『戦いは終わった』
声も高々に宣言する私に集まる、いくつもの視線
長い沈黙の中、すっと・・・絶を掲げる
途端に沸き上がるのは、いくつもの『声』
何十、何百、何千・・・何万からなる声
長きにわたる戦いは、ついに終わったのだ
「華琳」
ふと、私にかけられたのは凛とした・・・今一番聞きたかった声
『彼の声』
天の御遣い【北郷一刀】
「やったな」
と、彼は笑う
「当然よ」
私も笑った
それから、交わる視線
自然と重なる手
伝わってくる・・・確かな温もり
「行こう、皆が待ってる」
「ええ、そうね」
ゆっくりと歩き出した私たち
一歩一歩・・・噛み締めるかのように
私達は、歩き出したのだった
~序幕《KARIN》~
~成都
辺りに響く喜びの声
賑やかな光景
私はそんな中、自分でも驚くほどに軽い足取りで・・・杯を片手に歩いていた
今まで敵だった者は、もう敵などではない
共に助け合う仲間なのだ
そういうわけで開かれた宴の最中、私は歩き続ける
「いないわね・・・」
彼・・・一刀の姿を探して
何人かに聞いてみたのだが、皆知らないという
せっかくの宴だというのに
まったく、いったい何をしているのかしら
「っ・・・まさか」
ふと、頭をよぎるのは・・・あの時の言葉
『大局に逆らうな』
一刀が言われた言葉
その先に待つのは・・・身の破滅
まさか・・・
「一刀!」
気づいたときにはもう、私は駆け出していた
不安に押しつぶされそうになりながらも、ただ必死になって
私は・・・ただひたすらに、彼の姿を探していた
それからしばらくしてからだった
私が、彼の姿を見つけたのは
中庭の木に寄りかかり、俯き震えているその姿を・・・
「一刀・・・?」
不安を隠しきれないままに、私は声をかける
そこには・・・いつもと変わらない『彼』がいた
私の愛した・・・その笑顔が
「どうかしたの?」
「華琳、いや何でもないよ」
そう言って、一刀は微笑んだ
いつもと変わらない、私たちの愛した笑顔
「そう」
ほっと・・・ばれない様、胸を撫で下ろす
なんだか、気にしすぎたみたいね
「皆探してたわよ?
貴方のこと」
「そっか、それは悪いことしたな
後で謝っておかないと」
「そうしなさい」
まさか、私が一番必死になって探してたなんて・・・絶対に言えない
だから、こう言ってごまかした
我ながら、呆れるほどに素直になれない
そこから流れる、長い静寂
心地良い、彼との時間
「ようやく終わったわね」
「ああ」
「でも・・・これからが、いよいよ本番よ」
「わかってる
俺も頑張るから」
「当たり前よ」
言って、二人で笑った
そう、ここから
ここからが、本当の始まりなんだ
「だから・・・これからも、私の傍にいなさい
貴方は、私のモノなのだから」
「はは、了解しました我が主」
だからこそ、誓った
絶対に、私の傍から離れないと・・・一刀は言った
「・・・さ」
「? 何か言ったかしら?」
「いや、何も」
苦笑しながら、何かをごまかす一刀
いったいなんて言ったんだろうかと一瞬気になってしまったが、そのようなことは・・・彼の次の一言で、一気に頭の中から消え去ってしまう
「愛してるよ・・・華琳」
「な、急に何言うのよ・・・馬鹿」
そして交わされる・・・誓いの口づけ
美しい月の下、二人の影が重なる
温かな想いで、胸がいっぱいになる
もしかして・・・これが『幸せ』というものなのかもしれない
それに、一刀が消えるわけがないんだ
だって、こんな幸せを、誰よりも必死に掴もうとしていたんだから
だから・・・一刀はきっと、今幸せなはずよね
そうでしょ? 一刀
「これからも、ずっと・・・一緒なんだから」
しかし・・・この時、私は気づけなかった
この長きにわたり続いた、乱世の終わり
それが・・・もう一つの終わり
その合図だということに
私は・・・気づけなかった
これは私が・・・大切なモノを失う物語
あとがき
またやってしまったwwwww
こっちは華琳視点です
続きは・・・近いうちに書きます
なんか予想以上に、続きを気にしてくださる方がいらっしゃったんでww
といっても、なんかけっこうな数書いてますから遅れはしますが
それでは、またお会いしましょうwww
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あれ? なんか予想外なことに?
というわけで、続き・・・ではありません、残念ながら
序幕・華琳視点ですww