5月下旬
春もそろそろ終わりに近付き、夏の兆しが見え始めた頃
俺は嵐さん兄妹のショッピングに付き合っていた。
「今のうちに必要なモン買っとかなきゃな、あー楽しみだー楽しみだー電機屋とかいつぶりだろうな!扇風機あるかな?」
と、妙に張り切ってるのが俺の隣に住んでいる五十嵐 嵐さん。
「去年みたいに無駄遣いしないでよねお兄ちゃん、もう扇風機はいらないからね!」
と、嵐さんに扇風機を買わないよう説得しているのは嵐さんの妹の五十嵐 旋風ちゃん。 かわいい
今回の目的はズバリ
「クーラー」である
実は数日前、自室の冷暖房機が突然爆発した。
検査によると寿命らしい、どうしようか悩んでいると隣に住んでいる嵐さんの部屋でも爆発音が響いた。
・・そんなこんなでクーラーを買いに市街地へ足を運んだ。
天道町は高層ビル等が町中の大半を占めている、嵐さんの話によるとそのせいか俺達が住む住宅地帯は普通の町とは比べ物にならないほど密集している、もうぎゅうぎゅう詰めで熱気がムンムン、ビルから反射される太陽の光は無差別に住宅地の建物を照らし、アスファルトは異常なまでの高熱を発するらしい。
水を撒くだけではもうどうしようもない状況だとか。
「けどいいんですか?俺にもクーラーを買ってくれるなんて・・なんだか申し訳ない気が・・」
「流石に俺でも隣人が干乾びるトコは見たくない」
「命は粗末にするものじゃないですよ平一さん」
2人から縁起でもない台詞が飛んできた
・・・どんな夏なんだ・・・
天道町には様々なエリアに分けられており、俺達が暮らしている住宅地帯、仕事人が集う市街地帯、学生など勉学に励む人が集まる学園地帯、その他諸々分けられている。
今回は市外地帯にある電機屋に3人でクーラーを買いに行く所だ。
そんなこんなで目的地に到着
どんな店なのかと看板を見上げた
電機屋「Gyoshin(ギョーシン)」
なんかうさんくさい名前だ
少し不信感を抱きながらも俺達は店の自動ドアをくぐる
お出迎えしてくれるクーラーの冷気、快感だ
涼んでいる間もなく一人の店員が声をかけてきた
「お、よー来たな嵐 また扇風機買うんか?新作きとるよ」
方言まじりの陽気な雰囲気で嵐さんに話しかける
「おほっ まじで?どうしようかな・・」
「もういらないですよ!なんでいつも勧めるんですか!?」
会話からすると2人とは知り合いらしい。
三人が話している間に辺りを見回してると、俺に気付いたのか店員が近付いてきた。
「地味やなーぁ自分ー」
出会い頭にこの台詞
ストレートすぎないか?
続く
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五月下旬頃、嵐さん兄妹の買い物に付き合うことになった平一は電機屋で五十嵐兄弟の知り合いと出会う