No.125770

程昱の世界 後編

アインさん

三つめ。

2010-02-21 14:02:47 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:3239   閲覧ユーザー数:2894

――時は、赤壁の戦いから三日前。

 

 北郷と程昱は城壁の上にいた。

 もう日は落ち、光り輝く満月が二人を照らした。

「もう明日なんですね……」

 程昱は黄昏のように呟く。

 そんな程昱の心の内を汲み取ったように、北郷は程昱の頭を抱えるようにして、自分の胸に抱き寄せた。

「明日の明朝に赤壁に向けて出発。そうなればもう止まらない」

「うう……」

 北郷の胸に顔をうずめたままだったが程昱はまた震えていた。

「………」

 北郷はそんな程昱をまたぎゅっと強く抱きしめた。

「どうしても一刀さんも行くのですか?」

 程昱は北郷の胸の中で訊ねた。

「風を一人だけ行かせるなんて俺にはできない」

 実際は違う。本当は行かなければ『いけない』のだ。『赤壁の戦い』は曹操が大敗北する歴史。そしてこれを変えるためには自分以外いない。

「風。聞いて欲しいことがあるんだ」

 北郷は程昱の体から離れるとポケットから指輪を取りだし、それを程昱の指にはめた。

「これは誓いの証だ風。この指輪に誓って俺は風を悲しませるようなことはしない」

「一刀さん……」

 これが北郷が一生懸命考えた末の答えだった。

「////」

 程昱は顔を真っ赤にしつつ再び北郷の胸に抱き寄せてこう言った。

「――ありがとう」

 二人はどちらからともなくおたがいに向き直ると、そっと唇を重ねた。

 輝く星と月の光が、二人を祝福するように輝いていた。

――しかし

 

この誓いが、後に程昱の絶望に変わってしまうとは北郷は知る由もなかった

 

 

あとがき

 

 後編終了し程昱の世界はこれにて終りです。読んでくれた方々が楽しめたのなら幸いです。

 いちよう原作ネタは『仮面ライダーディケイド』やゲームの個別ヒロインルートなどがネタです。

 いちよう予定ですが『○○の世界』はまた書くつもりなので楽しみに待っていてください。

 

では……。


 
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