アクセル全開! 真・恋姫†無双 第6話 記憶への道
黄巾の乱から数週間が経った。黄巾党の残党はまだいるが華琳の治める領土は幾ばくか平和になっていたが、一刀はある情報を華琳から聞くことになった。
それは董卓が中央を抑えたとのことであった。
「董卓ね……」
「華琳さんは董卓ってやつ、知らないの?」
美沙緒が華琳に聞いた。
「初めて聞く名よ。桂花や秋蘭たちも知らないそうだし、張三姉妹も戦っていた将の中に、そんな名は聞いたことが無いと言ってたわ」
「そうなのか……(張三姉妹はともかく桂花達が知らないとなると裏がありそうだな)」
「この間都から戻った、間諜も、董卓の正体は不明と言ってたし……恐らく、誰かの傀儡なのでしょうけどね」
「傀儡ね……」
一刀は今の華琳の答えで何か裏があると理解した。
(黒幕が董卓を利用してる。話の流れからして十常侍みたいだな。まったく本当に上層部は……。
だったら助けてやるか……。上層部の思い通りになるのは嫌だしな)
「一刀、何考えてるの?」
美沙緒が一刀に何を考えてるか尋ねる。
「お前なら何を考えてるか分かってると思うけどな。と言うかお前も同じだと思うが?」
「まあね」
一刀と美沙緒はこっそりと董卓を助けようと考えるが、呂布の存在を思い出す。
(でもその前に呂布に勝たんと意味無いよな。まあやれるだけのことはするつもりなんだよな。これが!)
それからまた数日が経った。華琳はいざというときのための軍の強化を日に日に強めていっていた。
そんななか、一刀と美沙緒は一緒に街をうろついていた。
そんな時、女の子二人が一刀達を尋ねた。
「なんだい?」
「お城……」
「の前に、美味しい料理を食べさせてくれるところ、教えてくれよ!」
文ちゃんと呼ばれる子と斗詩と呼ばれる少女が何やら揉める。
何とか話はまとまり先に料理屋に行くことになったそうだ。
そんな中季衣と会い、五人でうまい店で食べることになり食べているうちに、華琳と秋蘭もやってきた。
そうこうやり取りをしていると給仕の女の子もやってきた。
「いらっしゃいませ! 曹操様、夏侯淵様、今日もいつものでよろしいですか?」
華琳が曹操と知るやいなや斗詩と呼ばれた少女は驚きをわずかにみせるが、文ちゃんと呼ばれている少女はわかっていなかった。
一刀と美沙緒はその事には気づかず、華琳達が常連のような事を聞いてとりあえず尋ねる。
「お前達、ここの常連なのか?」
「ええ、そうよ。さっきの子ね」
「さっきって給仕の子?」
「まだ若いのに、大した腕の料理人よ。お抱えで欲しいくらいなのだけれど……」
華琳が言葉を濁したので一刀は聞いてみると、どうやらさっきの子は親友に呼ばれて街に来たのだが、手がかりを見つけるまで店から離れる気がないと言われたそうだ。
一刀はそれを聞いてその子の人探しをしようと先ほどの子を呼び聞いてみたら…。
「真名じゃない名前は許緒って言います」
「は?」
「え?」
その許緒は目の前にいた。
「あー。流琉ー♪ どうしてたの? 遅いよぅ」
「遅いよじゃないわよー! あんな手紙をよこして私を呼んだと思ったら、何でこんな所にいるのよーーーーーー!!」
「その前に二人とも気づけよ!!」
一刀は鋭いツッコミを入れた。
季衣と流琉と言う少女が喧嘩を始めてしまい、先ほどまで食べていた斗詩と文ちゃんが二人を後ろから止めた。
「お前達……、何者なんだい?」
一刀は二人の正体を尋ねるが、無視された。
「お初にお目にかかります、曹孟徳殿、私は顔良と申します」
「あたいは文醜! 我が主、袁本初より言伝を預かり、南皮の地よりやって参りました!」
「こんな場面で恐縮ではありますが、ご面会いただけますでしょうか?」
「あまり聞きたくない名を聞いたわね。まあいいわ、城に戻りましょうか」
華琳達は城に戻り、華琳は袁紹の発した文を読むと袁術、公孫賛に馬騰の署名があった。
(ねえ一刀……)
(どうも聞いたことのある名前があるな。袁紹に袁術に公孫賛、それに劉備か……)
(黄巾の乱の時に少しは聞いたことあるけど……)
(どうもそれ以前から知ってる気がするんだよな……)
一刀と美沙緒は頭の片隅にあることを一生懸命思い出そうとするが、なかなか思いだせない。
華琳は桂花の意見を聞き、桂花は連合の参加に賛成した。そのわけは一応名高い諸侯が参加する以上、華琳も出れば華琳の名も広がるということなのだ。
そんな中、美沙緒は一つ意見をする。
「董卓は悪いことしてないんなら、討つ必要ってないんじゃないの?」
「董卓自身は悪くなくても、官を制御出来ないなら同じことよ。それに私達が動かなくても、既に周りは動いているわ。ならば、それに乗るのも一つの道」
「そういうものか……(まったく上が上なら周りも周りか……。なら助けるとしたら、参加するしかないか)」
華琳は連合の参加を決め、連合に行くための準備をした。
その間に季衣と流琉(名前は典韋)がかなり揉めていたが、何とか無事収集し、典韋は皆に真名の流琉を許し、華琳の元に入った。
それからまた数日後、一刀達は華琳と共に連合の集まりに参加した。
「おーほっほっほっほっ!」
「な、何!?」
突然の笑い声に驚きを表す美沙緒。
「久しぶりに聞いたわね。その耳障りな笑い声……麗羽」
「華琳さん、よく来てくださいましたわ」
麗羽もとい袁紹が華琳を出迎えに来たのだ。
(すごい……縦ロールだ……)
(だね)
一刀と美沙緒が袁紹に抱いた第一印象である。
そして他にも集まった諸侯が自己紹介をする。
「幽州の公孫賛だ。よろしく頼む」
「平原郡から来た劉備です。こちらは私の軍師の諸葛亮」
「よろしくお願いします」
「うん? 諸葛亮?」
一刀は諸葛亮の名を聞いてどうもまた頭のどこかで聞いたことのある名前だと感じる。
「涼州の馬超だ。今日は馬騰の名代としてここに参加することになった」
(また聞いた事ある名前だね)
美沙緒も一刀と同じであった。
「袁術じゃ。河南を治めておる。まあ、皆知っておろうがの! ほっほっほ!」
(俺は知らんがな)
「私は美羽様の補佐をさせていただきます、張勲と申します。こちらは客将の孫策さん」
(あいつが孫策……。こいつも聞いたことあるな……。なるほど少々、怖いプレッシャーがあるようだ)
そしてお互いの自己紹介もとい名乗りは終わり、華琳達は巳水関は他の軍の観察で戦わず、虎牢関の指揮権を手に入れ、虎牢関攻略へと向かう。
虎牢関は呂布と張遼が守っているところであった。
「呂布は黄巾党の半分、約三万を一人で倒したと聞いてます」
(おいおい、そいつはいくらなんでもすごすぎるな。だがやってみたいもんだ)
「もしどうしても呂布をご所望とあらば……そうですね。姉者と私、あと季衣と流琉あたりはいなくなるものと思っていただきたい」
「その心配は無いぜ」
秋蘭の言葉を一刀が遮る。
「俺と美沙緒だけで十分だ」
「あんた正気!?」
「正気じゃなきゃなんなんだ?」
「狂ってるわ!」
桂花が珍しく一刀の身を案じるように言う。
「一刀、あなたどうしたの?」
「ただ前からあいつと戦いたいと思ってたからな」
華琳が一刀の目を見る。一刀の目には燃え上がる闘志、その瞳の奥にはどことなく哀しみを秘めた目である。
華琳は一刀の真意がなんとなく分かり、最後の確認をする。
「勝ち目はあるの?」
「あるぜ」
「……………」
一刀の答えに皆が唖然とする。一刀ははっきりと答えたのだ。。
その答えで皆が笑った。
『あははははははははははっ!!!』
「笑うなよ……!」
「…ごめんなさい、まあいいわ。戦って勝ちなさい!」
「「了解!!」」
こうして呂布は一刀と美沙緒が相手することになった。
虎牢関の門の上には呂布、張遼、華雄、軍師の陳宮が虎牢間前に集まる連合兵を見て驚き、張遼は籠城するかそれとも思った矢先、華雄が勝手に飛び出してしまった。
「あんのぉ猪……!!」
張遼が華雄の安易な行動に怒る。
「……出る」
「呂布殿!」
華雄が出てしまった以上自分も出るしかないと判断した呂布は自分も出陣しようとし、陳宮が反対しようとする。
「しゃあないやろ! せめて華雄を引きずり戻さんと、月に会わせる顔が無いわ! 陳宮は関の防備、しっかり頼むで!」
「わかったのです!」
敵が虎牢関から出てくる様子を華琳は呆れたように言う。
「出てきたわね。巳水関の時と言い、連中は篭城戦を知らないのかしら?」
実は巳水関の時も華雄は籠城せず、出てきてしまい結果関羽に負け、何とか命からがら逃げれたのだが、まったく懲りてないようだった。
「華の旗って言うと華雄、後続も出てきたな。旗は呂と張……ということはこちらの目的二人が一気に来たな」
「華雄の独走に引きずり出された、といった所でしょうね。まあいいわ、一刀は他の部隊にも通達の指示。本作戦は、敵が関を出てきた場合の対応で行う!」
「わかった。じゃあ呂布の方は俺と美沙緒に任せてくれ」
「隊長……」
「なんだ?」
やはり一刀が呂布と戦うのに不安が残る凪達。
「本当に戦われるのですか?」
「本気だ。恐らく呂布に勝てるのは現時点では俺だけだ」
「でも隊長が負けたら……」
「死ぬだろうな」
「せやったら……」
「お前らな、自分達の隊長を少しは信じろ。それに言ったろ俺は負けないってな」
「わかりました……隊長、必ず勝ってください」
「ああ」
一刀と美沙緒の部隊は華琳達と別れ、華琳達は出てきた董卓軍を相手にする。
相手が華雄、力は強けれど知を用いた攻撃には対処しきれず、董卓軍は敗走を始める。
その様子を見た張遼が何とか華雄を見つけて一緒に虎牢関まで戻ろうとするが、伝令により都に何かが起こり、虎牢関は放棄するとの事で陳宮が撤収準備をしているとの事。
虎牢関にはもはや袁紹軍や劉備軍の手に落ちようとしていたが、急いで戻ってきた呂布が阻んだ。
「…そうはさせない」
「呂布じゃんか、勝負だ!」
文醜が呂布に戦いを挑む。
「時間ないから本気でいく」
そういうと呂布は自分の武器の方天画戟を振るい、かかってきた文醜、それに近くにいた顔良を吹き飛ばす。
「遅かったか……、二人とも大丈夫か?」
関羽が何とか吹き飛ばされた二人を抱きとめる。
「あ、はい」
「助かったぜ」
「愛紗! 鈴々が行くのだ!」
「待て鈴々!」
鈴々と言う真名の少女、張飛が呂布に挑もうとするがその前に一人の男と女が張飛の前に立つ。一刀と美沙緒である。
「俺達だけでやる……」
「にゃ? 誰なのだ?」
張飛は一刀達の事を知らないが、関羽は一応一刀の姿を見ていたため誰かは知っていた。
「確か、貴公は曹操軍の……」
「よく言う天の遣いだよ~」
「無茶です! あなた達のそんな体では…」
関羽は武人、一刀と美沙緒の体つきを見れば呂布に勝ててるところなんか一つもないのが簡単に分かる。
もっとも美沙緒に攻撃は当たらないのだが…。
「そんなの呂布やあんただって同じだぜ。それに俺は……、隊長だからな!」
一刀はアクセルメモリを取り出す。
「アクセル!」
「変身!」
一刀が既に腰に付けていたアクセルドライバーにアクセルメモリを差し込み、右のスロットルを捻る。
「アクセル!」
一刀はアクセルに変身した!
「さぁ、振り切るぜ!」
「邪魔!」
方天画戟とエンジンブレードがぶつかり合う。
(すごい力だな……)
桂花や秋蘭が言ってたことを一刀は今その身をもって実感した。
(だが俺は約束したんだ、絶対勝つ。そして生きて帰るってな! それがムーン・ロック隊隊長の俺が決めたことなんだな。これが!)
一刀と呂布は激しく打ち合う。その二人の中を邪魔することは誰にも出来ないほどに…。
「あの兄ちゃん、すごく強いのだ…」
「あの呂布とあんなにも打ち合えるとは……」
張飛と関羽はただ見てるだけしかなかった。美沙緒もなかなか入る隙が見当たらなかった。
もし一刀が負ける展開になって手を出したりしたら、一刀は怒るであろう事も容易に想像できた。
しかしその激しい戦いに双方とも疲れを見せてきた。
「ちっ……」
「一刀、大丈夫?」
「大丈夫だ。悪いな、俺一人でやっちまって」
「仕方ないよ。もしあのなかに割って入ったら一刀が攻撃するタイミング逃しちゃうでしょ?」
「……本当に悪いな。じゃあ、次は麒麟……いやアクセルを使う。いいな」
「OK!」
一刀がそう言うと美沙緒も呂布に向かう準備をする。
「行くぜ!」
一刀が麒麟をと同じように呂布に向かって何度も叩いたり、斬りつけようとするが、呂布はそれを防ぐ。
しかし……。
「甘いぜ!」
一刀が一気に加速し、呂布の背後に回る。
「そいえぃ!」
一刀がエンジンブレードを呂布の背中に刺そうとするが、呂布は何とか方天画戟で防ぐが……。
「美沙緒!」
「よっしゃ!」
美沙緒は氣を溜めて、呂布に拳の連打を当てる!
呂布は一刀のエンジンブレードを防ぎながら、美沙緒の拳を防ごうとするがそれは出来なかった。
美沙緒は攻撃できるが、攻撃を受けることはできない。すなわち美沙緒の攻撃は防御不可能なのだ。
呂布は美沙緒の拳を横向きに食らう。
「………っ!」
「さあ……って!」
一刀はエンジンブレードを持っていない手で呂布を下から上に殴り、呂布を宙に浮かせる。
そして一刀がしゃがみ込む。ここまでは麒麟と変わらないが、その後が少し違っていた。
一刀は麒麟の時とは違い、エンジンブレードを手放し、ドライバーの左グリップにあるマキシマムクラッチレバーを引き、スロットルを捻った。
「アクセル! マキシマムドライブ!」
「コード……」
そして麒麟の時と同じように跳び上がり回転も入れるが……。
「アクセル!」
呂布に近づくと同時に後ろ跳び回し蹴りを繰り出し、その蹴りは呂布に命中!
つまりは麒麟の最後の部分をアクセルグランツァーに変えたのだ。
そして一刀は着地し、呂布は力尽きたように地面に落ちて倒れる。
「………」
「さすが美沙緒だな」
「へへ~ん」
「さてと……」
一刀は呂布を背負うかのように肩に抱く。
「………?」
「お前を連れて帰るんだな。これが」
「……何故?」
呂布は一刀の行動の意味を分かっていなかった。
「俺はお前を殺す気なんて最初からない。それに色々聞きたいこともあるからな…」
「………」
「とりあえず美沙緒も支えるの手伝ってくれ」
「了解♪」
そして呂布は一刀と美沙緒に連れられて曹操の陣へと運ばれた。
「恋殿ーーーーーーーー!!」
呂布がつれていかれるのを見た陳宮は急いで一刀を追ってしまった。
「陳宮まで行ってしまった…」
「とにかくウチらは都まで戻るで…」
華雄と張遼は何とか都まで戻ることにした。
そして呂布が華琳の前につれてこられて、一刀の質問に素直に答え、その後呂布をどうするかどうかになり揉めそうになったが、
華琳が一刀と美沙緒の手柄なので、呂布は一刀と美沙緒に任せるとして二人は呂布を殺さず、自分達の仲間になって欲しいと勧誘。
呂布は自分の家族であるペット達をちゃんと保護して欲しいのと董卓達も助けて欲しいという条件を出し、一刀は快く承諾し、呂布を仲間にすることに成功した。
激しく戦っていた者同士なので、一刀は裏切らないと考えたのだ。
(でも裏切る奴は裏切るんだよな……)
一刀はそう考える。
それからすぐ後、呂布を追いかけてきた陳宮が華琳の陣にやって来て、一刀と色々揉めたが、呂布の説得により何とか収まり、陳宮も呂布と一緒についてくることになった。
呂布と陳宮は一刀達に真名を預け、呂布は恋、陳宮は音々音(愛称はねね)であった。
呂布と陳宮がいなくなったことは董卓軍にとっては大きな痛手となったが、都前には既に連合軍がやってきており、
今はそれどころではとなり、残った張遼と華雄で防戦したが、戦力の差がありすぎて敗れていった。
「くっ! やっぱ、この戦力じゃ厳しいか! 華雄ともはぐれてもうたし…」
張遼は華雄と離れてしまい、今は公孫賛に追われていた。
「待てー、張遼ー!」
「待てるかボケ!」
張遼は馬の速度を速め、公孫賛の追跡を逃れる。
「くっ、この私が馬術で追いつけんだと!?」
「やれやれ、何とか撒いたか…」
張遼は公孫賛が追いかけてないことを確認する。
「けど、どう見てもこっちの負けやなぁ。月や賈駆っち、うまく逃げられたやろか」
張遼の心配する月(本当は董卓)と賈駆なのだが、実は先回りしていた一刀の部隊に発見されていた。
「君が董卓?」
「違う! ボクが董卓よ!」
眼鏡をかけた強気な女の子が自分が董卓だと申告するが、一刀には通じない。
「悪いが俺にそんなのは通用しないぜ」
「ぐっ……」
「私が董卓です」
「ちょ、月!?」
董卓と名乗る少女はやはりどこか可憐でおしとやかであった。
「董卓ちゃんでいいのか?」
「はい……」
「俺は北郷一刀、悪いが君を逃がすわけにはいかないんだな。これが。大人しく俺たちに捕まって欲しいけど構わないか?」
「それは……」
「そんなの出来るはずないでしょ! 月を守るためにはどこまで逃げるしかないんだから!」
賈駆が猛烈に反発するが一刀は説得を続ける。
「けどよ、逃げたって連合軍は君達を追いかける。それこそどこまでもな…。この戦いの責任を擦り付けるためにな」
「くっ…」
「董卓ちゃんの状況は理解してるし、この戦いの本質は恋とねねからきちんと聞いてるんだな。これが!」
「恋さんとねねちゃんに?」
「まさか、あんたが!?」
「そう、恋こと呂布を倒した天の御遣いであり、仮面ライダーさ」
「恋達はどうしたの!?」
「ここにおりますぞ」
その言葉を待っていたかのように恋とねねがやって来た。
「あんた達、どうして……」
「この男は曹操殿の部下ではありますが、かなりの変わり者でねね達の面倒を見る役になったのです」
「……(コクッ)」
ねねの答えに恋がうなづく。
「曹操の……、だったら!」
「そういきりたたないでくれよな。華琳からは既に許可を貰ってるし、それに俺は追い詰められるだろう君達二人をこのまま放っておくのは嫌なんでな」
「どういうことですか?」
「董卓ちゃんには世間的に死んだことにして俺たちのところに来て欲しいって事」
「そんなことをして何の得があるのよ?」
「得か~」
美沙緒と一刀がその事を聞いて考えるが……。
「得とかそんなの考え無かったよね」
「ああ。全然そんなの考えてなかったな」
「何よそれ」
「まあ言えることは一つあるな」
「何ですか?」
「俺は生きられる命なら救ってやりたいと思ってる。それに……」
「?」
「俺は可愛い子の味方なんだな。これが!」
一刀は笑顔で答える。その様子を見た凪達は若干引いた。
そして一刀の説得に応じ、董卓と賈駆は一刀の元に行くことになった。
その際に董卓は名を捨て、真名を教えた。真名は月。賈駆も月と一緒にとの事で真名の詠を教えた。
とりあえず二人は張三姉妹と一緒に匿うことになった。
その頃……。
「待て! 貴様が張遼か!」
春蘭が張遼を追っていた。
「あちゃぁ、このクソ忙しいときに。一騎打ちの申し込みなら、もう締め切っとるぞ!」
「そんなことは知らん! 私との勝負に応じるまで追いかけるまでだ!」
「その目…ダメっちゅても仕掛けてくる目やな。恋や華雄っちと同じ目や」
「貴様も同じ目をしているぞ?」
同じ武人同士、春蘭と張遼は馬を降り、対峙する。
二人の戦いを邪魔しないように秋蘭が周りを警戒する。
「いくで!」
「おう! 来るならこ…」
「姉者!」
秋蘭が叫ぶ! その瞬間に春蘭の眼前には一本の矢が刺さろうとしたが、その矢は何かに落とされた。
その矢を叩き落したのはエンジンブレードのジェットから放たれたエネルギー弾であった。
「北郷!」
「何故ここに?」
「いやな。何でか知らんがお前の身が危ないと思ってな……」
一刀は突然ふと思い、凪達に月達を任せて、自分は急いできたのだ。
「ちょっと邪魔しちまったな。それじゃあな…」
一刀は春蘭と張遼の間から去る。
「水を差されたが待たせたな、張遼。さあ、一騎打ちの続きと行こうではないか!」
春蘭が剣を構え、張遼も武器を構える。
そして二人は激しく戦い勝負は春蘭の勝ちであった。
「もう悔いは無いわ……さ。殺しぃ」
「何を馬鹿なことを…。貴様にはこれから、華琳様に会ってもらわねばならんのだ」
その後、張遼は春蘭との戦いもあって華琳の元に降り、真名を霞(しあ)と名乗り、華琳の元には新たなる武将が加わった。
城に戻った後、一刀は…。
「くそ、いてて……」
頭を抱えていた。
「うう……」
しかも美沙緒も頭を抱えていた。
「美沙緒もか……」
「一刀も頭痛そうだね……」
「ああ、だがおかげで少しは思いだせた。俺達は……」
「『ムーン・ロック』隊のメンバーで……」
「俺がその隊長だったってことくらいだ」
「後は……」
「赤い鎧の奴……くそ、名前が思い出せない。そいつが敵なのは覚えてるんだが……」
「………これ以上は思い出せそうにないね」
「ああ……。そのせいか頭の痛みも収まって来たな……」
「うん……」
一刀と美沙緒はいつもの状態になる。
「記憶が戻って来ると頭が痛むな……」
「うん……」
「うん? そう言えばアクセルドライバーを持ってたあの占い師、何て言ってたっけ?」
「確か流れに逆らうことが記憶を取り戻す方法だけど、それは自分の身を滅ぼすって……ようなことだったはず……」
「じゃあこれはその身を滅ぼす前兆ってことなのか?」
「かもね……」
「流れに逆らったとなるとどれになるんだ?」
「う~ん、よく分からないね」
「まあ仕方ねえ。とりあえずはいつもどおりにするか。まだ『ムーン・ロック』がどんな部隊だったか思いだせないしな」
「だね」
一刀と美沙緒はいつもどおりにすることを決めた。
おまけ
作者「第6話なんだな。これが!」
一刀「何か仮面ライダー×真・恋姫無双 魏編の時と展開似てないか?」
作者「まあ注意書きにも書いてる通り、それを元にしてるからな。無理無いぜ」
一刀「いや、変えろよ」
作者「そう言うな。仮面ライダーの力なら恋にも勝てるって俺は思ってるんだからさ……」
一刀「まあどうせ謝る気はないだろうし……」
作者「次回は今まで謎にしていた『あいつ』がちらっと出てくるぞ!」
一刀「『あいつ』って誰だ?」
作者「ニコニコにあるある物を見ていれば原作を知らなくても分かるはずだ。そして何とか第10話までは出来たから今日の夜か明日の朝には投稿予定だ。それでは!」
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この作品の文章には仮面ライダー×真・恋姫†無双 魏編で使われたものが多々あります。
そして一刀の態度や口調が原作と違うことをご了承してください。
また本作の一刀の設定のため、一刀のパートナーとなるオリジナルキャラクターがいます。