No.155538

真・恋姫無双 悠久の追憶・第一話 ~~はじまりの出会い~~

jesさん

いよいよ本編いってみたいと思います。

行き当たりばったりな感じですが、最後までお付き合いください。ww

2010-07-05 20:01:22 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:5750   閲覧ユーザー数:4536

第一話  ~~はじまりの出会い~~

 

 

―――――――少年は、暗闇の中を漂っていた。

 

 「(なんだ・・・これ・・・?)」

 

ふと考えたその言葉が、実際に声に出して言っているのか心で思っているだけなのかもわからない。

 

そこは黒以外何もない世界。

 

自分の掌さえ見ることができない。

 

そもそも今、自分には身体があるのだろうか。

 

それともただ意識だけの存在なのかさえ謎だった。

 

 「(夢・・・なのか?・・・)」

 

これが夢ならば、随分とつまらない夢だった。

 

何もなく、何も聞こえない。

 

ただただ『無』を過ごすだけ。

 

どうせ見るなら、なぜもっと楽しい夢じゃないのだろう。

 

そんなことを思ってもどうすることもできはしない。

 

夢とはいつもそういうものだ。

 

 

もうどれくらいの間この黒の世界を漂っただろう。

 

何時間も経った気もするが、まだ数秒も経っていない気もする。

 

そんなあいまいな感覚の中、いい加減この無意味な空間から抜け出したいと思っていた。

 

 「(・・・はぁ、夢なら早く覚めてくれ。)」

 

(――――― いいや、これは夢なんかじゃないぞ。)

 

 

 「え・・・?」

 

突然、一面の闇の中から一つの声だけがやけにはっきりと聞こえた。

 

   (―――――なぁ一刀・・・)

 

得体のしれない声は、訳も分からず闇を漂う少年の名を呼ぶ。

 

(―――――お前、いつまでこんなところにいるつもりだ?)

 

 「・・・・?」

 

一刀と呼ばれたその少年は、突然の質問にただ戸惑うだけ。

 

さきほどまで、自分自身いつまでこの状態なのかと悩んでいたのだ。

 

いきなりそんなことを尋ねらたところで、答えられるはずもない。

 

 「・・・そんなの知らないよ。 俺の夢なんだから、俺の勝手だろ?」

 

(―――――だから、夢じゃないと言っているだろう。)

 

 「・・・夢じゃないって・・・じゃあ何なんだよ?」

 

   (―――――ここは外史と外史の狭間。 外史同士をつなぐ扉だ。)

 

 「・・・外史?」

 

聞きなれない言葉に、よけいにわけが分からなくなる。

 

(―――――今はそんなことはいい。 それより早く行くんだ。)

 

(―――――お前は・・・彼女を救うんだろう?)

 

 「いや・・・行くってどこに?救うって何のことだ?」

 

ろくに説明もないまま、声の主は一方的に話を進めていく。

 

(――――――頼んだぞ・・・天の御遣い。)

 

その言葉と同時に、今まで周囲を満たしていた暗闇の奥から白い光が放たれ、一刀は少しずつその光にのまれていく。

 

 「ちょっと待ってくれ、わけが分からない!あんたは誰なんだ!?」

 

(――――――俺は、――――だよ。)

 

 「・・・っ!?」

 

おそらくその声は名乗ろうとしたのだろうが、肝心な部分は聞き取れなかった。

 

その瞬間に光は一気に強さを増し、完全に少年を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

――――――――――――――

 「ん・・・夢か・・・」

 

白い光に飲み込まれたところで、一刀は目を覚ました。

 

 「それにしても、変な夢だったな。 ・・・ん?」

 

手をついて体を起こす。

 

しかしその手に伝わる感触は、いつものようにベッドのふわふわしたものではなく、岩のように固かった。

 

 「・・・へ?・・・なんだよ・・・これ・・・!?」

 

驚いてあたりを見渡すと、そこにあったのは毎朝目にする自分の部屋ではなく、どこまでも続く荒野だった。

 

 「なっ・・・なんで俺こんなところにいるんだ!?たしかに部屋で寝てたはずなのに・・・・」

 

今自分が置かれている状況が全く理解できず、ただ戸惑っていた。

 

 「・・・そうだ、まだ夢の中なんだ!」

 

そう思って、自分の頬をつねってみる。

 

 “ぎゅ~っ”

 

ちゃんと痛かった。

 

 「・・・夢じゃない、か・・・」

 

まだ痛みの残る頬をさすりながら、“はぁ~”とため息をついて、もう一度落周りを見渡してみる。

 

あらためて見ると、果てしなく続く荒野の先には、うっすらと大きな山々がいくつも並んでいる。

 

 「どう見ても・・・日本じゃないよな・・・」

 

自分の知る限り、日本にこんな景色の場所はない。

 

 「パッと見た感じ・・・中国?でもなんでこんなところに・・・」

 

ここがどこなのか、それも気になるが、それよりもまずどうして自分がこんな状況に置かれているのかの方が重要だと思い、必死に頭を巡らせる。

 

 「昨日の夜は友達の部屋に居たんだよな・・・?その後自分の部屋に戻って、疲れたから制服のまま寝ちゃって・・・目が覚めたらここ・・・あ“~も”~、わけが分からん!!」

 

記憶をたどってみるが原因は思いつかない。

 

ただ苛立ちだけが募っていき、“グシャグシャ”と両手で頭をかく。

 

 「そこの御仁!」

 

 「え?」

 

すると、急に後ろから声が聞こえた。

 

振り向くと、そこには一人の少女が立っていた。

 

流れるような長く美しい黒髪に、凛とした瞳が特徴的な美少女だった。

 

その瞳はただ真っ直ぐに一刀を見つめていて、ずっと見ていると吸い込まれてしまいそうなほど澄んでいた。

 

 「あなた様が、天の御遣いですか?」

 

 「へ?」

 

いきなり現れた少女に見とれていると、少女はいきなりそんなことをきいてきた。

 

『天の御遣い』

 

その単語はどこかで聞いたような気はする。

 

しかし少女の質問の意味がいまいちわからずに、一刀はうろたえる。

 

 「いや・・・あの・・・君は?」

 

 「ああ、これは失礼。 まだ名乗っていませんでしたね。 私は性は関、名は羽、字は雲長と申します。」

 

 「・・・・・はい?」

 

少女の言葉に、一刀は一瞬耳を疑った。

 

 「・・・聞こえませんでしたか?私の名は関羽。 関雲長です。」

 

 「・・・・・・・(関羽ぅーーーーーー!?)」

 

当然のように名乗る少女に、一刀は心の中で驚きの声をあげた。

 

関羽と言えば三国志時代、劉備と共に乱世を戦った英雄の名だ。

 

その関羽と同じ名だという目の前の少女は平然としていて、さも関羽という名の人物はこの世に自分だけといった様子で堂々とこちらを見ている。

 

 「(こ・・・この子があの関羽だって!?じゃあここは三国志の世界?・・・いやいや、そもそも関羽は男のはずだし・・・でも、この子の格好を見るとなぁ・・・)」

 

頭の中で必死に考えを整理しながら、もう一度チラリと少女の方を見る。

 

少女の服装は、とても現代のものとは思えなかった。

 

ただの行き過ぎたコスプレではないかとも考えたが、彼女の真剣な表情を見る限りそれもなさそうだった。

 

何よりこんなだだっ広い荒野のど真ん中に、コスプレをした少女が居るはずもない。

 

 

いろいろな考えが頭をめぐる中、ふと一刀の頭に一つの可能性が浮かんだ。

 

 「(・・・これってもしかして、タイムスリップってやつか・・・!?)」

 

なぜ男であるはずの関羽が少女の姿なのかは分からない。

 

だが少なくとも、自分の知る三国志の時代と似た世界に来てしまったのは間違いないようだ。

 

そうとでも考えなければ、とてもじゃないがこの状況を説明できなかった。

 

 「あの・・・」

 

 「ん?」

 

一刀が腕を組んで考えていると、それまで黙ってこちらを見つめていた関羽が話しかけてきた。

 

 「・・・あなた様のお名前も、聞かせていただけませんか?」

 

 「あぁっ、ごめん。 聞いといてこっちだけ名乗らないなんて失礼だよね。 俺は北郷一刀。 よろしくね、関羽さん。」

 

 「北郷・・・一刀様・・・変わった名ですね。 やはりあなた様が天の御遣いなのですね!?」

 

そう言って、関羽は表情を明るくする。

 

しかし一刀には、相変わらず彼女が何を言っているのか理解できなかった。

 

 「えっと・・・ごめん、その天の御遣いってのが良く分からないんだけど・・・」

 

 「都にいる管輅という占い師の予言です。 『夜空に天光のさすとき、白く光る衣を纏った大陸を救う救世主が現れる。 その者こそ天の御遣いなり』と。 そしてついに昨晩、この辺りの空で流れ星が光るのを見てここまで来たのですが・・・」

 

 「・・・そしたら、ここに俺がいた・・・と。」

 

 「はい!ですからあなた様こそ、この大陸に平和をもたらす救世主なのです!」

 

 「う~ん・・・そういわれてもなぁ・・・」

 

もちろん一刀にはそんなこと身に覚えがあるはずもない。

 

しかし目の前の関羽は目を輝かせ、期待に満ちた顔をしている。

 

それを見ると、簡単に否定はできなかった。

 

 「とりあえず、この辺りは賊も出るので危険です。 近くに私たちの住む小さな町がありますので、そちらへ行きましょう。」

 

 「う・・・うん。」

 

初対面の女の子に簡単について行くのもどうかと思ったが、正直このまま一人でいてもどこへ行ったらいいのかも分からない。

 

それならまだ彼女について行った方が安全だと思い、おとなしく頷いた。

 

 「あぁ、それから、私の事は愛紗とお呼びください。」

 

 「・・・あいしゃ?」

 

 「私の真名です。 真名というのはその人物の本質を現す真の名で、本人の許しがなければ決して呼んではならない大切な名のことです。」

 

 「そんな大事な名前を、俺が呼んじゃっていいの?」

 

 「もちろんです。 あなた様はこの大陸に平和をもたらすお方なのですから。」

 

 「・・・わかったよ。 愛紗。」

 

 「では、行きましょう。」

 

こうして一刀は、愛紗に連れられて近くの町へと向かった。

 

 

 

――――――――たどり着いた町は、確かに愛紗が言ったように決して大きいとは言えなかった。

 

それでも人々の表情は明るく活気にあふれ、その暮らしに満足しているようだった。

 

 「あぁ、関羽将軍。 お疲れ様です。」

 

 「うむ、今日もご苦労。」

 

町の人々は皆一刀の隣を歩く愛紗に快く声をかける。

 

ビルが立ち並ぶ都会に住んでいた一刀にとって、その光景はどこか新鮮だった。

 

 

町の奥にある、少し小さめの城に一刀は案内された。

 

 「鈴々、桃香様、ただいま戻りました。」

 

 「お帰り、愛紗ちゃん。」

 

 「お帰りなのだ~!」

 

城の中にある広い部屋に入ると、そこで二人を迎えたのは、桃色の長い髪をしたおとなしそうな女の子と、赤い髪をした元気な少女だった。

 

 「ご苦労さま。 もしかして、その人が占いの?」

 

 「はい、天の御遣いの北郷一刀様です。」

 

 「へぇ~、思ってたよりもずっとカッコいいね♪天の御遣い~なんて言うくらいだからもっといかつい人を想像してたんだけど。」

 

そう言いながら、桃香と呼ばれている少女は一刀をまじまじと見つめる。

 

 「はじめまして、御遣い様。 愛紗ちゃんが真名を教えてるなら私も教えちゃっていいよね。 私は劉備、字は玄徳、真名は桃香。 一応このあたりを治めてる当主だよ♪j

 

 「鈴々は張飛、字は翼徳、真名は鈴々なのだ!」

 

桃香に続いて、隣にいた少女も元気よく名乗る。

 

 「はじめまして。 俺は北郷一刀、よろしくね。 (・・・にしても、まさか本当に劉備や張飛まで女の子とは・・・)」

 

愛紗の事を考えればある程度予想はしていたが、こうして実際に会ってみるとやはり驚きを隠せない。

 

あらためて自分は別の世界に来たのだと実感した。

 

 「本当は早速いろいろとお話を聞きたいんだけど、御遣い様も疲れてるだろうから・・・朱里ちゃん、雛里ちゃん。」

 

 「は、はいっ!?」

 

 「ひゃいっ!?」

 

それまで気がつかなかったが、部屋の端にいた二人の少女がいきなり名前を呼ばれたことに驚いて声をあげた。

 

 「御遣い様を空いてるお部屋に案内してあげて。」

 

 「はい!で、では御遣い様、こちらへ。」

 

 「・・・お部屋まで、ご案内いたします。」

 

 「あ、うん。」

 

言われるままに一刀は二人に連れられて部屋へと向かった。

 

 

 

 

――――――案内された部屋は思ったよりも広く、寝台まであった。

 

掃除もしっかりされているようで、目立ったほこりなども落ちていない。

 

 「こちらです。 何かありましたら遠慮なくお申し付けください。」

 

 「ありがとう。 えっと・・・」

 

 「諸葛亮です。 真名は朱里といいます。」

 

 「あの・・・鳳統です。 ・・・真名は雛里です。」

 

二人は少し恥ずかしがりながらも名乗ってくれた。

 

 「え?真名も教えてくれるの?」

 

 「はい。 桃香様たちも御遣い様の事を信じていらっしゃるようですから。」

 

 「・・・私たちも信じます。」

 

 「・・・ありがとう。 朱里、雛里。」

 

 「えへへ・・・♪」

 

 「・・・・♪」

 

お礼を言うと、二人とも嬉しそうに笑った。

 

 「では私たちは失礼します。 ごゆっくりお休みください。」

 

 「・・・失礼します。」

 

 「あぁ、どうもありがとう。」

 

そう言って、二人は去って行った。

 

 「はぁ“~~」 

 

 ”ドサッ“

 

一人になり、一刀は正面から寝台に倒れこんだ。

 

 「はぁ~・・・なんか、疲れたな・・・」

 

ほんの数時間前まで寝ていたはずなのに、横になったとたんにまぶたが重くなってきた。

 

いきなり知らない世界にやってきて、三国志の英雄と同じ名前の少女たちに囲まれて。

 

ありえないことの連続に、一刀は精神的にかなり疲弊していた。

 

 「俺・・・どうなるのかな・・・」

 

小さく呟いて、一刀は静かに眠りについた。―――――――――――――――――

  

 

  ~~一応あとがき~~

 

というわけで、本編に入りました。

って言ってもまだ何にもはじまってませんね・・・(汗

 

つまんねーと思った方もいると思いますが、話が動き出すまでもう少しお付き合いいただきたいですww

 

ちなみに話の便宜上、朱里と雛里には最初から登場してもらいました。

 

できるだけ間を置かずに投稿していけたらいいと思ってるんで、頑張ります。ww

 

 


 
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