『或る仕組まれた、四人の子供の最後の話』
Ion
七番目の少年は、生かされていた。
息をしているけど生きをしていない少年だった。
世界の全てを知っている筈なのに、生きたいと願っていることすら知らず、
怯えていた紛い物の子供(にんぎょう)。
彼は唯一じゃなかった。唯一だと偽られ、生まれた。定められたことをこなすだけの、機械として。
彼を求めている人は多かった。けど、彼を必要としている人はいなかった。
彼を気遣ってくれたのは、哀れな監視役だけだった。少し前までは。
本当に、本当に最後の瞬間。彼は笑った。自分を唯一だと言ってくれえる人がいたから。
自分を必要としている人がいる事が判ったから。だから、最後は精一杯の慈愛に満ちた笑顔だったのだと思う。
紛い物だった命。それでも最後に自分の気持ちに気付き、大切な人を守った彼は、幸せだったのだろうか。
Tweet |
|
|
1
|
0
|
追加するフォルダを選択
前回の続き
今回はイオンの事について。
日記使用