No.148227

真・恋姫†無双 あなたと共に 8

highstaさん

今回は前回の反省を活かし、早めの投稿!

張3姉妹再会編です。彼女たちだけ別行動だったので、意外に長くなっちゃいました。

次回こそ蜀と呉を絡めて、帰還編を終わらしたいと思います。

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2010-06-05 20:37:42 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:23348   閲覧ユーザー数:14718

 

民が泣いている・・・・・・

 

 

 

 

民が笑っている・・・・・・

 

 

 

 

たった1人の男の・・・・・・

 

 

 

 

帰還を・・・心の底から喜び・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男は泣く・・・・・・

 

 

 

 

男は笑う・・・・・・

 

 

 

 

自分が”ここ”に・・・・・・

 

 

 

 

存在していることを喜び・・・・・・

 

 

 

 

 

~一刀~

 

 

「「「「北郷様ぁ~!!!!」」」」

 

「「「「隊長さぁ~ん!!!!」」」」

 

 

 

「「「「「「「「おかえりなさぁ~~い!!!!!!」」」」」」」」

 

 

 

ッ!!

 

「・・・くぅ・・・うぅぁ・・・・あぁ・・・・」

 

民のまっすぐな想いを受け・・・涙が流れる・・・

 

自分が帰ってこれたことを改めて実感して・・・

 

自分の”居場所”を・・・また与えてもらえて・・・

 

「・・・・・・一刀」

 

横で黙っていた華琳が話し掛けてきた

 

「・・・・・・民にも・・・言うことがあるでしょ?・・・」

 

ッ!!

 

そうだ・・・

 

泣いてばかりじゃ・・・ダメだ

 

言わないと・・・

 

俺のことを待っていてくれた人たちに・・・

 

俺のことを温かく迎えてくれた人たちに・・・

 

「・・・あぁ・・・そう・・だな」

 

涙を拭って、華琳に答える

 

華琳も微笑で答えてくれる・・・

 

 

 

 

「みんなーーーー!!!!」

 

声を張り上げる・・・

 

この場にいる全員に・・・言葉が届くように・・・

 

民も黙ってこちらを見据えてくる・・・

 

「すぅ~~」

 

大きく息を吸う・・・

 

そして・・・

 

伝える・・・

 

「3年前・・・勝手に消えて・・・ごめんッ!!!!」

 

頭を下げ・・・まずは深い謝罪を・・・

 

「「「「!?ほ、ほほほ北郷様ッ!?」」」」

 

民の動揺が・・・下げた頭ごしに伝わってくる

 

・・・おそらくこうなることは分かっていた・・・

 

それでも・・・言わないといけなかった・・・

 

(でも・・・これだけじゃない!)

 

頭を上げ・・・続ける

 

「それと!!!!」

 

民たちが再び黙る・・・

 

目を閉じて、また息を吸う

 

「俺のこと・・・また迎え入れてくれて・・・本当にッ!!ありがとうーーー!!!!」

 

・・・そして言う・・・3年越しの・・・万感の想いを込めて・・・

 

 

------「みんな・・・ただいま!!!!」------

 

 

そう言って・・・今できる最大限の笑顔を向ける・・・

 

「「「「ッ!?」」」」

 

------民たちが・・・3年間求めていた笑顔が・・・

 

 

------そこにあった------

 

一瞬の静寂・・・・・・そして・・・

 

「「「「「「「「わああぁぁあぁああああああ!!!!!!!!」」」」」」」」

 

一気にあがる歓喜の声

 

その様子を見て・・・また嬉しくなる

 

(はは・・やっぱりここは・・・最高だッ!!!!)

 

嬉しくなって大きく手を振る

 

「「「「「「「「わああぁぁああぁぁああああ!!!!!!!!」」」」」」」」

 

民たちもさらに盛り上がる・・・

 

 

 

と・・・その時・・・

 

 

 

「「「一刀(さん)ッ!!!!」」」

 

 

 

人ごみを掻き分けて見慣れた3つの姿が現れる・・・

 

 

 

(ッ!?あの娘たちはッ!?)

 

 

 

3年前と同じ衣装を着た姿なのに・・・

 

 

 

3年前より輝く姿を見て・・・

 

 

 

嬉しくなり・・・真名を呼ぶ・・・

 

 

 

 

「天和ッ!地和ッ!人和ッ!」

~一刀帰還少し前~

 

「はぁ~疲れたよぉ~」

 

「もうダメ~今日はもう動かない」

 

平和記念祭での”らいぶ”が終わり、張3姉妹は町の中心からはずれた場所にある事務所に帰って来ていた

 

「姉さんたち・・・せめて衣装ぐらい脱いで。しわになるから・・・」

 

事務所に置いてある寝台に飛び込む姉たちを注意しながら、人和は3人分のお茶を入れる

 

「えぇ~面倒くさいよぉ~。人和ちゃん、脱がせて~」

 

「あっ、じゃあちぃもおねが~い」

 

だらしない姉たちの姿にため息を吐きつつ、姉2人にお茶をわたす

 

「ありがとぉ~人和ちゃん♪」

 

「ありがと♪」

 

自分の分も入れ終え、人和もイスに腰掛け、姉2人も体を起こし、お茶を飲み始めた

 

 

「・・・そろそろ厳しいかも・・・」

 

人和がつぶやく・・・

 

「厳しいって・・・何が?」

 

不思議そうに返すのは地和・・・

 

「・・・最近忙しくて・・・華琳様に出す書類とかが滞ってて・・・」

 

悔しそうにつぶやく・・・

 

「・・・さすがに・・・誰かつけて貰わないと・・・」

 

「「ッ!?」」

 

姉たちも驚きの顔を見せる・・・

 

「い、いやだもん!一刀以外にそんな人いらないもん!」

 

真っ先に反論したのは長女の天和・・・

 

 

「そ、そうよッ!ちぃも絶対嫌だからね!」

 

地和もそれに続く・・・

 

「でもッ!!」

 

人和が珍しく声を張り上げる

 

「これ以上は・・・らいぶにも影響がでちゃう・・・」

 

そう言って・・・人和も俯く・・・

 

 

最近の張3姉妹は忙しさを極めていた・・・

 

3国の主要都市でのらいぶはもちろんのこと、最近では大きな町からはずれた小さな邑など、普段らいぶを見れない人たちのためにも”つあー”を開催しており、魏に帰って来たのも本当に久しぶりのことだった・・・

 

もちろん祭りが終われば、この先も予定は詰まっている。だから、報告書などを書いている暇はなく、とても3人(実質1人)では処理しきれないのだ・・・

 

 

「・・・それでも・・・・・・やだもん・・・」

 

天和は言う・・・

 

「・・・・・・」

 

地和は黙り込む・・・

 

「・・・・・・」

 

人和も俯いたまま顔をあげない・・・

 

 

 

重い空気が部屋の中をただよう・・・・・・

 

 

 

と、その時・・・・・・

 

ドンッドンッドンッ!

 

「天和様ッ!地和様ッ!人和様ッ!いらっしゃますかッ!」

 

兵がドアを叩く音が響き渡った・・・

 

「「「ッ!?」」」

 

ビクッ!と3人とも体を震わせ驚く

 

「びっくりしたぁ~」

 

「何なのよ、いったい!!」

 

「・・・・・・少し待っててください」

 

そう言って、人和はドアに向かう・・・

 

ガチャ

 

扉を開けると息を切らした兵士が1人立っていた

 

「・・・何かあったんですか?」

 

目を細め、不機嫌そうな表情で兵を見る

 

「急に申し訳ありません!!緊急の要件がございまして・・・」

 

「・・・緊急?」

 

「「・・・・・・?」」

 

兵の発した言葉に人和だけではなく、後ろの2人も反応して兵を見る

 

そんな3人をよそに・・・兵は息を整え・・・誇らしげに伝える・・・

 

 

 

 

------「北郷一刀様ッ、洛陽へご帰還ッ!!!!」------

 

 

 

 

「「「・・・・・・・・・えっ?」」」

 

3人は驚きを隠せない・・・

 

------今、懐かしい名が聞こえた・・・

 

------その人がどうしたって・・・

 

------帰ってきた・・・どこに?・・・

 

 

------ここ洛陽に・・・

 

「「「ッ!?」」」

 

頭の中で理解したと同時に3人は駆け出した・・・

 

らいぶでの疲れが嘘のように・・・

 

先ほどまでの重苦しい空気が嘘のように・・・

 

ただ走る

 

 

------全ては愛しい人に・・・・・・北郷一刀に会うために・・・------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城門に近づくにつれ、歓声が聞こえてくる

 

「「「(間違いない!彼はいる!)」」」

 

町の中のどの店も、もぬけの殻だ・・・

 

こんな騒ぎ・・・最近では考えられない・・・

 

考えられる可能性はただ1つ・・・

 

 

「「「(一刀(さん)ッ)」」」

 

 

城門への最後の角を曲がる・・・

 

 

そこには・・・・・・

 

 

 

「俺のこと・・・また迎え入れてくれて・・・本当にッ!!ありがとうーーー!!!!」

 

 

 

「「「ッ!?」」」

 

 

会いたかった人が・・・

 

 

「みんな・・・ただいま!!!!」

 

 

誰よりも好きな人が・・・

 

3年間・・・最も見たかった笑顔を向けていた・・・

 

 

3人は懐かしい顔を見て・・・声を聞いて・・・顔を涙で歪せ・・・気がつけば思わず叫んでいた・・・

 

が・・・

 

「「「かず・・(わああぁぁあぁああああああ!!!!!!!!!!)・・ッ!?」」」

 

一刀に届くように叫んだ言葉は、民の歓声によって阻まれてしまった・・・

 

「う~早く会いたいのに~」

 

「もう、さっきから何なのよッ!!!!」

 

「ッ!!」

 

3人は少しでも一刀に近づこうとするが人ごみが邪魔で前に進めないでいた

 

 

------その時である

 

「「「「天和ちゃ~ん、地和ちゃ~ん、人和ちゃ~ん」」」」

 

「ッ!?」

 

自分たちを呼ぶ声が聞こえたので辺りを見渡すと・・・

 

「「「「こっち、こっち」」」」

 

「「「あっ!!」」」

 

“ふぁんくらぶ”の会員たちが人ごみを抑えながら、わずかな隙間をつくりあげていた

 

「ここから早く行って!!3人とも!!」

 

「えっ・・・で、でも・・・」

 

「「「「いいから!早く!」」」」

 

「「「ッ!!」」」

 

会員たちの声に背中を押され、3人は隙間に体を乗り出す

 

「「「「うおぉぉぉおおお!!!!」」」」

 

3人のために会員たちはさらにふんばる

 

 

 

会員たちは気づいていた・・・

 

彼女たちの・・・3年前とそれからの表情の違いに・・・

 

原因に・・・

 

 

初めは自分たちだけで彼女たちを盛り上げようと思った・・・

 

でも・・・無理だった・・・

 

取り戻すことなど・・・できなかった・・・

 

 

しかし、今・・・・・・

 

 

笑顔を取り戻す機会が巡ってきた

 

会員たちの想いは一つ・・・

 

------「「「「「「(ここで頑張れなきゃ”ふぁん”以前に・・”男”じゃねぇ!!)」」」」」」------

 

 

 

 

会員たちの頑張りを目にしながら3人は進む・・・

 

------ありがとう------

 

と言って・・・

 

 

 

 

一刀が手を振るのが見える

 

あと少しで抜ける・・・

 

 

あと3歩・・・・・・

 

 

・・・・・・

 

 

あと1歩・・・・・・

 

 

・・・・・・そして・・・・・・

 

 

抜けた

 

 

 

 

大きく息を吸う・・・

 

 

今度こそ・・・

 

 

今度こそ・・・一刀に届くように・・・名を・・・呼ぶ

 

 

 

「「「一刀(さん)ッ!!!!」」」

~一刀~

 

「天和ッ!地和ッ!人和ッ!」

 

涙で顔を歪ませた3人の女の子が飛び込んでくる

 

「「「一刀(さん)ッ!!!!」」」

 

ボフッ!

 

「ッ・・・と・・・」

 

そして・・・しっかりと受け止めた・・・

 

「うわぁ~ん、かずとぉ~」

 

「ばかずとッ!ばかずとッ!ばかずとッ!」

 

「かず・・・と・・・さん・・うぅ」

 

「天和・・・地和・・・人和」

 

抱きしめて頭を撫でようとしたが、一応華琳の様子を伺うことにしたのだが・・・

 

“好きになさい”と、くいっ、と首で促された・・・

 

華琳に笑顔で頷き・・・3人の頭を順番に撫でる・・・

 

「3人とも・・・ごめんな」

 

「うぅ~かずと~」

 

「ほんとよッ!ばかずとッ!まねーじゃーのくせにッ!・・・うぅ」

 

「・・・かずとさん・・・」

 

3人の言葉を受け止める・・・

 

それが今出来る・・・謝罪の気持ちだから・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天和、地和、人和」

 

ゆっくりと頭を撫でながら・・・話し掛ける・・・

 

「華琳に聞いたよ?・・・大陸制覇、実現したんだって?」

 

「「「・・・・・・(コクっ)」」」

 

3人は黙って頷く・・・

 

「・・・悔しいなぁ・・・俺も・・・その場にいたかったなぁ・・・」

 

目を閉じて唇を噛み締め・・・悔しさをあらわにする・・・

 

「・・・でも・・・まずは・・・」

 

目を開け、3人の顔をしっかりと見据えて・・・伝える

 

 

------おめでとう・・・それと・・・よく頑張ったね・・・------

 

 

「「「ッ!?」」」

 

 

3人が一番聞きたかった言葉・・・

 

 

誰に言われるよりも・・・

 

 

嬉しくなる”魔法”の言葉・・・

 

 

「「「うわぁあぁあぁあああん」」」

 

 

悲しみの涙ではなく・・・・・・嬉しいからこその涙を流す・・・・・・

 

 

 

 

人ごみの中から、”ほわぁぁあぁああああああ”と声が聞こえる・・・・・・

 

 

精一杯の喜びを表すために・・・

 

 

精一杯の祝福を送るために・・・

 

大陸の歌姫たちは泣く・・・・・・

 

 

 

大陸の歌姫たちは笑う・・・・・・

 

 

 

たった1人の男が・・・・・・

 

 

 

誰よりも愛しい人が・・・・・・

 

 

 

帰ってきてくれたことを・・・・・・

 

 

 

ここに存在していることを喜び・・・・・・

 

 

 


 
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