No.150783

真・恋姫†無双 外伝 蓮樹伝 第二章

注意:オリキャラ成分がたくさん含まれています。オリ主でメインで進みます!一刀君がオリ設定もなってもかまわないという方はどうぞっ!

一刀君……特殊事情でサブメインとして出る事になりました。

オリ設定満載ですが、よろしくお願いします。

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2010-06-15 10:55:53 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:2001   閲覧ユーザー数:1794

 

 

 

 

 

 

真・恋姫†無双 外伝 蓮の元に降りし御遣い

 

 

 

第二章 『天の御使い、漢中の太守に就く』

 

 

 

 

 

「みなさん、どうして驚いてるのですか?」

 

 

雪華は小首を傾げつつ、言葉を返す。

 

 

「な、なんでそんな呼び方にかわったんや?」

 

 

樹夜は雪華に対して、何故にご主人様と呼ぶだろうと不思議に思う。

燐火と孫堅はその意図理解してるようだったが、傍観していたのだった。

 

 

「ご主人様には漢中の太守に就いて貰おうかと思いまして……

 民草を導いていけるのは貴方だと確信に変わったからです。

 

 

 弟みたいでお姉さんとしては、生活のお世話をしてあげたいなぁと♪」

 

「うぅ、ご主人様やなくて樹夜さんって呼んでや……」

 

 

小動物的な視線を雪華に向けながら、恥ずかしそうに顔を赤くしている。

 

 

「樹夜さんが、そう呼んでほしいならしょうがないですね」

 

 

燐火は雪華に呆れつつも、臣下の顔で問うた。

 

 

「雪華様は、樹夜様に天命はあるとおっしゃるということですか?」

 

「そういうことです。貴方も樹夜さんと仲が良いみたいなので安心しました」

 

 

孫堅は二人のやりとりを聞いて、ニヤリと微笑み浮かべた。

 

 

「そうであれば、私も樹夜の忠臣として支えねばな」

 

「それは、どういうことですか? あなたは国があるではありませんか!」

 

 

雪華の問いかけに、孫堅は戸惑い無く答える。

 

 

「ふむ、そうだな。だが、国の王は娘達に継がせる事にしたよ。

 私は生き残れた民のおかげ、返さねばならぬ恩義はある。

 たとえ帰ったとしても、孫家の立ち位置を悪くする要因にしかならんしな。

 今や、孫家は袁術の客将なのだからな。

 

 

 それに、お主も言ったではないか。樹夜の飼い猫だとな♪」

 

 

竜虎相対すとは、この事だと樹夜には見えた。視線が交錯し、火花を散らす。

そんな中で冷静だったのは燐火である。

 

 

「雪華様、孫堅様も今こうしているべきではないとおわかりよね?」

 

 

すこし語気を強めた発言に渋々とした表情で二人は席に着いたが……

冷戦状態かというくらい空気。一石を投じたのは樹夜だった。

 

 

「燐火、天命って何の事や?」

 

「都にいた占い師が予言したらくてね、最近噂になっているのよ。

 

 占い師曰く、『黒天を晴らすは、一筋の流星。流星に乗りて天より舞い降りし者、この乱世を鎮めん』ってね。

 

 それで、ちょうど噂を耳にした日に流星と共に兄上が現れたから天の御使いじゃないかって思っていたのよ」

 

 

雪華は後に続くように話す。

 

 

「樹夜さんがこの漢中に舞い降りたのは天命であり、私は乱世を鎮めれると思っています。

 

 しかし、こちらの都合で重荷を背負わしてしまう事になりますが……」

 

「天の御使いなんて大層なもんでも無い学生の俺にとっては乱世を鎮めるなんて事は重荷になるかもしれへん。

 

 

 

『種はひとりでには芽吹かない。栄養や水や光を与える自然の恩恵があってこそ、大地に芽吹く。

 

 いつしか恩恵を与える大樹として育ちゆくだろう。故に、他者への感謝は忘れるべからず。

 

 天命とは定められたものではなく、己が道を決めし時こそ天命なり』

 

 

 これは、爺さんから教わった訓辞なんやけどね。

 だから、皆が期待する天の御使いとかやなくて時雨樹夜として決断するんや。

 

 

 

 雪華さん、燐火、睡蓮。皆と一緒に歩んでいく事こそが……

 

 この道こそが、俺にとって天命やと思っとるから今後よろしゅうな!」

 

 

 

「はいっ、よろしくお願いします♪ 樹夜さんの敵は、私の敵。漢中の龍と呼ばれし武をご覧に見せます!!」

 

「ふむ、よろしく頼むぞ。私は、天と共に歩む虎になるか……樹夜の可愛い飼い猫ではあるがな。

 敵対する者には猛虎の如く喉笛を牙で食いちぎって見せようぞ!!」

 

「よろしくね。兄上の御身は、我が武を持って守りましょう!!」

 

 

漢中に新たな御旗が立ち、乱世に踏み出す第一歩であった。

 

同時期に各地で英傑達が動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

‐陳留‐

 

 

 

「華琳様。細作よりの報告にて、漢中の太守が変わったようです」

 

「そう……今の太守は、張衡の娘である張魯だったわね。噂では、善政と聞いていたのだけれど?」

 

 

曹操は疑問に思う。何故に、民から信頼を得ている張魯が引き下がったのかと。

 

 

「善政をしていたのですが、張魯自身が後任を指名したようなのです。

 

 私も不信に思い細作などに再度調べさせたのですが、結果は同じでした。

 

 少し気になる情報があるにあったのですが……」

 

 

荀彧から聞いた情報というピースを整理してゆき、パズルを完成させ解を出すべく再び問いかける。

 

 

「桂花、気になる点とは何? どんなことでもいいから教えなさい」

 

「はいっ。漢中に占い師の予言した天の御使いらしき男が舞い降りて、後任に選ばれたという噂を聞き及んだのです」

 

 

パズルピースは埋まったかのように、解をだす。

 

 

「天の御使い……天命は漢中にありという事なのかしら? あっははは……関係ないわね。

 覇道に天命が無くとも我が道は修羅の如く、気高き誇り持って突き進む。民を導き太平の世を築くのは我、曹 孟徳なり!!」

 

 

覇道を進みし覇王は、高らかと宣言した。

 

 

「まずは、野にのさばっている獣を討伐しないといけないわね。

 桂花、黄巾党討伐の準備を進めておきなさい。春蘭と秋蘭にも軍の編成をするようにと伝えなさい」

 

「御意!」

 

 

曹操は笑みを浮かべながら、部屋に戻ってゆく。

 

 

「桂花、褒美として可愛がってあげるは……今夜、私の閨に来なさい」

 

「はいぃぃ、華琳さまぁ~……」

 

 

 

 

 

 

 

‐楼桑村‐

 

 

 

「桃香様、お待ちくださいませ!」

 

「愛紗ちゃんも早くおいで~。桃の花が綺麗だよ~♪」

 

「にひひ、愛紗は足が遅いのだ。桃香お姉ちゃん、鈴々と一緒に早くお酒を飲もっ!!」

 

 

劉備、関羽、張飛の三人は桃園にて旅立ちの祝杯をあげた。

 

 

「愛紗ちゃん、鈴々ちゃん、これからもよろしくね。

 

 茨の道だけど、みんなが笑顔で毎日を暮らせる平和な世を迎える為にも頑張ろう!!」

 

「はいっ!! 桃香様!!」

 

「応なのだっ!!」

 

 

劉備が桃園にて誓いを高らかに宣言する。関羽、張飛もそれに呼応するように誓いを結ぶ。

 

 

 

 

「我ら三人、姓は違えども姉妹の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わん!!」

 

 

「上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う。同年、同月、同日に生まれることを得ずとも!!」

 

 

「願わくば同年、同月、同日に死せん事を!!」

 

 

 

 

「乾杯っ!!」

 

 

 

 

 

義姉妹の契りを結んだ三人は桃園の花に祝福されるかの如く、桃の花びらが空に舞う。

 

劉備軍は大平の花を咲かせる為に、乱世に足を踏み入れる。

 

 

「愛紗ちゃん、これからどこに向かえばいいかな?」

 

「桃香様、ここからですと公孫賛殿が太守をしておられる北平ですな。

 寡兵として黄巾党討伐に助力するのがよろしいかと」

 

「愛紗、美味しい飯も食えるのか?」

 

 

張飛に、微笑みながら答える。

 

 

「鈴々。黄巾党討伐にて功を立てれば、宴に招いて貰える。

 しかしだ、節度をもって行動せねば貰える物も貰えないから注意するのだぞ」

 

「そうなのかー、黄巾党なんて突撃!粉砕!勝利なのだー♪」

 

 

劉備は、最後を締めくくる様に言う。

 

 

 

「悪い人達を退治して、白蓮ちゃんを助けてあげなきゃね。

 

 笑顔を守る為にも頑張ろうね!! それじゃ、北平に向かおう~♪」

 

「御意!!」

 

「御意なのだ~!!」 

 

 

 

 

理想とは何か……現実とは何か……この時の劉備はそれを理解していなかった。

 

力と覚悟。それは決して優しさだけでは、戦は無くらないということを示す道しるべ。

 

壁にぶつかりし時、劉備は何を想うか。

 

 

 

 

 

 

 

 

‐南陽‐

 

 

「はぁ~……いつまで子供のお守をしないといけないのかしら」

 

「そう、愚痴るな。独立の機会が訪れた時の為にも、準備を怠るわけにはいかないのだぞ?」

 

 

袁術との口約束。孫家復興の援助するといった物だが、何度となく反故されてきた孫策達。

 

 

「それにしても、母様はやっぱり行方不明のままなの?」

 

「うむ。密偵などに情報を集めさせているが、安否の情報すら入っていないのが現状だ」

 

「策殿、心配せずとも堅殿の事だ。必ず大陸のどこかで生きておるよ」

 

 

孫策は顔を赤くして、慌てて返事を返す。

 

 

「べ、べつに心配なんかしてないわよ。呉の王が不在じゃ、皆の士気にもかかわるでしょ」

 

「ふむ。それでは、雪蓮が王として頑張ってもらわねばな」

 

「そうじゃな。堅殿が行方不明の今、策殿が王になり民を安心させてやる必要があるのぅ」

 

 

今や頭を失った呉は、袁術に土地を奪われ客将という立場に甘んじている。

民の心を安心させる為にも、呉にとっては王が必要なのである。

 

 

「そうよねぇ……私が頑張らないとね。呉の独立の為にも、王として先導しなきゃね」

 

 

孫策が決意し、意気込むと周瑜が思い出したように声をかけてきた。

 

 

「そういえば、漢中の太守が変わったと細作から情報が入っていたんだが……

 眉唾な話ではあるが占い師の言に出てくる天の御使いとやらが任命されたようなのだ」

 

「天の御遣いねぇ……気になるわね。ふふっ、一度会ってみたいわ♪」

 

「ふむ、わしも一度そやつには会って話がしてみたいのぅ」

 

 

周瑜は溜息を吐き、呆れるが駄目押しに注意する。

 

 

「駄目よ、雪蓮も祭殿も会うなんて怪しすぎて危ないわ。それに、今は孫呉宿願の為にも大事な時期なのよ?」

 

「冥琳のけちぃ~~!!」

 

「そうじゃ、そうじゃ!!」

 

 

眼鏡が光り、残酷なひと言が放たれる。

 

 

「お酒も休みも無くなってもいいの? 政務漬けになってもらわよ?

 それでいいなら、漢中に使者を立ててあげるわ」

 

「あっははは……わかってるわよ。会いにいったりしないわよ」

 

「酒は大事じゃからな、孫呉の為にも働かねばな」

 

 

黄蓋は部屋に戻り、孫策は周瑜と二人で酒を交わしながら話をしていた。

 

 

「天の御遣いかぁ……興味が湧くわね……もしかしたら、母様もそこにいるかもね」

 

「なに、それはまた勘なの?」

 

 

周瑜は孫策に問い返す。

 

 

「そうね。これは私の勘よ……外れた事ないの知ってるでしょ?」

 

「しかしな、不明のままで動くのは危険だ。まぁ、漢中に細作を放っておく」

 

 

呉の虎は、何処にと探す小覇王。呉にとっての転換期は近々に訪れる。

 

それは、独立を果たす序章にすぎない。

 

 

「袁術から黄巾党討伐の命も来ているから、忠臣を戻す事が先決ね。冥琳、頼んだわよ?」」

 

「ええ、すでに書状は送っている。黄巾党討伐時には間に合うさ……ふぅ、そろそろ私は部屋に戻るとするよ」

 

 

周瑜は話が終わると、政務室に戻っていった。

 

孫策は、誰もいない部屋でひとり呟く。

 

 

「楽しみね……戦場が待ち遠しいわ」

 

 

乱に乗じて事をなす。孫呉宿願である太平の世を導く為にも……小覇王は動き出す。

 

虎の娘という殻を破り、孫呉の王としての歩みを踏み出していく。

 

 

 

 

 

 

 

‐漢中‐

 

 

「ねぇねぇ~! ちぃー、お腹へったーー……そろそろ休憩しない?」

 

「お姉ちゃんも、点心食べながらお茶飲みたいなぁ~♪」

 

「駄目よっ!! 何の為に、漢中に来たと思ってるの? 太守様にお目通りする為でしょ?」

 

 

この旅芸人三姉妹は有名になりすぎたが故に、ファンが暴徒と化して黄巾党なるものになっていた。

しかも、その首謀者として挙げられ討伐の命が出ているらしい。

 

 

張梁が道中で知り合った商人によると、『天の御使いが、漢中の太守に任命された』と聞き、、

眉唾な噂だったが藁をも掴む気持ちで太守のお目通りに来たわけである。

 

 

天の御使いに保護を求める為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっちゃん。肉まん、いくつかつつんで~!」

 

「あいよっ!」

 

 

樹夜は散策をする為に、漢中の都を見て回っている。

 

 

「御遣いの兄ちゃん、おまたせっ」

 

「これ、お代なっ。そういや、何か困った事とか起きてへんか?」

 

「最近は、活気が良くなって売れ行きも調子がいいぜっ?

 そ、それよりもさ、張魯様を待たせちゃいけないぜ! ほら、いったいった!」

 

「へっ、おっちゃん? 何、言ってんのや? 俺はひとりで来たはず……!?」

 

 

後ろには、目が笑っていない雪華がいた。

 

 

「あらあら、樹夜さん。太守様が護衛もつけずに、買い食いをしているのですか?

 お姉ちゃんが、たっぷりお仕置きしてあげないとだめですね♪」

 

「ごっ、ごめんなさい! 雪華が忙しそうだったからさ、散策に誘えなかったんや」

 

 

雪華は顔を一転させて赤くし、樹夜と腕を組む。

 

 

「そ、そうでしたか!? それなら、しかたないですね。お姉ちゃんと回りたかったんですね。

 今から、一緒に散策をしましょう♪ 少しなら時間も取れますし♪」

 

 

機嫌をころりと変えて、満面の笑みである。

樹夜は不思議に思いつつも、一人より楽しいで嬉しかった。

 

 

「ほな、あそこの旅芸人さんでも見にいこか!」

 

「はいっ♪」

 

 

綺麗な歌声が聞こえてきて、澄んだ歌声が辺りを包んでいるのがわかる。

 

 

「綺麗な歌声やなぁ……どんな人が歌ってるんやろ?」

 

「心が温かくなる歌でしたね。気になるなら、傍に行ってみましょう?」

 

「そうやなっ」

 

 

樹夜達は旅芸人に挨拶をする為に、傍まで向かった。

 

 

「人和ちゃん、何か飲み物ない~? 喉からからだよ~」

 

「ちぃーも同じ~……」

 

「そうねー……困ったわね」

 

 

三姉妹は黄巾党から路銀を多く持って逃亡をしていたのだが、三人分の路銀ではないのだ。

信頼できる護衛の人にもついて来てもらった為に、漢中までで精一杯なのが現状だった。

困り果てて思考錯誤している張梁に声をかける人物がいた。

 

 

「あの~、先程の旅芸人の方達やでな?お困りの様やけど、どうしたんや?」

 

「もし、お困りでしたら力になりますよ?」

 

「えっ、あの、その……」

 

 

張梁は、戸惑っていた。目の前に、張魯様が居るからだ。

どうしようかとあたふたしていたら、張角が変わりに答えた。

 

 

「お兄さん、私達ね泊まる宿なくて困ってるの~。泊めてくれない?」

 

「んっ?そっかぁ……女の子に野宿させるなんてもってのほかやし……雪華、ええやろか?」

 

「そうね、お姉さんとしてもこの子達を放っておけないしね。いいでしょう。」

 

「ちぃー、嬉しい!! お兄さん、ありがと!!」

 

 

張角と張宝は嬉しさで樹夜に抱きついている。

 

 

「姉さん達……なにしてるのよ……」

 

 

張梁は唖然としていたが、今さら断るわけにもいかないので樹夜達についていく。

何故か、雪華は機嫌を悪くしていたが樹夜が気付く事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、朝餉の席にみんなが着いた時に張梁が樹夜に声かける。

 

 

「昨日は、どうもありがとうございます」

 

「気にせんでええよ~。太守として当たり前のことやからな~、困っている人助けるべしってね」

 

 

張梁は確信が持てたので、話を切り出す。

 

 

「貴方を天の御使いとお見受けして、お願いがあります。

 私達は世でいう、黄巾党の首謀者と挙げられた三姉妹です。

 無茶な願いですが、保護をしていただけませんか?」

 

 

朝餉の席が、緊張の空気で張り詰める。

孫堅が一言を発した。

 

 

「貴様、それは樹夜に被害が及ぶと分かっていての言か?」

 

 

だが、張角が席を立ち返事を変わりに答える。

 

 

「私は、姓は張、名は角と申します。真名は天和です。

 私達、三姉妹は旅芸人として絶大な人気を上げている事は自信を持って言えます。

 必ずや、この首に懸けても兵を集めてごらんに見せます。

 ですので、配下に加えて頂きたいと思う所存です」

 

 

虎は鋭い眼光で睨んでいたが、張角は強靭な意志を持って返した。

 

 

「あっははは、樹夜。この者は中々の胆力の持ち主ではないか。

 江東の虎である私に射すくめられても、びくともせず意見を述べたのだ。

 私は気にいったぞ? さて、どうするのだ?」

 

「はぁ~……睡蓮、びっくりさせんといてや……まぁ、返事は決まっとるけどな。

 張角・張宝・張梁・護衛の将軍の方達、漢中へようこそ。

 

 俺の名前は、姓は時雨 名は樹夜や。字と真名は無いんやけど、真名に当たるとしたら樹夜やな。

 だから、天和達も樹夜って呼んでな。

 

 それと、これからもよろしゅうな♪」

 

「「「よろしくお願いします」」」」

 

 

緊張した空気も途切れ、挨拶を済ませた後に各々は仕事へと向かっていく。

真名を預けあったりもし、打ち解けた樹夜達と三姉妹達はお茶を飲みながら雑談をしていた。

 

 

「ちぃー、あーいう堅苦しいのは苦手~……あんなの、本当に緊張しちゃったわよ……」

 

「地和姉さん、そんなの当たり前でしょ!!」

 

「お姉ちゃん、何年分の氣を使っちゃったよ~。樹夜、癒して♪」

 

 

地和はお茶は飲みながら愚痴ってたが、人和に注意されている。

天和は樹夜の膝枕にすりすりと甘えて寝ころんでいた。

 

 

「天和~、あんますりすりはやめてや~。

 皆の前やし恥ずかしいから、普通に膝枕だけやったらしたるさかいなっ?」

 

「はぁ~い♪」

 

 

それは、孫堅と張魯からの視線である。

まだ、張魯は太守の任命後の処理をしていて休息時間をとるにも取れなかったりする。

孫堅は忠臣を呼び寄せる為に書状を書いていたおり、こちらとて休む暇もない。

 

甘えている天和を見ていると嫉妬心に火がついてしまい、ついつい視線が刺々しくなっていく。

張姉妹の待遇は、黄巾党の乱が終えるまでは休養ということになった。

樹夜はそんな張姉妹の世話係になり、今の状況に至る。

 

 

「あらあら、気を使わないのでいいのですよ?夜にたっぷりとお勉強しますからね♪」

 

「そうじゃ、気にせずともよい……その分、夜に頑張って貰うがの♪」

 

 

張魯から太守としての仕事を学び、その後には孫堅の遊び相手という予定が詰まっている。

樹夜も二人への配慮を忘れないのが、天然たらしと呼ばれる所以でもある。

 

 

「あっははは、わかってるって。今夜は、二人とも一緒に可愛がってあげるから覚悟しときや?」

 

「「はぅ……///」」

 

 

張魯と孫堅は顔を赤くして俯き、吐息をもらす。

 

 

 

「それじゃ、二人とも。お仕事頑張ってや!!」

 

「「御意♪」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仕事も終わり日も傾き夕餉とりおえ、皆がそれぞれの部屋に戻っていく。

 

 

とある閨に向かう三人がいた。何が行われるかは、月のみぞ知る。

 

 

漢中の夜は、まだ終わらないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‐天水‐ 

 

 

「みんな……大丈夫かなぁ……へぅー……」

 

 

 

黄巾党の賊と闘う日々、それはか弱い主君には重たすぎる重荷だった。

篭城も長くは続かない……何とか、援軍の使者立てなければと……。

 

 

「誰かあるっ!! 張遼将軍に、漢中に向かって援軍の使者に出て貰ってちょうだい!!

 華雄将軍と呂布将軍には、部隊の指揮を継続と連絡を!!」

 

「御意!!」

 

 

賈駆は部下には必要な指示は出し、

少しでも長く篭城による耐え凌ぐ戦いを続ける為にも準備へと向かう。

 

 

「張将軍!! 賈駆様より、伝令です!!

 漢中へと向かい、援軍の使者として出立を!!とのことです!!」

 

「連絡、御苦労や!! んじゃま、神速の張遼の名にかけてひとっ走りいくでぇーー!!

 張遼隊!!己らの意地見せる時が来たで!!包囲網を突破し、漢中に向けて駆け抜けるんや!!

 ええか!!神速の名は、伊達やないってとこみせたれやぁーーーーーー!!!」

 

 

 

『『『応!!』』』

 

 

 

張遼率いる騎馬隊は、神の如き速度で馬を走らせ駆け抜ける。

黄巾党は酒宴をしていたせいか、隙を突かれての奇襲に轢き殺される者や蹴り飛ばされる者ばかり。

張遼隊の騎馬隊による奇襲によって黄巾党の士気が落ち、混乱に陥り浮足立つ。

なんなく包囲網を突破し、漢中に向けて更に速度上げる。

 

 

 

「くっそぉ!! なんなんだよ!! あの騎馬隊~、ムカつきやがるぜっ!! くだらねぇ事しやがって!!

 この張燕様が直々に指揮に来た意味ねぇじゃねぇか……邪魔な三姉妹がいなくなって、せいせいしてたのによ!!

 せっかく、黄巾党も支配化において兵力を上げたのにこの様かよ。さっきの騎馬隊は気になるが、もがいても無駄だ!!

 まぁ、この天水も時期に落ちるだろうよ。増援も合わせりゃ10万の兵力だ、ごり押しで決まるだろうさ。あっははは!!」

 

 

 

張燕は一人愚痴る様に叫ぶが、余裕の笑い声をあげる。

 

天罰が近づいてる事を知らずに……

 

 

 

「賈駆様より、伝令!! 華将軍、呂将軍、部隊の指揮を継続よろしくとのことです!!」

 

 

 

「皆の者、聞いたか!! 決してこの天水に獣などいれるな!! 戦わずとも、守る戦を知れ!!

 誇りを持ち、気高き思いはやがて力になる!! これは、大切な者を守る戦いだと心得えよ!!」

 

 

「……みんな、守る!!」

 

 

 

華雄隊は砦内で、外壁の補強や食糧の運搬や矢の補給などの後方援助をしている。

 

呂布隊は、攻め入る張燕軍を弓隊を編成し矢の雨を降らせ撃退している。

 

 

「お願い……間に合って……」

 

 

賈駆は祈る……援軍の到着を……

 

 

 

 

 

 

 

 

‐漢中‐

 

 

樹夜は何やら感じたのか、寝床より目覚める。

裏門で何やら、声がしてるようだ。

 

 

「董卓軍からの援軍の使者でここにきたんや!!はよぅーー、とおさんかい!!」

 

「できません!!皆様は、もぅ寝ておられます!!それに、確固たる証拠がありません!!」

 

 

門番と見知らぬ武将が言い合っている。

樹夜はどうしたのかと、兵士に聞いてみる事にした。

 

 

「兵士さん、どないしたんや? こんな夜更けに客人さんなんか?」

 

「はっ、太守様!! どうやら、董卓軍から援軍の使者だと申してるのですが……」

 

 

見知らぬ将軍は、兵士の言を遮って会話に入ってきた。

 

 

「あんた、太守なんか!? 天水まで、援軍をお願いしたいんや!! お願いや!!」

 

「おっ、おい太守様になんて口のきき方をっ!!」

 

「兵士さん、ええよ。でも、俺らも今すぐには動かれへんで?

 皆、寝とると思うし。それでも、ええんか?」

 

 

兵士は太守の視線を感じると、すぐさまに行動を起こし兵舎に戻っていく。

樹夜は相手の顔をみつめて、返事を待つ。

 

 

「そ、そんな……みつめといてや/// 援軍を出してくれるんなら、此処でまたせてもらうわ!!」

 

 

それは、出してくれるまでテコでも動かないという意思表示だと樹夜は思った。

 

 

「んー、貴女の名前はなんていうん? 俺の名前は、姓は時雨、名は樹夜、字と真名は無いんや。

 真名ってのに当たるのは、樹夜って名前やな」

 

「うちの名は、姓は張、名は遼、字は文遠、真名は、霞や! ちゃんと霞って呼んでや?にひひ♪」

 

「大切な名やのに教えてええかい!?」

 

「樹夜もやろ、お互い様や♪ それに、返事を聞く前から兵士動かしてくれるお人好しさんは好きやで」

 

「あっ、そっか。ばれてたんかい……さすがは、神速の張遼やな」

 

 

霞は体を背筋を凍らせる気分を感じた。冷徹で濃密な殺気だ。

 

 

「ふんっ、こやつか。私と樹夜の蜜月を邪魔した奴は、度胸だけは認めてやるぞ」

 

「やめなさい、大人げないわよ。子供相手に、本気になっちゃ駄目よ」

 

「何やとぉおおおお!!」

 

 

霞は子供扱いされた事に腹を立てて、偃月刀を袈裟斬りにふるう。

 

 

「そんな、子供騙し……あくびがでるぞ? それなら、まだ私の忠臣である軍師の周魴の方が上だな」

 

「そうね、逆上だけで武力を測れず刀を振るうなど愚の骨頂ね」

 

 

鉄爪が首筋にあり、太刀の切っ先が眼前に来ている。

 

 

「まぁ、そのくらいにしときや。俺も、怒るで?」

 

「あらら、樹夜さん。怒っちゃいやですよ? 傍にいなくて、寂しかったんですから……」

 

「そうだぞ、急にいなくなると心配になるではないか」

 

 

先程の兵士が戻ってきて、樹夜に報告する。

 

 

「只今、戻りました!! 諸葛謹様より、我が精兵達を3万までなら投入可能とのことです!!」

 

「流石は、愛里だな。ふむ、その様子だと……樹夜の為に戦場に出たくてうずうずしておるな」

 

「はいっ!!孫堅、部隊の先陣をとらせてくださいとの事です!!」

 

「樹夜、血の滾った愛里を止めるのは至難の業だ。ここは、連れてゆくしかあるまい」

 

 

樹夜は、目を瞑り考える。

答えは出たのか、指示を出していく。

 

 

「それじゃぁ、歩兵隊1万を愛里に仕切って貰って……騎馬隊1万を睡蓮に任せるで。

 雪華と周魴には俺の傍に居てもらうな、弓兵隊1万を呂岱に任せるわ。

 

 

 皆、用意はええか?」

 

 

『御意!!』

 

 

霞は、漢中の軍には舌を巻いた。先程の将軍の武にしろ、軍師の采配が早く、樹夜の機転の良さはずば抜けてる。

 

 

「ほな、またせたな。霞、天水に早いとこ向かおか!!」

 

「お、おう!! 案内するから任せとき、一番早い道程は熟知しとるからなっ!!」

 

 

樹夜達は、天水に向けて出立した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

 

 

北郷家と時雨家の過去。

 

 

 

 

 

そして、北郷一刀が持つ過去の思い出。

 

 

 

 

 

時雨 樹夜との小さき頃の約束。

 

 

 

 

 

乱世に呼ばれし樹夜の存在は光を呼び込むとカギとなる。

 

 

 

 

 

扉が開かれし時、……はやってくる。

 

 

 

 

 

 

幕間‐時雨家と北郷家‐『小さき約束』

 

 

 

 

 

 

私の思いは、貴方に届きますか?

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

色々、口調や文章が拙い所があるので面目ないです(´・ω・`)

 

一刀君だしちゃいました。オリ設定なっちゃいますがね……

 

やはり、外せないキーパーソン。うちの一刀君は(ry

 

皆さんは、もう想像はついたか思いますがその辺りの話を書きたいと思います。

 

では、次回にて♪


 
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