「横島、見えてきたぞ。あれが紅魔館だ」
「あれが……」
霧に遮られた視界が段々晴れてゆき、次第に館の全貌が見えてくる。
遠くから確認したが、やはり紅い。
まさに吸血鬼の館、と思えるのだが……
「……やっぱ吸血鬼って断崖絶壁の古城の方が雰囲気出る気がするんだよなぁ……悪魔○的に」
「何の話だ?」
玉座に足を組んで座ってワイングラスを揺らすCV若本な吸血鬼の姿を脳裏に浮かべた横島が呟くと魔理沙は首を傾げた。
何でも無い、と誤魔化した所で横島の目は紅魔館の門を捉えた。
「……お、今日は珍しく寝てな「生まれる前から愛していましたーっ!!」……あー忘れてた」
一切の隙を見せず構えを取っていた紅魔館の門番――美鈴へと横島が突撃し、魔理沙は帽子を外して頭を掻いた。
勢いよく美鈴へと飛び掛かり、マスパが来ると身構えていた美鈴は呆然としながら反射的に……
「うわっ!?」
「 たわらばっ!!?」
ゴリッと嫌な音が辺りに響く。
裏拳で横島の顔面を殴り付け、そのまま魔理沙を振り切って後方の木々を薙ぎ倒し、ヤ○チャの如く地面に陥没した。
「……そう言えばお前拳法の達人だったな。マスパで振り切ってるから忘れてたぜ」
「そ、そんな事より医者ー!? つい反射的に殴っちゃったけどどうしよう!?」
「あぁ、心配するな。多分そろそろ」
「あー死ぬかと思った」
「な?」
ムクリと起き上り土が付いた衣服を叩いて落とす横島の姿に美鈴は顎が外れるほど驚愕の表情を浮かべる。
箒から地面に降りた魔理沙は、美鈴の肩を軽く叩くのであった。
極 楽 幻 想 郷(紅)
紅魔郷編 リプレイ その4
「で、魔理沙。このカンフーでチャイナ服が似合いそうなお姉さんは誰なんだ?」
「妖怪・中国。名前を覚えてもらえない程度の能力の持ち主だぜ」
「美鈴です! 紅美鈴です! 勝手に人の説明をしないでください!」
「美鈴さん……! あぁ、貴女にとても良く似合いそうな綺麗な名前だ!
と言う訳で僕と一夏の思い出を……ぐべらっはぁっ!?」
「お前も懲りないよな」
魔理沙が適当な説明を横島にすると美鈴が怒った表情で魔理沙に詰め寄る。
横島が美鈴の手を握ろうとしたところで逆に腕を掴まれ地面に叩きつけられると、魔理沙は呆れた表情を横島に向けた。
「当たり前だ! 美女との出会いは人生の潤い!
美女との出会い無くしてこのクソ真面目な世の中を生きていけるとでも思ってたのか!?」
「どんな世の中だ、それ。
まぁこの馬鹿の事は放って置いて、と言う訳で通してもらうぜ」
「嫌ですよ。後で咲夜さんから怒られるの私なんですから。
……そう言えば、いつもだったらマスパで強引に通ろうとするけど、今日はやけに大人しめですね?」
さてはコレか? と横島を見てから魔理沙に視線を戻しニヤついた表情で小指を立てる。
しかし魔理沙から返って来た言葉呆気なかった。
「コイツがマスパの射程内に入って、お前の盾になってたからな。
二人纏めてブッ放した方が手っ取り早いんだが……さっきの通り、お前と纏めてKOできそうにないから諦めただけだぜ」
(私危なかったんだ!? というか容赦無い!?)
ちょっぴり涙目になった美鈴は僅かに身体を震わせる。
「まぁそれはそれとして……今日はクッキーを焼いて来たんだぜ。ほら、美味しそうだろ?」
「おーホントに。……何だか嫌な予感はしますけど」
「どれどれ」
何処からかクッキーが入ったバスケットを取りだし美鈴の前に出す。
その横から横島がクッキーに手を出そうとして魔理沙が横島の手を叩いた。
「いてっ!? 何をするんや!?」
「お菓子を食べる前に外から帰って来たら手洗いうがいを忘れるな、だぜ」
「お前は俺のお袋か!?」
「……うぇ、想像したら気持ち悪くなった……変な事言うなよ、横島」
「俺の所為!? 俺の所為なのか!?」
その辺の木に手を付いて重い空気を纏わせた魔理沙に横島は慌てた。
そんな様子を美鈴は眺めながら仲良いなぁ……と静かに思った。
「とりあえず手も洗いましたし、さぁ食べましょう!」
「しっかり買収されてるな、お前」
クッキーの入ったバスケットを持った美鈴に魔理沙は呆れたように呟いた。
横島たちは門を潜って紅魔館へと入り、美鈴が先頭に立って内部を歩いているのだった。
「ば、買収なんてされていません。これはあくまで……そう、紅魔館への入場許可です! ……事後承諾になりますけど」
「ここのメイドに刺されても知らんぞ。まぁ私には関係無い」
「メイド……美人さんか!?」
「あぁ美人だな。ナイフの良く似合う」
メイドと言う単語に反応した横島を魔理沙はシッシと手で払いながら話を進める。
「ところでそのクッキーなんだけどな」
「ふぇ?」
こっそりクッキーを一枚口に咥えていた美鈴に魔理沙は爆弾を投下した。
「一枚だけハバネロエキス入りだ」「っ!?」
クッキーを割った瞬間美鈴の顔が真っ赤に染め上がり、口から火を噴いた。
「……そう言う事は先に言えよ……と言うか、中国の人なのに辛いの駄目なのか……?」
「知らん。魔法の森に生ってたハバネロだからな、辛さが違うんじゃないか?」
火を噴きながらその場を縦横無尽に走り回る美鈴を無視して冷や汗を流す横島と魔理沙は話し込み始めた。
横島の手に持っているクッキーから見て、コイツも摘み食いしようとしていたのだろう。
若干涙目になりながら何処からか水を取り出して飲み干した美鈴はそのまま魔理沙へと詰め寄る。
「何て物を食べさせてくれたんですか、あなたは!?」
「勝手に食べたのはお前だぜ。
それにハバネロエキス入りは一枚だけだ」
「おい、さっきは気付かなかったけど、このクッキー全部変な色してるじゃねーか」
「そりゃそうだ。これは魔法の森で取れた植物で作った魔理沙さん謹製ワンダークッキー。何が起こるかお楽しみ、ってな」
「これ最早罰ゲームの領域ですよぉー……うぇーん、これ絶対唇が腫れちゃいますー」
「ならばこの俺が愛をもって唾液で癒して「はっ!!」オウフッ」
涙目の美鈴が魔理沙の肩を掴んでガクガク揺らすと、隣から横島が近付きそのまま美鈴の拳が横島の顔に埋まった。
「お前も少しは学習しろよ」
「傷つくことを恐れて何が前に進めると言うんだ!」
「何ちょっと良い事言ったみたいな顔してるんだお前は……」
無反動で起き上った横島に驚けばいいのか呆れればいいのか、魔理沙は何度目か分からない溜め息を吐いた。
その一方で自身の拳が全く効いてない(すぐに復活する)横島に、美鈴は加減しなくてもいいかもしれないと拳を握る。
「……今なんかゾクッて来たぞ……!?」
「気のせいだろ?」「気のせいですよ、きっと」
二人は笑顔で横島に言い放つ。
美鈴から笑顔と同時に不穏な空気を感じ取り、横島はそうですかと返すしかできなかった。
「で、どこで食べるんだ?」
「食べるって……この恐ろしげな効果がありそうな物を食わなきゃならんのか!?」
「何勘違いしてるんだぜ。食べ物は残さず食べましょうって習わなかったのか?」
「だったら食べれる物を作ってこんかい!」
良い笑顔で言い切る魔理沙に横島のつっこみが届く。
色取り取りの怪しげな山盛りのクッキーに、冷や汗を流しながら横島たちはどう処分するかを検討し始めたのであった。
あ と が き
美鈴は胸の大きいちょっとドジなお姉さん!(キリッ! 異論は認めます。
それはともかく、キーボード操作とゲームパッド操作だったらどっちの方がやり易いんでしょうか。
まぁノーマルでコンティニュー使いまくっておぜう様に辿り着けない自分が言うのもなんですが。
妖々夢のアリスさん(easy)で削られ、プリリバで死にます。誰か私に16連射を教えてください。
できれば感想をお待ちしています。
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私の中の美鈴のイメージは「ちょっとドジだけど時々カッコイイお姉さん。あとおっぱいが大きい」です。
なのでできれば気にしないで頂けると助かります。