また一つ、俺は『世界』から拒絶される
ゆっくりと・・・ゆっくりと解けていく氷のように
俺は、世界から隔離されていく
もう時間は、僅かしか残されていないのかもしれない
終わりは、もうそこまで来ているのかもしれない
それでも俺は、歩いていこう
今この時を、大切に生きていこう
その為の、一手・・・
今を生きるための一手を・・・
《雲の向こう、君に会いに-魏伝-》
二十一章 今を生きるために
「お主のお手伝い・・・とな?」
「そう、お手伝い」
早朝、宿屋の一室
その中で、向かい合うように座り俺は彼女・・・祭さんにそう言った
対する彼女は、いまいちよくわかっていないのか首を僅かに傾げていた
「うむぅ、よくわからないんじゃが」
「えっと、つまりこれから祭さんには俺の傍にずっといて欲しいんだ」
「なっ・・・!?」
「ん?」
俺が言った瞬間、顔を真っ赤にさせる祭さん
んん? どうかしたのかな?
「さ、祭さん?」
「いや、あのじゃな・・・ワシとお主では歳が離れすぎておるしな!
その、お主じゃって若い方がいいじゃろう!?いや、それでもいいというのなら・・・その、ワシとしても嬉しい限りなんじゃが・・・その・・・」
言いながら、赤くなった頬をさらに赤くしていく祭さん
ええ~、何この人可愛い・・・って、俺はいったい何を!?
そうじゃないだろ、北郷一刀!
なんか全然伝わってないぞ!?
ていうか伝わってないどころか、何か猛烈に勘違いされてるぞ!!?
「祭さん、とにかく一回落ち着いてくれ!深呼吸だ深呼吸!」
「う、うむ! ひっひふ~、ひっひふ~!!」
「祭さん、マジで落ち着いて!!?それ違う!!深呼吸違う!!」
なんで、咄嗟にそれがでたんだ!?
なんてツッコミをいれるヒマもなく・・・突如として開け放たれる扉
「「あ・・・」」
そこに立っていたのは、ピクピクと青筋を浮かべる宿屋の女将さん
そういえば、まだ早朝ですもんね~・・・こんな叫んだりしたら、周りのお客さんに迷惑だよな~
なんて思ったときには、もう時既に遅し
「お客さん・・・これ以上騒ぐようなら、こちらにも考えがありますよ」
~別に・・・あんた達をこの部屋からたたき出してしまっても、構わないんでしょう?~
「「す・・・すいませんでした」」
その後すぐに、二人して全力で土下座して許してもらった
~これからの為に、俺が思いついたこと
それは・・・祭さんにつねに俺の傍にいてもらい、色々と手を貸してもらうということだった
お手伝い、まぁ侍女のような立場でだ
これなら俺一人では気づけないことも、上手い具合にごまかせるだろう
万が一のときも、なんとか隠し通すことができるかもしれないしね
勿論、変装か何かをしてもらう予定だ
良くも悪くも、祭さんは魏国の皆にも顔を知られている
特に・・・秋蘭あたりは、この中でも一番彼女のことを覚えているだろう
だから、念入りに変装なりしないとごまかしがきかないだろう
それを詳しく説明した瞬間、祭さんは目をキラキラと輝かせてたっけ・・・
『おお、面白そうじゃのう♪』
『いや面白そうって・・・まぁ、別にいいけどさ
とりあえず、皆には絶対にばれない様にしないと・・・大丈夫そう?』
『はっはっは!ワシに任せておけぃ!
ふふふ・・・なんじゃかワシ、ワクワクしてきたぞ!』
『ぶっ!!?』
だからなんで!?なんで、その言い回しを知ってるの!?
集めちゃうの!?龍玉集めちゃうの!?
『ゴホンっ・・・とりあえず、これからについて念入りに話し合うとしよう
うん・・・女将さんに怒られないよう静かに』
『そうじゃな、しっかりと作戦を練らんとな・・・女将に怒られんよう静かに』
それから、二人で色々と計画を練ることに・・・
とりあえず祭さんは昔に顔に火傷を負ったということにし、顔を布で隠すということにした
そして・・・
『名前は、そうじゃな・・・【赤-セキ-】と名乗るかのう』
『赤・・・?』
どうして、そんな名前にしたんだろう・・・俺がそう思っていることがわかったのか、祭さんはフッと俺に笑みを向ける
『ワシは【赤壁】にて死んだことになっておる
故に、ワシはそう名乗ることにしたんじゃ
なんせワシは死者じゃからな』
そう言うと、祭さんは笑った
なるほど・・・赤壁からとって、【赤】か
『うん、良い名前だと思うよ』
『じゃろ?』
顔を見合わせ、ニッと笑いあう
笑う・・・か
なんだか、祭さんのおかげで随分と心に余裕をもてた気がする
この出会いには、本当に感謝しなくちゃならないな
それから数日後・・・
『うむ、わしはぶぁ!?』
華琳たちに紹介した時
事前の打ち合わせも虚しく、危うく素が出そうになる祭さんに・・・頭が痛くなったのを覚えている~
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「ふぅ・・・」
祭さん・・・いや、赤さんを皆に紹介したその日の夜
俺は一人、中庭で夜空を見上げていた
外はそんなに寒くなく、むしろ・・・心地良いくらいだ
「なんじゃ、まだ起きとったのか」
そんな折、聞こえてきたのは・・・祭さんの声だ
俺は、見上げた夜空から視線を外す
瞬間、体が震えだした
「前にも言ったけどね・・・情けない話、怖いんだよ」
「眠るのが・・・か」
「うん」
俺は・・・頷き、笑った
果たしてこれは、『本当』の笑顔なんだろうか?
それすらも、今はわからない
「もう・・・時間がないんだ」
「時間か、どうなんじゃろうな」
「はは、わかるんだよ
だってさ、俺・・・」
~今日の月がどんな形をしてるのかさえ・・・よく、わからないんだ~
再び、見上げた夜空
朧げに見えるのは、大きくて・・・儚い光
あれが、月なんだろうか?
「っ・・・そうか」
俺の言葉
祭さんは一瞬だけ、言葉を詰まらせる
それから、優しい声で話し始めた
「今夜は・・・満月じゃ」
「そっか、ありがとう」
「よい、それがワシの役目じゃからな」
「それでも・・・ありがとう」
お礼を言い、光を見つめた
あれが・・・満月の光
きっと、美しく光り輝いているに違いない
「言わんのじゃな・・・他の者には」
「ああ、まだ頑張れるから
それに・・・決めたからね」
手を伸ばす
その手が、あの儚い光に重なった
ああ、そうだ
怖くても、苦しくても・・・俺はきっと、前へと進める
たとえもう皆の顔が、朧げにしか見えなくなったとしても
俺には、ちゃんと『視えているから』
だからこそ・・・
「笑っていよう
最期の最期まで・・・俺は皆と一緒に笑っていようって
そう、決めたんだ」
伸ばした手を、ゆっくりとおろす
その手に、大切な想いを掴んで・・・
何度も・・・何度も迷った
何度も、泣きそうになった
それでも俺は、きっと・・・この覚悟だけは、捨てることはない
「わかった・・・ワシがこの目で、しかと見届けよう」
「ありがとう赤さん」
儚げな光の下
俺たちは笑い合う
今度のは、はっきりとわかった
俺は今、ちゃんと笑えているんだって・
けど、そんな温かな時間も・・・
~あらぁん? お邪魔だったかしらああぁぁん?wwww~
この野太く逞しい声によって・・・無残にも、終わってしまうこととなった
・・・ていうか『wwww』が、すっげえムカついたんだけど
これ、殺っちゃってもいいよね?
そういう場面だよね?
★あとがき★
どうも、こんばんわ
月千一夜ですww
はぁ・・・なんか『くどい』とか言われてしまった
いや、それはわかってますよ?
でも伏線回収すらまともにやらないままだと、きっと話がメチャクチャになってしまうだろうし・・・だからこそ、無理をおして早めに更新してるんだけど
きっと早くに『アレ』を出していきなり『選択じゃい』とかやったとしても、伝わらないだろうし
だから、言われても書き続けるしかないんだろうけど・・・意見なんて、人それぞれでしょうし
それでも、いざ言われてみるとかなりキツイorz
まぁ、あくまで意見ですから
皆様もそう思ったのなら、どうかそっと私のことをお気に入りからお外しください
もう少し、一刀編は続きますし・・・そう思った人には、かなり苦痛でしょうし
それでも、一度考えた流れを変えたくないんです
馬鹿なのかもしれませんが、ボクにはそれしかできませんから
なるほど、これがあれか・・・『鬱』か
なんか、今回はあんまし筆が進みませんでした
せっかくジョージさんから、色々と励ましてもらったのに・・・申し訳ないです
なんか、今はあれです
このお話・・・【雲の向こう】について、自信がなくなってきました
もう、しばらく読み専になるのもいいのかもしれない
オリ主も恋しくなってきましたし
ていうか、最近ついてないです
モバのやつは、全部非公開になるし
仕事のせいで、萌将買いにいけないし
好きな作家さんは、泣く泣く活動を停止してしまいましたし
はぁ・・・上手くいきませんね
いっそのこと、今まで読んできてくださった皆様のためだけに・・・全部、お気に入り専用にするのもいいのかもしれない
ここまで応援してくださった皆様に、お礼をしたいです
たくさんのコメに励まされてきた分・・・返していきたいです
作中の一刀ではないですが、自分も・・・皆様に助けられてきたんです
あと、【小説家になろう】で活動再開するのも考えておきます
あちらは使い方がよくわからず、軽く放置でしたww
新しい作品も書いてみようかな
【華伝】【呉伝】も、早く書きたいし
ていうか、その前に読みきりのやつ書いて見たいです
連載ばっかやってると、たまにそんなのが恋しくなりませんか?
今は白蓮のやつを、試しに執筆中です
白蓮可愛いよ、白蓮
さて、次回はいつになるかわかりません
ココだけの話、最終話と???以外はもう全部大まかな文章ができてたりします
ですから、この状態を脱し次第一気に・・・というのも、考えたりしました
ただ最終話と???だけは、じっくりと何度も何度も・・・限界まで見直していかなくちゃと思い、未だに編集を繰り返しております
ここまで読んでくださった皆様のためにも、いまだ考えに考えを練っております
皆様の望む『結末』かどうかはわかりませんが
それでは、またお会いしましょう
ふぅ・・・
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二十一章です
今回は最期に、ちょっとした報告みたいのが・・・
あはは