No.143954

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第十四話

アボリアさん

董卓IF√第十四話です
このお話で対董卓連合戦は幕を閉じます
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら連絡いただけるとありがたいです
追記 次回は幕間の予定ですがまだ書きあがっていないのでもしかしたら連日投稿が途切れるかも知れませんのであしからず

2010-05-18 20:36:17 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:19300   閲覧ユーザー数:14050

翠達率いる涼州の兵の活躍もあり連合軍との戦に勝ちを確信していた俺達の許に信じられない報が届いた

 

「で、伝令!!都にて司徒の王允が謀反!!」

 

「な、なんだって!!どういうことだ!!」

 

俺は伝令兵の肩に掴み掛かりつつ聞く

 

「おい、落ち着け一刀!」

 

「そや!そんな事しとる場合やあらへんやろ!…それで、月たちは無事なんか!?」

 

華雄と霞が俺を伝令から引き離しながら聞く…俺に落ち着けと言っているが、二人や恋、ねねも焦った顔をしていた

 

「はっ!!兵の不穏を察知した張繍殿が兵を動かし、月様達を襲おうとしていた刺客は捕らえたのですがその後、暗殺に失敗した王允が反旗を翻し挙兵!!都の守備についていた一万五千の兵の内、一万の兵が奴に従っております!!その兵は皆、元々洛陽の兵だったものたちばかりであり、恐らく王允含め皆張譲の息がかかった兵であると思われます!!」

 

「くそ!!張譲の奴、自分とこの部下全部つれってった思たらこっちにも部下残しとったんかい!!」

 

そういって憤る霞

 

「それで、今はどうなってるんだ?」

 

「洛陽の民は皆、避難をした後でしたので其方は損害がありませんでした…ですが宮中を反乱兵に囲まれ、今は賈詡殿が残った五千の兵で凌いでいる所です。賈詡様は虎牢関の防衛も考え伝令を送りませんでしたが長くは持たないと思われます。自分はどうにかこの事を伝えるため決死の思いで包囲を抜けてきたのですが…」

 

見ると伝令兵は本当に決死の覚悟だったのだろう、体中に傷を負って満身創痍の体だった

 

「くっ…それなら今すぐにでも…」

 

そういって北郷隊を呼ぼうとした俺だったが霞に止められる

 

「ちょいまちぃ!!ここで兵を退いたら連合軍に攻め込まれる!!そしたら反乱兵と連合軍の両方に挟まれてウチ等終いやで!!」

 

「だからって月達に何かあったらどうするんだ!!」

 

「せやから落ち着けゆうとるやろ!!」

霞に一喝される

 

「…御免、俺がここで取り乱しても仕方ないよな…」

 

深呼吸をして無理やりに自分を落ち着かせる

 

「そうだ、今は焦っている時間も惜しい。一刻も早く董卓様をお助けせねば」

 

「そうなのです!…ですけど向こうにも月達を助ける将と反乱兵に対する将の二人がいるのです。そうなると虎牢関は防衛どころか月達を助けるまで持たせるので精一杯になるでしょうし、それでも最低ねねとあと二人は将がいないとどうにもなりませんぞ」

 

「なら俺が…」

 

ねねの案にたいして俺がそういうと、霞が首を振って答える

 

「月達を助ける役は敵ん中突っ込んでかんといかんからウチ等みたいな武官でないといかんし、こっちから洛陽に向かわせる兵も五千ほどやから一刀一人じゃ倍の兵を相手にするんはキツイやろ…かといって関の防衛は奴等死に物狂いでくるやろからそれこそ無理や…ほんまどないしよか…」

 

「くそっ、俺がもっと強けりゃ…」

 

そういって俺たちが悩んでいると思わぬ所から声がかかる

 

「…なら、私に手伝わせてくれないか。連合とは戦えないが、洛陽を囲んでる兵を相手にするぐらいならできる」

なんとそういってきたのは伯珪さんだった

 

「…確かにあんたに手伝ってもらえりゃ何とかなるかもしれん。でもあんた連合の将や、ウチ等を手助けする理由なんてないやろ?それにあんたが裏切らんとも限らんしな」

 

霞が疑いの眼差しで伯珪さんを見つめる

 

「…董卓は悪い奴じゃないってお前等を見ていれば分かるさ。なら麗羽の言い分は間違っているって事だし、そういうことなら連合に参加する理由もない」

 

それに、と伯珪さんはつづける

 

「あんなんでも麗羽は真名を許し合った旧知の仲なんだ。あいつが迷惑かけた分、私に償わせてくれ…裏切らないかどうかは信じてもらうしかない、頼む!」

 

そういって頭を下げる伯珪さん…その顔は真剣そのものだった

 

「それなら、こちらこそ頼みます。月たちを助ける手伝いをしてください!!」

 

伯珪さんの言葉に嘘はないと思った俺は逆に頼み込む

 

「…一刀がそういうんならうち等も信じる。頼む、公孫瓚」

 

「そ、そんな!頭なんか下げんなよ!!こっちが手伝いたいって言ってるんだから!!」

 

俺達に一斉に頭をさげられて狼狽する伯珪さん

 

「ありがとう、伯珪さん…よし!じゃあ俺と恋と伯珪さんで洛陽に向かう!伯珪さんには俺の隊と恋の隊から騎兵五千を率いてもらう。霞と華雄は残りの兵二万五千で虎牢関を守ってくれ!それで月たちを救出次第、長安へ退くぞ!」

 

「わかった。それまでは必ず虎牢関を持たせてみせる」

 

「せやな、一刀たちもしくじらんようにな」

 

「恋殿、頼みますぞ!」

 

華雄と霞とねねが頼もしく頷いてくれる

 

「一刀、早く向かう」

 

「ああ、行こう恋!伯珪さんも頼んだ!」

 

「ああ、任しておけって」

 

そうして俺達は五千の兵を率いて洛陽へと急いだ…

「月、平気!?もう少しだから頑張って!!」

 

「う、うん。大丈夫だよ、詠ちゃん」

 

詠たちは今、宮中に篭って反乱軍と戦っていた

最初こそ詠の指揮による戦略で守っていたが、日にちがたつにつれ、数で負けている董卓軍は押され始め、ついさっきとうとう宮中に侵入を許してしまった

敵は建物の中を熟知している為宮中に攻め込まれた今防衛線が破られるのも時間の問題だったが詠は月を励まし続ける

 

「大丈夫、今に一刀たちが連合を下してこっちに帰ってくるから…!」

 

自分でもありえないと思っているがそういって月を励ます詠

 

「董卓様!賈詡様!敵がこちらに向かっております!お逃げくださ…がは!!」

 

伝令に入ってきた兵がやられる

 

「いたぞ!董卓だ!!」

 

「うっ、ゆ、月には手を出させないんだから!!」

 

詠が月の前に出て庇う

 

「え、詠ちゃん!!やめて!!」

 

敵兵が迫ってくる…その時

 

「お前等!!月たちをいじめるな!!!」

 

「うわぁー!!」

「ぎゃっ!」

 

赤い影が敵を一閃、こちらに向かっていた兵は吹き飛ばされていた

 

「月!詠!無事か!!」

 

「な、何であんたたち…」

 

見るとそこには…恋と一刀の影があった

洛陽に着いた俺達は伯珪さん率いる騎馬隊が道を作ってくれているうちに宮中へと入り月と詠を探していた

そんな時、月達の叫び声が聞こえ、向かってみると敵に襲われる寸前だった

 

「お前等!!月たちをいじめるな!!!」

 

恋が敵を吹き飛ばし、事なきを得た月達に話しかける

 

「月!詠!無事か!!」

 

「な、何であんたたち…」

 

詠が呆けた顔で聞いてくる

 

「なんでって…助けに来たに決まってるだろう?」

 

「そうじゃない!!あんたたちがここに着たら虎牢関はどうするの!?せっかく諸侯を追い詰めたっていうのにここまで攻め込まれたら…」

 

まあまあ、と詠を落ち着かせて言う

 

「あっちは華雄と霞、ねねが持たせてくれているよ…でも、長くは持たないだろうから早くこっちを片付けて…」

 

「ちょ、ちょっと待って!!」

 

詠が俺の話を遮って言う

 

「あいつらが虎牢関にいてあんたと恋がここに来てて…外の兵はどうしたって言うのよ!!」

 

「そっちは話すと長くなるんだけど…連合軍の伯珪さんが抑えててくれてるんだ」

 

「連合軍の伯珪って…公孫瓚!?何でそんな奴が…!!」

 

「一刀、早く月と詠をつれて外に合流する」

 

いい加減焦れたのか恋が俺たちを急かす

 

「その話は後で…行くぞ二人とも!!」

 

「あ、はい!!」

 

「…わかったわ。…っと!!」

 

立ち上がる月と詠だが、詠は腰を抜かしたのかまた座り込んでしまう

 

「なんだ?安心して腰を抜かしたのか?まあ頑張ったもんな…よっと」

 

詠をおぶって立ち上がる

 

「ちょっと!!降ろしなさいよ!!」

 

詠は背負われるのが恥ずかしいのか背中で暴れる

 

「おい、暴れるなって」

 

「詠ちゃん、歩けないんだから無理しないの…でも、いいなあ一刀さんにおぶってもらって」

 

月はそういうが、恥ずかしいのが我慢できないのか一刀の背で暴れ続ける詠だった

その後俺達は伯珪さんに合流、恋の活躍もあって反乱軍を鎮圧するのだった…

 

 

 

 

 

「…というわけで伯珪さんに手伝ってもらえたお陰でなんとかなったんだよ」

 

俺は詠と月に事情を伝える

 

「そうだったんですか…どうもありがとうございました」

 

月が頭を下げる

 

「いいって!こっちは元々は敵なんだぞ!礼を言われる筋合いはないって」

 

礼を言われて恥ずかしいのか顔を真っ赤にして反論する伯珪さん

 

「いえ、元はどうであれ月の危ない所を助けてくれたんですもの。僕からも礼を言うわ、ありがとう」

 

「だから良いって!!…ほんと変な奴等だなあ」

 

いい加減反論するのも疲れたのか伯珪さんはやれやれと首をすくめる

 

「それで一刀、虎牢関のほうは余りもちそうにないのね」

 

「…ああ。俺と恋、それに五千人の兵と騎馬を連れてきちゃったからね…あまり持たないと思う」

 

「そう…伝令!!虎牢関に撤退の指示を出して頂戴!!それと糧食を撤退に必要な分以外はそのまま置いてくるように伝えなさい!!あと別経路で馬超たちにも撤退を伝えなさい!!」

 

詠の指示に気になる事があって聞いてみる

 

「なんで糧食を置いて来るんだ?」

 

「相手は兵糧攻めにあってるからね、それを置いていけばそっちに気をとられて撤退が楽になるはずよ…さあ、私たちも長安へ向かうわよ!!」

 

そういって動き始めた俺たちに伯珪さんが告げる

 

「そっか…じゃあ私はここで待って連合の連中に合流することにするよ」

 

「伯珪さん、本当にありがとう」

 

「だから気にすんなって…それと私は白蓮だ。お前たちなら真名を預けてもよさそうだしな」

 

「私は月です。本当にありがとうございました」

 

「僕は詠よ。連合の連中ははむかつくけどあんたならいいわ」

 

「俺は北郷一刀…真名がないから返せるものがないけど、俺の世界では一刀が真名みたいなもんだ。じゃあな、白蓮」

 

「おう、またあえると良いな。月、詠、一刀」

 

そういって白蓮と別れた俺達は長安へと向かうのだった…

「麗羽姉さまが糧食に気をとられているうちに敵が逃げてしまったのぢゃ!」

 

「何を言ってますの!美羽さんの所こそ兵がなかなか動かなかったじゃありませんの!!」

 

虎牢関での戦いの最中、敵の旗が減ったため全軍をもって攻撃していたのだが、数日たったある日、敵は兵糧ごと関を放棄、そのまま撤退していってしまった

劉備や孫策は急ぎ追撃する事を主張したのだが袁紹、袁術が残っていた兵糧に手を出していたため追撃が遅れていたのだった

 

「そろそろ洛陽が見えてくるころですけれど…あら?あれは白蓮さんではありませんの?」

 

連合軍の向かう先に一騎の馬が見え、その上には白蓮が乗っていた

 

「白蓮さん、こんな所でどうしたんですの?董卓さんの軍勢は?」

 

「月…董卓たちならもう長安にむかっていっちまったさ」

 

白蓮が頭を振る…その返答に怒ったのは袁紹だった

 

「な、なんですって!?白蓮さん、あなただまって見逃したっていうんですの!?」

 

「お前の方こそどうなってんだ!!私は董卓にも会ったし洛陽の都も見たが暴政なんて一切なかったぞ!!天子の件だって疑わしいもんだ!!」

 

白蓮の剣幕にたじろぐ袁紹

 

「そ、そんなことは…」

 

言い返そうとする袁紹だったがその時、別の場所から声が上がった

 

「華琳さま!!連れて参りました!!」

 

曹操を呼ぶその大声に何事かと振り向く袁紹…と今度こそ驚愕する

 

「ちょ、張譲さん!?華琳さん、なぜ貴女の部下がこの方を縛っていますの!?この方がどなたか分かっていまして!?」

 

そんな袁紹の声を無視して荀彧からの報告を受ける曹操

 

「そう、わかったわ。ご苦労様、桂花。…麗羽?貴女こそこいつがどんな奴か知っているの?」

 

「その方は大宦官張譲様ですわ!!その無礼な縄を解きなさい!!」

 

怒る袁紹を軽く流しつつ張譲に近寄る曹操

 

「さて…張譲?貴方が私の部下に語ったことをここで喋って貰おうかしら?」

 

張譲の頸にどこから取り出したのか、大鎌を当てながら問う曹操

 

「しゃ、しゃべる。だから命だけは…」

 

「考えないでもないわ。…早くなさい」

 

そういわれた張譲は今までの事を洗いざらいしゃべった

天子殺害の真相…、董卓の暴政の噂が嘘である事…、自分が返り咲くために新帝を擁立、その援護を袁紹を大将軍に据える事と引き換えに頼んでいた事まで話したころには諸侯の顔色は一変していた

中でも袁紹は顔を真っ青にしていた…そんな状態で自己弁護をはじめる

 

「わ、私は何も知りませんでしたわ!!ただ、大将軍の座をくれるといって騙されただけで私も被害者ですわ!!」

 

そういって喚く袁紹を侮蔑の眼差しで見ながら曹操は言う

 

「無知は罪なり…こんなこといってもあなたには分からないかしらね。…もういいわ、張譲。その汚らしい口を閉じてあげる」

 

「そんな!!約束が…」

 

そういいかけた張譲に鎌が振り下ろされ張譲は物言わぬ屍となる

 

「約束?おまえのような汚らわしいものとの約束をこの曹猛徳が守るとでも思ったのかしら…ハッ!お笑い種ね!!」

 

そういって曹操は続ける

 

「さて、この連合にも意味がなくなったわね…私は帰らせてもらうわ」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい華琳さん!!」

 

そういって曹操を引きとめようとする袁紹だが曹操はそんな袁紹に向かって言う

 

「天子の血は途絶え、謀をはりめぐらし権力を牛耳った宦官が消え、太師まで上り詰め一番の有力諸侯だった董卓が退いた…これからの大陸は権力の効かない群雄割拠の時代になるでしょう。そうなったらいつか貴女には私をこんなつまらない茶番に付き合わせた罪を償ってもらう事にするわ。首を洗って待っていなさい袁紹!…いくわよ、春蘭、秋蘭、桂花!!」

 

「「「はっ!!」」」

 

そういって曹操は帰っていってしまう

 

「袁紹さん」

 

「りゅ、劉備さん!!貴女は…」

 

何か言おうとする袁紹を遮って劉備は言う

 

「董卓さんについて詳しく調べなかった私たちにも責があります。でも私たちは董卓さんが暴政を敷いていると聞いてこの連合に参加したんです。それがないと分かった今、私たちは帰らせてもらいます…いこう愛紗ちゃん、鈴々ちゃん」

 

「はっ!!」「おうなのだ!!」

 

「…わたしも幽州へ帰らせてもらう。じゃあな」

 

劉備、公孫瓚も帰っていく

 

「み、美羽さん!!」

 

「わ、わらわは麗羽姉さまにいわれて手伝ってただけぢゃからな!い、いくぞ七乃!!」

 

「はい!とっとと逃げちゃいましょう!!」

 

そういって走って消えていってしまう袁術たち

 

「そ、孫策さんは…」

 

そういって振り向く袁紹だったが

 

「あ~あ、結局何にも無かったじゃない。無駄に死にかけるし、やっぱ嫌な予感が的中したわねー」

 

「まあ、そういうな。袁術の軍に大打撃が与えられただけでも僥倖としよう」

 

その孫策たちにいたっては話も聞かずに帰り始めていた…

 

「も、も、もぉーーー!なんだっていうんですのーーー!!!」

 

ぽつんと一軍だけ残された袁紹の叫びに答えるものはなにもなかった…

 

 

 

 

 

 

こうして、大陸の諸侯たちを巻き込んだ董卓軍対反董卓連合の戦いは幕を閉じるのだった…


 
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