てんてけてんてんてん
「はいどーもー!葉留佳でーす!」
「佳奈多です」
「二人合わせて、はるかかなたでーす!いやー、始ま
っちゃいましたねー」
「そうね」
「今日もお客さんがどっちゃり入ってくれて。えっと、
いち……にぃ……。やはは、片手で数え切れますネ」
「少ないじゃないのよ。もっとよく見なさい、たくさ
ん来てくれてるじゃない」
「ほんとですね。あ、女の人もたくさん来てくれてま
すよ。べっぴんさん、べっぴんさん、ひとつ飛ばして
そーでもない!」
「どうせ飛ばすなら別嬪さんを選びなさい!ほら、や
り直し」
「了解!えーと……。よくみたらべっぴんさんなんて
いませんネ」
「あなた失礼でしょう、それは」
「あ、やっぱりいた。ステージ上に!」
「ひんしゅくを買うからそういうことを言うのはやめなさい」
「なんとステージ上に二人も!」
「ちょっと!私を巻き込まないで!」
「それはまー置いといてー」
「はいはい、何よ」
「はるちん昨日お父さんとお買い物に行ったんですけどね」
「どっちのお父さん?」
「そりゃもー、カタカナでパパと書くお金でつながった……」
「あなたそれ援助交際じゃない!やめなさいよ!」
「五千円でいーよー」
「現役女子高生がそういうこと言うと倫理的な問題があるでしょう!それに何よ、その
安売りは。私まで安く見られるじゃない」
「あ、佳奈多はもっと高く売ってるんだ」
「当然でしょ。一晩付き合って三万円……ってなにを言わせるのよ!そんなことやって
ません!」
「えー。でもこないだホテルから出てきてるところを写真に……」
「あれは観光ホテル!そもそも修学旅行だし、あなたも同じホテルだったでしょう。も
うそれはいいから、なにを買いに行ったのよ」
「佳奈多……気付いてないの?」
「なにがよ」
「ハッピバースデートゥーユー。ハッピバースデートゥーユー。ハッピバースデー、デ
ィア佳奈多~~」
「葉留佳……まさか私のためにプレゼントを……。なんて騙されません!誕生日はずっ
と先でしょ!」
「あれ?そーでしたっけ」
「双子よ、ふーたーご!あなたが間違うわけないじゃないの!」
「そーなんですよ。似てない双子なんですよねー、あたしたち」
「なにを普通に話を続けてるのよ、あなたはまったく」
「まー、一般的な双子の例に漏れず、お父さんも二人いるんですけどネ」
「普通は二人いないわよ。お客さんが双子を勘違いするじゃない」
「代わりにお母さんはいませぇん!」
「それはお父さんのどちらかが昔お母さんだったのよ!って、うちはそんなんじゃない
じゃないの!」
「そんなわけでですね、昨日は楽しいお休みだったわけですよ」
「はいはい、よかったわね。もうそれでいいわ。で、本当はなにを買ったの?」
「それがですね、実は五千円じゃ何も買えなかったんですよ」
「まだ援助交際の話じゃない!もうあなたとはやってられないわ」
「「どうも!ありがとうございましたー!」」
てんてけてんてんてん
「今日もウケがイマイチだったわねぇ」
「こんなもんじゃないですか?」
「そう?私はでも、早くこんな場末の演芸場から抜け出したいわ」
「焦ることなんてないですヨ。現役女子高生コンビなんだし、将来性あるじゃないです
か」
「そうね、ちょっとずつ頑張ればいいのかもしれないわね」
現役女子高生漫才コンビはるかかなた。高い潜在能力を持つ彼女たちのブレイクは、
実はそんなに遠い日のことではない!
諸君!テレビの前で、座して待て!
Tweet |
|
|
4
|
1
|
追加するフォルダを選択
現役女子高生漫才コンビ、はるかかなた。
そのブレイク前の、演芸場をドサ回りしていたころのネタが発掘された!
とかあったらどうだろう。
続きを表示