No.135269 遥の試験対策2010-04-09 06:45:53 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:685 閲覧ユーザー数:665 |
「特別補習? えー。そんなぁ」
テストの結果がアレだった遥はGWを前に痛烈な洗礼を受けた。
「おねがいしても……ダメだよね。やっぱり」
決定事項に無駄な抵抗をしてもそれが覆る訳も無く。
「ノートの文字が写ってるわよ。ホント、遥はバカなんだから!!」
笑いを堪えながらクルミが毒づいた。
「顔に文字が写ってるの?」
と、鏡を見ればプリントの文字がくっきりと写っている。
「さあさぁ遥さん。これで顔を拭いてください」
プリントの文字が写った顔を隠すように葵ちゃんが拭いてくれる。
来週のGWが全部補習。この現実を覆すのはかなりの難関である。
「ずっと楽しみにしてたのに~。お仕事がやっと無くなったのに」
秘密にしている事をポロリと喋ってしまう。
「水無月さん。お仕事ってあなた、何かしているの?」
「ち、ち、違います!! 葵ちゃんが平之丞さんを呼ぶと、いつも
にゅって出てくるから考えると気になって眠れなくて少し平之丞さ
んの仕事が減るかなぁって」
「言い訳は聞きません! 特別補習には必ず来る事。いいわね?」
バレバレの嘘だが、先生は遥にはうんざりといった表情でそれだ
けを言って教室を出て行ってしまった。
「とても疲れているように見えましたね」
「なぜかな?」
「え? 遥、アンタ本気でそんな事言ってるの?」
「テストで挽回しないといけませんね」
みるみるうちに「しょぼーん」となる遥。
「要は頭の回転が遅いのよ回転が」
「とりあえず頭の回転が早くなればいいんだよね。わかった」
またとんでもない事になる、とこの時、遥とクルミは思った。
ランチタイム。西条先生は飢えていた。カップ麺のストックは既
に無い。水が入ったコップを手にして外を眺めていた。
「いいわねぇ」
出来るだけ空腹の事は考えないようにする。20分これで潰した。
所持金、残り12円。何も買えない。やっとチャイムが鳴った。
気持ちだけは中庭にいる、あの3人組が食べていた弁当よりも、
リッチな食事をしているつもりになって水を飲み干した。
とにかく。体力は使いたくない。
「だけど、エネルギーを使わされるのが一人いるのよねぇ……」
「ダメです! 遥さん。そんなに急ぐと危ないですよ」
「だって。教室移動なのを忘れてたし! 予鈴鳴ってるし! わっ」
「大丈夫ですか? 遥さん」
すみません、と、相手の方を見るとあろうことか西条先生。
嫌なタイミングである。授業であんな事を言われた後なのに。
無事そうだったので一言謝って逃げるようにその場を後にした。
理科室で物理の実験。遥は今回だけは珍しくやる気だった。
体育の時間よりも、である。切羽詰まった頭に、クルミの言葉が
残っていたからであって絶対に向学心が芽生えた訳ではない。
「落下する物体は落下する事で起こる風に対して揚力を作るのです。
こんな風に」
「なるほど~落ちていく時に回ると速度が落ちるんだね」
ノートに書き写している。横にレッドエンジェルのイラストも。
「こんな風? う~ん」
「は……遥さん! いきなり立ち上がって。授業中ですよ!!」
天井に向かってエンジェルトルネードのポーズを取っていた遥を
必死で止めに入る葵。
「何だ? 水無月。寝ているお前が今日は珍しいな? よし、つい
でだ。水無月、神無月もちょっとこっちに来て実験を手伝え」
「もっと威力を上げるには落ちるときに回転を落とさないといけな
いんだね。え~い!!」
大爆発。なぜ揚力の実験でこうなるのかは永遠の謎だ。
「説明してもらおうか? 水無月」
無事(?)に授業は終わった。平之丞のおかげである。
「張り切ってるわね! 遥! 今日はアンタらしくないじゃない!
さー次行くわよ! 別に遥の為にやってるんじゃないんだからね!」
当然、クルミは自ら付き合ったりしない。葵に頼まれてである。
バカにされてばかりのクルミに褒められて調子に乗る遥。
「いっくよー。エンジェル・トルネード!!」
2回目のトルネードは授業で習ったように回転を落としている。
「いい感じ。なんだか強くなりそうな気がするよ」
気のせいです。遥さん、といいたそうな葵。
真剣にやっているのを見てそれを言い出すのは気が引けるのだ。
「すごい! 遥! 威力だけはバカみたいに上がってるわね!」
何度もクルミが褒めている。「バカ」の所だけ強調しているが、
今は少なくともいつものようなヤジではない。
なんとしても補習を避けたいという気持ちがにじみ出ていた。
クルミに頼んだのもそれが理由だ。
友達と一緒にすれば効率が上がるのも確かだけども。
「よーし。コレでラスト!!」
これは、ちゃんと言った方がいいのではないだろうか、と思う。
全く試験とは関係ない事をしている、という事に。
状況は最悪だ。試験対策を全然していない。本当にどうしようか
しら、と葵は額に手をやった。
「ラストもばっちり決まったね!」
「ラをテに変えても遥さんなら出来ると思いますよ」
「ラッキーな問題でもあれば何とかなるんじゃない?」
ブイサインをしている遥を横目にクルミはあきれたように言った。
理科の授業でやった実験の通りに試して特訓したエンジェルトル
ネードは、試験には全く関係が無い。そんな試験中。
「う~ん。難しいけど」
意外だった。記号問題が多い。これならば、遥でも適当に埋めて
なんとかなるかも知れない。だが、最後には罠が待っていた。
「ク……と。これで一応記号問題はあと3問」
「か。が。み……最後は線で繋ぐ問題。ラッキー」
例にならって関連のあるものを線で繋ぎなさい
2ちゃんねる・ ・萌えない
3 次 元 ・ ・土曜日深夜32時の諸兄
常 考 ・ ・逝ってよし
「ピンチだよ! この問題、全然国語と関係ないよ!」
ただ線で結ぶだけの問題に遥は思わずツッコミを入れた。これは、
国語の問題と言うより、踏絵である。正解すると後で遥は2ちゃん
ねらーとして今後冷たい視線を浴びていくか、それとも間違えて補
習する事を甘んじるか、の2択を西条先生は日頃の恨みとばかりに
持って来たのである。
「ピンチの時は確か……ぴぴるぴるp……」
バットが飛んできたように感じたが、そんな時間はない。
「た、大変! 時間がもう無い……」
5秒前……4……3……2……1……キンコーン。
ラストは無常の鐘の音。用紙はモチロン言わずもがな。
過ぎた事は仕方がない。遥は今回も補習確定。
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文字を30字で揃えたので、途中改行が数個所あります。
読みにくいですがその点はご了承ください。
歌詞を仕込みました。暇な人は探してみてください。
まだ未熟なので縦読み+SSは今ひとつです。
電波文にしか見えません。
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