No.136020

幻想卿に男が降り立った様です

kikiさん

TINAMIというサイト名さえ忘れ受験を終えた頃なんとなく思い出した。まさか放置気味の作品があるとは・・・TAT
ネカフェで再開ー!

2010-04-12 18:31:08 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:785   閲覧ユーザー数:743

 

「うぇっへっへっへぇ~・・・・・・」

 

やぁ、みなさんお元気でしょうか。神雅です。現在私、魔理紗邸の目の前でございます。

いままで募り募った恨みをここで晴らせるかも知れないと思うと、女の家に入るなんて怖くありません!警察なんか怖くない!ワッハッハッハー!

 

と、心で高笑いしてる神雅は、ランプのついたままのその家のドアに手を掛けていた。

今から開けようという瞬間にこの上の文を脳内で独唱しながら薄気味悪くヒッヒッヒ、と引きつり笑いをしている所である。

 

場所はどこかの森。それとしか神雅は理解できていない状況である。

なにせ、つい数分前までは魔理紗に追い掛け回され、チルノに追い掛け回され、近所付き合いが上手く言ってるもっとも人間っぽいサボり癖のあるメイリンさんに追い掛け回されていたのだ。

 

理由は、彼の不可思議な力と、さらに霊夢によるドジ(空前絶後の大失敗)によるダブルアタックによるものだ。

 

彼、神雅少年の左手には、「全てを掴み、弾く事ができる程度の能力」「上乗せの能力」の二つをこの手に宿している。掴み弾く力というのは、ある一定の物に触れる事ができ、そして弾き返す事ができる能力。どうも、触れられない物もあるそうだが、、それも 俺の腕の関節までがその能力の覆われたラインで、肘から上はただの腕だという。

 

そして上乗せの力は、その掴んだ物に力が掛かっていた場合、ソレをさらに上乗せ、つまりその力を増大させる力。これにはまだ判らずじまいな所もあり、時にはそれを2倍にも、3倍にも増幅して跳ね返せるとか。

 

つまり、俺の手は、いかなる物でも弾く最強の盾だという事で、まぁ、しかも受けた攻撃を攻撃力を増した状態で撃ち帰せるのだ。

その力の噂を聞いた蜘蛛の妖怪 才蛛 との戦闘をせざるを得なくなり、なんとか勝つ事ができたのだが・・・。

問題はその後である。 

その後霊夢に頼んで傷薬を用意して、使ってみればあら不思議、体が透明になってしまった。

どうもこれは、忘れもしないあの化け物染みた医者の一品なのだとか。

神雅はその力の宿る腕を残し、全身が透明人間化している状態なのだ。

傍から見れば、腕が空中に浮かんでいる様ににしか見えない、ただの化け物状態なのである。

そこにタイミング悪く、神社に飯を集りに来た魔理紗に見られて、妖怪と間違えられて追いかけられ・・・・・・・・・・「ふっふっふ・・・・・魔理紗ぁ・・・・・今日こそはお前の鼻を明かしてやる・・・!!」

 

最初に戻るのである。

風が吹いて、暖かくなった神雅の体を冷す。それでも頭を冷すまでにいたらず、ただただ魔理紗への日ごろの恨みを晴らすべく魔理紗の家を漁って弱点を探そうとしているのだが・・・ここで神雅は気づく。もうほとんど扉を開けようと力を込めている状況で、やっと気づく。

 

なんでアイツ、出かけてんのに、  明かりついてるんだ?

 

 

扉が勢いよく開く。その向こうには、ショートカットの金髪の女の子の裸体があった。

 

「・・・・・・・・は?」

目が点になる。動きが固まり、指一本動いてはくれない。

ただただその美しい曲線を持つ体に目が奪われ、さらに、冷静さを欠いていた。

その扉が開いて三秒ほど固まっていると、ショートカットの女の子が振り返ろうとしているのに気づいて、同時に、血の気が引いていった。ここで気づいた。遅すぎる。

 

 

ここは魔理紗の家ではなく、違う人の家だったのだ。

 

 

(や、ヤベエエエ・・・・・・・・っ!!)

透明な状態になっているのも忘れ、どこか隠れる所を神雅は見渡して探す。

するとすぐ横にベッドがある。ベッドの下の空白はかなり大きい。ここになら隠れられる!!

それをとっさに判断して隠れるまでに1秒掛からない。

まるで突風の様に反応してベッドの中に滑り込む。多少大きな音はした、それに少し不審がりながら女の子は振り返る。

 

ドクン・・・ッ ドクン・・・・・ッ  心臓がまるで太鼓の様にうるさかった。音の大きさが忌々しい、

バレる!バレてしまう!

 

実際はさほど大きくない心音にガクガクブルブルしながらベッドの下でその結果が早く通りすぎるのに祈りを込める。

 

「・・・・・・・・あら?なんで扉が・・・・・・・・?」

 

ドキィィィイイン! 心臓が大きく高鳴る。 

ドク、ドクク、ドク、ドクドク・・・ッ!

鼓動のリズムが早まった。心音そのものが耳に響いて冷や汗が止まらない。

少女の足だけ見える状態で、神雅はその瞬間を早く早くと待ちわびているようだった。

 

「・・・・・・・・・・・・風、かしら・・・・・?」

と、少女の足は動く。ゆっくり動きだすのに、体がビクゥーン!と反応する。

しかし物音は、少女が歩く時の音以外は存在しない。

 

扉がギィー、と音を立ててゆっくり閉まっていく。バタン、と扉がしまったら少女は方向を転換、とてとてと綺麗な足を見せ付ける様に歩いていって、別の扉を抜けて奥に行ってしまった。

 

「・・・・・・・・・い、行った・・・・・か?」

自分に訴えかける様に言葉を搾り出す。現在はこれが限界だったのだ。彼の今の精神は、子供の頃畑仕事してるじいちゃんに声を掛けて、じいちゃんが鎌を持ったまま振り返り、鼻筋を鎌が掠って行ったあの瞬間と同期だったのだ。

精神状態からして、彼は今しにそうになっている。

「よ、よか、よよよかったぁ・・・・・!」

涙目になりながらそうつぶやいてしまっていた。

そして、ふと彼女の裸を思い出してしまった。

 

すらっとした曲線の腰、山形になっている胸、そして、その下の・・・・・・

 

ボフゥン! と、神雅の頭の中を駆け抜けたのは蒸気である。

彼の顔はトマト顔負けの赤々とした顔に変わっていた。

まるで絵の具を肌に塗っている様に真っ赤なのだった。

 

(な、何を考えてる!れ、冷静になれ!神社の跡継ぎの孫!南無南無・・・!!)

頭でとにかくそんな言葉を繰り返しながら、ともかくここから逃げようとベッドの下から這い出る。

 

(うわぁ・・・女の子らしい部屋だなぁ)

 

人形だらけだ。ベッドの上にも、机の上にも、ぬいぐるみ専用の棚まで用意しているようだ。

裁縫道具とあとあるのは難しそうな本だけなとても、かわいい部屋だった。

 

して、机の中心に座っている人形が目に入る。

小さい。俺の手のひらと同じくらいだ。

赤と青の服を着込んでいるその人形が、 ”なぜか気になった”。

まるで、俺が見られている様な、この人形に、にらまれている様な・・・・・。

 

そんな事を考えていると、それはおこった。

 

人形が、くいっと首だけ上げて、俺を  見た    

 

 

 
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