乱世の奸雄、曹操の魏を乗っ取り、晋の礎をつくり、そしてあの諸葛孔明とも渡り合う軍略を持つ人間。

正史において、一刀の中での最後の勝利者はこの人間であった。

その考えの下では、ようやく収まりつつある天下の中に野心を持つだろう人間を幕下に置くことはあまりに危険を伴う。

だからこそこの登用試験にもし現れたなら、一刀は受験資格すら与える気がなかったのだ。

「これで、よろしかったのですか。一刀様?」

「ああ、今の呉に彼女の存在は危険だ」

亞莎が玉座の間に戻り、彼女が今日現れたことを報告する。

彼の隣には彼女との子である、燐音こと呂琮がいた。

「父上、そんな女に私たち呉が負けるはずがありません」

「こら、燐音!」

「だ、だって、孫権様の傍には母上だっていらっしゃいますし、穏様や優もついています。武においても祭様はまだ健在ですし、明命様も思春様もいらっしゃるんですよ」

「そうだな」

「なら、何故……?」

「彼女には天の知識を与えたくない」

「どういうことですか?」

(この歴史がどう転ぶのか、もう俺にはわからない。だが、彼女だけは、司馬懿だけは気をつけなければ)

「いや、なに、不安の目は早めに摘み取っておくに越したことはないと思っただけさ」

呂親子は互いに納得し切れていないようだったが、すでに一刀は別のことを考え始めていた。

(……脅威になる駒がいくつか、出てくるんだろうか?)

思いつく武将を適当に頭に浮かべてみる。

魏の消滅がどのような影響を及ぼすのか、今の一刀にはわからなかった。

「父上ぇ、難しい顔はしないでください」

「一刀様、燐音の言うとおりです。皆が不安がりますよ」

そういって笑う亞莎に一刀ははっとした様子だった。

小さくごめんごめんと謝ると、燐音の顔を見ていきなり彼女を肩車した。

「ち、ちちうえぇええ」

吃驚しながらも笑う娘の声と一緒になって、家族が声を合わせる。

このひと時を守るために、俺は生きなければならないと一刀は決意を新たにするのだった。

司馬懿は宿に戻り、その日はさっさと寝床に入った。

翌日再び城の門をたたこうと思ったが、やめることにした。

二、三ヶ月すれば朝廷で官吏を募集するはずだったからである。

(別の角度からこの国を見ることもまた一興か)

こうして、彼女は呉を去り今、朝廷にいる。

異例のスピード出世で、いつの間にか彼女は九卿の一つである太常となっていた。

とはいっても、あれからもう五年以上の月日が流れているが。

献帝が没し、時期皇帝を決める会議の論争に彼女は無駄な時間だとつい笑みをこぼしてしまう。

会議内、そこを見咎められ、

「仲達殿、なにがおかしいのです」

よく叱責されるのが彼女であった。

「いや、いつまでこのようなくだらない論争をするつもりなのかと思いましてね」

「国の一大事を、く、くだらないとは何事だ!!」

他にも一致団結して彼女攻め立てる声が上がる。

しかし彼女は落ち着き一呼吸置く。

一喝。

「黙れ!!」

進と静まり返る室内。

「漢王朝の威信取り戻したくば、私は皆に進言しよう。皇帝になられるのは彼女において他ならないと」

「彼女?」

「天は常に劉性とともにあり。劉玄徳殿を漢室にお迎えあそばせればいかがかな?」

誰もが言い出せず、が誰もの脳裏にあった案。

「しかし、それでは、一国の王に漢王朝が……」

「ご安心召されよ、既に手は打ってございます。劉玄徳は自ずからこの都に入ることでしょう」

「まことか?」

「はい。この仲達にお任せあれば万事上手く片付けましょう。皆様の都合のいいように」

この天才の言葉には説得力があった。それだけのことをこの五年間で成し遂げてきたのである。

(さぁ、御遣い殿。此度はどう乗り切られますか? あの時私を見捨てたことを後悔しなければよろしいですが)

子が親に挑むように輝く双眸は、都から遠くはなれた想い人へと向けられていた。

その才を初めて傷つけた一人の男に対して。

その頃蜀・成都では、

「朱里ちゃん、これって……どういうこと」

「桃香様、ご決断ください」

「愛紗ちゃん?」

「これも天命です。思えば最初に我々は漢室復興のために旗を上げたのです。紆余曲折があったにしろ、我々がその礎となるのですからこれ以上名誉なことはないかと」

「でも、私が、そんな……」

一人の使者が持ってきた九卿の署名の入った書簡と玉璽。

それは紛うことなき帝になるために必要なものだった。

玉座に座った桃香が辺りを見回す。その瞳になんら曇りはなく、皆が皆自ら戴いた君主が、新たな帝になることを決意していた。

「……わかりました。それでは、これより前皇帝の葬儀の準備を大至急執り行います。みんな、ついてきて」

一国の主としてではない、言葉が彼女の口から発せられる。

王ではない。彼女は天となったのだ。

王の間に彼女の号令が響き渡る。

昭烈帝誕生の瞬間であった。

あとがき

そ、そとが、明るい。

ふわ、-い。なんか、身体がういてるような?

……とりあえず、おちつこうか。

はい、新キャラ登場です。

真名はまだ伏せてますが、司馬懿さんの登場です。

なんか書いてる途中でだいぶ、話がいったり来たりして読みにくかったかもしれないです。

まぁ、気長に次回をお楽しみに。

次回も新キャラを出したいですが、たぶん無理です。

というか、今回も、本当はこんな視点になるはずじゃなかったのに。

ほぼ司馬懿の独壇場。

ちょっと呂蒙が出てきて、テンションあがりましたけど。

呉はいつもどおりな感じでしたね。

他の部分も上手く補いながら頑張ります。

補強を重ねて最終的には、話が繋がったらなぁとおもいます。

それでは、さよならでーす。

ごきげんよう!


 
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