No.135814

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第27話

とりあえず新居が決まったので第27話です。

単身引越しパックの見積が来ないんだけど…

2010-04-11 19:00:22 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:8127   閲覧ユーザー数:7400

はじめに

 

この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫もどきな作品です。

 

原作重視、歴史改変反対の方

 

ご注意ください。

 

 

「いや~参りましたねぇ、まさか董卓陣営にあのような隠し玉があったとは」

 

口ぶりとは裏腹に悠はにこやかに笑ってみせる。

 

「何の用よ…今前線への命令で忙しいんだけど」

 

突然の、しかも戦闘中の来客に桂花は眉を顰めていた。

 

さっそく探りに来たわね

 

こまめに連絡を取っている間諜二人からの連絡が無いとすれば動いてくるのは解りきっている。

だが実際に知った顔が直接乗り込んできたことに桂花は戸惑っていた。

周りの兵もそれを察して悠に警戒の色を見せている。

 

「御大将自らの出陣となれば後の者は忙しいかと思いましてね」

「態々嫌がらせに来たって訳?随分と余裕じゃない…あんたの所も将軍一人がやられて忙しいんじゃないの?」

 

茶を持ってくるようにと従軍の給使に言いつけ、椅子を引いて悠に座るように促す。

 

「あ、どうも」

 

いつでも持ち歩いている自分の湯呑を給使に手渡し椅子に腰掛ける悠

 

「我が陣営に関してはご心配なく…前線で比呂が持ち堪えていますから問題無いです」

「軍師がそんな楽観でいいの?」

 

対面に座る桂花は机の上の菓子の箱の蓋を開け悠に差し出す。

 

「そうですね…奇襲を受けたとはいえ所詮中央の呂布頼みの軍ですから、一当てをして虎牢関に引き下がらなかった時点で我等の勝利は決まったような物です」

「…そんな簡単なものかしら?」

 

椅子の背もたれに重心を掛け顎を促し問いかける桂花

 

それでも余裕であると見せ付けねばならない

此方の状況を読ませる訳にはいかない

天の遣いの消失、不在を知られるわけには

 

 

だがそんな彼女の心内など興味が無いとでも言うかの様に悠は脚を組んで此方を見据える

 

「むしろ何故董卓殿がこのように真正面から立ち向かってきたかを読まないといけませんね」

「どういうこと?」

 

悠の常套手段だ

相手を自分の土俵に乗せてさらにその後の動きも誘導しようとする

桂花はあえて彼の言葉に乗った振りをして見極める事にした

 

突発な事を言って此方を何処に持って行こうというのかしら?

 

否、例え誘導しようとした所で彼には引き出させはしない

相手の発言の裏を読み続ければ彼が気づくはずはない

 

どうぞと給使から受け渡された湯呑に口を付ける悠を睨み

桂花は慎重に言葉を繋げる

 

「董卓の目論見は別にあるとでもいうの?」

「ないですよ…何も」

「はあ?」

 

湯呑をトンと置いて茶菓子に手を伸ばす悠

 

「何もない…というより、『此処には無い』と言った方がよろしいですかね?」

 

早速のカマ掛けに桂花も茶菓子に手を伸ばし冷静を装う

 

「『洛陽』に何かあるとでもいうの?」

 

此方からは尻尾は出さないわよ

 

ポリポリと茶菓子を抓みながら悠の表情を盗む

 

「でしょうな…我々を帝のいる洛陽に入れたくないのであれば帝を捨て、洛陽を捨てて逃げればいいだけのこと」

「そう出来ない理由があると?」

 

 

此方からは問い続ける事で相手に此方の情報を引き出す機会を与えない

 

「おそらく我々を帝に会わせたくないのでしょう…理由として考えられるのは」

「帝が既に亡くなっている?」

「いいえ、だとすればそれこそ逃げればいいだけの話」

「帝が董卓ではない誰かに押えられている?」

「ありえなくはないですが…それはこれから起こり得る事でしょう」

「…?」

「我々の内の誰かですよ」

「ああそういう…」

「ですが是も外れです…彼女は勝つ気でいる」

「まさか!?この戦力差で?」

「純粋に帝に懇意にしているのでしょう…そして」

 

トントンと湯呑を突いてみせる悠

 

「時間も無い…と?」

「長時間洛陽を離れられない理由があるのでしょう…それが何故かは解りませんが」

 

茶を啜り、ふうっと息を吐き悠は続ける

 

「問題はこの戦の後、誰が洛陽を手中に収めるかということですよ」

 

洛陽…ひいては帝を手に入れればその勢力が一番の力を持つということになる

帝の絶大な権力を欲しいままに動いた董卓のように

今回の反等卓連合の意義を叶えた上でトップに上り詰めれる、参加している諸侯の誰もがこの利を得ようとしている

 

「先の事ばかり考えて足元掬われても知らないわよ?」

 

桂花の牽制に悠は笑ってみせる

 

「口に出さないだけで誰もが同じ事を考えているでしょ?…それに」

「何よ?」

「抜け駆けはさせないということですよ」

「は?」

 

満面の笑顔の悠

 

 

「…『天の遣いがいない』貴女の陣営は暫くは目立てないでしょう?」

 

途端

天幕に控えていた兵の全てが彼に向けて武器を構える

 

「無駄ですよ…既に比呂に事の次第を伝えに伝令を走らせましたから」

「…あんた」

「忍びこませた間諜が二人だけだとでも?一人を目立たせ、もう一人が連絡を取っているように見せかける…本命は」

 

目の前に光るそれを向けられても何も無いかのように茶を啜り

 

「二人のやり取りを暗号に動く三人目が居たという事ですよ」

 

してやったりと舌を出す

 

「ちなみに俺を殺しても既に意味ないのは解りますよね?俺が戻らねばどうなるか聞くまでもないでしょう?主力が前線に出払っている貴女達に全滅以外の選択肢しか残りません。」

 

見る見る内に顔が青褪めていく桂花

 

「そうそう…比呂には呂布軍と当っている貴女達を尻目に董卓の身柄を押えるように伝えています」

「っ!?」

 

信じられないといった表情の桂花に再度笑いかけ

 

「精々『飛将軍』の脚を止めておいて下さい…連合から弾かれたくなければね」

 

悠は此方の情報を引き出しに来たのではない

宣言に来たのだ

忠告という名の脅しを以て

 

取り分は此方で頂くと

 

帝と董卓は相思相愛と読んで董卓の身柄を抑えるために

 

「お茶ご馳走様でした」

 

立ち尽くす兵達を尻目に天幕の外に向けて歩き出す悠

 

と…入り口で振り向き

 

「因みに天の遣いの事は『我が陣営しか知り得ていない』のであしからず」

 

他の陣営も思いのままに動かせると暗に言ってのける

妙な動きをすれば忽ちに曹操陣営を踏み潰すと

 

天幕を出て行く悠の姿は連合の今の状態を体言している

味方の様相をしているが我々は敵同士でもあると

 

「くっ…」

 

唇を噛み締める桂花

 

口の中に

 

血の味が広がった

 

~洛陽~

 

「あれが帝都…洛陽」

「そうよん♪どうやら抜け駆けしたお馬鹿さんがいるようねん♪」

「かっかっか!洛陽を燃やして混乱の中で帝を取り押さえるか…やるようだのう」

 

街から立ち上がる火の煙に三人は顔を見合わせる

 

「準備はいいかしらん…ご主人様?」

 

その言葉に頷き

 

「心配は要らんぞご主人!漢女道正統継承者のこの儂等の拳がご主人を守って見せようぞ!」

 

その言葉に手の中の刀を握り締める

 

「二人に頼ってばかりはいられないさ…俺にだって少しは出来るってところを見せるよ」

 

彼の決意の目に二人が悶える

 

「ああぁん!その目に見つめられちゃうとクラクラしちゃう♪」

「うむ!儂のハートがムネムネしよるわ!」

 

そんな二人を他所に洛陽の奥…帝がいる後宮に視線を向ける

 

 

大局を外れることで俺が消えるのなら

たとえ辿り着く先が決まっているとしても

 

 

「修正して見せればいいんだろう?」

 

…俺の役目は

 

 

あとがき

 

此処までお読み頂き有難う御座います

 

ねこじゃらしです

 

休むと言ったものの書きたい衝動がムラムラと

新居決まったし息抜きしてもいいだろうと

てゆうか土日で書けばいいじゃんよと

ネットが繋がっている間は頑張ります

といっても不定期更新は免れないですけど

 

それでは次の講釈で


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
34
5

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択