No.127536

GSと狐が幻想入り 03

白亜さん

……GSと狐の閲覧数と支援数にものすごく驚いている私が居ます。
な、何があったのでしょう(汗
で、でもとてもうれしいです。良かったらこれからも見てもらえると励みになります。
稚拙な文章ですが、良ければ見てあげてください。

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2010-03-01 22:05:36 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:11758   閲覧ユーザー数:10829

「なんつーか…一昔前の学校だな」

 

寺小屋らしき場所に到着した二人。

今は休み時間なのか子供達が元気に外で遊んでいた。

慧音という人物を探そうと子供達に話しかけようとすると

一人の子供がタマモの髪の毛を引っ張って遊びだした。

 

「ちょっと!髪の毛引っ張るんじゃないわよ!!」

 

流石に子供に強くは出れないのか、きつく言う言葉とは裏腹に

余り力は入っていない、其処まで痛くも無いし許容範囲内だからともいえるが。

 

「おー、すげー!どんな風になってるんだ!?」

 

「わー、きれー!」

 

単純に珍しがる男子や綺麗な金髪に見ほれる女子達。

あれよあれよという間にタマモは数人の子供達に囲まれてしまう。

 

「は・な・し・なさーい!」

 

ぎゃいぎゃい騒ぐ子供達には効果が無く、

タマモの髪の毛が解放されるまで10分ほど要した。

その間横島は更に小さい子達と遊んでいた。

 

「うっし、今度は俺の番だなっ」

 

「にいちゃんすげー…勝てる気がしねぇ」

 

「……(こくこく)」

 

「ふっふっふ、あいにくと俺は遊ぶ事にかけては天才なのだ!

子供とはいえ容赦はせんから覚悟しろ!」

 

大人気なく全力で遊びまくる横島だが、其れがいい感じに受け入れられているようだ。

気がつけばタマモで遊んでいた子供達も横島の方に興味が向っている。

勝負方法はコマ回し、横島が何処からこまを持ってきたのかは不明だが、

ちゃんとコマに『横島すぺしゃる』と書かれている以上、彼のなのだろう、

というか、何故すぺしゃるの部分がひらがななのか聞きたい所である。

 

「へへん!オイラだってこの辺りじゃコマ回しのゲンって呼ばれてるんだ!

そうそう簡単に負けるかよ!」

 

外野の子供達はそんな二人を応援しながら取り囲んでいる。

一方、髪の毛弄りから解放されたタマモはそんな横島を見て少々呆れ気味だ。

慧音を探しにきたんじゃないの?と言ってやりたい所だが、

子供達も横島と遊ぶ事に夢中になっているし、まぁ少しだけ待ってやろうと

近くの切り株で出来た椅子に座りながら見守っている。

 

「くくく!行くぞ!ヨコシマンハリケーンウルトラミラクル!!」

 

「……(どきどき)」

 

その様子を無口そうな少女がどきどきしながら見ている。

どの辺りがハリケーンでウルトラでミラクルなのか分からないが気合いだけは凄い。

実際その回転力は凄まじく、ゲンと呼ばれた少年のコマをあっという間に弾き返した。

 

「うわぁ!オイラの駒ンダートリプルエックスが!」

 

「ふっ、所詮俺の横島ダイナミックには敵わなかったか…

勝利は何時も空しい…」

 

「……(ぱちぱち)」

 

コマにはしっかりと横島すぺしゃると書かれているのだが、その辺の突っ込みは無い。

子供達も、すげー!だのかっこいい!!だのはしゃいでいる。

 

「くっ!何れオイラは兄ちゃんにかってやるからな!俺のコマンタレブーデラックスにかけて!!」

 

「だから…名前がさっきと違い過ぎだって…」

 

タマモが力無く突っ込むが子供の喧騒の前に掻き消えていく。

 

「はっはっは!いつでも来い!勝者は黙って背中で迎えてやろう…」

 

「で、でけぇ…なんてでかい背中なんだ…!?いつかいつか追いついてみせる!オイラの英雄!」

 

「ふ…ついて来れるか?少年」

 

「あぁ!ついていってやるさ!俺はまだ上り始めたばかりだかな!この果てしなく長いコマ回し坂を!!」

 

このまま放って置くと、The Endになりかねないので、そろそろ止める事にする。

 

 

「で、そろそろ楽しんだでしょ?慧音って人探さない?」

 

「はっ!?余りに夢中になりすぎて忘れてた!?」

 

「あ…あんたね…」

 

どうやらこの男、素で人探しを忘れていたらしい。

タマモがこめかみを痛そうに揉むのも仕方ないだろう。

 

「アンちゃん達、慧音先生探してるのか?」

 

「そうなのよ、先生今何処にいるか分かるかしら?」

 

「慧音先生なら寺小屋の中にいるよ、呼んで来てやろっか」

 

「ん、ありがと。でも此方から行くのが礼儀だからね」

 

「あー、だな。またなボウズども」

 

二人は名残惜しそうな雰囲気の子供達の頭を撫で寺子屋に向った。

どうやら子供達は全員外に出ているようで、中にほぼ人の気配は無い。

僅かに数人、勉強をしている子供がいるだけだ。

その子達から慧音の居場所を聞き出し、早速向う二人。

 

「お邪魔しまーす」

 

「お邪魔します」

 

襖を開けると其処には。

 

「生まれる前から愛してましたーー!!」

 

「たわけぇーーー!!」

 

「ぎゃああああああ!?」

 

「………(汗」

 

とまぁ、横島が飛び掛るほどの美人が唖然とした表情でこちらを見ていた。

視線は今真っ黒に燃え尽きた横島に釘付けだ、本来なら即座に動くはずだろう慧音も

行き成りの飛び込み+焼却劇に動く事ができないようだ。

 

「…あー…彼は生きてるのか?」

 

「やぁ、美しいお嬢さんボクの名前は横島忠夫と言います、あなたのお名前をお伺いしても?」

 

「って、何時の間に!?」

 

確かに視野に捕らえていたはずの黒いナニカが一瞬にして、総てが無傷の状態で

慧音の手のひらを優しく握り爽やかスマイルで話しかける。

流石に驚きを隠せない慧音。

 

「な…なな?」

 

「さぁ、ボクと一緒にフォーリン・ラぎゃあああす!?」

 

見事な鳩尾に対するフックが決まる。

勿論決めたのはタマモだ、いい加減この手のことには慣れてるのだろう、嫌な慣れだ。

ピクピクしながらもどうにか生命活動を行う我等がヨコシマンを尻目にこのままでは

埒が明かないとタマモが状況を話す事にした。

 

「行き成り色々と御免なさい。

この馬鹿には後で言いつけておくから、放置してもらえると助かるわ」

 

「あ、嫌…むぅ」

 

「私はタマモで、そっちで悶えてるのが横島。

まぁ、大体想像つくかもしれないけど外来人ってやつよ。

ここに来たのは魔理沙って奴にここに行けばここの事について色々

教えてもらえると聞いたからよ。」

 

慧音が色々混乱している間に自分達にとって良いペースで話そうとするタマモ。

 

「ふむ、あいつがな…それで聞きたいこととは?」

 

「全部、ここの事とか、私達みたいな外来人を保護してくれる場所があるのかとかね。」

 

タマモが終始ペースを掴み話を進行していく。

実際の所、彼女に色々話を聞いた上で厄介にでもならないと暫く野宿になってしまう。

それはお肌の大敵だ、どうにかして其れは阻止しなくてはならない。

幸い横島の回復もまだかかりそうなので、ここぞとばかりに情報を聞き出しつつ、

泊まれるようにするために会話を誘導していく。

 

狐少女・少女会話中………

 

横島放置中………

 

 

結果から言えば住む場所はどうにかなった。

最近出来た空き家があり、暫くの間なら其処に住むと良いと言う許可を得た。

元々自分の教え子達が住んでいた場所なのだが、さらにいい場所に家を建てたため。

彼等が慧音によかったら使って欲しいと譲ってもらったものらしい。

中もそれなりの家具などが初めから揃っている為使いやすいだろうという

至れり尽くせりと言った感じだ。だが、勿論制限もある。

問題なのはタマモが妖怪だと言う事だ。

幾ら危険は無いといっても妖怪、其れも狡知に長けた妖狐(流石に九尾とは思われて無いらしい)

を野放しにしておくのは出来ないと言う事で、タマモが外に出る時は横島か慧音のどちらかが

必ずついて廻る事ということを契約に入れられた。

タマモとしては噴飯やるかたない条件だったが、断れば野宿、野宿と言えば

寒空の中寝ないといけない上、油揚げが無い、更にお風呂に入れない、油揚げが無い、

横島と外で二人夜をあかなさなくてはならない…其れは別にいいとして、油揚げが無い。

油揚げがなければタマモン消滅の危機だ、其れは避けなくてはならない。

と言う事でしぶしぶ承諾した、気に恐ろしきは油揚げの魅了。

博霊神社については、魔理沙の言う通り暫くは自重した方が良いとのこと。

 

「もうっ、私の何処が凶悪な妖怪だっていうのよ、失礼しちゃうわね」

 

ある程度の掃除を終え、これも出て行くときに置いていたのだろう布団に横たわるタマモ。

 

「とりあえず、そのセリフはギャグかタマモ?」

 

仮にも金毛白面九尾の狐のセリフではないだろう。

 

「てか、監視が必要なのは私じゃなくて横島の方でしょ、どっちかといえば」

 

「なんだとぉ!?仮にも俺のような好青年を捕まえておいて!!」

 

「アンタ今世界中の好青年に喧嘩売ったわよ」

 

「ちくしょー!俺が好青年だとあかんゆーのか!?俺のようなブサイクは

道端で石ころの役目でもしていれば良いと言うのかー!どちくしょー!」

 

ごろごろと転がる横島。

こういう所は多少可愛いと思ってしまうのは

こいつに毒されてきた証拠なのだろうかと少々悩んでしまうタマモ。

 

「だーれもアンタがブサイクだなんて言って無いでしょ。真面目にしてればあんただって…」

 

そっぽ向きながら聞こえないように呟く。

が、急にがばっと起き上がる。どことなく顔が青ざめているのは気のせいか。

 

「そういえば…美神さん私達の事待ってるわよね…」

 

「……あ…」

 

色々ありすぎて我等が上司の事をすっぱり忘れていたらしい。

二人そろって青ざめる。

 

「…終った私の人生…」

 

「いややー!!まだ若い美空でシニタクナイーーー!?」

 

「私だって嫌よー!御免なさいーー!仕方ないのよーー!不可抗力なのよー!!」

 

「命だけは!?命だけはーーーー!!」

 

『五月蠅いぞてめぇらしずかにしろぃ!!』

 

「「すいませんでしたー!!」」

 

色々とナニカが磨り減ってしまいそうな二人だった。

 

――続く


 
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