No.131490

恋姫異聞録36 武王編-武王と舞王-

絶影さん

武王編-武王と舞王-

やっと武王編終わりです><長かったー!!
色々詰め込みすぎて長くなってしまいました^^;

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2010-03-21 22:14:36 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:21382   閲覧ユーザー数:15910

 

「次に劉備からの攻撃を防ぎ私を守った昭に褒美を与える」

 

俺の身体が歩けるほどに回復をすると許昌に戻り、玉座の間で劉備達の攻撃を防いだ褒章式

を行うことになった。まだまだ俺は身体が思うように行かず、立っているのがやっとではあったが

 

この日の褒章式は華やかなもであったし、曹操様から必ず参加せよとの御言葉を頂いたので

このところ戦ばかりで心が疲れていた俺は身体に鞭打って式に参加をしていた

 

「昭、立てるか?」

 

「ああ、大丈夫だよ」

 

秋蘭は眼を覚ましてからというもの俺にずっと寄り添い、それこそ片時も離れないといったところで

俺が「心配しすぎだよ」と言うと顔を伏せて悲しい顔をするので俺は何も言えなくなっていた

 

「昭に与える褒美は三つ、まず一つ目は剣と馬」

 

春蘭が剣を三本もって俺のほうに歩いてきた、そして一本ずつ鞘から抜いて俺に見せる

一つは輝く美しい剣、二つ目は青と紅の混じった剣

 

「一つは偉天の剣、二つ目は青紅の剣」

 

「いいのですか?偉天の剣は曹騰様が大事にしていらしたもの」

 

「ええ、私には絶があるしその剣も貴方に使ってもらえるなら本望でしょう」

 

そういって俺に笑顔を向けた、曹騰様の剣を俺が持つことになるとは責任重大だな

春蘭は更に三本目の剣を抜くと俺は驚いてしまった、何故それが今の時代にあるんだ!?

 

「三本目は真桜が作った刀、剣と同じような刀なんて初めてでしょうけど」

 

「いいえ、それは日本刀!何故こんなものが・・・」

 

「真桜がね、片刃なら舞の時に腕をそれほど傷つけないだろうと言うことで作ったらしいわ。素晴らしいものだから

私も後で一振り作ってもらおうと思っているのだけれど」

 

真桜のほうを見れば髪の毛はぼさぼさで、眼の下には濃い隈を作って、おそらく俺が回復してこちらに

戻るまで一睡もせず俺の身体を案じて作り上げたのだろう、それなのに俺のほうを見て何時もの笑顔を見せていた

 

「ありがとう、真桜・・・」

 

「えっ!うわっ!」

 

俺は真桜を抱きしめていた。こいつは何時も笑って俺の心配をしてくれている、必死に告白してくれて

それを断った後も変わらないで俺と一緒に仕事も町の改装も手伝ってくれる。なんて優しい奴なんだ

 

「昭が自分から私達以外を抱きしめるなんて初めてだな」

 

「え?あ、秋蘭!そういえばそうだな・・・」

 

「えへへ、めっちゃうれしい」

 

秋蘭は真桜に近づくと頭を下げて感謝していた「昭の身体を案じてくれてありがとう、私からも礼を言う」と

 

「ああー真桜ちゃんずるいのー!」

 

「・・・・・・ずるい」

 

「今度は沢山作らなあかんから二人とも手伝って」

 

凪達の抗議の声を受け、真桜はそうこたえた。どうやら俺のために大量の刀を作ってくれるようだ

本当に何と感謝をしていいのか、おそらく俺は前線に出ることになる、腕はどうやら真桜達の御陰で長くもちそうだ

 

「銘は?」

 

「銘?そういえば考えてなかったなぁ」

 

「真桜の名をもらって良いか?鉄刀「桜」と言うのはどうだ?」

 

「・・・うん!それすごくええわ!」

 

桜、良い刀をもらった。この三本は俺にとって大切な、とても大切な宝となるな

 

 

「次は馬を、私のもう一頭の愛馬、爪黄飛電を貴方に」

 

今度は霞が爪黄飛電を引いてきた、曹操様の大事にしていらっしゃる馬の一頭

これほど過分な褒美を頂くとは、これは爪黄飛電で戦場から無事に帰れとのことか

 

「次の褒美としてこれを」

 

今度は秋蘭が曹操様に渡されたものを俺のほうに持ってくると目の前で広げた

それは何時も着ている外套に似ているが、美しい青の外套で何処かで見たような・・・

 

「牙門旗を切り取って何を作ったかと思えばそんなものを作っていたのね?」

 

「牙門旗だって!そんな大事なものをっ!」

 

「そうよ詠、さあ着てみて頂戴」

 

驚く俺に秋蘭は服の袖を通し、美しい青い外套に身を包むと周りからは声が上がった

不思議に想い、服を見回してみるが特に変わったところはない

 

「背中だ昭」

 

侍女達が鏡を俺の背に持ってくると背中には刺繍で竜が絡み合い円を作り、中央には魏の文字

 

「魏を背負うことを許します。これが二つ目、そして三つ目は・・・」

 

魏を背負う、そこまで俺に!という事はもしや三つ目は!!

 

「三つ目は・・・・・・貴方に・・・貴方に不臣の礼を取ることを許します」

 

「華琳様っ!それはっ!!」

 

桂花が驚きの声を上げ、周りの皆もどよめいた。当たり前だ、不臣の礼とは俺を配下として扱わない

魏で王と同列の存在として扱おうと言うのですかっ!

 

視線を見せれば不安げな目をして、そしてその眼は・・・・・・

 

「・・・・・・」

 

そんな眼をなされてはいけません、貴方は王なのですから。その眼は、その眼は懇願ではありませんか

唇は不安げに震えて、顔も強張っている。そんな顔をされてはいけませんよ曹操様・・・

 

だがそれが貴方が真に望まれていることならば、それで貴方の心が救われるのならば私は答えねばなりません

 

 

 

「華琳」

 

 

 

その瞬間ニッコリと輝く笑顔を見せて上を向いて大きく息を吸い込むとゆっくりと吐き出した

まるで今までたまったものを全て吐き出すかのように

 

「・・・ようやく・・・・・・ようやく貴方に許された」

 

「俺は、感謝はあれど怨んでいないよ」

 

「これは私の心の問題、私はようやくあの時の事から許されたのよ」

 

「そうか・・・だがあくまで俺は華琳の臣下だ、命令には従う我が王よ」

 

「ええ、それで十分。貴方に久しぶりに会えた気がするわ」

 

そういって本当に、本当に昔の自分に自信を持ち気高い時の華琳に戻ったように見えた

 

「華琳様、それは宣戦布告と見てもかまいませんか?」

 

「秋蘭・・・」

 

「ええそうよ、私は欲しいものはどんな手を使っても手に入れる」

 

「こればかりはいくら華琳様でも譲る事は出来ませんね」

 

 

いきなり華琳と秋蘭は対峙し始めた、冗談はよしてくれまったく人を物みたいに扱って

 

「俺は物か?」

 

「物?そうね物というよりは賞品ね」

 

「ええ、そうですね勝った方が賞品を手に入れる」

 

「冗談はよしてくれ、俺の性格を知っているだろう華琳」

 

「貴方も私がどういう性格か知っているでしょう?」

 

確かに、昔から欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れていたよ

だがそれに俺は当てはまらないだろう、元に戻った瞬間から俺に頭痛の種を植え付けるつもりか

 

「これはこれは、本当に良かったですー」

 

「風、どういうことですか?」

 

「はいー、風が絶対無理だといったことが図らずも成ってしまったということです」

 

「前に言っていた昭殿が前線に立つということですか?」

 

「ええ、風が考えたのは華琳様がなされたことそのままです。魏でのお兄さんの身分が王と同格になれば

兵達は前線に立てとは言わないでしょうし、もしどうしても立たなければならないとしても」

 

「皆、王と同格の昭殿を必死に守るでしょうね」

 

そういって風と稟は玉座に座る華琳の前へ出て頭を一つ下げると

 

「お兄さんはこの魏で華琳様と同じ身分となりました。なのでこれからお兄さんを前線に置くことを控えるように

進言いたします」

 

「私も風と同じです。華琳様の影のような存在になられた昭殿を無くせば我等の士気に関わりましょう」

 

華琳は二人の進言に頷き、笑顔を向けた。もしや華琳はこのことを考えて俺に不臣の礼を

と言ったのではないだろうか、彼女のことだ十分にありえる

 

「先の戦で華琳様の風評は上がり、武で大陸を治める清廉潔白な覇王であると」

 

「昭殿を始め、呂布を退けた春蘭殿と秋蘭殿にも皆が呼び名を着けているようです」

 

俺達の呼び名だと?また過剰評価された呼び名ではあるまいな?まったくカンベンしてくれ

俺が頭を抱えていると、稟はこちらを見て笑っていた

 

「覇王に仕える三人の夏候、魏武の大剣、智勇の雷光、慧眼の舞王」

 

「ちょっと待て稟!慧眼の舞王って俺のことか?!」

 

「ええ、昭殿以外にだれが居るというのですか?」

 

「天の御使いって言うのが取れたのは良いがよりによって舞王だって?」

 

なんてことだ、また余計な名が付いてしまったようだ、本当に頭が痛くなってきた

俺はそんなに凄い奴じゃないよ、華琳に眼を向けると

 

「良いじゃない、覇王に舞王、大陸を治めるには丁度いい肩書きじゃない」

 

そんなことを言ってきた、本当に昔の華琳に戻って来たな、その悪戯っぽい笑顔は久しぶりに見たよ

だがそれならば俺も華琳の影となりこれからも命の限り支えていくだけだよ

 

 


 
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