---拠点 蓮華×蓮華---
蓮華、回想
周喩「まあ、大筋は理解できた。要は其方の蓮華様は、文台様、伯符がかなり早い段階で亡くなられた世界の孫権様…といったところでしょうか?」
回想終了…
蓮華は一人思考にふけっていた。
蓮華(母上や姉上が亡くなっている…とゆうことは、家督は私が継いでいる状態…)
蓮華(どれだけ、重圧だったんだろう?どれだけ、悩んだんだろう?)
ポカッ!!
祭「コラッ!!弓を構えたままボケッとしない!蓮華殿!」
蓮華「痛たた…、ごめんなさい、祭…」
ここは射撃場であり、蓮華は今、弓の鍛錬中である。ていうか、祭さん、容赦ないなあ…ゲンコツですよ?今の…
祭「ふむ…、悩みでもお有りかな?」
蓮華「……、悩みになるのかしら…?」
祭「今日の射撃の成果を見ても【心ここに在らず】なのは、一目瞭然ですな。」
弓という武器の性質上、細かな揺らぎも顕著に出る。揺らぎが大きければ尚更である。
蓮華「もう一人の私……睡蓮のことよ…」
顔、髪、声、体つきなど…胸を除けばほとんど見分けが付かない。
だけど、王として、子を持つ母として、蓮華が今持ちえないものを持ってる、もう一人の蓮華…睡蓮。
ここ最近、いやでもこのことが頭をよぎる。食事中も、勉強中も、そして鍛錬中も…
祭「やはりそうでしたか…」蓮華「やはりって…」
祭「堅殿は気づいておられました、ただ【これは蓮華自身が乗り越えないといけない問題】として、静観しておられた。」
蓮華「お母様……」
祭「本来なら、もう半刻(一時間)くらい、鍛錬の予定でしたが、切り上げましょう。今続けても無意味ですし…」
蓮華「そんな…」
祭「今、有意義なのは、睡蓮殿と、とことん話をされることかと…残った時間はそうなさいませ。」
蓮華「…そうね、ありがとう、祭。背中を押してくれて…」
祭「そうゆうわけじゃ、とっとと行ってきなされ!」
蓮華が射撃場を後にして
…
祭「これで良かったんじゃな?一刀?」
一刀「上出来ですよ。祭さん」脇から小雪を抱えた一刀がでてきた。
---北郷家---
睡蓮は夕食の準備をひと段落させ、一人くつろいでいた。とそこに…
蓮華「すいませ~ん、睡蓮さん、いますか~?」
睡蓮「は~い!」と言って玄関に向かう睡蓮。
蓮華「すいません睡蓮さん。少しお話したいことが…」
睡蓮「私の過去について?」
蓮華「はっ、はいっ。」いきなり核心を突かれ、驚く蓮華…
睡蓮「ここじゃなんですし、お上がりになって。蓮華さん」
蓮華「お邪魔します。」
居間に通され、お茶とお茶受け(ぬか漬け)が出された。
蓮華「あれ?そういえば一刀さんはどちらに?」
睡蓮「あら♪うちの旦那がきになるの♪てぇ出しちゃだめよ♪」
蓮華「いえ、そんなつもりじゃ…」
睡蓮「クスクスッ、ごめんなさい、からかって…。今ね小雪とお散歩に行ってるの」
蓮華「そうでしたか…」
睡蓮「だから、気兼ねなく話せるわよ?」
蓮華「それでは、睡蓮さんは、どういう王だったのですか?」
睡蓮「そうね…部下といざこざを起こし、自分の力量を超えようと無理をして、最後に部下に裏切られた王さまよ?」
蓮華「は?……………」思考が止まり、目が点である…。
睡蓮「クスッ、ちょっと、簡潔かつ悪く言いすぎたわね。細かく説明するわね。」
蓮華「は、はい…」返事がやっとである。
睡蓮「部下…周喩…冥琳のことなのだけど…その当時の私と彼女の理想が違ったの。文治と武断、それくらい差があったわね。」
蓮華「文治と武断…」
睡蓮「だから、毎日大討論よ…最後には私が押し切ったんだけども。彼女はとても不満だったみたい。」
蓮華「……」
睡蓮「彼女は私に【孫策】で在って欲しかったんだと思う、【覇王】でいてほしかったんだと思う…」
蓮華「なぜ、【思う】なのですか?」
睡蓮「結局、答えを聞けないまま、先に死んでしまったからね…」
蓮華「……」
睡蓮「私も【孫策】…姉さまに憧れていたから、近づこうとしたけど駄目だった。王としての私がそれを止めた。」
蓮華「王としての私…」
睡蓮「【民あっての国】これが私の王としての理念だった。だから、【覇王】にはなれなかった。」
蓮華「【民あっての国】…」
睡蓮「そして、私が【覇王】にならないと分かった時、彼女はわたしを裏切り、私を追放した…」
蓮華「なぜそこまで…」
睡蓮「多分、姉さまの死が原因だと思う…もともと彼女は【覇王】【孫策】の暴走を止める立場だった。」
蓮華「……」
睡蓮「そして、姉さまの死後、彼女の理想が【孫策】になった。最後には彼女自身が【孫策】になろうとした。」
蓮華「……」
睡蓮「追放された私は、一刀の勢力に亡命し、彼女を討った…これが私の王としての経歴よ?」
蓮華「なぜ、笑って話せるのですか?つらいはずですよね?」
睡蓮「一刀が近くにいてくれたからかな……。為政者としての重圧があったはずなのに、ケロッとしているのだもの。」
蓮華「……」
睡蓮「一刀は、力の入れ時、抜き時を心得ていた。だから、王として成功したんだと思う。」
蓮華「一刀さんも、王だったのですか?」
睡蓮「そうよ。それはこっちに置いといて…為政者としての助言は力を少し抜いたら良い…手始めに【街】を散歩すればいい。うちの旦那みたいにね♪」
蓮華「はいっ!ありがとうございます。睡蓮さん。では、失礼します…」
そう言って北郷家を後にした。
睡蓮「ふう…、これで良かったのかしら?一刀?」
一刀「上出来だよ、睡蓮、ただいま」小雪「まんま、あーい」
睡蓮「お帰りなさい。…私にも【睡蓮】がいてくれたら、一刀に負けなかったかもね。」
一刀「ハハッ…言えてる。」
この対談の後の蓮華の成長は【覚醒】と謳われた…
あとがき
どうもnakatakです。難儀した~これ。
私が持っていた蓮華のイメージは「自分を殺して無理をしている」感じでした。
余談ですが、これ以降の蓮華は、疲れた時は疲れたと弱音を吐きやすくなりますが、
これは、【無理をしなくなった】事の表れで、十分自分の力を発揮できる状況になったと考えます。
まあ、どれだけ【覚醒】させるかは、まだ考え中です。
それではまた。
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今回も拠点です。蓮華が二人同じ勢力にいるこの外史でしかできそうにない話です。「私ならこんな風に書くよ」みたいなことは今回、大歓迎です。だって、前例が無さすぎますし…ではどうぞ。