No.153496

真・恋姫†無双‐天遣伝‐(9)

かなり早くなりました。
正史及びに、恋姫本編との乖離が始まります。

まあ、今までも十分でしょうけど・・・

2010-06-26 20:05:29 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:12611   閲覧ユーザー数:8726

 

・Caution!!・

 

この作品は、真・恋姫†無双の二次創作小説です。

 

オリジナルキャラにオリジナル設定が大量に出てくる上、ネタやパロディも多分に含む予定です。

 

また、投稿者本人が余り恋姫をやりこんでいない事もあり、原作崩壊や、キャラ崩壊を引き起こしている可能性があります。

 

ですので、そういった事が許容できない方々は、大変申し訳ございませんが、ブラウザのバックボタンを押して戻って下さい。

 

それでは、初めます。

 

 

 

「だから、貴方方には書状などお送りしてはいないと張譲様も・・・」

 

「だったらこれはどういう事さ!?」

 

 

城門前で、足止めを喰らっている碧は、先程から城門の番兵に書状を付き付けながら叫んでいる。

碧の迫力に押され、番兵は今にも泣き出しそうな涙目だ。

此方に来る途中、何とか睡眠を取って目の醒めた一刀は、番兵に同情を覚えてしまう。

職務に忠実であるからこそ、退けない。

そこには素直に好感が持てた。

 

だが、明らかに言っている事はおかしい。

何故ならば。

 

 

「なら、ここにある印は何だってんだい!?

まさか、玉璽が二つあるとでも!?」

 

「そ、それは・・・」

 

 

そう、碧の持つ書状には、れっきとした皇帝の印が押されていたのである。

これでは、宦官側の言う事の説得力は皆無だ。

立場では現状、皇帝は蔑にされてしまっているが、紛れも無く国家の最高権力者であり、その皇帝の印さえあれば大抵の命令は合法となる。

宦官が悪政を通す際にも、この印があるからこそ、通っていたのだ。

そして、今回はそれが自分達に向く等、完全に思考の外であった。

 

 

「馬騰、もうその辺にしといてやりな」

 

「うん? おお、大将軍ではございませんか!」

 

 

花魁チックな美女が城の方から現れたかと思えば、碧はあっさりと先程までの剣幕を収めて下馬し、大将軍と呼んだ女性に臣下の礼を取った。

朔夜もそれに倣い、蒲公英や葵、更には一刀まで。

 

一刀は今のやり取りの一瞬の内に理解した。

この女性が、かの大将軍何進であると。

そして、正史通りの無能では無く、立派な人であるとも。

 

 

「おい、そこのお前」

 

「は、はっ!」

 

「後で褒美を取らせる、追って沙汰を待て」

 

「は? ・・・あ、ありがとうございます!」

 

「さて、馬騰はこっちだ」

 

 

ホッとしていた番兵にそう声をかけ、何進は西涼の兵達を敷設地へと案内する。

その道中、一刀達は宦官の悪政でボロボロとなった洛陽を見る。

 

これが皇帝の、否人の住む街なのか。

それが一刀の第一印象であった。

大嫌いな死臭が大通りにも溢れ、人々の顔には活気が無いどころではなく、死の色さえ漂っていた。

こんな現状に、軍は何をしているのか、と憤慨するが。

答えはあっさりと出た。

旅人と思しき女性二人を、軍の装備をした五人の男が路地裏に連れ込もうとしていた。

 

一刀の堪忍袋は案外静かに切れる。

だから、頭の芯は至って冷静に。

先頭を進む何進と碧の方を見る。

まあ、例え断られても行く気満々だったが。

しかし、その予測は良い意味で裏切られる事になる。

 

二人共、一刀の視線からわざとらしく目を逸らし。

 

 

「なあ、馬騰、実は私は最近近眼の気があってねえ、背後で何かあっても気付けないんじゃないだろうか」

 

「何、それはいけませんね、でも実は最近あたしも耳が遠くなりかけてて・・・背後で悲鳴が上がっても気付けなさそうですよ」

 

 

そして、二人揃って頷き。

碧がサムズアップを一刀だけに見える様に行った。

『行って来い!』

そう、言われていると理解してからの一刀の行動は早い。

即座に白澤から飛び降り、暁を押さえ身体を低くして、馬達の間を高速で走り抜ける。

姿が既に路地裏へと消えた、女性二人と軍装備の男五人を追い、自らも路地裏に飛び込んだ。

 

 

 

 

真・恋姫†無双

―天遣伝-

第八話「天命」

 

 

時はややながら遡る。

 

 

「思っていた以上に酷い有様ですねー」

 

「全く、怠慢ですね。

門を護っていたあの兵に比べ、何と雑な事か」

 

 

道を歩くのは、背が低く頭に奇妙な置き物を乗っけた少女と、頭の切れそうな印象を受ける眼鏡の女性。

 

眼鏡の女性が言った様に、目を向ければ商店の親父に暴行を働いている兵がいる。

二人は民を護る事が軍の存在意義と認識している為、この様な者達は軍と認めたくは無いと思っていた。

 

 

「やれやれですね・・・風、やはりここに私達が仕えるべき御方がいるとは到底思えないのですが」

 

「むー、昨日の晩に見た夢ですから、きっとここだと思ったのですが。

風の勘も錆付いちゃったのでしょうかー・・・ぐぅ」

 

「寝るなっ!!」

 

「おぉっ!? 風としたことが落胆の余りついウトウトと」

 

「はぁ・・・」

 

 

彼女―風が見た夢。

それは己が台座となり、日輪を掲げる夢。

その夢を重く受け止め、風は名を変えまでした。

だが、今のこの街を見る限り、その日輪に相応しい人は見当たらない。

風は、のんびりとした口調とは裏腹に本気で落ち込んでいた。

 

悪い事は続く物なのか。

そのまま進む二人の腕を掴む手。

二人が振り返ってみれば、そこには自分達を外卑た目で品定めするかのように眺める兵達。

そいつらは、先程商店の親父に暴行を働いていた奴等だった。

 

 

「くっ! 離しなさい!」

 

「あ~れ~」

 

 

二人は引っ張られ、路地裏に連れ込まれる。

そして、突き当たりの袋小路まで引っ張り込まれた辺りで、二人を壁へと突き飛ばした。

 

 

「あうっ」

 

「おぉっ」

 

 

二人が自分達を連れ込んだ相手を見れば五人組で、一人だけこちらを見、他は周りを見張っている。

組織的な行動。

即ち、同じ様な事をこいつ等は繰り返し行っていると、二人は一瞬でその答えに辿りついた。

 

 

「大人しくしな、助けなんて来ねえからよ」

 

「くっ」

 

 

眼鏡の女性は風を背中に隠すように庇いながら、壁へと追い込まれる。

迫って来る男に嫌悪感以外を感じない。

これ程まで人間とは醜悪になれるものなのかと、問いたかった。

だが、もうそんな線は越えてしまっている。

その時、背中から風が彼女に話しかける。

 

 

「稟ちゃん、風が見た夢が本当なら、風達はこんな所で終わらない筈です。

日輪が、風を助けに来るのですよ、きっと・・・」

 

「無駄だっての、いい加減大人しく・・・」

 

 

眼鏡の女性―稟は思わず目を瞑った。

そんな都合のよい話が、ある訳が無い。

そう心中で断じながら。

その時であった。

 

 

「ヘッヘッヘ・・・”ズガン!” ぶべらっ!?」

 

 

何かが何かを叩きつけた様な音。

稟は恐る恐る目を開けた。

して、醜悪かつ最低な兵の代わりにそこにいたのは。

先程の兵の頭を足蹴にしながら、目線を稟に合わせて優し気に微笑む、見た事も無い白い服を着た美青年であった。

 

 

 

 

風は確かに見た。

太陽を背に、その上着をキラキラと輝かせながら、自分達を今まさに汚そうと迫っていた男の頭を地面へと踏み付け、助けてくれた青年の姿を。

同時にこれは正に天命であると、風は確信した。

 

 

「てめ・・・」

 

「黙れ」

 

 

いきなり自分達の背後に現れた青年― 一刀に気付いた、他の兵が何かを言おうとした瞬間。

納刀されたままの暁が、その兵の喉を突く。

突かれた側は、白目を剥いて吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられた。

 

その様子を見た残り三人は戦慄した。

何故ならば、突いた瞬間が見えなかったからだ。

彼らとて、腐っても一軍の兵。

その武は、一般人と比べれば相当に鍛えられたもの。

だから、目の前の男に気付いた瞬間から、攻撃行動を警戒していた。

なのに。

全く見えなかった。

気付いたら、仲間が吹っ飛ばされていた。

超スピードとかでは無い、もっと得体の知れない何かを感じた。

 

今度はそんな愚を冒すまいと、三人は槍を構える。

一方の一刀は首を傾げ、暁を腰に戻した。

 

その行動に激昂した三人は一刀に襲い掛かる。

が。

三人は確かに見た。

 

自分達の天地が逆転したのを。

そして、次の瞬間。

頭部に大きな衝撃が響き、三人は昏倒した。

 

 

「五胡兵って強かったんだな・・・」

 

 

そんな一刀の声を最後に耳にして。

 

 

 

その後、一刀は五人をふんじばり、何進の前に引っ立てた。

その際、喜んだ何進の豊満な胸に抱き締められ、周りに白い目で見られるという、天国と地獄を同時に味わった。

何進がそこまで喜んだ理由とは、何でもこの兵達は十常侍の息のかかった私兵であり、括り上同じ軍の何進の兵隊では捕まえるのが非常に難しかったからだとか。

意気揚々と五人の縄を引き、西涼軍を兵舎に連れていくのと同時に市中引き回しを行っていた。

後で十常侍の連中と揉めるのは間違い無いだろうが、それでも先に洛陽の住民に手を出していた阿呆共を処罰できる方が重要、とは何進の言である。

 

今は、敷設地に皆が辿り着き、陣を敷き終わってから解散。

将は各々の時間を取っている。

 

で、一刀は。

先程助けた女の子二人にお礼として、茶屋で奢られようとしている真っ最中であった。

隣には一刀に付いて来た葵がいる。

まあ茶屋と言っても、かなり寂れている上、客も一刀達だけしかいないのだが。

 

四人で一つの卓を囲む。

本当に嬉しそうな店主が運んできたお茶を受け取り、稟が口を開いた。

因みに、一刀と葵は既に名乗っている。

最も、一刀の出自については東方出身だとごまかし、葵の方は真名を名乗ってはいないのだが。

 

 

「此度は本当にありがとうございました。

私は戯志才と名乗っております」

 

「風は程立と呼んでくださいー」

 

「おいおい、名前変えたんだろ?」

 

「おぉっ!? うっかりしてたのですよ、さっきのは無しで、程昱と呼んでくださいー

因みに、頭の上に乗ってるのは宝譿なのです」

 

「よろしくな、兄ちゃん姉ちゃん」

 

「お、置き物が喋った!?」

 

「落ち着け葵、それにしてもなぁ・・・」

 

 

一刀は本当に驚いていた。

この小さい子が、あの神算鬼謀で知られる程昱だとは、つくづくこの世界には驚かされるばかりだ。

戯志才の方は、余り思うところが無い。

一刀は落ち着きたい思いで、茶を口に含む。

 

 

「実はお兄さんにお願いがあるのですよー」

 

「ん?」

 

「風?」

 

「風をお兄さんの家臣にしてほしいのです」

 

「はっ!?」

 

「風!?」

 

“ブフーーーー!!”

 

 

茶が見事な霧となって飛散した。

 

 

 

 

一刀は混乱の極みにいた。

当然である。

この世界の人物は、確かに正史通りでは無い。

しかし、居る場所等は結構正史に沿っている事も気付いていた。

だから混乱しているのだ。

程昱は曹操の下にいると思っていたが、実際には此処にいた。

しかし、これから行くものだと思っていた。

だが実際には、今自分の家臣にしてくれと頼んでいる。

一刀が受け入れてしまえば、歴史が激変する。

心の何処かでそれはまずいと、一刀は思った。

必死で心を落ち着かせ、咽込んだ所為で続く咳を無理矢理抑え込む。

 

 

「程昱、さん?

なんで、俺、なの?」

 

「風はここに来る前に夢を見ました・・・」

 

「ゆ、め?」

 

「はい、夢です」

 

 

間延びした口調を抑え、真剣に一刀を見据えながら言葉を繋ぐ風。

稟も葵も、その余りの真剣さに口を挟めない。

 

 

「風が座となり、日輪を掲げ持つ夢」

 

 

その言葉に一刀はハッとなる。

程立が程昱と名を変える原因となった、余りにも有名なエピソード。

それをたった今思い出したからだ。

 

 

「風はその日輪をお兄さんに見たのです。

・・・いえ、違いますね」

 

「?」

 

 

エピソードでは、その日輪を結局曹操に見た筈だ。

 

 

「風は、もう『そんな物』なんて知らないのですよ」

 

 

この言葉には、稟と一刀は揃って驚愕した。

程昱はその日輪を死ぬまで信じ、曹操に仕えた。

その筈だ。

 

 

「日輪は風と稟ちゃんを助けてはくれませんでした。

その代わりに助けてくれたのはお兄さんです。

風は、それが悔しかったのです。

でも、それ以上に、お兄さんこそ風の天命を預けるに相応しい人だと思えた・・・・・・」

 

「風・・・・・・」

 

 

稟も、少しずつ緊張していた表情が柔らかくなっていく。

風の頭が下がり、声色が懇願する様な物に変わる。

 

 

「お願いです、どうか風の命、受け取って下さい」

 

「一刀殿、私からもどうか」

 

 

稟も揃って頭を下げる。

稟には痛い程風の気持ちが理解出来た。

葵は不安げに、一刀を窺う。

一刀は息を溜めに溜めた後、大きく溜息を吐き。

 

 

「全く、これで断ったら、俺はどんだけ外道だよ」

 

「ではっ!?」

 

 

ガバッと、分かり辛いが嬉しそうな表情で顔を上げる風。

 

 

「ああ、これからよろしくな、程昱さん」

 

「風、でよろしいのですよー。

あ、後敬語もいらないのでー」

 

「・・・分かったよ、風」

 

 

その言葉を期に、ニッコリと微笑んで一刀の席の側に回り込み、一刀に抱き付く風。

一刀も少し困ったような表情で風を抱き止める。

それを稟と葵が微笑ましそうな表情で見。

 

 

「閨でもどこでも大活躍してみせるのですよー、御主人様―」

 

 

その発言で色々と吹き飛んだ。

 

 

 

 

「~~~♪」

 

「・・・風、降りてくれないか?」

 

「嫌です」

 

「参ったな・・・・・・」

 

「風、貴女結構我儘だったのね」

 

 

あの後、何故か稟も一刀、西涼軍に仕えると言い出し、碧に査定され見事に通っていた。

そしてその際、本名を聞かされ、一刀は更なる驚愕に追い込まれた。

 

稟の本名。

それは、郭嘉奉孝。

曹操に仕えた神算鬼謀の恐るべき軍師と伝えられている。

赤壁の戦いで敗戦した曹操が「郭嘉が生きてさえいれば・・・」と嘆いたのはかなり有名なエピソードだ。

つまり、一刀を含める西涼軍は、この時点で将来曹操が得る筈だった名軍師を二人も横取りした事になる。

 

背筋を冷たい汗が滝の様に流れていった一刀だったが、今はそれ程でもない。

何故なら腹を括ったからだ。

もう歴史等気にしないと。

寧ろ歴史の知識を生かして、犠牲を減らそうと。

最早、開き直りである。

そして今。

 

急に参入した二人用の天幕なんてある訳も無く。

仕方が無いので、風は一刀の、稟は葵の天幕で世話になる事となった。

なお、風が一刀の事を「御主人様」と呼ぶのは全力で止めさせた。

 

 

「むふー」

 

「どうした? 風」

 

「お兄さんの膝が気持ちいいのですー」

 

「いや、腰を下ろしているだけじゃ・・・あっ!?」

 

「風の腰が、一刀殿の腰に下ろされ? ・・・ぶーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!! ・・・・・・がくっ」

 

"バタリ”

 

 

稟の鼻から迸る赤いアーチ。

たちまち床を朱に染めていく。

あちゃー、と一刀は額に手を当てる。

稟の悪い部分。

それがこの妄想による鼻血噴射。

一刀がこれを初めて見たのは、風が茶屋でかましたあの爆弾発言の時。

 

今に勝るとも劣らぬ見事な鼻血のアーチを描き、床に沈んだ。

その後、風のツボとんとんで鼻血を止め、立ち上がらせたのは記憶に新しい。

というか、軽くトラウマだ。

 

 

「あぁ、またこんなに出して。

ほら稟ちゃん、とんとんしますよ、とんとんー」

 

「ふがふが・・・・・・」

 

「本日二度目の上その量で、よく出血多量で死なないな・・・」

 

 

稟の異常さに慄きながら、二人を見る。

何だかんだでいいコンビだな、とも思う。

そう思ったからこそ思い当たった。

もしかしたら稟が仕官した理由は、風が仕官すると決めたからかもしれないと。

もしそうだったなら、何か微笑ましい気持ちになった。

 

 

「ぶはっ!! がくりっ・・・・・・・・・」

 

「おぉっ!? またしても」

 

 

・・・取り敢えずは掃除してからだな。

床一面に広がっていきそうな量の鼻血を出し続ける稟を見ながら、そう思った。

 

 

 

 

―――董卓軍

 

 

「全く失礼な奴ね・・・」

 

「詠ちゃん、あの番兵さんは職務を護っただけだよ?」

 

「分かってるわ、唯玉璽の印が偽物、って言われたのにムカついただけよ」

 

 

馬車の中、会話をする月と詠。

 

その馬車中に女性がもう一人。

長い金のストレートヘアを腰の辺りで、黒の紐で束ねた女性。

優しげな顔で微笑を湛えるその姿は、とても様になっており、聖女と呼ぶに相応しい雰囲気を醸し出している。

 

 

「月、詠、今はその様に論じるのは後にした方が良し、と思うわよ」

 

「ほら、円さんもこう言ってるんだし」

 

「むむむ・・・」

 

 

この女性の名は皇甫嵩、字は義真、真名を円。

先程到着し、番兵に足止めを食っていた董卓軍の出迎えを行っていたのである。

そして今は、軍を割り振った敷設地へと案内している最中だ。

 

 

「それでは既に西涼軍の皆さんは既に到着してるんですね?」

 

「ええ、そっちは美里様が応対なさっていたわ」

 

 

心底嬉しそうな表情を浮かべる月。

その様子に、詠は苦笑し。

円は微笑ましそうに笑った。

 

 

「しっかし、酷い有様ねこれは・・・」

 

「ええ・・・」

 

 

話題を切り替え、街の様子を見る三人。

荒れ果てた洛陽。

民心は完全に王朝の手を離れている。

 

 

「宦官共の内には、この光景を知らない連中も多いわ。

美里様が怒り狂っていたもの。

奴等の幾人かがね、こんな事を言っていたらしいのよ。

『『天の御遣い』が現れる筈が無い。何故ならば、世は安寧であり乱れて等いないのだから』って」

 

「何よそれ、脳味噌腐ってんじゃないの!?」

 

「酷い・・・今この瞬間にも苦しんでいる人達は確かにいるのに・・・・・・」

 

 

三人揃って憤慨する。

その反応を善しと見て、円は月と詠に向かって言う。

 

 

「私達は黄巾を殲滅するのと同じ位、宦官を除く必要があると考えているわ。

その為に、貴女達の力を借りたいの」

 

「まさか、宦官を集めて殺す、とか?」

 

「えっ!?」

 

 

驚く月、ただし円は静かに首を否定方向に振る。

 

 

「残念ながらそこまでは出来ないわ。

今は黄巾の乱の真っ最中だしね。

だから、実質乱が終わってからになる」

 

 

月の息を呑む音がやけに大きく響いた。

小さく一度だけ詠は頷き、円の言葉の先を促した。

 

 

「『天の御遣い』に十常侍を、最低でも張譲だけでも討って貰う。

そして、劉宏陛下の遺言に従い、『天の御遣い』を新たな王朝の皇帝として建てる」

 

 

月と詠の目が見開かれた。

余りにも異常な策。

明らかに、誰かを犠牲にしなければ成り立たない策。

円の目は真剣そのもの、冗談では決してない。

詠は、震えた。

 

 

 

 

第八話:了

 

 

 

 

オリジナルキャラ紹介

 

 

名前:皇甫嵩

字:義真

真名:円

武器:宝雷刀

設定:何進の腹心の部下であり、最も信頼を置かれている武将の一人。

  恐らく現漢王朝最高の武将。

  文武両道、容姿端麗、質実剛健と、正に完璧な人。

  全てにおいて何進を上回る能力を持っているが、本人が何進を強く慕っている為、何進の下に就いている。

  優しさと甘さをはっきりと分けられる。

  実は普通と呼ばれる様な人だが、全てが超高水準である為、某普通な人の完全体とでも言えばいい。

  冗談が全く通じない、一種の天然。

 

 

 

 

後書きの様なもの

 

インスピレーションが降ってきた感じなのに、終わってみればまた超展開!?

今回は最大級だし・・・自分、ホントどうしよう?

 

レス返し

 

 

うたまる様:一刀君は、衆道は断固としてノゥ!です。性別大事に! フラグ?一刀君だから、当然建てるけど回収できるか解らんぜ、ヒャッハー!! ・・・ごめんなさい。

 

はりまえ様:伝わりますねー(笑) そして、子瑜先生の創作意欲のニトロスイッチがONになります。

 

睦月ひとし様:ぶっちゃけて言うと・・・出ます。

 

NEKO様:うぅっ!(涙) そこまで褒めてもらえると物凄く嬉しいです! 期待に応えられる様、これからも精進していきたいです!

 

2828様:思いっ切り頑張りました! けど、起きて自分の身体を確認して涙目・・・

 

mighty様:まだ引っ張ります! 種馬スキルが無けりゃ一刀君じゃねえ!

 

 

という訳で、次回も頑張って投稿します!

ではまた次回で! ノシ 

 


 
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