No.143063

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第十話

アボリアさん

董卓軍IF√第十話です
気付いたら書き始めて十話、話の数では十二話になっていました
これも応援してくださる皆様のお陰でございます
本作も楽しんでいただけたら幸いです
誤字脱字、おかしな表現等ありましたらご報告ください

2010-05-14 20:59:45 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:18945   閲覧ユーザー数:13931

反董卓連合

 

「皆さん、この度は私の呼びかけに応じてくれたことをありがたく思いますわ」

 

そういって天幕に集まる諸侯を見る袁紹

自分の縁戚でもある袁術を筆頭に、その客将である孫策、陳留の曹操、幽州の公孫瓚、平原の劉備…

 

「あら?涼州の馬騰さんはどうしたのかしら?…斗詩さん、あなた確か文を送ったと言ってましたわよね?」

 

袁紹が顔良を睨む

 

「それが、馬騰さんは異民族の対処があるため不参加と文が帰ってきています」

 

「あら、そうでしたの。まあ元々、あんな粗野な方々は我ら諸侯連合には似つかわしくありませんしね」

 

それに、と袁紹は続ける

 

「ここにいる皆さんだけでも董卓さんをやっつけるにはじゅうぶんですわ!!おーっほっほっほ!!」

 

…まわりの諸侯がいい加減辟易してきたことにも気づかず袁紹は一人、高笑いを続けるのだった…

 

 

 

 

 

 

「ひゃ~壮観やなぁ」

 

霞が敵の大軍を見ながら言う

俺たちは今、洛陽防衛のため汜水関にいるところだ

そこから見えるのは劉、曹、孫の三国志の英傑の牙門旗に、袁、公孫などの有力諸侯達の旗、そして地面を埋め尽くさんばかりの兵の姿だった

 

「いやぁしっかし敵がぎょーさんおるなぁ」

 

「ふんっあのような奴等は所詮、烏合の衆。我々の敵ではないわ」

 

華雄が答える

 

「おいおい華雄。まさかいきなり突っ込むなんていうなよ?俺達の役目は防戦なんだから」

 

俺は心配になって一応突っ込んでおいた…言っておかないと本当に突っ込みそうだからな

 

「まあ、相手は遠征軍なんだから防戦に徹すればこちらにも勝ち目はある。ここを守るのは神速の張遼と猛将華雄だからな」

 

「あと、天の御使いの一刀もな」

 

霞がからかうように言う…少帝たちの崩御にともない、俺も身分を明かすことにしたのだ

まあ、そんなこといっても何の取り柄もないただの一般人なのは変わらないが士気を上げる一環としての策である

 

「それはもういいって…それにしても相手は布陣するだけしてなかなか攻めてこないな」

 

「う~ん、まあ幾ら兵で勝ってるちゅうても城攻めやからな。搦め手で来るかも知れんし気いつけな…お、なんや出てきおったで」

 

見ると先頭の劉の旗から女の人が出てくるのが見えた

「聞けぃ!!董卓軍の将兵達よ!わが名は関雲長!大徳、劉備様が一の刃である!其方の将は関に篭りきりでよほど武に自信がないと見えるな!!違うというのであれば出て来い!!この青龍堰月刀の錆にしてくれるわ!!」

 

黒髪の女性が言う…あれが関羽なのか

関羽さんはそれだけ言うと自軍へと帰っていった

 

「舌戦で来たか…でもなんていうかただ言掛りつけに来ただけに聞こえるな」

 

「一刀にとってはそうかもしれへんけど、武人にとっては結構屈辱やねんで。なあ、かゆ…あれ?あいつ何処行った?」

 

俺もその声につられてそちらを見るが華雄がいない…ってまさか!!

 

「張遼将軍!一刀様!華雄将軍が関より打って出ると準備をしております!!我々では止まりません!!」

 

「はぁ!?あんの馬鹿、何考えとんねん!!」

 

「霞!!俺は華雄を止めてくる!!霞は関の上から撤退の援護をしてくれ!!」

 

「なっ!?一刀まで何言い出すねん!!」

 

「俺に策があるんだ!!霞、俺が合図を送ったら俺たちの後方に向かって全部隊で弓を放ってくれ!!」

 

霞の制止の言葉を無視しつつ、俺は華雄の後を追った・・・

 

 

 

 

 

劉備、公孫瓚軍

 

「うぬぅ、まだ出てこんか」

 

関羽が唸る…それを押さえるかのように諸葛亮が言う

 

「はわわ、華雄将軍は武に誇りを持った方だと聞いています。もう暫らくすれば出てくるでしょうから落ち着いてください」

 

なかなか出てこない華雄に苛立つ関羽…その姿を見かねてか公孫瓚が言う

 

「でも、確かに遅いな…桃香。私の白馬隊で様子を見てくるよ」

 

「えぇ!?危険じゃないの!?」

 

「大丈夫だよ。私の白馬義従を信じろって…じゃあちょっと行ってくるよ。あと、桃香…無事帰ったら酒でも一緒に飲もうぜ」

 

「…白蓮ちゃん。縁起でもないこと言わないでよ…」

 

「いや、なんか言わないといけない気がしたんだ…変な話して悪かった、じゃあ行って来る」

 

そういって白馬隊五十騎ほどを率いて城門付近にむかう公孫瓚

彼女達が城門に近寄る…ちょうどその時、恐ろしい怒気を放つ将が隊を率いて出てきたのだった…

「華雄隊!!あの関羽とやらに目に物見せてやるぞ!!突撃――!!」

 

「ぎゃっ!!」

 

怒りに我を忘れた華雄は目の前の騎馬隊など目にはいらぬとばかりに蹂躙、劉旗に向かって突撃していった…

 

 

 

 

 

 

 

俺が華雄を追うため徐栄たちを連れて関を出たときには既に戦闘が始まっていた

必死になって華雄の姿を探す…と華雄が突っ込んでいった劉備の陣に関羽と打ち合いになっている華雄を見つけた

華雄が一騎打ちをしているため指揮の無い華雄の隊は劉備軍に圧倒されはじめ華雄自身も関羽に押され始めていた

 

「くそっ!徐栄隊!!華雄隊の指揮を執って撤退の準備!張済隊は盾部隊を率いて負傷者と撤退経路の確保!北郷隊は華雄を助ける!いくぞ!!」

 

「「「おおーー!!」」」

 

そうして俺は華雄の元へ急いだ…

 

 

 

 

 

 

「どうした華雄!?貴様の武はそんな物か!!」

 

「くっ!!私の武を侮辱するな!!」

 

そういって私は金剛瀑斧を振るう…だが関羽は簡単にあしらうと逆にこちらに切りかかってくる

 

「でやぁぁー!」

 

「ぐわっ!!」

 

関羽の攻撃に耐え切れず私は後方に吹き飛ばされる

痛みで体が硬直しているため身動きが取れない

…ここまでか…

 

「とどめだ!!死ね!かゆ「北郷隊!射てーー!!」っな!!」

 

「なっ!?一刀!?」

 

その声に振り向くと、一刀が隊を率いてこちらに向かってきていたのだった…

「華雄!ここは退くぞ!!」

 

関羽にやられそうになっていた華雄を抱き起こす

 

「なっ!一刀、貴様!!私に退けと「ああもううるさい!!」なっ!離せ!!」

 

「華雄将軍の救出に成功!!急いで撤退するぞ!!」

 

この期に及んでまだ文句をいう華雄を抱き上げて撤退の指令を出す

抵抗する華雄だがやはり関羽から食らったダメージが大きかったのか殆ど力が入ってなかった

 

「まっ待て貴様ら!おとなしく逃がすと思うか!!」

 

俺達の射った矢で後退していた関羽さんが距離を詰めてくる

 

「くっそ!これでも食らえ!!」

 

俺は胸元からある入れ物を取り出し関羽の顔にめがけて投げつける

それを難なく堰月刀で切り裂く関羽だったがその袋の中の粉が空気中に飛び散った

 

「何だ…ゴホッ!ガハッ!!」

 

俺が投げたのは胡椒や唐辛子の粉末の入った袋だった

もともとは警備に使えないかと作った試作品なのだが胡椒などは高級品だったのでお蔵入りになったものを今回は持ってきていたのだ

 

「今だ!!北郷隊、徐栄隊、張済隊撤退!!」

 

関羽が足止めを食っている隙に撤退を始める

 

「ぐっ!か、関羽隊!、ゴホッ逃がすな、追え!!…ゴホッ!」

 

関羽さんが自分の隊を追走させる

ほかの諸侯も異常に気づいたのか隊を俺たちに向けてきた

 

「張済!汜水関に合図を!盾部隊は頭上に盾を構えろ!ほかの兵はそれに隠れながら進め!!」

 

「「「「応!!」」」」

 

張済の合図で汜水関から弓の雨が降る

このために編成した戸板のような大きな盾を持つ盾隊の影に隠れる俺たちとは違い敵の軍勢は弓の雨の餌食になり足を止められる

こうして俺たちは無事撤退に成功したのだった…

「ふぅ、死ぬかと思った。」

 

「まったく無茶するでホンマ」

 

ちなみに、関羽さんと対峙したときは冗談じゃなく死ぬかと思った

何とか汜水関まで撤退した俺は抱えたままだった華雄をおろしながら一息をつく…すると華雄がこちらを睨みつつ口を開いた

 

「…なぜだ一刀、なぜ武人の一騎打ちに割り込んできたんだ」

 

「…おい、華雄。あんた、自分のやった事…」

 

霞が俺を庇おうとしたが俺は彼女を手で制する

 

「確かに私の単独行動は問題だったかもしれない。だがあのように武を馬鹿にされた挙句、一騎打ちに破れながらも命を助けられるなど武人の恥、いっそあそこで討たれたほうが…」

 

「大馬鹿野郎!!!」

 

「っな…かず、と?」

 

突然の大声に驚く華雄

だが華雄の言葉に怒りを感じた俺は更に続ける

 

「武人の恥!?死んだ方がマシだと!?ふざけたこといってんじゃねえ!!お前は、お前は自分の命を何だと思ってるんだ!!」

 

「ちょ、ちょい落ち着けって、一刀…」

 

見かねた霞が止めに入るが俺はとまらない

 

「自分の武を馬鹿にされた!?お前の誇りはあんな挑発で穢れるような安っぽいものじゃないだろう!?天水にいた時いったよな、自分を拾ってくれた月のために武を捧げるって、必ず月を守るって俺と約束しただろうが!!」

 

「っ!!」

 

「確かに俺には武人の誇りなんて分かっていないのかもしれない、でも自分の命を、守るものを捨ててまで守らなきゃいけないものなんかじゃないはずだ!!情けなかろうが、かっこ悪かろうが、守るもののために生き延びることこそ本当の誇りというものだろう!?違うか、華雄!!」

 

はぁ、はぁ、っといっきにまくし立てたため、息が荒くなる俺だったがそれでも華雄を睨み続けた

 

「…いや、お前のいう通りだ…すまなかった、一刀」

 

そういって俯く華雄

おれはその肩を抱き寄せていう

 

「…すまない、声を荒げて。でも、こんなことで華雄がいなくなってしまうと思ったら、俺、俺…」

 

なんだか無性に悲しくなってついには涙が出てしまった

 

「一刀…。本当にすまなかった…」

 

「いや、もういいんだ。だから約束してくれ。もう二度とあんな無茶はしないって」

 

「ああ、誓うよ、一刀…」

 

至近距離で見詰め合う俺たち…なんだかいい雰囲気になってきたところで…

「いや、こんなとこでいちゃいちゃされても…ウチのこと、忘れんといてほしいんやけど」

 

霞の一言で正気に戻り、瞬間で離れる俺たち…あのやり取りを見られていたことに気付くと本気で恥ずかしかった

 

「え~と、ウチもこんな無粋な事、したくないんやけどな。今、関の中とはいえ戦中やん?報告したいこともあるし、ちょっとええか?」

 

あんな場面を目の前で繰り広げられた霞も恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしてしどろもどろでいう

 

「あ、ああ、お願いできるか、霞」

 

「すまない、張遼…」

 

そうして三人が三人とも落ち着かないまま霞の報告を受ける

元々、戦闘の本命はこの後の虎牢関であり、こちらに持ってきた戦闘物資は多くなかったのだが先ほどの弓矢の一斉射撃でかなりの数の弓矢がなくなってしまったらしい

このままでは最高でも一週間、もしくはそれ以下しかし汜水関の防衛線を維持できないという

 

「…分かった。あとになって切羽詰ってもいけないから三日後の夜、敵が寝静まったら虎牢関に撤退しよう」

 

「すまない一刀、私のせいで…」

 

「もういいって…それと霞、さっきから気になってたんだけど…」

 

「ん?なんや?」

 

「…君が連れてる、その簀巻きの人、だれ?」

 

「…そや、ウチもそれを言おうとしとったんやった。あんたの隊が撤退してくる時、間違えて敵さんも連れてきてしもたみたいでな」

 

ほら、名前…と霞が簀巻きになっているポニーテイルの女の人にいう

 

 

 

「…幽州の太守、公孫瓚だ…」

 

 

…どうやら手違いとはいええらい人を連れてきてしまったらしい

 


 
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