俺は今、ベッドで寝ている。
なぜかと言えば疲れ果てたからだ。
この体が!!心が!!もう限界だと叫んでいるんだっ!!
そう思っているだけでも落ち着くことが無い俺は、出ようと外出の許可を貰って人里へ出かける。
が、今回はボーマンダで行く気は無い。
ボーマンダはよく頑張っているんだ。だからその日までに休ませてあげようと、俺は代役のポケモンを用意して外に飛び出た。親父から受け取ったリザードンもあるんだし、いざとなれば飛んで逃げるということもありである。
さて、紅魔館を出たのならまず見えてくるのが湖だ。今日もチルノは何か考えていたりしているのかと思っていると、やはり飛んできたではないか。
チルノ「じゅうごろー、今日はあたいの友達を連れてきたわ!」
友達・・・そういえば大妖精って奴がいたけど、そいつ以外にも誰かいるのか?すると茂みのほうから大妖精を含めて見慣れない少女が3人・・・ってよく見たら、1人はあの時俺を食おうとしたガキじゃねぇか!!
ルーミア「あ、あの時の人間だ」
速攻で気づかれる。チルノは「えっ?」と顔をルーミアに向けた。
チルノ「ルーミアってじゅうごろーと知り合ってたの?」
ジュウゴロウ「そりゃ訳ありだけど・・・こいつがお前の友達なのか?」
チルノは首を縦に振る。
ジュウゴロウ「なぁお前、また俺を食うとかって思ってたりは・・・」
ルーミア「ううん、もう食べない」
二度おきることはなかったようだ。俺はそれだけでも一安心だが、こんな友達を呼び出して何の用かと思うのも束の間、チルノが彼女達に向かって言う。
チルノ「よーし、皆で鬼ごっこをするぞ~!」
4人「お~!」
ジュウゴロウ「・・・はい?」
何これ?拒否権無しなの?
するとチルノが「あんたが鬼だからひゃくまで数えてて」と無理矢理鬼に決められてしまう。理由はただ一つ、俺の背中に書かれている字からだった。
仕方ない、地獄の果てまで追い続けてやる・・・というわけで早速数える。この森銃を探すのは一苦労だけどそれは普通の人間ならではの話だ。
さぁ、100まで(高速で)数えたからそろそろ行くぜ。
まずこの辺りを探しても気配がないから、遠くの音を頼りにしようと両手を耳に当てる。普通無理だろうけど、俺は超人的な聴力も備えているためにこうして音も聞こえる。
ジュウゴロウ「10時に1人、12時に1人、1時に1人、3時に2人、・・・一番近いのは10時だな」
いくぜと俺は忍者みたいに姿を消した。
最初のターゲットとされている蛍の妖怪、リグルは木の上で隠れているが、テントウ虫と会話しているかのようでもある。
じつはテントウ虫に俺の偵察を行っており、現在は俺が接近していると言う情報を聞き取っているのだ。
リグル「よりによって私かぁ・・・こうしちゃいられない!」
木から木へと飛びつくように移動。早く隠れる場所を探さなくてはと思っていると、今度はカブトムシが飛んでくる。
リグル「どうしたの?・・・えっ!?もう!?」
その後ろからはリグルよりも速く飛び移ってくる俺の姿があった。当然振り切れるわけなく肩をタッチされてしまう。
ジュウゴロウ「まだまだ修行が足りないな」
リグル「そ、そんなぁ~・・・」
まず1人、次はどいつから行くかと耳を当てて位置を探り出す。距離は約300メートル、羽ばたく音まで聞こえる。
ジュウゴロウ「次は鳥野郎といくか」
ミスティア・ローレライこと、みすちーに牙を向けた。それを見ているリグルには、とんでもない人を鬼にしてしまったと後悔しているのは言うまでも無い・・・。
みすちーのいる場所の近くまで来た。当然気配なんて無い・・・と思われるが、羽を羽ばたく音が段々と聞こえてきた。
まだ気づかれていないのだから不意をついて捕まえようと考える俺は、足音を出来るだけ少なくして走る。音はどんどん大きくなる。
今だっ!!
ジュウゴロウ「うおりゃあああああああああああああああ・・・あ?」
俺は硬直した。茂みから飛び出るまでは完璧だった。なのになんだこれは・・・
ラジカセが置かれてやがる。そこからは羽ばたいている音が流れていた。
ジュウゴロウ「フェイクだと!?そんなやり方ありか!!」
俺のほうも反則的だと思われるが、これを考えているみすちーもなかなかやるではないか。俺はラジカセのテープをオフにし、再び位置を探り出すと、上のほうから羽ばたく音が聞こえた。
ジュウゴロウ「そこかああああああっ!!」
「ひゃああああっ!?」
「あややぁぁぁっ!?」
勢いよくジャンプ、と思っていたら文と見知らぬ犬少女が降りてきたではないか。俺は危うく真正面からぶつかるかと思いながらも気を落ち着かせる。
ジュウゴロウ「文か、てっきり獲物かと思ったぜ」
文「獲物って・・・私を食べるつもりだったのですか!?」
ジュウゴロウ「違う違う、実は・・・」
魔人説明中・・・
文「鬼ごっこですか。面白そうなので手伝います!あとこちらは私の後輩の・・・」
椛「犬走 椛です!千厘の音を聞き取る能力を持ちますので役に立てるかと」
ジュウゴロウ「間に合ってる。けど俺がさっき調べたからには、何かがこちらに近づいてくる音が聞こえた」
2人はそれはなんなのかと考えていると、10メートルくらいの茂みの間から影が通り過ぎていった。
ジュウゴロウ「今何か通って行ったぞ!追うぜ!」
2人「はい!」
3人一斉に走り出す。影はやけに速いみたいだが、文が低空飛行を行いそのスピードを倍に跳ね上げる。追いついてその正体を見る文はそれを掴んで急停止するが、突然目を疑った。あとで俺達もやってくる。
椛「どうしたんですか?」
文「あやや、私達まんまと騙されたみたいですよ」
文が見せたのは四輪のタイヤで動く小さい車・・・ラジコンカーだった。
椛「これ、何でしょうか・・・?」
ジュウゴロウ「ラジコンカーだ。操作することで動く一種の玩具だが、どうやら近くにいるようだな」
文「何で分かるんですか?」
ジュウゴロウ「ラジコンカーは電波を受け取って動くから、届かない場所だと動けない・・・言うなれば遠くに行ってしまうと動かなくなってしまう。そのためには操作する人も動かなければならないけど、鬼がいるようじゃ動くことすら出来ない。つまり・・・」
椛「分かった!この近くに操作している人がいるんですね!」
文「なるほど・・・この周りを探せば見つけられるということですね!」
というわけで周辺を捜査開始した。
が、俺達は気づいていなかった・・・
「ニシシシ、うまくいったね」
「うんうん、このまま迷い続ければ・・・」
「さーて、どう料理しちゃおうかな?」
この3人にのせいで俺達はとんでもない運命に巻き込まれてしまうと・・・。
第33話でした。
鬼だけにジュウゴロウは鬼ごっこする羽目になてしいながらも2人の助っ人を借り、頭脳と己の体力をかけた勝負となる一同。しかし、魔の手が彼等を後ろから捕まえようとする3人の正体とは何なのか?
次回、鬼ごっこは生き残りを掛けたサバイバルと化して火花を散らす!
・・・とまぁ、次回予告的なことを書いていますが、その6日の間も書いておこうかと思ってこうしています。では皆さん、次回もお楽しみに・・・
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ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。