No.155237

恋姫無双 3人の誓い 第三十三話「想いを胸に」

お米さん

第三十三話目となります。この3人の誓いも残すところあと僅かとなります。クライマックスに向けて、全力全快で書かせていただきたく思います!

2010-07-04 16:21:52 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1116   閲覧ユーザー数:1047

「・・・以上が今回の戦の作戦となります。・・・ど、どうでしょうか?」

次の戦いに関する作戦を、雛里は玉座の間に集まっているみんなに提案する。

「ふむ・・・多少の危険性は伴うけど、いいと思うわ。」

「しかし、本当に大丈夫なのだろうか・・・」

華琳やその他大勢のみんなは雛里の作戦に賛成しているが、一人愛紗はこの作戦について一抹の不安を感じてた。

 

 

 

 

 

「多分・・・いえ、きっと五胡の首領環は、人質となっている呉の人達の殆どを前線に投入すると思います。・・・おそらく環はご主人様たち三人以外の人達は、自分の駒か人形としか思っていないと思うんです。ですから、その前線に赴いている呉の人達を救出することが先決だと思うんです。」

雛里は今回の作戦の重要性を愛紗に説明する。環を倒すことはもちろん大切なことではあるけど、まずは苦しんでいる人達の解放が一番大事だと俺や一刀も考えている。

 

 

 

 

 

「鳳統の言う通りだ、関羽。おそらく孫策や孫権、その他大勢の呉の武将達が、環の指輪の術によりあやつられている可能性が高い。もしあやつられていたとなれば、苦戦は必死だ。だから、呉の武将達を無力化しなければならないことは、お前も分かっているだろう・・・?」

雛里の作戦に同意を示している秋蘭も、愛紗を説得しようと声をかける。

「・・・・・・」

そんな二人の言葉を聞いた愛紗だが、まだ瞳に戸惑いの色を隠せずにいた。

 

 

 

 

 

 

「愛紗の思っている通り、孫策達とこんな形で戦うの嫌だ・・・けどな、殺すわけじゃない。なんとかして動きを封じて、戦に参加させないようにするだけなんだ。ここにいるみんなと力を合わせて。」

俺はそんな愛紗の手を取り、目を見つめて伝えた。

「そうでしたね・・・私は一人ではない。力を貸してくれる仲間がいる。・・・少し考えすぎましたね。ふふっ・・・」

愛紗の目に迷いが消え、いつもの優しい眼差しが現れた。

 

「はいはいはーい。そういう良い雰囲気は、人がいないところで出してちょうだいね。・・・あと顔が近いわよ。」

「「・・・っ!」」

曹操の俺と愛紗の様子を見て、少し悪戯な笑みを浮かべ、俺達を注意する。俺と愛紗も曹操の指摘を受け、慌てて手を離し距離をとる。

 

 

 

 

 

「ほんま、そういう恥ずかしいことを平気で言えるとこ、隊長とそっくりやわ。」

「「そんなわけあるかっ!!」」

真桜の発言に思わずシンクロしてしまう二人を見て、玉座の間にみんなの笑い声が響き渡る。

「ふふふっ・・・お二人とも本当に仲がよろしいんですね~♪」

「「誰がこんなヤツっ!!」」

朱里の発言にもシンクロしてしまう二人。また愉快な笑い声が響く。

 

 

 

 

 

 

「さてと・・・みんな、明日は大事な決戦だよ。民を救いだして、呉の人達を救い出して、ご主人様の大切な友達を救い出して・・・力を合わせて五胡をやっつけちゃお!」

桃香の言葉に、その場にいた全員は揃って頷いた。

「それでは今日はここまでにして、あとは明日に備えてゆっくり休んでください。解散っ!」

朱里の号令を聞き、それぞれ玉座の間を出て行った。

 

 

 

 

 

その日の夜・・・。

 

「あれ?蒼介、どうしたのこんなところに一人で。」

城壁にもたれ込んで空を見上げているところに、一刀が右手に何かを持ちながらやって来た。

「それはこっちの台詞だ。その手に持ってるのは・・・酒?」

「そうだよ。実はこっそり厨房から頂いてきたもの。・・・あまり眠れなくてさ。ハハッ。」

酒瓶を片手に、一刀は俺の隣に腰を下ろす。

 

 

 

 

 

「お前もか・・・実は俺もなんだ。他のみんなはもう寝てる頃だろうな。」

「多分ね・・・」

空はもう月が真上まで昇っていて、月明かりがそっと俺達を照らし出している。周りには虫の声もなく、俺達の声がよく聞こえる。

「ほら、せっかく酒があるんだし、一緒に飲まないか?」

 

 

 

 

 

「ああ。・・・けど俺達、まだ未成年だけどね。ハハハッ。」

「持ってきたお前がそれ言うか?ハハッ。」

俺達はそれぞれの杯に酒を並々と注ぐ。それを一気に二人同時で飲み干した。

「ふぅ~・・・しかし、俺達がここにやってきてどれくらい経ったんだろうな・・・」

「・・・多分七ヶ月くらいか、それ以上。ここじゃ時計とかないからね・・・」

「ホント。最初にここに来た頃とか、テレビとかゲームとかなくてどれ程退屈してたか・・・」

 

 

 

 

 

「ハハハッ。確かに、まだ自分自身どうしたらいいか分からないでいたな~・・・毎日華琳に叱られたり・・・」

「愛紗に政についてこってり絞られたり・・・」

「春蘭や桂花に痛めつけられたり・・・」

他にも数え切れないくらい戦をしたり、思い出したくない苦しい経験をしたり、本当に多くのことがあったけど・・・。

 

            「「みんなと出会えてよかった。」」

 

 

 

 

 

 

そんな一つの想いが心の中に浮かび上がってくる。

みんなと出会ったから今の自分がいる。もしも出会っていなかったら・・・・・いや、そんな暗いことは考えないようにしよう。

次の戦いでこの大陸の未来が決まる。自分達の手で五胡・・・環を倒して平穏を手にしよう。

本来、一刀と俺は敵同士だ。けど、今日みたいにみんなで笑い会える日が来ることを信じて、今は全力で戦おう。

 

 

 

 

 

「・・・っと。そろそろ眠くなってきたな。ふああ~・・・」

「ふああ~・・・俺も寝床が恋しくなってきたよ・・・」

俺達はゆっくりと立ち上がると、大きなアクビをした。酒が程よく効いてきたのだろう。

「・・・一刀。」

「ん?なに?」

 

 

 

 

 

 

「明日・・・頑張ろうな。」

「・・・ああ。」

月明かりが鈍く照らし出す城壁で、俺達はそれぞれの拳をコツンッとぶつけ合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※どうもお米です。・・・男同士の友情っていいよね。こんな発言をすると、ちょっと勘違いされそうですが。さて、今回はまさに決戦前夜という雰囲気をできるだけ出してみましたが、どうだったでしょうか?そろそろ一時の終端を迎えようとしているこの小説。命を賭けて(賭け所違いますが)完結させたいと思います!それでは失礼します~。


 
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