No.135225

恋姫異聞録47 -西涼の英雄-

絶影さん

涼州攻略まだまだ続きます^^

最近仕事が忙しくなってきましたので更新が
少し遅くなります。申し訳ありません><

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2010-04-08 23:41:50 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:14712   閲覧ユーザー数:11989

 

 

敵陣を無人の野を行くが如く馬を走らせるその男は槍を片手で振り回し、敵兵をまるで木っ端を吹き飛ばす

様に薙ぎ払ってゆく

 

「おおおおおっ!邪魔だっ、死にたくなければ道を空けよっ!」

 

男の怒号に兵たちは怯む事無く、王への道を塞ごうとその身を盾にして男の進路に立ちふさがっていく

その様を見ながら男は嬉しそうに笑い声を上げた

 

「はっはっはっ!良き兵たちだっ、しかし貴様らの王は兵を盾に引篭もる臆病者かっ!」

 

自分達の王を言葉で穢された兵は、怒りをその顔にあらわにし更に男の進路を塞ぐべく身体を寄せ合い

盾を構え、槍を向ける

 

「おお!素晴らしき精兵よっ!だがこの己を止めるにはまだ温い!」

 

男は馬を左に飛ばし、槍を構える兵達の真横に着地すると端から槍の向けられない兵達を蹂躙していく

 

「どうした覇王!貴様は後ろで見ているだけか!」

 

「父様っ!」

 

「翠、追いついてきたか」

 

男の隣には馬に跨るポニーテールの女、槍を持ち何とか男の駆ける馬に追いつこうと必死であった

 

「は、早すぎるんだよまったくっ!あたし一人しか追いついてない!」

 

「そうか、ならば己から離れるなよ、曹操の下までこのまま駆ける」

 

「あっ!ちょっとっ!」

 

そういうと男は更に覇王の居る敵本陣へと馬を走らせる。馬を縦横無尽に走らせ敵兵を縫って走る様は

兵たちに自軍最強の騎手、一馬を思い出させた

 

「華琳、くるぞっ!」

 

「ええ、やはり私との直接対決が望みのようね。呂布とは違う強さ・・・いや巧さといったところね」

 

「ああ、こっちの陣形の弱い所を巧に攻めながら進んできやがる」

 

馬騰は時には兵の並ぶ横を突き、そして兵達の頭を飛び越え、馬でフェイントまで入れながら確実に

こちらに近づいてくる。元々偃月陣は敵に切り込み包み込む陣形、自軍の大将が前に出るのを

補うのに春蘭を前に置いたと言うのに来るのが早すぎる、春蘭は無事なのか?

 

「馬騰が来る、なんて奴だ」

 

「解っているわね、昭」

 

「ああ、手を出すなって言うんだろう?後ろから馬超が来ている、何とか押さえてみるさ」

 

男の答えに笑い顔で返すと「絶」を握る手がギシリと音を立て、その眼は鋭く馬騰を睨みつける

 

俺の舞は足場が剣だらけになるし華琳の邪魔になる。回りに誰も居らず俺一人で戦うならやれるが

味方の兵が多いこの場では役に立たないどころか足手まといだ

 

「兵たちよ道を空けよっ!馬騰は私が討つ!」

 

「道を空けろ、馬超は俺が受けきる!」

 

華琳はし死神鎌「絶」を構え口に端がつりあがっていく、馬騰が近づいてくるのをまるで子供のように喜んでいた

 

それを横目で見る蒼き外套を纏う男は両手に巻いた包帯だらけの手を前へかざし、兵たちに道を空けさせると

美しい輝きを放つ剣と紅と青の混じった剣を鞘から抜き取り構える

 

 

 

 

「舞は使っちゃ駄目よ」

 

「解ってる、邪魔になるからな」

 

「ええ、それと」

 

「ああ、怒らないよ」

 

兵達が開き覇王への道が開かれる様を馬騰は華琳と同じように笑い、そして更に馬を加速させた

後ろに続く馬超も馬騰に必死に馬を追うが少しずつ離されてしまう

 

「クックックッ道を空けるか、見事だ!己と貴様のどちらが上か存分に仕合うとしよう」

 

「くそっ!いた、武王を倒さなきゃ、あたしは、あたしはっ!★△◇◎※■っ!!!」

 

本当にアイツに似てきたな、髪の色も背格好も・・・あの性格までそっくりだ、まるで生き写しとしかいえん

俺に似たのは扁風だけか、それも見た目だけだ、この白く薄紫色の髪の毛とあの眼の色

 

「はっはっはっ!お前は死んだ母に似て初心だな。」

 

「こ、こんな時になにを言うんだよっ!」

 

「そうだな、さて己は先に行くぞっ」

 

そういうと馬騰は馬を加速させ敵兵の作る道を走る。華琳の目の前まで駆け寄ると馬から飛び降り

真紅の覇気を垂れ流す

 

「さて、手合わせ願おうか覇王よ」

 

「望む所よ馬騰」

 

二人が回りの兵も怯えるほどの覇気を纏うと弾かれた様に地を蹴り武器を交える

 

ガキィッ!

 

「華琳っ!」

 

「お前の相手はあたしだぁぁぁぁっ!!!」

 

ぶつかり合った瞬間、衝撃で飛ばされる華琳に眼を奪われた隙を遅れて駆けてきた馬超の槍が襲った

 

ザシュッ!

 

「ちぃっ!」

 

「くっ!」

 

間一髪で身を捻り攻撃をかわすと槍は地面をえぐり、馬超の槍の攻撃力をえぐれた地面が物語っていた

 

「次は当てる、覚悟しろっ!」

 

そういうと馬超は槍を構えなおし、男に向けた。その体からは馬騰ほどではないが闘気を纏い必殺の攻撃を

繰り出そうとしている

 

前に動きを見ることが出来ていて本当に良かった、でなければ俺の腹はあの地面と同じにえぐれていた所だった

華琳が心配だが俺にはそんな余裕が無い、今は馬超の攻撃を防ぎきることだけを考えなければ

 

「昭様っ!今武器をっ!」

 

「やめろっ投げるなっ!華琳の邪魔になるっ!」

 

「しかしっ!」

 

兵たちに「桜」をもたせたのは良いがここでは使えない、手持ちの武器は四本の剣と刀

なんとか持ちこたえられるか、この眼で見切って防ぐだけなら何とか

 

「こないならこっちから行くぞっ!はぁっ!!」

 

 

 

 

馬超の槍が一直線に俺の心臓を狙ってくる、俺はとっさに青紅の剣で防ぐが華琳と同じように吹き飛ばされてしまう

 

「ぐぅっ」

 

「どうだっ!武王がきいて呆れるぞ、その程度かっ!」

 

どうやら急所を確実に狙ってくるようだな、始め見た時の感じだと猪突猛進と言った所だったが

戦闘になると冷静に急所を狙ってくるようだ、それなら攻撃箇所は限定される

 

「なっ!あたしの槍がっ!」

 

「?」

 

驚く馬超の槍の穂先は刃こぼれをしてしまっている。馬超はなにが起こったのかわからず刃こぼれした槍を

ただ見つめてしまっていた

 

「・・・まさかっ!」

 

俺は華琳の言葉を思い出した。青紅の剣と偉天の剣は気をつけろと言っていたのはそういう意味かっ!

なんてもの俺に渡しやがるっ!気が付かないで腕で弾いていたら腕はズタズタになっていたぞ!

 

「なんて切れ味の剣、あたしの「銀狼」が・・・」

 

良かった、動揺している。なんとかこれでもたせることが出来そうだ、華琳が勝つことを信じて防ぎきらなければ

 

「くっ、さすがは武王ってことか!そんな剣を持っているなんて」

 

「さっきから気になっていたんだが、俺は武王じゃないぞ舞う方だ」

 

「え・・・・・・?」

 

やはり勘違いしていたようだ、俺の言葉を聞いて顔が耳まで真っ赤になっていく

 

「う、うるさいうるさいっ!そんな事はどうだって良い!あんたを殺さなきゃ、あたしはあんたと結婚しなきゃならないんだっ!」

 

「ふぅ、俺には嫁さんがいる。それはないっ!」

 

俺の答えに馬超はなぜかますます顔が赤くなっていく、俺としては動揺してくれたほうがやりやすいが何で余計に

赤くなるんだ?

 

「父様が決めた事は従わなくちゃいけないから覚悟を決めていたのにっ!絶対あんたの頸はもらうっ!」

 

なるほどそういうことか、素直な娘なんだな。なら余計に槍筋は見切りやすい、華琳が俺にこの剣を渡した意味が解った。

これで防いで武器破壊をしろということか、敵を殺さなければ俺の心も持つと思ってくれたんだな

 

ならば余計に死ぬわけにはいかない、馬超の攻撃を防ぎきって槍を破壊してやる

 

 

 


 
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