はじめに
この作品はオリキャラが含まれていたり
原作の主要キャラが出てこなかったり
出てくるキャラはキャラ崩壊を起こしていたりな残念なものです
原作重視、歴史改変反対な方はご注意ください
祝!一刀参戦決定!!←アニメじゃないよ(汗)
玉の間に朝議の為に集まってくる袁家の重鎮達…朝議が始まるまでひそひそと話されるのは他愛も無いものから昨今朝廷が手を焼く賊の話題、それぞれが口には出さずに思うのは今日の当主は機嫌が良いだろうかというどこか虚しい疑問
「文ちゃん、起きてなきゃ駄目だよう」
「駄目だぁ…斗詩ぃ…眠い…」
「聞けば何進将軍から通達が届いたとか…」
「となれば黄巾党は…」
「それよりも徴兵の…」
「桂花、比呂からの報告書は?」
「…」
「…桂花?」
悠の声に反応せず桂花が見つめる先…文官達とは反対側の席には比呂
先ほど桂花に見せた顔はどこえやらで髪も整え、涼しい顔で当主の登場を待っている
何なのよ一体
比呂の部屋でのやり取りを思い出し、睨むように比呂に視線を送る桂花だったが当の本人は素知らぬ顔で玉座を見上げている
「…比呂と何かあったのですか?」
「別に…何も」
ようやく悠の方を向き、何も無かったと言ってみせる桂花だったが、それでは何かがあったと言っているようなものだった
これ以上聞いたところでまともな返事は期待できないか
彼女の表情から読み取りそれ以上の質問をしない悠だったが唯の痴話喧嘩ではないと思った
と、朝議の開始を報せる鐘とともに当主が足取り軽く入ってくる
「皆さんご機嫌如何でして?私は朝から小鳥の歌声に起こされ晴天の空にその身を写した如く自身の心も晴れ晴れとしてましてよ、今日も有意義な朝議を期待しますわ、おーほっほっほ」
態々口に出すほどに彼女の機嫌は良いのだろう、その理由を知っている一部の文官達は彼女のご機嫌の元にちらりと視線を向けるが向けられた当人はどこ吹く風と清ましている…目の下に隅があるようにも見えるが
「…以上が改修工事に伴う要望と、それを纏めた企画内容に御座います」
「いいでしょう、ではこの件については田豊さん…貴方に一任しますわ」
どうやら彼女の機嫌は最高潮に良いらしい
朝議が始まり文官達があげる議題はスラスラと彼女に容認され進んでいく
そもそも議題という表現すら可笑しい、文官達は唯彼女の承認を求めているだけだ、尤もそれこそが袁家に仕える文官達の優秀さを物語っているのだが
問題はここからですね
朝廷からの通達、黄巾党討伐に伴う徴兵の問題、視線を対岸に座る比呂に向ける…と視線に気づいた比呂はやれやれとため息を吐いてみせる
その姿に苦笑しながら悠は一度首を振って比呂の視線を誘導する
まずはお手並み拝見と行きますよ、桂花
「次の議題ですが袁紹様、先日朝廷は何進将軍より各諸侯への通達が此処冀州にも届きました」
「見せて御覧なさい」
使官から竹簡を受け取りふぅんと当主、読み終えた彼女は嬉々として立ち上がる
「恐れ多くも天子様に逆らい、民草を苦しめるなど言語道断!このならず者共を切って見せてこそ真の忠臣ですわ!早速討伐軍の編成に取り掛かりなさい」
そして袁家の名をさらに広め、各諸侯に知らしめるのですと当主
「恐れながらその事についてよろしいでしょうか?」
桂花が一歩前に出て臣下の礼をとる
「発言を許可しますわ」
「ありがとう御座います」
その場にいる者達の視線を集め桂花は比呂の言葉を思い出していた
当主に進言の一つも通せない文官…
見てなさい比呂
「此度の徴兵の件、何卒ご再考いただけませんでしょうか」
桂花の発言に当主の顔色が曇る
「それは昨日聞きましたわよ?」
「存じております」
早くも玉の間におも~い空気が流れ始め、半目でよだれを垂らしていた文醜~猪々子までもが何事かと周りを見渡す
「先日の討伐にて千五百の兵を失ったのです、補充も兼ねて徴兵は必要ではなくて?」
「その兵の損失は偏に調練不足からなるものです、まずは数よりも質を取るべきかと」
ここまでは昨日のやり取りとほぼ同じだ
「戦においては数が肝要、次の討伐戦、相手は数十万の黄巾党でしてよ?」
「それでは近隣より全ての民草を集めても足りなくなります、が今回の討伐戦は各諸侯による総力戦、各諸侯より兵集まれば、数においては同等かと」
誰もが固唾を呑んで見守る
「聞けば黄巾党は冀州鉅鹿の張角なる者が首領とか、我が州からこれ以上不届き者が出る前に芽を摘んでおくべきではなくて?」
「なればこそです、民草は前年の飢餓、此度の賊の横行に疲弊しております、ましてや黄巾の息が掛かった者が徴兵に紛れて入り込むやも知れません」
巧い、がそれでは解決しませんよ桂花
「そうですか貴女はこう言いたいのですね、既に我が民草は黄巾の者に取り込まれている…皆殺しにせよ、と?」
途端、文官達ががやがやとざわめき出す
「っ!?そうではありません!先ずは州の平定を…と申しております、民の安定を第一に…」
「その民草を脅かす根源を折ろうというのですよ、朝廷が直々の通達を送り出してまで…それに応え自らの手で勝ち取るのも必要なことではなくて?」
そしてそれこそが民草の安定の近道ではなくてと彼女は付け足す
桂花は次に繋がる言葉を見つけられないでいた
うーむ、今日の姫は難敵ですねぇ
悠が比呂の方に視線を向けると彼も視線を送り返してくる
はやく助けてやれ
顎でそう促してくる比呂に悠は苦笑する
ここまでですね
「発言をよろしいでしょうか?」
手をあげ彼女達の間に悠は割って入る
「田豊さん?何でしょう…発言を許可します」
「ありがとう御座います」
臣下の礼を取り悠は”此処からは俺が”と桂花にだけ聞こえるように呟く
その声に悔しさで顔を歪めながら桂花は一歩下がる
渋々と下がる桂花に内心で苦笑しながら悠は穏やかに当主に告げる
「まずは民草の安寧を思い、逸早くに起つべきと仰られる我が君のお言葉、この田豊に深く突き刺さりました」
「…」
とりあえずは場の沈静化
「次に黄巾の息の掛かるものが我が軍に入り込む事を危惧する荀彧殿、その可能性に心痛める我が君が心中、お察し致します」
「…」
両者を立てた物言いに文官達も息を飲み見守る
「先ほどに仰られていたように、此度の敵は三十万を数える黄巾党、数においては我が軍の比では御座いません…が、各諸侯による総力戦となれば話は別、先ずは兵の質を高めるべきかと」
「貴方も荀彧さんに賛同だと…?」
「はい、ですが真意は別に御座います…理由を述べても?」
「…許可します」
脚を組み直し聞いて差し上げますと袁紹
この方は自身の懐深さを臣下に見せ付けたいのですよ桂花…土俵に上がり込むのではなく、相手を誘い、乗ってくるのを待つべきです
悠がちらりと向ける視線の意を汲み取り、桂花は苦々しく頷く
「ありがとう御座います…先に述べたように此度の戦は総力戦、が、唯の戦に御座いません、天子様に忠誠を誓う諸侯が一同に介し己が忠心を知らしめる場に御座います」
「…」
「その戦場において我が軍が精強さを披露すれば各地に名声が飛び交うは必然、さすれば噂に食いつき自身が勇猛を掲げる者、自身が有能と抱く者が自ずと袁家の門戸を叩きましょう、然る後に兵を募れば民草も必ずや我が袁家に忠誠を誓い、我が君の力となりましょう、そしてそれは各諸侯…延いては朝廷の目にもこう写るのです、袁家こそ名門の中の名門と」
悠の言葉に腕を組み、う~んと思案する袁紹…当の発言者は既に落としきったという安心感から別のところに目が行く
それにしても姫の胸はまた大きくなったようですねぇ、比呂は閨でどれだけ揉んでいるのでしょうか?
自身の親友でもあり袁紹お抱えの将軍でもある彼は女性の胸を大きくする秘孔でも身に付けているのだろうか
と機と思い出したかのように彼女は疑問を口にする
「貴方が進言、よくわかりました…ですが我が軍を其処までに鍛える時間と自信に根拠はあって?」
どうやら今日の彼女は本当に難敵のようだ
まあ、それも予想の内ですけどね
悠は勝ったと内から出そうになる高笑いを必死に抑え彼女に誠の臣下であろう姿を取り繕う
「時間について問題無いでしょう、総力戦となれば各諸侯の足並みをそろえるが肝要、それには有に二月は掛かるとみます…その間に兵を鍛え必ずや御身の威光に花を添えてみましょう、自信にとの質問には将軍殿より御話頂ければと」
突然話題を振られ猪々子はえっ?えっ?と辺りを見回し、斗詩もその大きな瞳を見開いて驚いている
トドメは任せましたよ比呂
悠の視線に比呂は立ち上がり、ツカツカと悠の隣に来て袁紹に臣下の礼をとる
因みに二月というのは真っ赤な嘘だ、いくら諸侯が各地に散らばっているとはいえ、其処までノロマではない
上出来だ親友
「田豊殿は二月の猶予があると申されましたが、私にお任せくだされば一月にて我が軍を大陸随一の物に鍛えて見せましょう、必ずや麗羽様の名声を風に乗せ大陸の端まで運んでみせます」
上出来です親友
あとがき
ここまで読んでくださいました皆様、ありがとう御座います
ねこじゃらしです
普段使いなれない言葉を文章にするのは難しいですね
中々に骨が折れました
さて次回の真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~は
比呂、兵をしこたま扱く
軍師って何さ?
桂花、袁紹の元を去る
以上の三本を纏めてお送りしまーす
ジャン・ケン・ポン…うふふふ
…こんなこと書いて大丈夫だろうか
それでは次の講釈で
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第7話です
いい加減先に進みたいのですが…なんだかなぁという展開