No.136086

恋姫異聞録49 -西涼の英雄-

絶影さん

涼州攻略まだまだ続きます

前回48.800話では楽しんでいただけたようで
満足しております。読んでくださった皆様
コメントくださった方感謝しております^^

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2010-04-12 23:05:42 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:14023   閲覧ユーザー数:10997

ガキィィィィィィン

 

槍と剣がぶつかり合い火花を散らせる、対峙してからもう何合打ち合っているのか解らない

 

「なかなかやるではないか、まさか鉄心以外に俺の槍に着いてこられる奴が居るとはな」

 

「霞に比べればそのような槍など」

 

そう答える春蘭は肩で息をしてしまっている。度重なる連続の突きを何とか受け流し、弾き逸らしているが

韓遂の神速の霞に迫る速さに春蘭は攻撃が返せなくなってしまっていた

 

まずい、負けないにしても華琳様の所に迎えない。何とかしなくては・・・

 

「どうした、主が心配か?だが俺を倒さねば曹操の下へはいけんぞ」

 

「心配などしておらん。私は華琳様の勝利なされる所が見たいだけだ」

 

「そうか、俺も鉄心が負けると思っていない。お前を始末した後、曹操の負ける様をゆっくりと見にいく」

 

韓遂はそういって笑うと山のように腰を落として槍を構える。

 

奴の槍は横に範囲が広く突きを撃ってくる、柄を長く持つことで威力と攻撃範囲、そしてあの速さ

やはり使い方が巧い、昭と槍の技を調べておいてよかった。私一人では調べるなどできんからな

 

さて、どうするか・・・

 

「つりゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

思考が敵の攻撃から移った瞬間を韓遂は見逃さず凄まじい速さの連続突きを放つ、春蘭は一瞬の隙を突かれ

突きを裁ききれず左の頬に槍を掠めてしまうが何とか後ろに飛びのき距離を放した

 

頬からは一筋の血が頬を伝う、春蘭は頬から伝う血を指で掬い頬を指で確認すると肩が震えだした

 

「どうした、血を見るのは始めてではあるまい?それとも臆したか・・・・・・む?」

 

韓遂は自分の声が聞こえていないのを理解するのと同時に、春蘭の体から殺気と怒気が爆発するように

弾け出しているのを感じ、つい槍で防ぐような格好を取ってしまった

 

「・・・貴様、もし義眼に当たったらどうするつもりだっ、また義弟を泣かせるつもりかっ!」

 

春蘭は怒りと共に爆発するように韓遂へ飛び掛っていく、韓遂は剥き出しの激しい怒りに圧され槍が遅れてしまう

が咄嗟に柄の中ほどを持つと至近距離での連続突きへと切り替えた

 

「うああああああああっ!!!!!」

 

「ちぃっ!」

 

春蘭は韓遂の攻撃を前進しながら無理やり回す剣で絡め取り上へ受け流した

韓遂は槍を掴んだまま両腕を上げた状態で一瞬体が固まってしまう

 

「しまった!」

 

「くらええええええええぇぇぇぇ!!!」

 

春蘭は両手で大剣を握り締めると上段からまるで天地を真っ二つにするか如き凄まじい剣撃を打ち下ろす

 

バキィィィィィン!!!!

 

槍を無理やり戻すが防いだ槍ごと韓遂の左腕を切り落としたがそれだけでは止まらず地面に深い斬撃の後を残す

 

「ぐああああぁぁぁっ、ぬかった」

 

切り落とされた左腕を押さえ、地に方膝を着き苦痛に顔をゆがめる韓遂に春蘭は剣の切っ先を突きつける

 

「私の勝ちだ、死んでもらう」

 

韓遂は斬られた槍を右腕で拾い上げ、顔には苦痛に耐えながら笑みを浮かべた

それを見ながら春蘭は大剣を振り上げ止めを刺そうと振り下ろす瞬間、華琳の居る本陣から凄まじい音が聞こえた

 

「なっ、何だ今の音はっ!華琳様っ!!」

 

「ぬぅっ!鉄心かっ!」

 

韓遂は誰がこの音を立てたのか解ったようで顔を更に笑みに変えた。それを見た春蘭は韓遂に背を向け

華琳の元へ走り出してしまう

 

「まてっ!俺をこのままにしておくつもりかっ!」

 

「勝負は着いた。それ以上やりたいのなら勝手について来いっ!」

 

春蘭は振り向いて叫ぶと走り去ってしまう、韓遂は顔を顰め斬られた左腕に乱暴に布で処置をすると後を追う為

走った。武人として最後まで戦う為に

 

 

 

 

馬超に一息で三射される矢が襲い掛かる、それを叩き落し秋蘭との距離を一気に詰めていく

 

「その弓たたき折ってやるっ!」

 

突進してくる馬超に対して冷静に弓を更に速射するがまた矢は叩き落され、槍の間合いまで近寄られてしまう

 

「あたしの距離だ、覚悟しろ!」

 

「・・・フッ」

 

秋蘭は軽く笑うと弓を回転させた、すると弓の上弭と下弭から槍の穂が飛び出す。

接近した馬超は槍で突きに来るが秋蘭はそれを穂先でいなし、至近距離から矢を速射した

 

「うわっ!何だそれっ!!」

 

「甘いな、接近戦でも弓は使える」

 

「弭槍か!?いつの間にそんなものを?」

 

後ろで驚く男の顔を柔らかい笑みで見ると、後ろに飛びのいた馬超に更に追い討ちといわんばかりに

矢を速射し始めた。

 

「フフッ、この間真桜に刺繍を教えてもらったときだ」

 

そういって矢を撃ち続け、馬超はその場に釘付けに去れてしまう。しかし馬超は矢を払い、弾くと

息を大きく吸い込み、細く絞る様に吐き出し、腰を低く先ほどの馬騰と同じ構えを見せる

 

「中々やるな、だけど父様がさっきあたしに槍を教えてくれた。あれは父様の槍の極意」

 

「む・・・」

 

「言葉を交わさなくても解る、やっと最後の技を教えてくれたんだ。だから負けない」

 

馬超の荒々しい殺気や気合は急に身体に押し込まれ、静かに山のように爆発する時を待っているような

構えに変わる。それを見た秋蘭は男の身体を馬超から守るように立った

 

「蒲公英、銅心おじ様の所へ行ってくれ、ここは私とお父様で大丈夫だ」

 

「うん、わかった前線を引っ張ってくる」

 

「昭は動くな」

 

「気をつけろ、一瞬の隙や動きを見逃さず突いてくる」

 

男を安心させるように軽く笑うと弓を引き絞り馬超の額に狙いを定める。それに対して馬超はピクリともせず

動きを止め必殺の一撃を放つ為、秋蘭の矢を放つ瞬間を狙う、まるで二人とも御互いの頸に剣を突き付けあって

居るように動かない

 

やるようだ、昭の言う通りこちらの隙を見逃さないように大地に足を着けつま先に力を溜めている。

これは放った瞬間やられる、それに弓を引き絞って待つ私のほうが若干不利か・・・

 

「秋蘭」

 

「手を出すなよ、私を卑怯者にしないでくれ」

 

 

 

 

額からは汗が流れ落ちる、極度の緊張で顔に余裕が無くなっていく、これでは華琳様を助けにいくどころか

私がやられてしまう、何か手は無いか・・・・・・あれはっ!

 

流れ落ちる汗が秋蘭の目に入り目をつぶった瞬間、馬超が溜め込んだ力を爆発させ凄まじい速さで喉に

向かって突きを放ってくる

 

「秋蘭っ!」

 

矢を放ち、地面に吹き飛ばされた時に落ちた男の偉天の剣を蹴り上げ、手に取ると槍に合わせて切り上げた

 

キンッ!

 

軽い音と共に馬超の槍は切り落とされ、槍の穂が地面に刺さる。が馬超はそこから止まらず石突を秋蘭の

胸に叩き込み、秋蘭は吹き飛ばされてしまう

 

「ぐぅっ」

 

「ふぅっ、やっぱり剣を取ったか、悪いけど穂先が無くてもこの技があるならあたしは負けない」

 

そういって吹き飛ばされ口から血を流す秋蘭を見下ろす。馬超は切り落とされた柄だけの槍を構え攻撃を

仕掛けようとした時、後ろから凄まじい殺気が放たれた

 

な、なんだ?後ろか?駄目だっ、今後ろを向いたらきっとあたしは殺されるっ!なんでかわからないけど

全身が焼かれるような殺気、父様からだってこんな殺気は感じたことがっ

 

馬超の眼前で倒れる秋蘭が自分の怪我も省みず、慌てて立ち上がり馬超の横を倒れこむように走り抜ける

秋蘭を攻撃しなければならないのに馬超は身体を動かすことが出来ずにいた

 

「大丈夫だ、私はまだ動ける」

 

「・・・・・・」

 

「お願いだ、落ち着いてくれ」

 

「・・・・・・」

 

「おね、お願い」

 

必死に男を抱きしめる秋蘭は、男の腕で気を失ってしまう。男は優しく秋蘭を抱きしめると剣を手に取り

秋蘭を守るように抱える

 

「な、なんだったんだ今のは、アンタか舞王?」

 

「・・・秋蘭は殺させない、俺が守る」

 

身体を動かせなくなるような殺気は消え去り、動けるようになった馬超は後ろを振り向くと

そこには前に見た優しい守る気迫を纏い、気を失った秋蘭を身体で包むように守る男が居た

 

 

 


 
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