No.156882

真・恋姫†無双~覇天之演義~ 裏ニ章・征黄義道

FALANDIAさん

*旧作
さぁ、ついに出ました黄巾党。
しかし、黄巾党の位置には既に白綿党がいます。
それは黄巾党がこんなことになっていたからです。
一刀たち主人公の活躍する裏で展開したこの戦。

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2010-07-11 06:03:44 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:1708   閲覧ユーザー数:1570

世は乱世。

 

腐った役人ばかりが跋扈(バッコ)し、弱き我ら民が搾取(サクシュ)される。

 

漢王朝の支配したあの美しき蒼天は、もはや輝きを無くし、失墜した。

 

国をなくした我ら民を守るものは、何もありはしない。

 

なれば、力の無い弱き我ら民草は、いったいどうすれば良いのか。

 

新しき天をここに打ちたて、それを育む為に、より弱き者たちから奪うか。

 

否。断じて否であり、かような者など、もはや人ではなし。

 

 

 

故に。さぁ、我らよ。

 

さぁ、その手に剣を。

 

さぁ、その心に力を。

 

さぁ、その胸に炎を。

 

 

 

大切なものを奪われ、辱められた我らよ。

 

奪われたのならば奪い返そう。辱められたのなら制裁を。

 

外道の手で堕とされた我らよ。もはや堕ちた我らも外道なれば。

 

堕とされた我らよ。奴らに知らしめてやろうではないか。

 

我らは、貴様らとは違う外道の徒である、と。

 

腐った膿共を虐殺し、この両手を紅く染め上げようぞ。

 

 

 

我らは人に非ず。我らこそは修羅の鬼。

 

もはや我ら、人の身に戻ること能わずとも。

 

せめて堕とされんとしている者たちを、下から押し上げよう。

 

 

 

我が物顔の塵芥共を、我らは一掃しよう。

 

手に入る財など、外道にはいらぬ。必要とする弱き民草たちに振りまこう。

 

我らは鬼。もはや英雄になることなど叶わぬ。

 

なれば、鬼となった我らよ。あの輝く蒼天を、英雄たちがいつの日か取り戻すまで。

 

我ら脆弱な鬼たちの手で仮初の天を支え、その時まで我らが弱きの盾となるのだ。

 

 

 

蒼天の黄昏が黎明へと変わるその時まで。

 

我らは、義の意思を以って悪の道を征こう。

 

悪に染まった有象無象を、悪たる我らが狩り殺そう。

 

我らこそは、征黄義道(セイコウギドウ)。

 

悪を飲んで修羅道を突き進む百鬼夜行。

 

我らの通った道に、穢れた草木一本残りはしない。

 

 

??「元義さ~ん。曼成さんから報告はありましたか~?」

 

馬元義「は、天公様。

    昨晩、戻りました渠帥から書簡を受け取りました。

    曼成が南陽に潜ませました韓忠からの報告が入っております。

    今日より五日後、外れの街を白綿党(ハクメントウ)の一派が町を急襲。

    白綿党が町を急襲すると同時に、県令は軍を率いて町を離脱。

    しかる後、袁術殿を体よく騙して兵を出させ、町へ帰還。

    袁術軍を引き連れた軍勢で瞬く間に賊を制圧。

    県令の指揮のもと、町をアッー!という間に救って見せる。

    これを増税の足がかりにする。とのことです。」

 

??「ん~?ちーよくわかんなけど、それ増税する理由にならなくない?」

 

元義「は、地公様。

   そうですね。おおかた町を救ったという偽りのの功績で自分を英雄にして、

   『民は自分に感謝をして然るべきであり、故に税を上げるものである。』

   とか、そんなことを言う心算(ツモリ)なのでしょう。

   まぁ、一度放置して逃げている時点で、民意は失うでしょうが。」

 

??「というか、仮に民意を失わなかったとしても、その作戦じゃうまくいかないわ。」

 

元義「は、人公様。と、いいますと?」

 

人和「袁術軍は雷帝と名高き雷薄様の加入で以前と比べてまともな軍になっていたハズ。

   今の袁術なら、恥知らずにも民を置いて逃げ出してきたというその時点で、

   その愚か者の県令の首を刎ねるでしょうね。」

 

??『エエ、ソウデスネ。』

 

全員『!! お待ちしておりました、道長様。』

 

 

まるで二重音声のような声。

征黄義道の長が現れた。

 

ここは、義賊・征黄義道の移動天幕の中である。

先に会話していた者たちは、征黄義道を支配する将たちである。

天公将軍・張角こと天和(テンホウ)。

地公将軍・張宝こと地和(チーホウ)。

人公将軍・張梁こと人和(レンホウ)。

報告をしていたのは、戦で常に先陣を切り続ける征黄義道の誇る突撃隊長。

馬眞元義(バシンゲンギ)こと鳴(メイ)。

話に出た張曼成とは、現在隠密任務で南陽周辺に潜伏している工作武将。

張修曼成(チョウシュウマンセイ)こと砂那(サナ)。

その砂那の部下が、潜入任務のエキスパート、韓忠である。

名は、韓忠流威(カンチュウリュウイ)といい、真名は歌深菜(カミナ)である。

そして報告を持ち帰ったのが、鳴と双璧を成す対多戦に秀でた武将。

渠帥庵荏(キョスイアンジン)。真名を刻(トキ)という。

 

そして最後に現れたのは道長。

この征黄義道を率いる総大将である。

やや長めの前髪の下は仮面。奇妙なことに穴は無く、完全に目を塞いでいる。

非常に長い袖を胸の前で合わせており、スカートのように長い裾は左側だけボロボロである。

 

道長『ヤレヤレ、道長ハ天デイイト何度モ言ッテイルノニ。』

 

天和「無理ですよぅ。南先生だからみんなついてきてるのに~。」

 

道長『マァ、ソンナ事ハドウデモイイデス。』

 

 

ながされた~!?と騒ぎ出す天和の口を後ろから元義がふさぐ。

 

 

道長『睨ンデイタ通リニナリマシタカ。悲シイ事デス。』

 

人和「そうですね。では、予定通りに取り計らいます。」

 

道長『エエ。袁術側ハ雷薄殿ニ話ヲ通シテアリマス。

   彼ガ上手クヤッテクレルデショウ。彼ニモコノ情報ヲ伝エテオイテ下サイ。』

 

鳴「わかりました。」

 

地和「じゃ、ちーは動員する兵たちの編成にあたるわ。」

 

人和「お願い。私は必要物資を揃えるわ。」

 

鳴「私はいかがしましょう?」

 

道長『君ハマズ天カラ手ヲ離シナサイ。天ガ死ニマスヨ?』

 

鳴「え?」

 

 

言われ、全員が元義の手元を見る。

そこには、鼻ごと口を押さえられ、顔色が紫になっている天和がいた。

 

 

全員『あ…。』

 

 

慌てて鳴が手を離すと、天和は恍惚の表情で大きく息を吸ったそのままの勢いで、

油断していた鳴を腕ひしぎ逆十字もどきな形で拘束する。

 

 

天和「おばかー!!死んじゃうでしょ~!!」

 

鳴「いぎにゃ~~!!ちょっ待、私が死んじゃう~!!」

 

地和「いいぞ~!やれやれ~!」

 

人和「…はぁ。」

 

道長『見テナイデ止メナサイ。ホラ、刻。』

 

刻「ん、気づいてはったんどすなぁ。ほな。」

 

 

柱の影に隠れていた渠帥こと刻が出てきたと同時に軽く腕を振る。

振るわれた腕の先、鎖鎌の刃の無いほうが天和と鳴の後頭部を直撃。

二人は一瞬で意識を刈り取られた。

その騒動の端で、眺めていた道長は溜息を吐く。

 

 

道長『マッタク、賑ヤカナ人タチデスネ。』

 

刻「あぁん、ややわぁ。道長はんてば。」

 

 

照れたように体をくねらせる刻。

 

 

道長『褒メテマセンヨ、刻。マァ、イイデスガ。聞イテイマシタネ?』

 

刻「はいな。」

 

道長『ナラ話ハ速イ。件ノ白綿党ヲ、鳴ト共ニ殲滅シナサイ。』

 

刻「御意に。」

 

 

鳴の脚を引っつかんで引きずりながら、刻が部屋から出て行った。

 

 

それを見届けて、道長はその場の全員に告げる。

 

 

道長『サァ、喰ライニ行キマショウカ。』

 

伝令「県令様ー!!」

 

 

見るに耐えないデブ、もとい県令の部屋に、伝令兵が駆け込んできた。

 

 

県令「なんデブ?…ぅおほん!な、なんだ!?」

 

伝令「(今、なんデブ?って…)…ック!

   も、申し上げます。…ップフ。

   町を白綿党の一派が襲撃。…ッハ!

   数が多く、多数被害が出ています!ぷすー!」

 

県令「ああ、今日だったデブね。…もとい、今日であったな。

   寝ている兵共をたたき起こせ。阿呆の袁術のところへ向かうぞ。」

 

伝令「はっ!」

 

 

すぐに、どこか必死な様子で伝令が出て行く。

県令の部屋の戸が閉まった瞬間、

廊下から『ぶははははははは!!ッヒー!!』とか聞こえるが、県令は気づかない。

 

 

県令「さぁて、待ちにまったこの日だブヒ。

   これで更に下民のクズ共からもっと金を巻き上げられるブヒ。

   そろそろ遊ぶ金がなくなってきて難儀しておったところブヒよ。

   白綿党のやつらに報酬渡すなんて馬鹿なこともする必要はないブヒ。

   真相を知っている奴らを生かしておく訳にもいかんブヒ。

   あの阿呆の袁術の兵を使って残らず消してやるブヒ。」

 

 

そういいながら、県r…もとい豚は部屋を出て行く。

そういえば最近店に入ったカミナちゃん、か~わいいんブヒな~。

という豚の独り言が、扉の向こうに消えていった。

 

??「首尾は?…なに爆笑してるのよ。」

 

??「…うくくくくっ。あ~ゴメン砂那たん。

   いやぁ、ちょっとあの豚本気で面白すぎ!

   見た目豚で語尾にブヒってどんだけ…あーヤバイおなか痛い!」

 

砂那「砂那たんやめなさい。ほら歌深菜、シャキッとなさい。

   さもないと、道長様に脇腹ぐりってやってもらうわよ。」

 

歌深菜「ちょ、死ぬからそれっ!?でもそれはそれで…。」

 

砂那「………。」

 

歌深菜「じゅ、準備いってきま~す!」

 

砂那「…まったく。」

 

県令「…―という訳で、兵を貸して欲しいブヒ…お貸しいただきたい!」

 

 

場所は変わって袁術の城。

町が白綿党に襲われたこと、コレを滅するのが自分の務めであること、

賊を倒せば名門袁家の名が~…などどうでもいい講釈を垂れ、

ぬけぬけと袁術に兵を貸せ、と言う県令。

その不遜と、最近よく名を聞く白綿党の出現に謁見の間の空気は硬くなっていた。

が、最後の『ブヒ』で一気に緊張感が消し飛んだ。

周囲の文官武官たちは体を折ったり別の方向を向いたりして笑い出さないよう耐えている。

袁術の隣に居た張勲は耐え切れず『ぶはっ!?』と噴出し、orzの姿勢で痙攣している。

雷薄は後ろで腕を組んだ『やすめ』の姿勢のまま微動だにしない。

 

 

袁術「そ、そうか。それわ、たいへん、じゃの。よかろ。雷薄、頼むぞ。…ック!」

 

 

胸を張った姿勢で言う袁術。

しかし、笑い出すまいと必死にこらえているため、体が小刻みに震えている。

 

 

雷薄「は、袁術様。では県令殿。

   兵を編成し次第すぐに出兵します故、町の門にてお待ちください。」

 

県令「うむ。よろしく頼むブヒ…頼みましたぞ。」

 

 

またしても『ブヒ』。

この発言の瞬間、周囲の文官武官たちの八割が張勲と同じ状態になる。

が、県令は気づかずに出て行った。

謁見の間は扉がしまった瞬間、

『ぎゃはははははははははは!!!!腹筋が、腹筋がー!!』

ゴミのようだ!いや豚だろう?違いない!だーっはっはっはっは!!

と、爆笑の坩堝(ルツボ)となるが、これも県令は気づかなかった。

 

死屍累々。

謁見の間は、笑いすぎて気絶した人間たちであふれかえっていた。

未だにときどきビクンビクン痙攣している。

 

 

袁術「これでよいのであろ、湊瑠?」

 

雷薄「ええ、感謝します。美羽(ミウ)様。」

 

 

美羽とは、袁術の真名である。ちなみに、張勲の真名は七乃(ナナノ)である。

 

 

美羽「しかし、湊瑠や?おぬし、征黄義道との繋がりを持っておったんじゃな。」

 

七乃「ですね~。私もびっくりです。」

 

雷薄「は。先方の道長とは旧知ですがゆえ。」

 

美羽「ほ。かの老獪さを語られるどころか自称する征黄義道の長とかえ。」

 

七乃「千里眼を持つとか、天変地異を起こせるとか、実は相当な怪力とか。

   色々な噂が絶えない有名な人ですね~。大賢良師でしたっけ?」

 

美羽「初期は張角のことじゃと思われておったそうじゃな。」

 

七乃「ですね~。張角本人が否定したことで初めて存在が明るみに出たとか。

   多数の勢力が細作(スパイ)を送っていたでしょうに、決して見つからなかったそうな?

   それで、湊瑠さん。どんな方なんですか~?」

 

雷薄「盲目で、両腕が義肢の、声を失った細身の道士だ。」

 

二人 「「 …え? 」」

 

その頃。

 

道長『…アベシッ!?』

 

天和「風邪ですか、南先生~?」

 

道長『イヤァ、ドウナンデショウ…。』

 

 

道長のクシャミ(?)は変だと思う、とか後ろの方でこっそり呟いていた刻が、

耳聡く聞きつけられてしまい、道長に脇腹をぐりっとされて地に沈む。

その表情はどこか満足げである。

 

 

地和「ちょっと~。うつさないでよ~?」

 

人和「姉さん、先に心配なさい。」

 

地和「だって南先生、普通の風邪なんて引かないじゃない。

   ならその風邪、凶悪そうだもん。

   ていうか、風邪ひかないなんて、馬鹿なんじゃないの?」

 

 

地和もぐりっとやられて地に沈む。

 

 

道長『気ニシナイデクダサイ。誰カガ噂デモシテイタンデショウ。』

 

元義「道長様。そろそろ準備に移りませんと、県令が帰ってきてしまいますよ。」

 

道長『ソウデスネ。サァ、皆サン。今日モオ仕事ト参リマショウ。』

 

義兵『応!!』

 

伝令「申し上げます。県令が帰ってきました。兵数は八千。

   袁術軍を除くと二千程と思われます。」

 

道長『御苦労様デス。隊列ニ戻ッテイイデスヨ。』

 

伝令「は。失礼します!」

 

道長『サァ皆サン、応エナサイ。我ラハ?』

 

義兵『征黄義道!』

 

道長『我ラハ?』

 

義兵『修羅道が悪鬼羅刹!』

 

道長『我ラニ?』

 

義兵『明日の光なし!』

 

道長『彼ラニ?』

 

義兵『明日の命なし!』

 

道長『我ラノ役割ハ?』

 

義兵『蒼天の黄昏が黎明へと変わるその時まで!

   我ら、義の意思を以って悪の道を征かん!!』

 

道長『ヨロシイ。征黄義道―』

 

全員『全軍突撃!!』

 

伝令「申し上げます!!」

 

 

これからのことを考えてニヤニヤしていた県令の許に男が駆けて来た。

 

 

県令「なにブヒ!?あ、いやなんだ!?」

 

伝令「町の白綿党がこちらに突撃してきます!」

 

県令「馬鹿な!話が違うではないか!どういうことブヒ!?」

 

 

白綿党を皆殺しにする心算だった自分を棚に上げて取り乱し、

思いつく限りの罵倒を白綿党たちの方に向かって喚き散らす県令。

そんな無様な豚に、伝令の男が言う。

 

 

伝令「どうもこうも、見ての通りでしょーよ。」

 

県令「なに!?」

 

伝令「アンタの目論見は失敗したってこと。アンタはこれから死ぬのよ。」

 

県令「な、何ブヒ…。お前は何だブヒ!」

 

??『豚に名乗るなんて不愉快なんだけど。ま、名乗っておいてあげるわ。』

 

 

突如伝令の男の姿にノイズが走り、白いケムリと共に姿が変わる。

ケムリの向こうに現れたのは、かなり小柄な少女。

身に纏った黄色の軽装の鎧と後跳ねした短めの髪。

その少女は―

 

 

県令「カ…カミナちゃん?」

 

歌深菜「人の真名気安く呼ぶんじゃないわよ、豚が。」

 

県令「ブヒッ!?」

 

 

少女が放った殺気におびえて縮こまる豚。

少女は名乗りを上げる。

 

 

歌深菜「征黄義道が幻将(ゲンショウ)!変幻自在(ヘンゲンジザイ)・韓忠流威だ!

    欲望に溺れた外道の豚よ!我ら羅刹鬼の飲み下す悪しき雫となるがいい!」

 

雷薄率いる雷帝隊と、村に潜伏していた征黄義道は、瞬く間に県令の兵たちを包囲した。

もともと袁術の軍に討滅を期待するような軍である。

県令の軍は、一刻と持たずに瓦解した。

 

 

少し戦場から離れた森の中を、一人の男が走っている。

先ほどの県令である。

 

 

県令「っはぁ!っはぁ!ブ、ブヒ!くそう、こんな、こんなハズでは!」

 

歌深菜「どこ行こうってのよ。」

 

県令「ブヒッ!?」

 

 

県令が走っていく少し先に、既に歌深菜が立っていた。

 

 

県令「く、貴様。貴様ぁ!こ、こんな落ち目に遭ったのは貴様のせいブヒ!」

 

歌深菜「は、何ほざいてんのよ。アンタのせいでしょ。」

 

県令「うっ、ブ、ブヒヒ…。こうなったら、貴様だけでもっ!犯して肉奴隷にしてやるブヒ!」

 

 

歌深菜に向かって走り出した県令が、『ブギャッ!?』といきなり派手に顔面から転ぶ。

県令が自分の足元を振り返ると、薄いもやと共に膝くらいの高さに設置された横倒しの竹が現れた。

いままで無かったものが出現したことに絶句する県令の前に、薄もやと共に新たな人影が現れた。

 

 

砂那「征黄義道幻将、張修曼成です。お疲れ様、県令さん。

   非常に汚く、適度に醜悪で、実に滑稽。お似合いよ?」

 

 

県令はその有り得ない事態に驚いていたが、しばしして立ち直った。

 

 

県令「ブ、ブヒヒヒヒ!女ぁ!お前もアイツも俺様の肉奴隷にs」

 

道長『口ヲ開カナイデ下サイ。息が臭イデス、豚野郎。』

 

 

ドゴシャア!!、と。

上から降って来た道長が、何の抵抗もなく県令を踏み潰した。

高濃度の血中コレステロールでどす黒く濁った染みと化した県令。

豚がいた、道長の着地したそこは、半径7m、深さ3mほどのクレーターになっていた。

そんな桁外れの重量があるとも思えない男によって。

特に何の感慨も抱いていない表情の少女たちに、振り返った道長は言う。

 

 

道長『ホラ、二人トモ。道草食ッテナイデ、サッサト帰リマスヨ。』

 

二人『はい。』

 

先ほどの町に戻った道長たちを、雷薄が迎えた。

征黄義道の兵たちは、必要な分の糧食や金子を回収した後、

それでもかなりあまりある県令の財を、町の民たちに配っている。

その様を見守っていた道長のもとに、雷薄が歩み寄ってきた。

 

 

雷薄『…戻ったか。』

 

道長『イヤァ、スミマセンネ。豚ガ曳カレルノニ怯エテ逃ゲ出しマシテ。』

 

雷薄『構わない。始末はしたのだろう。』

 

道長『エエ。問題無ク。』

 

雷薄『ならば、拙者の仕事はここまでだ。』

 

道長『エエ。アリガトウゴザイマシタ。オ手数ヲオカケシマシタネ。』

 

雷薄『気にするな。また会おう、南妖験(ナンヨウゲン)。いや―』

 

 

『 南 華 老 仙 ( ナ ン カ ロ ウ セ ン ) 』

 

 

雷薄と袁術軍が去ってすぐ、人和が報告に来た。

その後ろには、征黄義道の将たちが揃っている。

 

 

人和「糧食と財の配布、および撤退準備、完了しました。」

 

南華『ヨロシイ。ソレデハ、次ノ地獄ヘ向カイマショウ。私ノ愛シイ悪鬼タチ。』

 

 

その言葉にとても幸せそうな表情を浮かべながら、将たちが応える。

 

 

幻将一同『はい、我ら修羅鬼。貴方様の御心のままに。』

 

 

 ――― 『  湊  瑠  様  』 ―――

 

 

 

 

 

 


 
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