「……行くの?」
「あぁ」
俺の身体は少しだけ光始める。
それは俺がこの世界から消え去る前兆。
「あなたは私に嘘をつくの? いつまでも私の隣に居るんじゃなかったの?」
「……もし俺もこのまま残れるのなら残りたいよ。でも俺の意思じゃどうにも出来ないみたいだ」
俺が愛した覇王に苦笑を零す。
こんな状況でもいつものように冷静。
流石は俺が愛した女の子だ。
「どうにか出来ないの?」
「無理……だな。一応抗ってはいるんだけど」
お手上げのポーズ。
「そう……。なら早く逝ってしまいなさい。あなたのせいで他の子たちが泣くでしょうけどね」
「……逝きたくないなぁ」
「ッ!……」
もう遅いだろうが、それでも願ってしまう。
この少女や、他に俺が初めて愛して女の子と共に歩む未来を。
それがもう叶わぬ願いだとしても、俺は願わずにはいられない。
「……早く逝きなさい」
「…………」
「早く逝きなさいって言ってるのよ!」
眼の前で王は叫ぶ。
いや、今は王ではない。
俺が愛した少女の一人。
「ありがとう、華琳。俺の為に涙を流してくれて―――」
「違う! これは涙なんかじゃ!」
「ありがとう、華琳。俺を愛してくれて―――」
「ッ!」
俺は最後の気合を振り絞り、華琳の下まで歩く。
僅か数メートルしかないというのに、今では10kmを走る以上の疲労が俺を襲う。
「ありがとう、華琳。本当に―――「何でなのよ!」」
俺の言葉を華琳の絶叫が遮る。
「あなたは私のモノなのよ!? なのに何で私の下から去るのよ!」
「華琳……」
「何が不満って言うの!? 金? 権力? 名声? 何が必要なのよ!?」
「…………」
「全部用意してあげるから! 私の下から居なくならないでよ……」
「―――華琳!」
「ッ!」
俺は華琳を抱きしめた。
これで最後になるであろう邂逅。
悔いは残して逝きたくない。
「そんなものはいらないよ。俺が欲しいのは皆の笑顔なんだから」
「……なら何で逝くのよ。私はあなたに残って居て欲しい。他の子たちだって同じよ。私達はあなたのおかげで強くなれた。それは力じゃない、心がよ」
俺の腕の中で涙を流しながら語りかける。
「でもね? それと同時に弱くなったのよ。あなたが居ないと何も出来ない、そんな無様な者にね」
「……俺としてはうれしいけどな」
苦笑を一つ。
華琳の頭を撫でて、俺は華琳と向き合う。
「……逝かないでよ」
「―――華琳、約束するよ」
俺は男だ。
愛する女を泣かせることなんて絶対に許せはしない。
「何時の日か、絶対に俺はここに帰ってくる。どうやって帰ってくるか何て知らない。でも理屈じゃないんだ。―――絶対に帰ってくる」
「一刀……」
「だからそれまで待っていてくれ。俺は愛する女の子を泣かせる趣味なんてないからな」
「かず……と………」
どうやらこれまでのようだ。
もう頭の中で考えることすら難しくなる。
俺の身体は光に完全に包まれた。
「―――華琳!」
「なに―――ん!」
最後に華琳に口づけ。
絶対に帰ってくるという証になるように。
「それじゃ、少しのお別れだ」
「……早く帰って来なさいよ」
「あた、り……まえ…………だ―――」
そうして俺はこの世界から姿を消した。
皆さんお久しぶりです。
正直覚えている方など居ないと思いますが(汗
初めてここで投稿してから早半年以上の月日が経ってしまいました。
色々あったんです。今年は受験とかで時間を取られたり色々と。
だが、私は帰って来た!
まぁ亀更新に変わりなさそうですがw
前作も時間が取れしだい更新したいと思うんですが、長い間時間が開いたので少し練習を兼ね、こうして新しい作品を投稿することにしました。
前作を未だに待ち続けている人には本当に申し訳ないと思っています。
ですが、これからは時間が取れ次第更新していくので、皆さん、またこれからよろしくお願いします!
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真・恋姫無双の魏√のアフター物語となっています。
一刀君が物凄く強くなっているので、そういうのが苦手な方は戻るボタンを押して退出することを推奨します。