No.160416

真・恋姫無双紅竜王伝赤壁合戦編③~舞人は潜伏中~

先週はバイト疲れと試験で投稿できませんでした・・・
そんなわけですが、赤壁合戦編3話宜しくお願いします。
10/17編集しなおしました。

2010-07-25 00:08:31 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3114   閲覧ユーザー数:2767

雨が止み、樊城が水没する心配はなくなったが敵軍は船に乗って進撃してきた。その数は5艘ほど。

「敵は船で来たか。あれを持てぃ!」

曹仁が兵に用意させたのはバレーボールくらいの大きさの壺に縄が付いた物とそれより2回りくらい小さな壺。大きい壺の中からは短い紐がチラッと出てきており、小さい壺の方は小さな口に円柱の木の蓋が差し込んである。こちらは『チャプチャプ』と音がするところをみると、液体が入っているようだ。

兵士たちは部隊長の指揮のもと、短い紐に火をつけて大きい壺の方の紐を回しだした。手を放すと遠心力を利用して壺は船に向かって飛んでいく。大きな方の壺には火薬が詰まっており、それは次々と舟に着弾して爆発した。

「焙烙球の歓迎よ。そして次は―――」

引火した船や帆の消火作業を開始した船に向かってさらに小さい壺が飛ぶ。船に着弾し、割れると火の勢いが増した。

「油をたっぷり食らうがいい!」

次々と油壺が投じられ、火の勢いが増していく。大炎上し、手の施しようがなくなったのだろう、敵兵達が次々と水に身を投じる。

「おうおう、水練が達者な者達じゃ。皆のもの見てみよ、呉軍の水練の達人たちがその腕を見せてくれておるぞ。我らには泳ぎが不得手の者が多い故、あれを見て手本とせよ」

曹仁の囃したてに兵たちがドッと嘲笑をあげる。岸に辿り着いた呉の兵士たちは悔しがって城壁を睨むが、湖に浮かぶ城は遥か彼方にあった。

「しかしまいったな・・・」

「そうですね・・・」

連合軍の本陣で、軍を率いる両軍の軍師は額を突き合わせていた。

「曹操率いる援軍がもう間もなくこの地に到達するとのことだ」

「悔しいですが、時間切れですね・・・撤退しましょう」

2人は『魏軍来る』の報告を受け、魏軍の本隊と戦う事を避けて後退することに決した。この城を落とす事は二の次。両軍の頭脳たる2人と、鳳統・呂蒙・陸遜の軍師たちは劣勢である戦況を覆す為、一発逆転の策を練った。そして魏軍主力を壊滅させんと誘き寄せようとしていたのだ。

―――赤壁という地に。

「申し上げます。敵連合軍、撤退していきます」

樊城を指呼の先に捉えた華琳が、物見の兵から受け取ったのはそんな報告だった。

「どう思う、桂花?」

「・・・敵軍主力の到着で城の攻略を諦めて撤退する・・・それにしては退却の動きが遅い気がします」

桂花が気になっていたのはその一点だった。敵軍の後退速度が不自然なほど遅いのだ。騎馬部隊が主力の魏軍よりも蜀や呉の軍の進軍速度が遅いのは仕方ないことかもしれないが、それにしても遅い。華琳の傍に控える流琉が遠慮がちに口を開いた。

「誘っている・・・のでしょうか」

「流琉、あなたの言うとおりでしょうね。劉備や孫権は私を誘っている・・・自分たちが必勝を期して待ち受ける場所に・・・稟、敵軍が後退して目指していると思われる場所の名は?」

覇王の問いに郭奉孝は答える。両軍の決戦の場の名を。

「地元では、赤壁と呼ばれているようです」

「た~だいま」

明るい調子の声の後に扉が開き、食材を抱えた真桜が姿を現した。彼女はいつもの恰好ではなく、髪を下ろすなどのマイナーチェンジをしている。

「おかえり、真桜。街の様子はどうだった?」

部屋の奥で彼女を出迎えた舞人―――だが、髪の毛はいつもの紅ではなく黒であった。よく見れば彼の周りにいる霞・凪・淡雪も何かしらの変装をしている。

「うん。孫策と孫権率いる呉軍主力が赤壁に出陣してったで。街のみんなが見送りに行ってた」

そう、舞人たちは敵の本拠地である建業城の宿屋に逗留しているのだった・・・

 


 
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