No.150833

『舞い踊る季節の中で』 第60話

うたまるさん

『真・恋姫無双』明命√の二次創作のSSです。

予想以上の嫉妬と言う感情に戸惑う明命、彼女はその感情に彼女の出した答え。
そして、思春から、二人の鍛錬の事を聞いた明命は何を思うのか・・・・・・・、
袁術に約束の兵を無事届けた華琳、そんな華琳の元に一方が届く、その内容は・・・・・・・・・・・、

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2010-06-15 16:58:38 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:19101   閲覧ユーザー数:13532

真・恋姫無双 二次創作小説 明命√

『 舞い踊る季節の中で 』 -寿春城編-

   第60話 ~ 暗き想いに戸惑うとも、その魂は舞う事を止めない ~

 

 

(はじめに)

 キャラ崩壊や、セリフ間違いや、設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助

 かります。

 この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。

 

北郷一刀:

     姓 :北郷    名 :一刀   字 :なし    真名:なし(敢えて言うなら"一刀")

     武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇

       :鋼線(特殊繊維製)と対刃手袋

     得意:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(本人は無自覚)

        気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)

        神の手のマッサージ(若い女性には危険です)、メイクアップアーティスト並みの化粧技術

 

  最近の悩み:某日、某宿内の一室にて

        吸い付くような柔らかな頬に、 長く細い睫毛の形を整え、 全体に薄く化粧を重ねて行

        く、必要以上の事はしない。 あくまで彼女らしさを、優しく強調するに留める。 それ

        が、一番彼女を輝かすからだ。 控えめだけど、野に咲くどの花よりも、優しく美しい花、

        そんな彼女に似合う装飾と化粧を施してゆく、 仕上げに、目元が明るく輝いて見えるよ

        うに、胡粉をほんの少し塗す。 そして、薄い色の紅を、彼女の瑞々しく柔らかな唇にひ

        く事で、俺は彼女に化粧を施すと言う作業を終え、一歩下がって、その出来を確認する事

        にする。

        

        「・・・・・・・・・・」

        

        化粧を終えた彼女は、閉じていた瞼を開き、 首をやや傾げて俺を見る彼女の姿は、とて

        も眩しく、俺をしばし呆然とさせた。 彼女の心優しい性格が滲み出るような優しい微笑

        みは、やや大きく開いた目は、幼さを感じさせるも、その瞳に宿る光は間違いなく大人で、

        女性としての艶を同時に感じさせる。 小さな唇は、まるで吸い込まれそうな感覚に襲わ

        れるも、まるで彼女の甘い香りが、其処から出ているように感じられる。

        ・・・・・・俺、一体どうしたんだろう。  「一刀君、終わりましたか?」そんな彼女の言葉

        が、思考を止めていた俺を、現実に引き戻す。 俺は首を振って、己のやる事を思い出し、

        彼女に、今回の化粧や装飾の趣旨を説明していく。 彼女は俺の説明を聞きながら、鏡に

        向かって、今の自分を確認していくが、その時の仕草が、表情が、とても眩しいくせに目

        が離す事が出来ない。 見慣れている彼女の顔が、別人のように見える事もあれば、逆に

        彼女をより強く感じる。 ・・・・可笑しいよな、こんな事、あっちの世界で何度もやってい

        たと言うのに、こんな事初めてだ。

        

  (今後順序公開)

明命視点:

 

 

「ふはぁ~~」

 

いけません、見張り中だと言うのに、欠伸が出てしまいました。

気合が抜けている証拠です。 何故欠伸が出るかと言うと

 

「あぅ~~」

 

その原因を考えると、自己嫌悪で気持ちが沈みます。

原因は一刀さんに在ります。・・・・在るのですが・・・・・・、

あぅ~~・・・・・・遣り過ぎてしまいました。

やはり一晩中怒るなんて、遣り過ぎでした。

 

昨日の夕刻、雪蓮様から、腕の立ちそうな旅の医者を、軍医として、一刀さんの部隊に付けた事を、翡翠様と共に聞いた時は、雪蓮様の心遣いに感謝しました。

一刀さん自身もそうですが、一刀さんの部隊の人の死者が、少しでも減れば、それだけ一刀さんの負担は減るからです。 むろん実際診て貰うのは一刀さんの部隊だけでは無いでしょうから、軍部全体から見ても、とても良い話です。

 

問題になったのは、その後の、どう言う経緯でそうなったかの話でした。

一刀さんの、困っている人を助けたいと言う思いと、その行動力は、尊敬します。

そのための医療行為だって言う事も、分かっています。

だからって、年若い女性のお腹を、何時までも、長々と、何度も、触っていて良い事にはなりませんし、

今の時点で、一刀さんが天の御遣いだと広まるような行為は控えるべきです。

それに、雪蓮様のお話では、結構の器量良しの女性と言う話ですし、

あのお店に通っている以上、一刀さん目当てである可能性が高いです。

もし、責任を取って欲しいと言われたら、どうするつもりだったんですか。

 

分かっています。

一晩中怒ってしまった原因が、ただのヤキモチで、八つ当たりだと言う事は、

一刀さんが、そういう気持ちで、垢の他人である女性のお腹に、触る訳がありませんし、

責任を取って欲しいと迫られても、一刀さんは、きっと断るはずです。

それは信じられます。

 

でも、頭で分かってはいても、感情が納得いかない事もあるんです。

一刀さんの鈍感さが、時折それを助長してしまいます。

自分の醜い感情が、とても情けなくなります。

多分、それは翡翠様も同じなのだと思います。

 

それで結局、空け方近くまで、一刀さんを正座させ、翡翠様と延々と叱ってしまいましたが、

一刀さんは、それでも私達のために、美味しい朝食を作ってくれました。

一晩中怒っていた私は、お腹が空いていたため、何時もの倍近く食べてしまい。

その結果、睡眠不足と満腹感で、つい欠伸が出てしまいました。

 

多少行き過ぎた所が在っても、一刀さん自身は、何も悪くありません。

一刀さんは、私達を怒っていないでしょうか?

一刀さんに嫌われていないでしょうか?・・・・・・それだけは、絶対に嫌です。

いけません、今は任務中です。

 

ぶんぶんっ

 

私は首を振る事で、自分の暗い感情と一緒に眠気を振り払い、見張りに集中します。

もっとも、見張りと言っても、何処からか攻めて来る予兆が、ある訳ではありません。

だからと言って、見張りを疎かにして良い物ではありません。

それに、今はどちらかと言えば、見張られている方です。

いつもの袁術の目の一人が、城壁の下で民家に隠れて、私を見張っています。

 

 

 

 

くぅ~~~~

 

やがて、陽が真上近くに来る頃には、見張りの気配も消え、

私の一刀さんへの理不尽な怒りも、すっかり落ち着いた頃、

 

「おーい、明命お弁当作ってきたから、一緒に食べないか? もう見張りの時間も終わりだろ?」

 

一刀さんが、手に持った包みを上げて、私に声を掛けて来ました。

あんな事の後だと言うのに、一刀さんの優しさに、申し訳なさと、嬉しさが込み上げて来ます。

自分があんな醜い感情に、あそこまで捕らわれた事が、恥ずかしくなります。

だから、私は一刀さんを真っ直ぐ見れるようになるため

 

「一刀さん、夕べは申し訳ありませんでした。

 一刀さんに悪気が無いのは分かっていたのに、あんなに長い間お説教をしてしまって」

 

一刀さんに、精一杯謝ります。

一刀さんは、私や翡翠様の言う事は、おそらく理不尽な事であっても、黙って聞いてくれます。

でも、だからと言って、それに甘えて良いはずありません。

一刀さんを好きだからこそ、一刀さんに好きになって欲しいからこそ、

それに甘えては、きっといけないんです。

だと言うのに、一刀さんは、

 

「さっき翡翠にも謝られたけど、二人は悪くないよ。

 幾ら医療行為のためだったとは言え、やりすぎたのは事実だし、同じ女性である二人が、俺の行為を怒る

 のは当然だよ。 むしろ、俺の間違いを、きちんと怒ってくれたのは、俺としては嬉しい事だよ。

 だって、怒るべき事を怒る。 それは俺を家族として見てくれている証しって事だろ?

 まぁ、お説教している時の二人は、正直忘れたい程怖かったけど、その想いは嬉しいと感じたのは、本当

 の事だよ」

 

そう言ってくれます。

相変わらず、私や翡翠様の気持ちに気づいてくれませんが、それでも、

私と翡翠様を家族だと、そう言ってくれます。

私と翡翠様の理不尽なお説教を、許してくれます。

家族・・・・本当にそうなれたら、どれだけ良い事なのでしょうね。

 

違います。

家族になるんです。

一刀さんが、義姉妹から足を踏み込んでくれないなら、

恩人と言う楔から抜け出す気が無いのなら、

私の方から、踏み込むだけです。

 

くぅ~~~~

 

「はぅあっ!」

 

覚悟を決めた所に、一刀さんの前だと言うのに、お腹が大きく鳴ってしまいました。

その事に恥ずかしがる私を、一刀さんは優しい笑顔を浮かべながら、

 

「すぐに準備するよ」

 

そう言って、城壁の上にある少し広くなった場所で、早速重箱を広げ始めました。

 

 

 

 

一刀さんの作るお弁当は、冷めていても美味しく、一刀さん曰く、冷める事を前提に作っているそうです。

人の多い街で、料理店を開けば連日、賑わうに違いありません。

しかも、今日は茶館で出したと言う、食後の甘味も付いていました。

一刀さんは、麩鈴と言っていましたが、とても美味しいです。

この口の中で、ふわっ として、その後とろける様な甘さが、たまりません。

まるで、お猫様の肉球を指先で押せたような、心地良さです。

 

「色々あって言いそびれたけど、あんな良い人達ばかり寄越してくれて、ありがとうな」

「いえ、本当は、もっと優秀な人を沢山、一刀さんの所に移動出来れば良かったのですが、隠密の任務の関係

 もあって、そう言う訳には行きませんでした」

「十分だよ。 特に朱然とかには、これから一杯助けられそうだし」

 

ぴくっ

 

一刀さんの話の中に出てきた兵士の名前に、自分の眉が、小さく跳ねるのが自分でも分かりました。

朱然は一刀さんと同じくらいの年で、私と違って、女性らしい体型をした可愛らしい一般兵です。

もっとも、一般兵と言っても、うちの部隊における、次期上級兵候補の筆頭だった娘です。

武の腕は特筆したものではありませんが、視野が広く、戦術級に置いての状況判断に優れ、他の兵士と組んでの戦闘が得意だったため、鍛えれば物になると思い、目を掛けてきた娘ですが、・・・・・・まさか副部隊長になるとは予想外でした。

朱然を気に入ってもらったのは嬉しいのですが、必要以上に仲良くなってしまわないか心配です。

あの娘は、結構惚れっぽい性格なので、一刀さんに目を付ける可能性があります。

はぁぅ~~、朱然を送ったのは失敗だったでしょうか・・・・でも、女性兵士は、他の部隊からも送られている筈ですし、個人的な理由で、今更帰して欲しいなんて言えません。・・・・後で、翡翠様に相談してみましょう。

 

でも、やっぱり、一刀さんに思い切って謝ってよかったです。

こうしてきちんと一刀さんの顔を見れますし、普通に話す事が来ました。

おかげで夕べの事は、一刀さんは気にしていない事も、朱然を始めとする女性隊員の事も、幾らか分かりました。・・・・・・・・でも、気になる事も残っています。

一刀さんとの仲を進展させる事もありますが、もう一つ私にとって切実な問題です。

 

「一刀さん、・・・・・・やっぱり、私の鍛錬には、付き合ってくれる気には、なりませんか?」

 

もう何度目になる言葉でしょう。

今まで、思春様に言われる前から、何度もお願いしている事。

だけど返事は何時も同じ、・・・・・・・・そして今回も、

 

「・・・・・・ごめん」

 

短く、本当に申し訳なさそうな顔で、一刀さんは答えます。

それでも、今までに二度、コツを口で伝授してもらう事が出来ました。

でも、それは、思春様のついでとして・・・・、そして思春様の口添えが在ったからに過ぎません。

一刀さんは、相変わらず、私や翡翠様に鍛錬であっても、その拳を振るいたく無いようです。

無理強いしたとしても、丹陽に居た頃のように、一刀さんは黙って私の剣を、その身に受けかねません。

 

先日、思春様が、また一刀さんから教えを受けたようです。

思春様は、顔には出していませんでしたが、とても喜ばれていました。

今のままでは、私は、思春様に離されて行く一方です。

むろん、私も必死に腕を磨いてはいるつもりです。

いるつもりですが・・・・・・・・やっぱり、悔しいです。

 

 

 

華琳視点:

 

 

「・・・・・・・・・以上新兵の調練は、若干の遅れはありますが、期日までには、予定の内容を終わらせて見せます」

 

平時において、五日に一度の軍議の場の最後に、凪からの報告を聞き終え、

 

「そう、期日までに仕上がるなら問題は無いわ。

 新兵の訓練程度に、期日も守れないようなら、無能者として罰する所だけど、その必要は無い見たいね。

 貴女の事だから、兵を此方の要求する以上の質に仕上げようと、頑張っているのでしょうけど、期日を遅れ

 るのならば、何も意味が無いわ。 今の新兵が終われば、次の新兵の訓練が控えているのだから、遅れれば

 遅れるだけ、その新兵のための経費が、無駄になる事を覚えておきなさい」

「は・はっ」

 

私の言葉に、緊張で堅くなりながらも、私の言葉に頷いてくれる。

生真面目すぎるのが玉に瑕だけど、私は彼女のそんな所を気に入っているのも事実。

厳しい言い方をあえてしたけど、きっと彼女は、期待どおり期日内に新兵を仕上げてくれる。

さてと、凪の報告で定期報告は全て終えたなら、後は定期報告以外の事になるのだけど、

そんな私の思考の切り替えを真っ先に読んだのか、桂花が一歩前に出る。

 

「華琳様、先日言われた兵二万ですが、同行させた者の報告で、順調ならば、今日当たり袁術の元に到着す

 るそうです」

「そう、今回は無理を言ったわね。 よく一月で、あれだけの人数を民に不満を与えずに集めてくれたわね。

 その上、私が戻ってから十日足らずで、無事届けるなんて、流石は桂花と言う所ね。 礼を言うわ」

 

桂花に、笑顔を向けて、今回の私の無理を聞いてくれた事に感謝する。

信賞必罰を信条とする以上、王たる私がそれを示さなくては、他に示しが付かない。

 

「勿体無いお言葉です。 華琳様の望みを叶えるのが私の喜び故、どんな事でも望みどおりにして見せます。

 ・・・・・・ですが、人数は揃える事は出来ましたが、やはり予想通り、格好で誤魔化しては居ますが、兵とは

 名ばかりの者達になり、中には、労働力にならないような者や、罪人も混ざる事になりました」

 

どうやら桂花は、そんな兵達を、私の兵として、余所へやる事が悔しいようね。

私の名が、それで落ちるかもしれないと心配してくれている。

でも、

 

「それで十分よ。 袁家に仕える兵士だって、似たようなものよ。

 とにかく数を集めて、それを頼りに、ひたすら前進して、相手を踏み潰す事しか出来ないんだから。

 相手が満足すれば、それで十分なのよ」

 

桂花に、そう言ってあげる。 そんな詰まらない事で心を痛める必要は無いのだと、

袁家が好んで使う兵法は、単純に最も分かりやすい強さ、つまり兵の数を揃える事。

兵法としては正道ではあるけれど、それ故に兵の心に油断と慢心が生まれるわ。

袁家がそれ等を使う以上、付け入る隙なんて幾らでもある。

 

でも、確かに兵の数、つまり兵力が物を言うのは確か、

袁家相手に倍程度であれば、平原であろうと、何とかなるけど、三倍ともなれば話は別よ。

策を用い、相手をそれに填めなければ、私ですら難しい。

孫策貴方は、どう動くかしら?

今の貴女が動かせるのは精々四~五万、それに対して袁術は凡そ十五万、

今のまま激突すれば、勝ったとしても、その後来る群雄割拠の時代を、生き残る事は出来ない程、消耗する事になるでしょうね。

独立後の事を考え、増えた兵の数に対抗するために、時期を待つか、それとも・・・・・・ふふっ、楽しみね。

 

 

 

 

「それと、袁紹が兵を挙げ北上を開始しました」

「へー、この時期に真っ先に動くなんて、さすが麗羽と言うべきね。 いい目をしているわ」

 

桂花の次の報告に、私は少しだけ麗羽を見直すのだけど、

 

「あのー、何故でしょうか? 確かに、朝廷が力が無いことが露呈した今、真っ先に動いた事に、感心される

 のは分かるのですが、今はまだ冬、それがあの地より北上したとなれば、冬の厳しさですぐ兵達の動きが悪

 くなるだけではありませんか? そうすれば被害も多くなるし、とても良策には思えません」

 

春蘭が、珍しくもっともらしい正論を言ってくる。

確かにそれは言えているし、軍部を纏める彼女らしい意見ね。

 

「そうね普通はそう考えるでしょうね。 でもそれは北上した先にある公孫賛も同じでしょう。

 攻めてくるなら暖かくなってからだと」

「あっ、では」

「そう、油断している所に大軍で攻め込む、 幾ら寒さで動きが悪いと言っても、圧倒的の数を前にしては、

 軍師を持たない公孫賛では、とても対応できないでしょうね」

 

それに凍死者が出たとしても、代えの兵は幾らでも居ると考えれば、問題は問題でなくなる。

まさに袁家ならではの一手だわ。

烏合の衆でも、それを動かす頭が優れ、その動きを邪魔する者が居なければ脅威となる。

その上、文醜、顔良と言うそれ等を動かす両腕もある。

麗羽は、数の脅威と言うものを、本当によく理解しているわ。

そして、幽州と言う麦畑を、袁家と言う名のイナゴの大群が、喰らい尽くす様子が目に浮かぶわ。

 

「桂花、麗羽が真っ先に幽州を叩きに行ったのは、後方の憂いを立つため、なら次はどう動くと思う?」

「はい、派手好きですが、その実堅実な袁紹の事です。

 我々を最大の脅威と見て、先ずは并州を始めとする四州を纏め上げ、三方を包囲してから、決戦を持って

 当たってくると思われます」

 

まぁ、そんな所でしょうね。

麗羽、袁家の改革のために、貴女が負けられないと思っているように、私も私の覇道のためには、負けてあげる訳には行かないの。

 

「桂花、決戦となれば、数では勝てないわ、そのための策と場所を準備をしておきなさい。

 春蘭、秋蘭、兵達の調練を任せるわ。 ただし、麗羽が四州を纏めてから来るとは限らないから、いつでも

 出れる準備をしておきなさい」

「「「 はっ 」」」

 

ふふっ、とうとう時代が動き出したわね。

劇の幕を開いたのは麗羽、

だけど幕を閉じるのは、私よ。

貴女には劇の途中で退場してもらうわ。

もちろん、劇である以上舞台を盛り上げる役は必要。

孫策、早く独立して力を付けなさい。

出なければ、あなたは舞台に上がる事すら、出来なくなるわよ。

 

 

 

雪蓮視点:

 

 

一刀の部隊結成から十日以上が立つ、当初心配した兵の一刀への不信感は、初日で取り払われた様子。

調練も慣れない一刀の代わりに、副部隊長を始めとする小隊長達が取り仕切っているため、問題なく進み、一刀自身は、合間に部下から馬術を習っているとの事。

心配だった華佗も、五斗米道以外の医術も意外に腕が立つ事が証明されたので、とりあえず、一刀が劉備達に渡したものと同じ、『旅における豆知識と役立つ医学』とか言う、本の写本を渡してあげた所、えらく感激された。 話には聞いていたけど、暑苦しい男のようね。 そして善人だけに、性質が悪いと来ている。 まぁ、一刀なら上手く扱うでしょう。

本を渡した本当の理由は、袁術との決戦の後の事もあるので、少しでも兵の損失を減らしたいだけだったのだけど、せっかく感謝してくれているのだから、それを態々教えてやる必要は無いわね。

 

そう、決戦。

すでに予定通り、袁術の治める領地の遠方の方から、一揆が起き始めている。

農民に扮した兵士が、幾つかの出城を落とし始めている。

(蓮華、小蓮、そして呂家の娘だったかしら、上手くやっているようね)

そして、今日、袁術からの使者が、

 

『孫策、お前の力で、妾に刃向かった愚かな農民共を、懲らしめてやるのじゃ』

 

と言う、命令を記した手紙が送りつけられてきた。

予定通りと言う訳ね。

貴女も、そして私も、

 

 

 

 

袁術、張勲、教えてあげる。

 

私と貴女達、

 

どちらが、

 

踊らされているのかをね。

 

そして、貴女達の本心、確かめさせて貰うわ。

 

もし貴女達が、少しでも下らない人間なら、

 

その時は、一刀の目の前で、

 

この世界の現実を教えるために、

 

その首を刎ねてあげる。

 

 

 

 

願わくば、

 

これ以上、一刀に

 

私を嫌いにさせないで欲しいわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

あとがき みたいなもの

 

 

こんにちは、うたまるです。

 第60話 ~ 暗き想いに戸惑うとも、その魂は舞う事を止めない ~ を此処にお送りしました。

 

最近出番の少なかったメインヒロインの明命に、ほんの少しだけですが、スポットを当ててみました。

自分の嫉妬と言う醜い感情がある事に戸惑いつつも、まっすぐ想いに立ち向かおうとする彼女を、私なりに書いてみました。 以前でも述べましたが、原作では、天の御遣いで、最初から一夫多妻制のような正しく種馬、的扱いだったため、そう言う事は無かったですが、本来、孫呉の女性は、独占欲の強い女性達ではないかと思っています。 特に蓮華や小蓮を見ているとそう思います。

そして、武人としての彼女の想い、彼女は思春のように、一刀と舞を舞える日が来るのでしょうか?

・・・・・・それは、今後の展開をお待ちしてもらう事になります。

 

さて、とうとう群雄割拠の時代が幕開けいたしました。

幕を開いた者の名は、袁本初、この外史はどのように転がっていくのか、

そして、ついにその姿を現す彼女、彼女と一刀の邂逅は、何かを巻き起こすでしょう。

 

皆様の期待に堪えれる様な作品を書いていきたいと思います。・・・・・・・・まだまだ未熟なため、書き手の想いが伝えきれない事が多いです。 不快に感じられた事とかあれば、皆様の意見(苦言や悪評も含め)を参考に、それを私の力になるよう努力して行きたいと考えております。

 

では、頑張って書きますので、どうか最期までお付き合いの程、お願いいたします。


 
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