今日はいよいよ入試試験の日。
夏休みに入ってから、今日の為に圭ちゃんがつきっきりで私に勉強を教えてくれていた。
勉強ばかりの日々は辛かったけど、圭ちゃんと二人でする勉強はちょっとだけ楽しく思えた。
これから入試会場へと向かう私を部活メンバーが総出で出迎えてくれていた。
「魅音、受験票ちゃんと持ったか?鉛筆は?消しゴムは?」
「持ったよ~そんな心配しなくても大丈夫だって!」
「本当に持ってるか?見せてみろよ」
「大丈夫だってば………あれ?」
筆箱を開いて確認してみると、消しゴムがなくなっていた。昨日はちゃんとあったのに。
「昨日消しゴム忘れてっただろ」
圭ちゃんがどこからが消しゴムを取り出して差し出した。
「ほら言わんこっちゃない。本当にちゃんと確認したか?特に受験票忘れたら話にならないからな」
「さすがに受験票は忘れないよ!」
私は受験票を取り出して圭ちゃんに見せた。
「あとは大丈夫だな?」
「大丈夫だって!」
すっかり母親のように口うるさくなった圭ちゃんに唇を尖らせ言い返していると、レナに何か小さな物を渡された。
「魅ぃちゃん、これお守り!」
「わたくしたちからの応援メッセージ入りですわ!」
「本当はお守りは中を見てはいけないのですがこれは特別に見てもいいのですよ」
そのお守りをよく見ると古手神社のお守りだった。
しかも普通に売ってるのとは違う、おそらく梨花ちゃんお手製の。
「みんな…ありがとう!」
「じゃあ後は落ち着いて今までやった事をテスト用紙にぶつけて来い!この俺が教えてやったんだから大丈夫だ」
圭ちゃんは得意気に笑って私の頭を撫でた。
一緒に勉強するようになってから、圭ちゃんは私にもみんなと同じように頭を撫でてくれるようになった。
頭を撫でられるのは恥ずかしいけど、ちょっとだけ嬉しかった。
「俺の指導に部活メンバーからのお守りがあれば最強だな!よし、行って来い!」
「当然!私の実力なら楽勝だね!」
みんなからの応援を噛み締めながらも私はふざけて笑った。
「魅ぃちゃん、頑張ってね!」
「うん、行ってきます!」
私が踵を返して歩き出すとみんな口々に応援の言葉を送ってくれた。
みんなの応援を背負いながら、私は入試会場へと向かって行った。
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魅音の入試試験当日の朝の風景。一応部活メンバー全員いますが、圭一と魅音に偏り気味。