主人公はオリジナルです。ほぼ最強に近いです。
それでもいいという方はGO!
~~一刀~~
「……おおっ!」
中庭に来てみると、武官文官はもちろん侍女や大勢の兵たちが集まっていた。
「あっ、お兄ちゃんが来たのだ!」
「ご主人様、頑張ってね」
「北郷、あまり無理はするなよ」
「ハハッ……(汗)」
どうしてこんなことになったのか?
少し時間は遡る……
無事に白蓮の下で働ける事になった俺たちは、とりあえずそれぞれ与えられた仕事をこなしていた。
皆で分担して警邏をするのはもちろんだが、桃香と俺は政務補佐、愛紗と鈴々は星と共に義勇兵の調練を与えられていた。
俺は政務もひと段落して、暇になったので愛紗と鈴々がしている兵の訓練を見に来ていた。
自分ではさらさらそんな気は無いが、『天の御遣い』という存在は兵達の士気を上げるものらしい・・・
愛紗なんかは「今日の兵たちはいつにも増して精進しています!」って言ってるし……
まぁ、俺に出来る事なんてほとんど無いから、こういう事で手伝えるならそれでいいかな
と、そこに兵の訓練が終わったのか、俺の元に星がやってきていた。
「北郷殿、少しよろしいか?」
「おっ、星か。どうしたんだ?」
「なに、私とひとつ手合わせしていただきたいと思いましてな」
「えっ!?俺なんかじゃ星の相手になるような力は持ってないよ(ブンブン)」
俺は必死で両手を振って反論していたんだけど……
「おや、その割に動作の一つ一つに隙が見られませんな。その動きはまさに一流の武人のそれ、隠しきれるものではありませんぞ」
むっ!?なかなか引いてくれないな。
「ん~、それでも愛紗や鈴々のほうがいいとおもう――「そんなことはありません!」――って、愛紗!?」
いつの間にか愛紗が俺達の話を聞いていたみたいだ……
「ご主人様は少し自分のことを低く評価しすぎです。もっと自分に誇りを持ってください!」
「い、いや、それでもわざわざ戦わなくても良いんじゃ……」
「お互いを知るいい機会です。ぜひその一戦受けてたちましょう!」
え~!?何故それを愛紗が言う~(泣)
まぁいいか。強い奴と戦いたいって言う気持ちは俺もあるからな。
「……わかった。なら武器持ってくるからちょっと待ってて」
「なら、私たちは先に中庭に居りますぞ」
で、現在に戻る……
俺はただ星と手合わせするだけだと思ってたら、こんなに人が集まってるし・・・
「さて、準備はよろしいか、二人とも」
「私はいつでも大丈夫だ。」
「俺も大丈夫だよ。」
審判役には愛紗がなっている。
「では、始め!」
~~星~~
どれほどこの戦いを待ち望んだことか……それほどまでに私は北郷殿とは一戦を交えてみたかった。
始めは乗り気ではなかったようだが、今はやる気を出してくれたらしい。
ふむ、周りを見渡せば、兵たちがどちらが勝つか賭けをしているようだな……
「なぁ?御遣い様と趙雲様、どっちが勝つと思う?」
「そりゃあ、趙雲様だろう。俺達の憧れの存在なんだぜ」
フッ、嬉しいことを言ってくれる。
「それにしても、御遣い様の方が心配だ」
むっ?
「俺たちよりは強いらしいけど、相手が悪すぎる。大怪我しなきゃいいけど……」
「正直、本気出せば俺等でも勝てんじゃね?」
普通のものにはそう見えても仕方ない。女性から見ても華奢だと思える身体のどこに戦う力があると思えようか。
しかし、武を極めた者のみが放つ雰囲気を北郷殿から感じる。
それこそ愛紗を超えるほどのものを、な。
さて、そろそろ始まるか……
「(ボソッ)まさか、あの趙雲と戦うことになるとはな」
何!?私はそんなにも有名なのか?
(一刀はあくまで歴史上での趙雲を言っているのであり、目の前にいる星を指しているわけではないが……)
「フフッ、私も北郷殿とは一度剣を交えてみたいと思っておりました」
それに、私には確認すべきことがあるのだ・・・
「さて、準備はよろしいか、二人とも」
「私はいつでも大丈夫だ」
「俺も大丈夫だよ」
「では、始め!」
私は自分の獲物である『龍牙』を構える。北郷殿も同時に構えを取ったようだが……
「北郷殿の武器は二本の筈。何故一本しか構えないのですかな?」
「ん?あっ!?気に障ったようなら、ゴメン。でも、別に手を抜いてるわけじゃなくて、これが一番戦いやすい型だから、気にしないで」
「フム……」
それならよいのだが・・・それにしても美しい剣だ
透き通るほどにまばゆい輝きを放ち、見るものを魅了する白銀の剣・・・
確か名前は『白心』といったか・・・
だがっ!
「そのような細い剣でわが一撃を止められるとお思いか!」
私は北郷殿に攻めかかった……
~~星sideout~~
星は鍛えぬかれた脚力で一瞬の内に一刀との間合いを詰め、胸を狙った一撃を放った……はずだったのだが
キィン!
「なっ!?」
傍から見れば、右手で持った『白心』でいとも簡単に止められた、とそう見えるであろう。
しかし正確には、止めたというのには少し語弊がある。
事実、星には今の一撃にまるで手ごたえが無かった。いくら力量を測る為だったとはいえ、彼女は全く手を抜いたつもりは無かった。
「(今の感覚は・・・まるで、水に撃っているようだった・・・)北郷殿、何をなされた?」
「特に何をしたわけじゃない。ただ、少し重そうだったから、力を外に逃がしただけだよ」
そう口で言うのは簡単だが、やるには相当な鍛錬が必要だ……
これに気付いたのは恐らく愛紗と鈴々だけだろうな。それほどまでに完璧な動作だった。
それを軽々とやってのけるとは・・・・・・やはり、私の目に狂いは無かった!
バッ!
星はいったん一刀との距離をとったが、『龍牙』の先はまだ一刀に向けたままである。
「フフッ、はははは!やはり貴方は素晴らしい!」
「そういってくれると嬉しいよ」
「だが、私の力はこんなものではありませんぞ」
「ああ、わかってる。だけど・・・」
ズッ・・・
「(先ほどよりも気迫が鋭くなった!)」
「俺も負ける気は無いよっ!」
一刀はまるで一瞬消えたと錯覚してしまうほどの速さで星の元に詰め寄り、『白心』を星めがけて振り下ろしていた
「!?速い!」
ギィン
再び交差する二つの獲物。火花が飛び交い、二人の間からは風が巻き起こる……
「これは……負けられないな」
「私こそ負けませぬぞ!」
ギィン、ガガガガガガガガ、ガキィン!……
両者とも頭・胸・腹……あらゆる部位を狙って斬りかかり、それを防御する。それが目にも留まらぬ速さで幾度と無く繰り返される。
しかし、武芸をかなり積んでいなければ恐らく残像にしか見えないだろう……
観ているほとんどの者達はただただその立ち振る舞いに魅了され呆然と見つめているしかなかった……
~~愛紗~~
くぅ~、なんという戦いだ!
見ているだけというのがこれほどまでに辛いものとは思わなかった。
二人とも間違いなく一流の武を持っているからこそ出来る本気の攻防……
それをみて武人として黙っていることなど出来ようか!
それに、ご主人様の戦っている姿……なんと美しいのだろう。
あの透き通るような銀髪を靡かせながら剣を振るう姿、
いつもの笑顔とは違った,凛々しい真剣な表情(///)
くそ~、星がうらやましい……
しかし、この試合の審判をやって本当によかった!こんなにもご主人様の顔を近くで見れるのだから。
~~桃香・鈴々・白蓮~~
「……なぁ、桃香」
「ポ~~~(///)」
「桃香?」
「え?あっ!ど、どうしたの?白蓮ちゃん」
「まさか北郷が星と肩を並べるほどの武を持ってるとは思わなかったよ……」
「白蓮ちゃん見る目無いな~。ご主人様は強いんだよ、エッヘン!」
「……いや、桃香が胸を張ることじゃないだろ」
「う~~~~~」
「どうしたの鈴々ちゃん!?」
「お兄ちゃん、全力じゃないのだ!」
「「えっ!?」」
「まだ動きに余裕があるのだ」
「そ、そうなんだ。ハ、ハハ……(本気だと思ってたよ~……)」
「でも、早く終わらないかなぁ。鈴々もお兄ちゃんと戦いたいのだ」
~~兵士~~
「・・・・・・」
「おいっ、どうした?」
「…はっ!な、なんでもない。別に御遣い様が綺麗だ~なんて思ってないからな!」
「(……まぁ、分からんでもないが)それにしても将軍方は本当に強いな」
「関羽様、張飛様といい、俺達なんかじゃ足元にも及ばないな」
「しっかし、いつまで続くんだろう、この打ち合い?普通ならもう終わりそうなもんなのに」
やがて、永遠に続くと思われた打ち合いにも終わりが……
「(ハァ、ハァ、まさかこの私の神速の槍がすべて防がれるとは…しかし、まだ私は負けん!)」
「はいはいはいィィィ!!」
「おおぉ!まだ速くなるのか!?」
キィン、ガガガガガガッ、ギィン
そして、壮絶な打ち合いの中、一瞬ではあるが一刀に隙ができたのを星は見逃さなかった。
「もらったぁ!!」
星は、渾身の力で『白心』を弾くと、すぐさま槍を水平に構え、剣先がぶれるほどの速さで突きを放った。
この瞬間、誰もが星の勝利を確信したが、実際にはそうはならなかった。
なぜなら……
「……ふぅ、危なかった」
いつ抜刀したのだろうか?もう一振りの日本刀『黒心』によって『龍牙』は星の手元から弾かれ、喉元には『白心』が突きつけられていた。
「まだやれるけど続ける?」
星は肩で息をしていたが、一刀の息はほとんど乱れていなかった.
「(私が一撃を決めるあの一瞬、北郷殿の気迫を垣間見たが、あれは…)ハァ、ハァ、いや、今のままでは北郷殿には敵いませぬ」
星は疲労していたことも相まってか、地面にペタンと座り込んでしまった。
「あっ、星、大丈夫か?」
一刀は武器を収め心配そうな顔で手を差し伸べる。つい先程まであれほどの強さを見せた人物とは大違いである
「いえ、少々疲れてしまったようです」
星はその手をとって立ち上がった。まだ手は痺れていたが、一刀の手からは暖かな温もりが感じられた。
「ほっ。怪我はしてないみたいだ。よかった~」
今度は一転して安堵の表情を浮かべる
「(今まで戦っていた者の心配をするとは……)フフッ」
「急に笑ってどうしたんだ?」
「いや、やはり北郷殿は私の見立て通りの人間だと思いましてな」
「どういう事?」
「これほどの武を持ち、器量も十分。それに人徳にも満ち溢れている者だということですよ」
「ハハッ、買い被り過ぎだって。俺は単なる普通の人だよ」
「そう謙遜なさることも無いでしょうに、貴殿はわが槍を預けるに相応しいと判断したのですから」
「はっ!?星は白蓮の将だろ?」
「今は客将ですのでかまいませぬ。それに白珪殿は県令としては優秀ですが、この大陸を治める者としては足りない要素が多すぎるのですよ」
一刀は一瞬思案した顔になったが、すぐに星に笑顔を向けると、
「俺としては嬉しいけど、今は白蓮のために槍を振るってくれ。それでも星が望むのなら、俺達は大歓迎だよ」
「……分かり申した。しかし、私の意思は恐らく変わらないでしょうな」
「ハハッ、星は意外と強情なんだな」
「フフッ、そういう北郷殿も」
と、二人で談笑していると、愛紗が二人のもとに近づいてきた。
「んんっ、二人ともよろしいか」
「ん?どうした?」
「……ご主人様はずいぶん星と楽しそうにお話をされているのですね」
「おや、愛紗?もしや妬いておるのか?」
「///なっ!?違う!私はただ……」
「おお、そうか。ならば北郷殿は私が頂くとしよう」
そういって星は一刀の背後から手を回すように抱きついた。
「(チャキッ)……何をしているのだ星。ご主人様は我々にとって大事な人なのだぞ」
愛紗は背後にどす黒いオーラを出しながら青龍偃月刀を星に向けて構えていた。
「まぁまぁ、愛紗落ち着けって、俺は皆の元を離れるつもりはないから。星も離れるんだ、へんな誤解を招くから」
「ご主人様……(じ~ん)」
「むむ、北郷殿は私よりも愛紗のほうが大事と見える」
「そんなことはないよ。俺は誰が大事かどうかに区別なんてつけるつもりなんてない。だから、愛紗も星も俺にとって大事な人だ」
一刀はさも自然な動作で二人の頭を撫でていた。
「///」
「///」
「何?変な事言ったかな?」
「はぁ……愛紗も苦労するな」
「全くその通りだ。これで自覚がないのだからさらにたちが悪い……」
「??」
二人の言葉に一刀が首をかしげて頭に?マークを浮かべていると、桃香たちもやって来ていた
「ご主人様、星ちゃん、二人ともお疲れ様。はい」
「これはこれは、桃香殿。かたじけない」
「ありがとう、桃香(ナデナデ)」
「///えへへ~」
「なぁ、北郷。お前って強かったんだな」
「まぁ、人並みには戦えるよ」
「いや、それはないから」
白蓮が一刀にツッコミを入れていると、鈴々が一刀の服の裾をクイクイと引いていた
「鈴々?どうしたんだ?」
「お兄ちゃん、次は鈴々と勝負するのだ!」
「え~、今日は疲れたから明日にしない?」
「ダメなのだ。鈴々は今戦いたいのだ」
「う~ん……仕方ない。やるか!」
「やったぁ!流石はお兄ちゃんなのだ」
「ご主人様、鈴々と手合わせするのならば私とも手合わせしていただきたいのですが…」
「愛紗もか!?」
「あそこまでの勝負を見せられて、武人としては黙っていられませんから。それは鈴々も私も同じことです」
「そうか……分かった!いいよ。でも、順番だからね」
「じゃあ、鈴々が最初なのだ!」
「よーし、来い!」
この後、一刀は鈴々と愛紗に始まり、白蓮、桃香、なぜか来ていた兵達全員の手合わせをすることになり、次の日、全身筋肉痛で動けなかったという……
あとがき
兵たちを相手にしていたときのひとコマ……
「いきます!」
「さぁ来い!」
「やあぁぁ!」
「あまいっ!」
ギィン
「はいっ、次!」
「御遣い様、好きです!」
「それ、掛け声じゃないから!」
カキィ~ン
「ハァ、ハァ、次!」
「御使い様、好きです!(男)」
「まず性別が違う!」
カキィ~ン
「(なんか趣旨が変わってる気がする)はい、次!」
「……隊長、お慕い申し上げております」
「隊長ってなんだぁ~!」
バコ~ン
なんていうやり取りがあったとか無かったとか……
やっぱり、三羽鳥も仲間にしたいな~
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第4話です。
なんとなく展開が早いですね~。もうちょっと閑話を増やしていかなきゃな~