No.160954

神様になったその日から 第一話

奸螺さん

姫乃の代わりに神を名乗らなくてはならなくなった王也の物語。


出来れば感想よろしく。

2010-07-26 20:41:58 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:465   閲覧ユーザー数:463

今日で神崎巌が先代神である事が世間にばれてから一週間になる。

先代神である彼が神を退いてから十数年の月日が立ってなお、

まだ神を信仰するものはあとを絶えない。

 

巌は今国東帝の経営する会社で帝と共に

四日前にどこかから漏れ出してしまった情報への対処に追われていた。

 

「そっちに連絡あった?」

「あの日以来は一度も。」

 

“あの日”とは四日前の先代神に子供がいることがばれた日の事である。

神を継ぐことが出来るのは神の実子のみとされるためそれはとても重要な存在である。

 

しかし現在神崎巌に子供はいない。

理由はこういった事態を見越して幼いころに養子に入っていたからである。

そしてその神の血を継ぐものは国東王也の義妹、国東姫乃である。

 

今二人は学校からの下校途中だ。

空は赤から黒へと変わりつつある時間帯。

姫乃は部活動、王也は生徒会長の仕事で帰りはいつもこれくらいになる。

学校と家は比較的近いほうで二人は徒歩での通学だ。

 

「国東家の御二方で間違いないですね?」

 

二人は同時に声のしたほうに目を向ける。

 

「どちら様でしょうか?」

 

その男は王也のといに答えることはなく不敵な笑みを浮かべいきなり魔法を唱える。

姫乃もそれに応じてすばやく魔法を完成させる。

 

二人が放った魔法が衝突すると住宅街に爆音が鳴り響き、その爆発で視界が被われる。

 

「姫乃、こい!!」

 

二人はすぐさま後退し男と距離をとる。

 

「今魔法を使ったのは女のほうか?…ということは神の子は男のほうか。」

 

王也と姫乃は聞こえてきた男の呟きに疑問を覚える。

しかしそれを考える暇はなく男は再び魔法を唱え始めた。

風が三人の視界をさえぎっていた煙りを吹き飛ばしたと同時に

王也は護身用の閃光段を地面に叩きつける。

そして二人は二手に分かれて別々に家へと向かった。

 

「ふぅ…なんとかまけたか?」

 

姫乃のほうは逃げれただろうか?と言う疑問が王也の頭に浮かんだが、

姫乃は王也より戦闘と言った面では圧倒的に強かった。

なのでおそらく自分が逃げ切れたのであれば姫乃も大丈夫だと信じていた。

 

「それに…神の子が俺?」

 

あの男がなにをどう勘違いしたのかはわからないが神の子は姫乃のほうのはずである。

本人とその家族を除いてそれを知っているのは王也と帝の二人だけである。

王也は運動神経は高いほうではない。

男をに追いつかれないようわざわざ複雑な住宅街を走って家の裏口を目指す。

ピピピッと携帯に誰かからのメールが届く。そこには

 

“赤の家を右に”

 

とだけ書いてあった。

王也はとりあえずそこで右に曲がるすると誰かに腕をつかまれて脇に引っ張られた。

 

「遅くなりました王也様、帝様と神崎様が家でお待ちです。」

 

国東帝の側近である人物がそこで待っていた。

どうやら姫乃のほうは無事家に着いたようだ。

その側近は王也も知らない道をたどって琥皇家に向かう。

 

王也が家に着くとそこには先程分かれた姫乃が椅子に座っており、

帝が巌を怒鳴りつけていた。

 

「王也無事だったか。ではこれから今どういった状況なのかを説明する。」

 

帝の説明はこうだった。

本当の巌の子供は知ってのとおり姫乃だが。

神の子供は反神組織に命を狙われる可能性がある。

そうでなくともいろいろと危険が出てくる。

それを考えると女でもある姫乃には少々負担が大きいと言うのが帝の考えだった。

 

「そしてそれを踏まえたうえで考えた案がお前が巌の子供だとあえて世間に公表

 することだった。…そしたらこの馬鹿が…。」

 

帝はこの計画を今日王也と姫乃に教え、明日公表するつもりでいたのだ。

しかし巌が口を滑らせて言ってしまったせいでこういった事態になったのだ。

 

「まったく無事だったから良かったもののもしも死んだらどうするつもりだ!!

 王也が無力なのはお前も知っているだろうが!!!」

 

と、先程から説明の合間に帝は巌を怒鳴りつけていた。

 

「・・・俺が神の子に?」

 

「なぁに今の世の中神が何をするわけでもない。どーんと構えて居ればいいのだよ。」

 

確かに今では神は一部からは発展の妨げになる邪魔な存在として見られるほどであり

先代神の神崎巌の代で神興暦は終わった事になっている。

しかし終わっていてもいまだに神を崇拝するものも居た宗教とはそれほどに根強い。

 

「これからお前の周りはしばらくうるさくなる。そこは覚悟しておけ。

 ま、これも勉強になるだろ。しかし、気をつけろよ。」

 

神を排除すべきだと唱えているものから命を狙われる事があるかもしれん。

まぁ俺の息子ならそれくらい何とかして見せろ。

 

そういうと2人は今日中にこの計画を実行するために外に出て行った。

 

「なんとかって・・・。」

 

何の力もない俺にどうしろと?

頭を使った遊びでなら違うが、腕っ節で妹にまともに勝った事など一度も無い。

むしろ普通に発表したほうがいいんじゃないのか?

 

「お兄ちゃん?えっと・・・とりあえず夕飯食べよ?」

 

「あ、あぁ…そうだな。」

 

頭の中がいっぱいで姫乃が食事中なにかをいっていたが耳に入ってこなかった。

飯の味などしない。

 

とっとと口に放り込んで、疲れたからと言い寝にいく。

 

できれば夢であってくれと願いつつ、何事もなくすごせますようにと祈りながら。

 

 

 

 

そんな王也の願いもむなしく翌日がやってくる。

 


 
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