No.155282

恋姫無双~愛しき人~16

黒竜さん

袁紹の身勝手で汜水関の先鋒になった一刀。彼はどう難攻不落の関を落とすのか?

2010-07-04 19:52:31 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:11092   閲覧ユーザー数:7665

第十六章「汜水関」

 朝。一刀は何時も通り精神統一の修行をしていた。すると天幕の前に人が来る気配を感じて斬月を手に取った。

 「あの~。北郷さん、起きていますか?」

 「誰ですか?」

 「劉備です」

 「・・・どうぞ」

 一刀の了解をえて、劉備が入ってきた。

 「そちらの人は諸葛亮と誰かな?」

 劉備の後ろから諸葛亮と黒髪の女の子が入ってきたので一刀が質問すると。

 「我が名は関雲長。桃香様一の家臣であり、幽州の青龍刀だ」

 「君があの関羽か。それで何の用かな、俺は今日汜水関で戦わなければいけないから手短に頼むよ」

 「わかりました、単刀直入に言います。北郷さん、汜水関の攻撃を止めてください」

「どうして?」

 「今回の連合は袁紹さんの腹いせから集った事です。実際洛陽は董卓さんのお陰で素晴らしい街になっています。ですから今回の連合は無用だと思います」

 劉備の代わりに諸葛亮が一刀の質問に答えた。

 「知っているよ」

 「だったら、今回の汜水関の攻撃を止めてください。汜水関は北郷さんがやると朱里ちゃんから聞きました。ですから」

 「それは無理だ」

 「どうして」

 「劉備さん。あなたも軍議に出ていたからわかっているはずだ。総大将の袁紹が華琳に命令を下したことを。もし、その命令をそむいたら反董卓連合から反曹操連合へと変わる。一国の主ならわかるはずだが」

 「貴様、桃香様を愚弄するつもりか」

 「黙れ、関雲長」

 一刀は殺気をだして関羽を怒った。

 「なら、聞こう。貴様が俺と同じ立場ならどうする、俺と同じ質問をしただろ。それより、どうして劉備を止めなかった。こうなる事はわかっていただろ」

 「くっ・・・」

 「黙りか。ならさっさと出て行ってくれ。俺は出陣の準備があるので」

 「なら・・私と勝負しろ。私が負ければここは引く。もし私が勝ったら桃香様の意見を聞き入れてもらう」

 「・・・いいだろう」

 一刀と関羽が天幕を出た。

 「はわわ。ど・どうしましょう、桃香様」

 「どうしよって、私に聞かれても無理だよ」

 「もし北郷さんが怪我でもしたら曹操さんの兵が私達を攻撃してきますよ」

 「そ・そんな~」

 劉備は一刀と関羽の両方の祈るしかなかった

 

 「まったくやってくれるわね、一刀」

 「ごめん」

 大陸一・二の武将、北郷一刀と関雲長が一騎打ちをすると聞きつけて、周りには大勢の人で一杯になった。

 「負ける気は・・無いわね、一刀」

 「あぁ、一瞬で終わらせる」

 「ならいいのよ。でも、この後には汜水関があることは忘れないで頂戴」

 「わかっているよ。我が主」

 「・・・莫迦」

 一刀は関羽の前に来た。

 「それでは、始めようか関羽」

 「無論だ」

 二人は自分の得物を構えた。

 「始め!」

 「「「!?」」」

 「うそ」

 勝負は一瞬で付いた。足に気を溜めていた一刀は、合図と共にそれを解き放ち関羽の背後に回り斬月を首に当てた。

 「俺の勝ちだ、関羽。約束は守ってもらう」

 「・・・わかった」

 関羽はその場を去り、劉備がその後を追った。出発に遅れた曹操軍は急いで汜水関に向けて出発した。

 

 「雪蓮。あなたさっきの一撃見えた」

 「全然。私達はこれからとんでもないバケモノを相手にしなければならないわね」

 「そうだな」

 

 「愛紗ちゃん」

 「桃香様」

 寂しそうな背中を向ける関羽に優しく声をかける劉備。

 「どうしたの。愛紗ちゃんなんだか寂しそうだよ」

 「桃香様。私はあの北郷一刀を甘く見ていました」

 「どうして?」

 「私は彼がここまで大陸に名を轟かしたのは彼の下にいる者のお陰だと思っていました。しかし、今日の桃香様との会話と一騎打ちをして、彼は私と同じ考えの持ち主だとわかったのです」

 「なら、どうして愛紗ちゃんは負けたの?」

 「それは多分・・・」

 「気持ちの違いだな」

 「星!」

 「星ちゃん」

 「愛紗は桃香様を守る事だけを考えている。しかし、北郷殿は守る気持ちと曹操殿を天下人するなど沢山の気持ちを持っている。そこが愛紗との違いだ」

 「それがどう違う」

 「大いに違うぞ、愛紗。お前は桃香様を守る為に鈴々を見捨てる事が出来るか」

 「出来るわけ無いだろう」

 「北郷殿はするぞ。私はあの一撃でそう感じたが」

 「・・・・」

 「まぁ、北郷殿の事だからそんな場面になったら自分が最期まで残るだろうがな」

 関羽は一刀のことを思い描いた。

 「報告します。正面より敵の部隊を確認」

 「旗は」

 「曹の牙門旗。曹操軍です」

 「よし。我々も打って出るぞ」

 「このバカタレが、詠の作戦聞いてなかったのかウチらはこのまま籠城するんや」

 「わかっている」

 「全然わかってへん。いいか相手はウチらより兵の数が多いんや。打って出たらみすみす兵を死に行かすもんやろが」

 「しかしだな」

 「ウチらは詠の言うとおり籠城戦や。わかったな、華雄」

 「わかった」

 華雄は霞に言い負かされて籠城の準備をした。

 「報告があります」

 「なんや」

 「曹操軍の先鋒は十文字の牙門旗。魏の懐刀です」

 「あちゃ~。孟ちゃんも行き成り自分とこの最強の武人で来たか」

 「前に話していたやつか?」

 「そうや。恋も認める大陸一の武人。北郷一刀や」

 霞が少し誇らしげに答えた。

 

 「それじゃ、計画通り。焔耶頼むよ」

 「はっ」

 一刀は風赤に乗り焔耶と椿を連れて城門の前まで来た。

 「聞け、我が名は北郷一刀。大陸一・二の武人であり魏の懐刀だ。華雄将軍と我が部下魏延との一騎打ちを申し込みたい。申し出を受けるなら姿を現せ。受けないのなら大人しく降伏しろ」

 「わかった。その申し出受けよう」

 「ちょっ。華雄まち」

 「黙れ、張遼。武人としてあそこまで言われたら受けるのが名折れだろう。城門を開けろ」

 華雄は自分の部下だけを連れて城門を出た。

 「ちっ!ウチらは虎牢関まで退くで」

 霞は汜水関にいた兵達を連れて虎牢関まで撤退した。

 「君が華雄か」

 「そうだ。お前の申し出を受けに来た」

 「焔耶、頼むよ」

 「はっ」

 「大丈夫。君には天がついている」

 一刀は焔耶の耳元で呟いた。

 「お・お館」

 「気をつけてな」

 「はい」

 焔耶は華雄の前に行った。

 「・・・」

 「どうしたんだ、椿」

 「いえ。焔耶に言った言葉。私が同じ事になっても、主は言って下さいますか」

 「もちろんさ」

 一刀の返答に椿は少し顔を紅くした。

 「貴様が魏延か」

 「そうだ」

 「貴様にこの私を倒せるものか」

 「お館がくれた機会を無駄にはしない。華雄、お前を倒す」

 二人はお互いの武器を構えた。

 「「はぁぁぁぁぁぁ」」

 ガチン

 焔耶の鈍砕骨と華雄の金剛爆斧がぶつかり合う。

 ガチン ガチン

 ・・・こいつ。なかなか出来る

 ガチン

 ・・・まだだ。こんなやつお館の一撃に比べたら

 「はぁぁぁぁ」

 ガチン

 「チッ!」

 焔耶の一撃に華雄が下がった。

 ・・・今だ

 華雄が退いた瞬間に焔耶は勝負をしかけた。

 「はぁっ」

 ドス

 「うっ」

 バタン

 「ハァ、ハァ、ハァ。敵将華雄。北郷一刀の家臣。魏文長が討ち取った」

 「「「オォォォォォォ」」」

 「よし」

 焔耶の叫び声を聞いて一刀は大きくガッツポーズをした。

 「董卓軍に告ぐ。大人しく降伏しろ、もししなければ倒す」

 華雄を失った董卓軍は、言われるままに降伏した。一刀は、そっと焔耶に近づいた。

 「よくやったな、焔耶」

 「おやかた」

 ドス

 緊張の糸が切れたのか、焔耶はそのまま一刀の胸の中に倒れて眠りについた。

 

 「麗羽様」

 「どうしたのですか、斗詩さん」

 「実は曹操さんの所から伝令が来て」

 「あら。華琳さんが私に助力を求めてきましたの。仕方ありませんわね。お~ほっほっほ」

 「違うんですよ、麗羽様。汜水関を落としたから入城すべして来たんですよ」

 「なんですって!」

 袁紹の声が天幕に響いた。

 「よくやったわね。一刀」

 「ありがとう、華琳。でもその言葉は焔耶に言ってあげて」

 「わかっているわよ。魏延よくやったわ。あなたには褒美を取らせましょう。言ってみなさい」

 「・・・すみません。今はこれといった物が無いので、今度と言う事にしてもらえないでしょうか」

 焔耶は華琳に頭を少し下げた。

 「えぇ、いいわよ。でも欲しい物が決まったらちゃんと報告なさい」

 「はい」

 「魏延。私と勝負しろ」

 「春蘭。焔耶はさっきまで華雄との戦いでの疲れで眠っていたんだぞ」

 「そんなの、関係あ「春蘭!」(ビック!)」

 春蘭が言い切る前に一刀が叫んだ。

 「いいかげんにしろよ。焔耶は今疲れているんだ。休ませてやれ」

 一刀の一言が春蘭に重くのしかかった。

 「す・すまん」

 「俺の方こそ。ごめん」

 「はぁ~。春蘭にはお仕置きが必要ね」

 お仕置きと言う言葉を聞いて、春蘭は少し嬉しそうだった。

 「それと一刀。あなた華雄を保護しているそうね」

 「あぁ。あばらが二本折れているみたいだけど命に別状が無いって」

 「どうして保護しているのかしら?」

 「あれでも一応猛将だからね。戦力は一人でも多いほうがいいから」

 「私の所にもう一匹猪を飼えと言いたいの?」

 「華琳様。それは誰の事を指しているのですか?」

 「もちろん、春蘭。あなたよ」

 「そ、そんな~~」

 「当然じゃない。脳筋なのだから」

 「なんだと!」

 「それじゃ、他に誰がいるのよ」

 「・・か、一刀とか」

 「はぁ~~。一刀さんとあなたを一緒にしないでくれる。何所をどう見たらそうなるのよ。これだから脳筋は」

 「貴様~。言わせておけば」

 「姉者。本当の事なのだから仕方あるまい」

 「秋蘭まで~」

 秋蘭のダメ押しされて春蘭は拗ねた。

 「秋蘭って、たまに酷い事言うよな」

 「フフフ。拗ねる姉者は可愛いだろ。一刀」

 「そうだけど。さっきのは酷くないか」

 「大丈夫さ。姉者なら」

 「今日の軍議はお終いよ、春蘭は私について来なさい」

 「はい。華琳様」

 「ほらな」

 「春蘭」

 なんやかんだで、華琳が終わらせた。

 

 「はっ、ここは・・。そうか私は・・・負けたのだな」

 目が覚めた華雄は、見に覚えの無い天幕に焔耶との戦いを思い出した。

 「月様。私は・・私は・・」

 周りに刃物が無いとわかると華雄は舌を噛み切ろうとした。

 「死のうと考えるなよ」

 「誰だ?」

 「北郷一刀。君と戦った魏延の主だよ」

 「なんのようだ。負けた私に」

 「お腹空いているんじゃないかと思って、焼飯作ってきたのだけど」

 「いらん(グ~~~~)」

 「プッ。身体は正直だね」

 一刀は華雄に焼飯を渡すと華雄は勢いよく食べ始めた。

 「おいしい?」

 「・・・まずかったら食わん」

 「それもそうだね」

 華雄が焼飯を食べ終わるまで一刀は一言も話さなかった。

 「ごちそう様」

 「お粗末さまでした」

 華雄が食べ終わると一刀は食器を天幕の外にいた兵に渡した。

 「華雄。君ささっき死のうとしただろ」

 「それがどうした。私は負けたのだ。月様を守れなかった。だから・・・」

 パチン

 一刀の手が華雄の頬を叩いた。

 「莫迦かお前は。お前が死ねば董卓は悲しむだろ。董卓だけじゃない、霞も恋もお前に真名を預けている連中全員が。だかが、一回の敗北がどうした。一回負けたなら二回勝てよ。それぐらいの勢いがなく、なにが私は守れなかっただ。守るって決めたなら命が尽きるまで守って見せろ。だがな、自分から命を絶とうと思う事は卑怯者のすることだ。自分の思いを貫きと通せ。わかったな、華雄」

 一刀の言葉には重みがあった。

 ・・・そうか。こいつは月様と同じ考えなんだ。皆を守りたい、皆の笑顔を守り続けたい。ただそれだけなんだ

 「北郷様」

 「えっ!」

 華雄は一刀の前に膝間づいた。

 「この華雄。今日より北郷様に降ります。どうか私をあなた様の配下にお加えください。その忠誠として私の真名を預けます。私の真名は涼風と申します」

 「・・・わかったよ、涼風。これからよろしくな」

 「はっ」

 こうして一刀の下に新たな仲間が加わった。

             第十六章 完

 

 

「第十六章終了。いやはやは。簡単に汜水関を終わりましたね~~」

「焔耶のお陰だ。ありがとな、焔耶(ガシ)」

「ちょっ、お館。は、恥ずかしいです」

「いや~~。お熱いですね~~」

「そうですね~~」

「一刀様」

「おや、稟ちゃん。来てたのですか?」

「嫌な予感がして来てみたら。一刀様、私と言う者がありながら。なに焔耶に手を出しているのですか?」

「いや・・だからこれは・・・」

「最近の稟て、積極的だよね」

「そうですね~~。お兄さんに抱かれるために頑張っているのですよ」

「ワタシもお館に抱かれたいな」

「「!?」」

「ん?どうした二人とも?」

「黒竜さん。今度は何時お兄さんと誰が愛し合うのですか?」

「それは、当分ありません」

「「!?」」

「それは、どうゆう事ですか?」

「稟!」

「それは、どうゆう事ですか?」

「それはですね。今度は虎牢関でして、さすがに戦中は出来ないな~~。と思いまして」

「そこを何とかするのが、あなたの役目でしょう」

「無理なものは無理です」

「黒竜どの~~」

「いや、ちょっ・・・」

「稟。そこまでだ」

「しかし、一刀様」

「それ以上する当分閨に呼ばないよ」

「そんな~~」

「わかった」

「はい」

「えぇ~~~とですね。なんだか空気が重たくなってきたので、ここで終わりにしたいと思います。それでは皆さん、また会いましょう。BY]

「バイ」

「バイ」

「一刀様~~~」


 
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