No.133325

三人の御遣い 六話

酷い文ですが読んでくれる人がいてくれると幸いです。

2010-03-30 23:22:17 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:797   閲覧ユーザー数:659

/京

 

京たちは戦を終え、城に戻り、そして公孫賛から解散と告げられた。

 

京「公孫賛。ちょっといいか?」

公孫賛「ん?どうした柊?」

京は部屋に戻ろうとする公孫賛を引き止める。

京「この近くに川ってあるか?」

公孫賛「ああ。小さい川ならこの街をでて少し歩いたところにあるが、それがどうした」

京「いや何でもない」

公孫賛「そうか」

京「疲れている所悪かったな」

公孫賛「いや気にするな」

そう言って公孫賛と別れた。

 

その日の夜遅く、京は街を出て川がある所に向かった。

 

京「・・・ここか」

そう言って京は川に足を踏み入れ、そして手を洗いだした。

京「(・・・こんなことしても意味がないと分かってはいるが)」

意味がないと分かりながら京は手を洗い続ける。

京「(・・・まだ、残っている気がするな、人を刺した感触が)」

そして顔を洗いだした。そのあと横になり、月を見つめ、月に向け手を伸ばす。

京「(・・・とうとう人を殺したか。・・・一刀はどう思うかな、俺が人を殺したと知ったら。・・・俺から距離をとるかな。・・・ははっ、嫌だな、それだけは)」

月を見つめながら思っていると、

???「不用心ですな」

と話しかけられる。

京「・・・星か」

上体を起こし、声がした方向を向く。

星「ええ」

京「何か用か?」

星「いえ。京殿が外に出たのが見えたもので」

京「そうか」

星「・・・それはそうと、京殿」

京「ん?」

星「・・・泣いていらしたのですか?」

京「・・・えっ?」

そう言われて初めて泣いていることに気付いた。

星「・・・気付かれてなかったので?」

京「・・・ははっ、そうみたい・・・だな」

そう言いつつも京は涙を拭こうとしなかった。

星「・・・お邪魔でしたかな?」

京「・・・いや、せっかくだから話を聞いてもらってもいいか?」

星「・・・承知しました」

京「悪いな」

そう言って京は川から出て、星の隣に座り話しはじめた。

京「・・・知っている通り今日、俺は人を殺した」

星「そのことで泣いておられたのですか?」

京「・・・星が思っているのとは違うな」

京は少し悲しそうな目をする。

京「この世界に友達が来ているかもしれないと言ったよな?」

星「ええ」

京「その友達がだな、・・・俺が人を殺したと知ったらどうなるかと思ってな」

星「・・・」

京「正直な話、桃香たちや公孫賛、それに星に嫌われても別にかまわないと思っている。人が誰をどう思おうと俺には関係ないからな。まぁ、あいつらを守ると決めたから嫌われてても守るけどな」

星「・・・」

京「けど、一刀は別だ。あいつだけは別だ」

星「・・・それほどまでに凄い方なので?」

京「凄いかどうかは知らないが俺にとっては特別な奴だ」

星「・・・特別ですか」

京「ああ。特別だ」

星「それをお聞きしても?」

京「・・・そうだな。簡単な説明になるが、俺は一刀に、・・・その友達に会うまで荒れていた」

星「京殿がですか?」

京「ああ。毎日ではないが喧嘩もしてた」

星「・・・」

京「・・・そんな時に一刀と出会った。一人で昼飯を食べている時に一刀と友樹が来てな、一緒に食べないかと、まぁ誘ってきたのは一刀だけで友樹は反対していたけどな」

星「それで一緒に?」

京「いや、当然断って一人で食べたさ。けどな、一刀は次の日も、その次の日も誘いに来た。・・・そして誘い続けてきて何日目かのある日な」

星「・・・」

京「・・・俺はあいつを思いっきり殴った。目障りだと、俺に構うなと言って」

星「・・・」

京「そしたらあいつなんて言ったと思う」

星「・・・分かりませんな」

京「ははっ、今思い出しただけでも笑える。・・・あいつはな、俺がさびしそうにご飯を食べていたからって、そう言った」

そう言って京は目を細め、月を見上げる。

京「あいつを殴った日から何日かたったある日」

星「・・・」

京「・・・俺は死にかけた」

今度は目を鋭くし川を見つめる。

京「喧嘩相手がナイフを・・・武器を持って仕掛けてきたんだ。一人だったら何とかなったと思うが、複数いてな。それで腹に刺さって、死にかけた」

星「・・・」

京「それを知った一刀がな、泣いてこう言った。『無茶はしないでくれ』と、まぁ他にもいろいろ言っていた。その一刀に対して俺はこう言った。『なぜお前が泣く』と。そしたら『友達が泣かないなら俺が代わりに泣く。何も取り柄のない俺が友達に出来ることはこれだけだから』と」

星「・・・」

京「俺はそれを聞いて、ばかばかしいと言い、一刀を部屋から追い出し、夜になって・・・泣いた」

再び目を細め、月を見上げる。

京「俺はな。両親がいない。小さい頃に死んだらしいだが詳しいことは分からない。それまで俺は親戚の家を転々としていた。・・・俺が邪魔だったんだろう。だからな、俺の事を心配してくれる奴、ましてや俺のために泣いてくれる奴は初めてだった。そんな奴がこの世の中にいるのかと、正直信じられなかった。・・・だからかな、泣いたのは。・・・その夜は思いっきり泣いたな」

星「それでその後、どうなされたので?」

京「何日か経ったある日、一刀がまた俺を昼飯に誘いに来た。・・・俺は誘いにのり、三人で食べた。・・・その時、一刀は俺に色々話しかけてきて、・・・俺は、・・・笑った。久しぶりに笑ったような気がした。・・・そして、食べ終わった後、俺は一刀に謝った。殴ったこと、今まで失礼な態度をとっていたこと、・・・そして最後にお礼をした。こんな俺の事を友達だと言ってくれたことに」

星「・・・」

京「その時からかな、一刀だけは裏切らないと、どんなことが起ころうとあいつだけは守ると、あいつが泣くようなことは二度としないと、誓った」

星「いい友人を持たれましたな」

京「ああ。あいつは俺の誇りだ。今の俺がいるのはあいつのおかげだ。・・・だからな、俺が人を殺したと知ったあいつが俺を怖がり、避けるんじゃないかと思うと・・・怖くてな。・・・戦の帰りにそれをずっと考えてた」

星「あの時にそのようなことをお考えでいらしたとは。普段通りにみえましたな」

京「星にそう言われると安心だな。・・・少なくとも桃香たちには感づかれたくはなかったし」

星「私だったらよろしいので?」

京「・・・少なくとも今はな。俺はあいつらの主だからな。怖がっている姿を何度も見せられない」

星「・・・今はですか」

京「ああ。今はだ」

星「ふむ」

京「・・・それはそうと星」

突然真剣な目をしながら星に尋ねる

星「なんでしょう」

それに答えるように星も真剣な目になる。

京「戦の帰りに少年を助けたと言っていたな」

星「ええ」

京「その少年は真名を知っていたか?」

星「・・・いや、知らない感じでしたな」

京「そいつの服装や特徴は?」

星「・・・見たことも無い服装を着ていましたな。特徴は、・・・気弱な感じの少年だったかと。・・・すいませぬ。短い時間しか会話をしなかったため、あまり覚えてはおりませぬ」

京「・・・いや、こちらこそすまない。・・・もしかしたらと思ったんだが、それだけでは何とも言えないな」

星「・・・友達ですかな?」

京「いや、どうだろうな。真名を知らない時点で可能性は高いがはっきりとは言えない。・・・それでその後そいつはどうした?」

星「陳留の刺史殿に保護されたかと」

京「確認はしてないのか?」

星「・・・はい」

京「・・・そうか。ちなみに陳留の刺史って誰だ?」

星「・・・確か。曹孟徳だったかと」

京「曹孟徳?・・・あの曹操か」

星「知っているのですか?」

京「一応な。もちろん直接会ったことはないが。・・・とするとそいつは曹操に保護された可能性が高いか」

星「・・・万が一、保護されていなかった場合は?」

京「そいつが一刀だった場合は、どんな手段を使ってでも探し出す。・・・友樹だった場合は、まぁ気が向いたら探すか」

星「・・・それでいいので?」

京「ああ。問題ない。友樹は一人でも何とかするだろうしな。・・・あとは曹操に直接会って確認するしかないか。知らない奴かもしれないしな」

星「すいませぬ。私が彼を保護していれば・・・」

京「しかたないさ。それにこれは俺の問題だ。・・・だから星が気にする事ではないさ」

星「そう言っていただけると助かります」

京「それに今思い出した俺もどうかと思うけどな。自分の事しか考えてなかった俺も悪いし、しかも桃香に八つ当たりしたしな」

星「けど、あれはあれで良かったかと」

京「う~ん。確かにあれで良かったかも知れないが、それは結果論だしな。まぁ、終わったことを今更は後悔しても仕方ないか」

そう言って京は空を見上げた。

京「・・・さて」

そして京は立ち上がる。

京「そろそろ帰るか」

星「そうですな」

京「今日はありがとな。・・・話を聞いてもらって、正直助かった」

星「いえ」

そして二人は街へと歩き出した。

京「・・・そうだ、星」

と街に入る寸前で京が星に話しかける。

星「何ですかな」

京は止まり話を続けた。

京「俺たちはいつかここを出る。・・・その時一緒に行かないか?」

星「・・・」

それを聞いた星も止まり、黙り込んだ。

京「別に返事は今じゃなくていい。・・・俺たちがここを出る時までに返事をもらえたらありがたい。・・・まぁ星が一人で旅に出たいなら止めるつもりもないが」

星「ふっ、それではその時までには」

京「ああ。頼む」

二人は再び歩きはじめ、城に戻り、別れた。

 

京は部屋に戻り、横になり、考え始めた。

京「(・・・人を殺すのは俺が弱いからだな。・・・だとすると、愛紗に鍛えてもらい、人を殺さない技術を身につけないと)」

天井に手を伸ばしてから、そして眠りについた。

 


 
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