No.135178

恋姫無双 ~天帝の花~ 4話

夜星さん

外史の自由な物語のタイトルが変わったので、お気をつけください。
駄文でもよろしい方は、どうぞ。

2010-04-08 21:17:45 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3550   閲覧ユーザー数:2988

 注意書き

 

 これは、外史の自由の物語の第4話です。

 作者都合でタイトルを変えてしまい、申し訳ありません。

 

 太陽は天高く昇り街の人々は、それぞれお得意の店に入る者や新しく開店した場所に心を弾ませ

ながら向かう者等という感じで市は騒がしくなる。

 その人込みの中を歩く人物がいる、それは栄花と星である。いつものように、午前中に調練を済

まし昼食の時間帯となったので、こうしてやってきたのだ。

 

「それで、星さん。今日のお昼はどうします?」

「なんだか、この頃は私ばかりが決めている気がするぞ。たまには、栄花が決めたらどうだ」

 武官だからなのか休日以外は、こうして休憩時間が同じなのでよく一緒に昼食を共に食べる事が

多い二人である。

 

「では、最近噂の棒々鶏(バンバンジー)のお店にでも行きましょう」

「それは初耳だな。この辺で新しくできたそのような店は、なかった気がするが」

 キョロキョロ、とあたりを見回す星。

 城門から真っ直ぐに伸びる表通りは、美味しいお店がたくさんある場所なのだがここ最近は、そ

ういった件の報告は全くなかった。

「いや、新しくできたお店ではありませんよ。なんでも、ここ二、三日元気が良い店員さんがいる

らしく楽しく食事することができるらしいですよ」

「それは、おもしろそうだな。では、さっさと急ぐとしよう。」

 はい、と応え二人同時に走り噂の店に行くのであった。

 

 店に到着すると、赤毛の小さな少女に出迎えられた。

「お兄ちゃん、いらっしゃいなのだ。鈴々急がしいから、空いている席にどうぞなのだー」

 そう言うなり、手に持っていた熱々の料理を注文したお客のところに走り去ってしまう。

 

 店内を見回してみれば時間帯もそうなのだろうか、満員といっていいほどに埋まり辺りからは、

関羽ちゃん可愛いよ、や、張飛ちゃん元気だね、といった声が聞こえる。

大きい店とはいえないが、四つの長机がありそれぞれ、六人ぐらい座れる席はなく、二人掛けの

所も全て埋まっていた。

 かろうじて、厨房の近くが空いていたのでそこに座る、栄花と星。

 

「最初は栄花の事を軽蔑するところだったが、これほどまでにおもしろい所だったとは思わなかったぞ」

 店内に入ってから非難の目で見られ焦っていた栄花だったが、とりあえず一難は去ったようだった。

「おもしろいというのは、分かりませんがよりあえず良かったです」

 ホッと胸を撫で下ろしているところで、黒髪の長い店員がやってきた。

「ご注文はお決まりですか?」

「はい、棒々鶏を二つお願いします」

 かしこまりました、と言い残し去っていく彼女を栄花は目で追っていた。彼女の仕草の一つ一つに花がありなによりも足運びに無駄がなく武芸の心得があると感じた。栄花が、そのどちらに惹かれたのかは、知る由もない。

 

「気づいたか、栄花よ」

 星の目は、真剣だった。

「はい、彼女はかなりの豪傑だと感じます。もしかしたら、星さんと同等もしくは上だと思っています」

 いつものように陽気に答える事はなく、相応の言葉で返す。その言葉に何も言うこともなく、目を瞑る星。栄花の考えに対して、同じようなことを感じ取ったのであろう。

 それからは、お互いに午前中での兵の動き方や午後の警邏について話し、調度よく話しが終わる頃に、料理が運ばれてきたので昼食になった。

 

「そういえば、凛の誘いを断ったそうじゃないか、栄花」

「ぐっ! 食事の最中に驚かさないでくださいよ」

 胸を叩きながら、水で流し込む。

 そんな栄花の行動を眺め、嫌味に笑う星。

 

「凛の進言があれば、曹操殿に仕えることができるかもしれんぞ」

「そうですね、でもいいんですよ」

 笑ってはいるが、少し顔が青いように見えた。

「そうか、悪いことを聞いてしまったら、すまなかった」

「いえ、ただ髑髏ってなんだか気味悪くて嫌だけですから」

「……それは、髪を留めている物のことか」

 はい、と頷き最後の一口を食べ口を拭く栄花。

 

「ぷっ、ははははははは。 まさか、そのような事だけだとは超子龍を笑い死にするつもりか」

「何言っているんですか、重要なことでしょう」

「はは、確かにな。私も一度遠くから拝見したことが会ったのだが、私は百合々しい感じが好きには、なれんのでな」

「それでは、星さんだって変わらないじゃないですか」

 そうだな、と目に溜まった涙を拭き会計を済まそうと立とうとした瞬間―

 

「なぁ、少しぐらい遊んでくれてもいいじゃないかよ。姉ちゃん」

 酒に酔った若い一人の兵士が女性に向かって手を出していた。

「申し訳ありません、お客様。お仕事が残っていますので、手を離してください」

 苦笑いしながら答え服を掴んでいた手を振りほどけとすると、兵士は突然切れ暴言を吐き、このままほうっておくと暴れだしそうな勢いだった。

 

「全くあのような物が私たちの部下だと思うと頭が痛いな、栄花よ」

「………」

「栄花、聞いているのか……こら!」

 バシ!!

「すいません、桃源郷が見えていました」

「なにを馬鹿な事をいっているのだ、それよりも女子を助けるぞ」

「うぅっ! 古傷が……申し訳ありません。私はここで、待機させてもらいます」

 三流芝居にも劣るような演技でその場に蹲る栄花。

 

「栄花そのようなことで、騙されると思っているのか」

 立ち上がらそうと襟を掴もうとすると、奇襲って卑怯ですよね、とか目が覚めると知らない天井っていうのは怖いんですよ、と呟きあきらかに以前の戦いについての事だった。あの時の事を一番後悔している星にとって痛いところだった。

「栄花、わたしを脅しているのか」

「そんな、滅相もありません。まさか、星さんは一人に対して二人で立ち向かうような人ではないと、信じていますし、先ほど馬鹿にし皆の前で――」

「皆まで言わずとも良い! よし、そこで超子龍の活躍を見届けるが良い」

 居心地が悪くなったのか、その場から離れていく彼女を笑いながら見届ける栄花だった。

 

 騒動はあっという間に治まった。黒髪の店員があっさりと組み伏せ、酔っ払いの仲間だと思われた者たちも星の参加により叩き潰され、十分にもない速さで終わりを告げた。

 栄花は、黒髪の店員の動きをジッと観察していた。

 

「おや、こちらの御仁は?」

 彼女達の下に近づき声を掛けようと瞬間に、黒髪の女性が問いかけた。先ほど一騒動が起きその事に警戒をしているためか、少し棘があるような声だった。

「そう露骨に邪険しなくても良い、関羽殿よ。少し変わっているが、私と同じく白蓮殿のところで共に仕えている栄花だ。」

「お初にお目にかかります、栄花と申します。美髪の関羽殿に、出会い事ができ光栄です」

 と頭を下げる栄花。旅を続けていた頃に、山賊狩りの美髪として耳にし、どういった人物なのか目にしたいと思っていたが期待を裏切らない美貌の持ち主だった。

 

「そう言われては、恐縮するばかりです。私は、関羽とお呼びください。それと先ほどの無礼をお許しを、しかし初対面の者に真名を許されるのですか」

 その疑問に対して星が説明をするが、理解することはできたが納得はできないという感じだった。

「分かりました、これからは栄花と呼ばせてもらいます」

「やっと私の出番だね。劉備っていいます、よろしくね。栄花さん」

関羽の後ろの影からぴょこ、と出現し会話に入れることが嬉しいのか笑顔で栄花の手を握り、ぶんぶんと上下に振り、突発的な行為に驚いたのか栄花はめずらしくも目を大きくさせていた。

 

「劉備さん"も"太陽みたいな方ですね」

「栄花さんは褒めることがお上手なんですね」

 えへへ、と笑う彼女は満更でもなさそうだった。

 話しに聞けば、公孫讃の知り合いだということで午後は彼女たちを案内することになった。

 そこへ――

 

「お姉ちゃ~ん、大丈夫だったー?」

 ドダドダ、と走りこんでいる彼女は店で最初に会った赤毛の少女だった。

「ありがとう、鈴々ちゃん。愛紗ちゃんと超雲さんのおかげで平気だよ」

 鈴々と呼ばれる少女は、騒動が起きた時に店長やお客を外へと避難させていたため怪我人が一人もでなかったのは彼女の迅速な行動のおかげだろう。

 

「鈴々は張飛なのだ! え~っと」

「わたしの名が超雲だ、よろしく頼む」

「栄花です、よろしくお願いします」

 よろしくなのだー、と順応性が高い張飛は栄花の事をお兄ちゃんと呼ぶことになった。兄が欲しいと思っていたらしく、それに断る理由がない栄花は心良い返事をした。

 

「そうだ! 超雲は強いことは分かるんだけどお兄ちゃんも強そうなのだ。鈴々、本気が出せそうな気がするから一度勝負して欲しいのだ」

「えぇ! 栄花さんって強いの?! てっきり、超雲さんのお世話役だと思ってたよ。鈴々ちゃんの本気なんて見たことないから私も鈴々ちゃんと栄花さんの試合が見たいな~」

「おやおや、私は星さんよりも弱いというのに……そうですね、公孫讃さんの場所までに私をお二人が捕まえることが出来ましたら良いですよ。 それでは、よーい、ドン!」

 返事も聞かずに走り出す栄花。

「お姉ちゃん、何しているのだ。鈴々達も追いかけるのだ、早くするのだ」

「ちょっと、待ってよ。私、そんなに早く走れないんだけど、お願いだからおいていかないで~」

 

 いつの間にか忘れ去られてしまった、二人は彼達を止めることはできなかった。星は出来が悪い兄妹達を甘やかすような苦笑をし、関羽は栄花の後ろ姿をじっと見つめていた。

 

「おや、関羽殿は栄花のような男が好みなのですかな?」

「馬鹿な事を申すな、少し気になることがあってな。一つお伺いしたいことがあるのだが、超雲殿とは共闘という形でだが全てではないにしろ、私になり知ったつもりだ。しかし、あの男は超雲殿と同等の武があるとは思えんし私と鈴々もそれなりに腕に覚えがあるつもりです」

「なるほど、関羽殿は栄花と同様に見られるのが嫌だというわけですかな?」

「いやっ……そういうわけでは」

「ははっ、そんな顔されるな。わたしも最初は関羽殿と同じ考えでしたが一度、彼の戦い方をみたら消え去りましたよ」

 

 愉快そうに笑う彼女は、あたらしい好敵手を見つけたような感じでうれしくてたまらない、という顔をしていたが目は笑ってはいなかった。

「では、超雲殿よりも強いと?」

「ただいえることは、今の栄花は決して私に勝つことは無理でしょう。しかし、これからの努力次第で化けるかもしれないとそう思っていますよ」

 

 星は、栄花が毎晩寝室にいないことを知っていた。後をつけたことも度々したが姿を失ってしまい、無理だと判断し部屋の近くで隠れ待ち、汗を滝のように流し帰ってきた栄花の姿を発見し、一人稽古していると分かり栄花の行動に感心していた。

「一度、目にすれば良いかと思いますぞ」

「そうですね、私としたことが先ほどみたいに同じ間違いをしてしまうとはお恥ずかしいかぎりです。時間があるときに一度手合わせをお願いしてみましょう」

 左右に降り美しい髪が跳ね、気持ちを切り替える関羽。

「一つ助言するなら、好奇心は自分を殺す、といったところか」

 関羽に聞こえるか聞こえないぐらいの小さな声で呟き、手を振り続ける栄花達の下へと足を伸ばした。

 

「ねぇ、祭。天の御使いってどんな奴なのかな~?」

 質問をしたのは、桃色の髪を腰辺りにまで伸ばし身長は長く腰には呉の王の象徴たる南海覇王が掛けられ

ていた。

「どうじゃろうな。天というぐらいなのだから、聡明な奴なのかも知れんな」

 それに答えるのは、雲のように髪が白く長髪で身長のほうは、先ほどの女性よりも少し小さいぐらいで服

装から弓兵ということが安易に分かる。

 

 

「はぁ、逢ってみたいわねぇ~」

「策殿は、あのような占いを信じておられるのですか?」

 

「信じるというよりも逢ってみたらおもしろいかな~、なんてぐらいかな」

「全く、そんな事では堅殿に笑われてしまいますぞ」

「そうかもしれないわねぇ、でもたまには息抜きの一つぐらいしなくちゃ、やってられないわよ」

「そうじゃな。袁術の客将というのも、そろそろ飽きてきたしの」

 

「そうよねぇ、なにか切っ掛けがあればいいんだけど。じゃなくちゃ、私の大望が達成しないわ」

「まずは、機が来るのを待たなくてはどうしようもありますまい」

「はぁ~つまんないなぁ」

「さて、偵察も終わった事ですし戻りますぞ」

 

「あれ?なにか、白い光みたいなものが見えなかった、祭?」

「なにを言っておられるのですか? そのような光が……策殿、危険ですお下がりください」

「駄目、間に合わないわ」

 

「策殿、平気ですか?」

「えぇ……なんとかね。それにしても、すごい光だったわね。なにがあったのかしら?」

「なにかの妖でなければがよいが……って策殿! なにをしておられのですか」

 

「いや、後ろを向いたら見たこともない男の子が倒れていたからなんとなく」

「そんな怪しいやつなど……ふむ、なんだか変わった服装をしておるな」

「そうなのよねぇ、とりあえず保護しようと思っているのだけど。祭手伝ってくれない?」

 

「素性も分からん奴を匿って、命を狙いでもされたらどうするのだ」

「その時は、私が殺してあげるから平気」

「名を上げるのには………なるほど、策殿の考えに承った」

「吉と出るか凶と出るか本当に楽しみね」

 

 世界は動き始める、大乱へと――

 

 あとがき

 

 まさかの即日投稿となってしまいましたが、筆が進みよかったです。

 やっと、一刀を外史に送り出す事ができました。作者は、本当に文才がありませんね。

 さて、タイトルがここにきてようやく決まりました。

 なぜいまかと、思われる読者様がいるかもしれませんが本当に思いつきで投稿しているのでタイトルを

考える事ができませんでしたので。

 

 少し動き始める天帝の花を楽しみに待ってくださる。読者様がいてくれたら幸いです。

 では、またの機会にお会いいたしましょう。


 
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