「袁術軍に現れた呂布。
北より乱入する袁紹。
そして西より進軍する曹操。
以上がこの戦いの予想外の事実だ」
下邳城付近に建てた陣地内の軍議の場。
そこで冥琳が状況説明から確認していく。
「はい、そして袁術軍の数は呂布さんを含めて7万。
将は呂布さんに華雄さん、張勲さんです。
桃香様達が建業に無事入城されるためにはまず呂布さんを倒して袁術さんを倒さなくてはいけません」
続いて雛里ちゃんが落ち着いて初めの目的を言う。
そしてこの場に居るのは上の二人の他に雪蓮・愛紗・霞そして俺(一刀)の6人である。
「そこでまず霞さんに先行してもらい呂布さんを足止めして欲しいんで「なんやて!!」
あわわ!!」
「うちに恋の相手を1人でせえちゅうんかいな!!
ハッキリ言って時間稼ぎにしかならへんで」
「あわわわわ」
「その時間稼ぎをして欲しいんだ」
ビックリしてまだちゃんと喋れない雛里ちゃんに変わって今度は冥琳が続けた。
「簡単に説明しよう。
まずは張遼隊が呂布隊と当たって時間稼ぎを。
続いて北郷隊と関羽隊が加勢して何とか倒してもらう。
そして望むならば華雄隊をそのまま切り裂いて袁術本隊への道を切り開いて欲しい」
「そしてその後は雪蓮率いる本隊と寿春城からの穏達とで挟撃。
…といったところか」
その先を言うと冥琳はコクンと頷き、雛里ちゃんは物凄く首を上下に振っている。
「ああそうだ、そして呂布・華雄との戦いでは北郷が軍師として指揮を執ってくれ」
「分かった」
「まずは我々は当初の目的通り袁術を討つ。
それに曹操と袁紹は別々に徐州に攻め込んできたみたいだから暫くけん制し合って無理に劉備や孫呉を攻める馬鹿な事は無いだろう」
その意見には皆は納得したみたいだ。
仮に曹操にせよ袁紹にせよ我先にと南下したら俺達ともう一方の相手との二面作戦を取らなければいけなくなるからだ。
しかし俺は思った…、
「馬鹿は来る!」と。
袁紹軍・野営地
「っくしゅ!」
「ん~? どうかしましたか麗羽様?」
「風邪ですか?」
「いえ、ただのくしゃみですわ」
「じゃあきっと誰かが噂してるんですね」
「あ~らこの私は下々の者から天に至るまで噂でもちきりですわよ。
おーーーほっほっほっ!!!」
「お~~~、さすが姫様!!」
「はあ………」
曹操軍・野営地
「へっくしゅ!」
「どうかしたのか姉者?」
「いや、急に鼻が……」
「そろそろ袁紹軍との戦いが始まる。
風邪など引かないでくれよ」
「なにを言う秋蘭。
この夏候元譲、生まれてこの方風邪などひいた事がないぞ!」
「ボクも無いですよ春蘭様!」
「おお! おそろいだな季衣」
「はい! でも流琉はひいた事あるよね」
「秋蘭も昔ひいた事があったな、全く鍛錬が足らんぞ二人共!!
はーーーーはっはっはっはっ!!」
「あはははは~~~!!」
「「はぁ~~~~~」」
「………」
「どうかしましたか一刀様?」
「いや…、風に乗って嫌な笑い声が聞こえた気がする」
「は?」
いかん、いかん。
今は作戦行動中だ、すでに戦闘を始めたという霞に追いつかなくちゃ。
「ああ、気にしないでくれ愛紗。
それより呂布隊とはどれぐらいで当たりそうだ?」
「この速度なら後半刻足らずで追いつけます」
「なら速度を上げよう」
馬に鞭を入れて俺達は先を急いだ。
「やっぱやるな~、恋!!」
「……霞も………強い」
「おおきに……れ「張遼様!!」」
「なんや!!」
「はっ! 後方から援軍が来ました!!」
「やっと来たか一刀、愛紗……。
恋!! 大人しく降参しい、あいつらやったらあんたもあんたの隊も悪いようにはせえへん」
「……<フルフル>、此処で勝たないとご飯が食べられない。
だから……ダメ」
「霞!!」
「一刀! 愛紗!」
俺達が到着すると霞は呂布と一騎討ちの最中だった。
あれが呂布…、最強を誇る武将で劉備・関羽・張飛の三人がかりで倒せなかった武将。
しかし…、何か覇気が低い気がする。
「加勢するぞ霞! ゆくぞ呂布!!」
俺が考え事をしている間に呂布に切りかかる愛紗と霞。
戦いは二つの偃月刀が呂布を押していく。
そして幾合か打ち合った後、この戦場に似つかない音がなり響いた。
<グウウゥゥゥ~~~~~~~!!>
「……は?」
その音は結果だけで言うなら戦いを止めた音。
実際何事かと敵味方を問わず皆動きが止まってるもん。
けど実際には空腹を告げる音。
そして発信者は……、
「………お腹……空いた…」
天下の飛将軍だった。
結局あの音で戦意が無くなった両軍。
その後呂布の話を聞くところによれば先の反董卓連合での敗走以来ある城を分捕った物の糧食が無く。
袁術の使いでやって来た華雄に食料を報酬に徐州攻めの傭兵紛いの事を請け負った、といきなり現れた小さい軍師が言ってきた。
「誰がいきなり現れた小さいのですか!!
ちんきゅうーは最初から呂布殿のそばにいたです!!」
「「「………誰(や)?」」」
声が揃った俺と愛紗そして霞。
するとさらに怒り出すちんきゅうーとやら。
「なんですとーーー!!
そっちの男と女はともかく霞殿はねねの顔を忘れたとは言わせませんぞ!!」
「オオーーー、ヒサシブリヤナネネ」
むちゃくちゃ棒読み!! 絶対忘れてるだろ。
結局呂布は俺達…と言うか劉備軍に降る事になった。
理由は月が生きていて桃香の下に居るから。
この後の戦いで蜀を手に入れたら自分の部隊と家族(犬・猫等)の生活を保障するから。
そして最後に俺が建業で天の料理を腹いっぱいになるまで食べさせる…と霞が勝手に決めたから。
こうして恋とねねの真名を預かり、次に来る華雄隊に備えるのだった。
おまけ
「ぐすん……、ねねは何処かの影薄仲間では無いのです…」
建業より北、准陽付近・劉備軍
「はくしょん!」
「どうしたの白蓮ちゃん?」
「相変わらず普通のくしゃみですな」
「一言多いぞ星。
これはきっと誰かが私の噂(前略)」
「そんな事あるわけないのだ」
「はわわ! だ、ダメだよ鈴々ちゃん!」
「いや! 私だって(中略)」
「……夢を見るのは勝手じゃしのう。
まあ、将の一人でも討てば少しは注目されるじゃろうが………」
「だったら(後略)………。
ちくしょおおおぉぉぉーーーーーーーーーーー!!!!!」
こうして残ね……公孫賛は1人何処かへ走り出したのであった。
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なかなか治らない花粉症。
何時になったらくしゃみが止まるんだろう?