No.123555

真・恋姫†無双 十√ 12

kazさん

ここからシリアス展開予定です!多分…

     注)本編中に死亡フラグがいくつか発生しています。

2010-02-10 21:43:14 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:41733   閲覧ユーザー数:27423

幽州

 

反董卓連合解散後、幽州に帰還した公孫賛こと白蓮さんは機嫌がよかった。

度々公孫賛領へ攻め入って苦労させられていた北方の異民族の烏丸族との戦いで快勝した為だ、その功労者は董卓との戦いで公孫賛の客将となった華雄将軍の力によるものが大きかった、騎馬の用兵に長け、その武は敵を恐怖せしめた。

 

白蓮の元にも幾人かの武将はいたが秀でた者はいなかった、白蓮同様皆普通の人だったのだ!

普通、普通、普通…「普通って言うなぁ!」

その為自らが陣頭に立つのも度々の事だった、しかし華雄の参入で軍を任せ、白蓮は内政に重点をおけるようになり、

白蓮の負担は激減した。

 

「華雄おかえり」

 

「ああ今帰った、安心しろ、お前の領土を侵す者共はすべて叩きのめしてやったぞ」

 

二人は昔からの親友のように笑い語らう、こんな平和な時がいつまでも続くと思っていた、しかし

 

「また烏丸族が攻めてきただと、まったく懲りない奴らだ、すぐ兵を準備させろ!」

 

華雄の勇ましい声に公孫賛軍は準備を始める、その様子を見た白蓮は華雄に

 

「華雄、この戦いが終わったら私はお前に言いたい事があるんだ」

”ぴこーん!”+1

 

「奇遇だな、実は私もお前に話したいことがある、戦いから帰って来たら…な」

”ぴこーん!”+1

 

「見ろ華雄、あの北斗七星の横に輝く小さな星、あの星が今日はやけに綺麗だと思わないか」「うむ、そうだな」

”ぴこーん!ぴこーん!”+2

 

そして進発する華雄、それを見送る白蓮

 

「華雄死ぬなよ!」「ふっ!私が死ぬわけなかろう!私は不死身だ!」

”ぴこーんぴこーん!”+2

 

「ふっ、少しかっこつけてしまったか」

”ぴこーん!”+1

 

 

華雄が烏丸族との戦いに出発した後、袁紹との国境から報告が来る、曰く「袁紹軍が侵攻してきました!」

 

「まさか麗羽が!くそっ!残った兵を集めろ!界橋にて迎え撃つ!私が皆を守ってみせる!」

”ぴこーん!”+1

 

突如侵攻してきた袁紹軍の大軍に公孫賛軍は苦戦する、そして白蓮自身も負傷し絶体絶命と思われた時

 

「華雄見参!」「華雄!」

 

白蓮の危機を聞きつけた華雄が駆けつけてきたのだ、そして白蓮を助け本拠の易京へと帰還する。

 

「すまない華雄私がふがいないばかりに」「言うな、私はお前が無事でさえいればよいのだ!」

”ぴこーん!”+1

 

二人はお互いを見つめあう、そして袁紹軍は易京まで進軍してくる

 

「心配するな白蓮、お前は私が守る、お前は私にとって大切な人だからな!」「か、華雄////」

”ぴこーん!”+1

 

「華雄、これをその、お前にやる」

「む、これは手作りの人形、よく見ると…私に似ているな、私の為に作ってくれたのか!ありがとう、大事にするぞ!」

”ぴこーん!”+1

 

「む、敵が来たようだな、先に行くぞ!」「かゆうーーーーー!」

”ぴこーーーーーーーーーーーーーーん!”+1

 

 

 

 

そして幽州の戦いは袁紹軍の勝利で終わる

 

 

 

 

 

”公孫賛、袁紹軍に撃破される”

 

 

その報は各地に伝えられる、陳留から許に本拠を移した北郷軍の面々は王座の間に集まり袁紹軍と公孫賛の戦いについての考察、そして今後予想される展開について話し合う。

 

「公孫賛さんはその後どうなったんだ?」

 

一刀の問いに桂花が答える

 

「細作の報告では界橋の戦いで大敗の後、本拠の易京に撤退、篭城するかと思ったけど打って出てそこでも見事に大敗、その後行方不明との事だそうよ」

 

「易京は城壁を幾十にも作った要塞とも言われていましたが、何故篭城せず打って出たのでしょうか?公孫賛殿は地道に地道に生き、石橋を叩いても渡らないような方だと思っておりましたが」

 

「それが報告によると公孫賛側に元董卓軍の華雄がいたそうよ、挑発に怒って打って出た後乱戦になって落とされたとか、ちなみに華雄も公孫賛と同じく行方不明らしいわ」

 

その報告に皆はなんていうか…”あーいたな、そーゆー奴”みたいな感じ、そして元董卓軍の霞や月、詠などは

 

「華雄の奴生きとったんかー、まぁそう簡単に死ぬ奴とは思ってなかったけど」

「まったく、あの突撃馬鹿、相変わらず馬鹿なんだから、けどまぁ、そう、生きてたのね」

「華雄さん、よかった…」

 

「んー、なんというか、公孫賛さんも何でそんな厄介な人抱え込んじゃったんだろうなぁ」

 

俺の言葉に皆は「うんうん」って感じで頷く

 

「報告では袁紹が幽州を手中にした事で近辺の諸侯は続々と袁紹の傘下に下っているとの事です、その範囲は青州、并州にも及んですでに多くを手中に収めたと」

 

「袁紹は河北4州をほぼ手中に収めたことになるのね、馬鹿だけどそれだけ大きくなると厄介ね」

 

桂花の言葉に皆も考える

 

「次に袁紹が狙うのは俺たちか、徐州の陶謙か」

 

「麗羽…あの馬鹿女なら確実に私達を狙ってくるわ」

 

桂花のその自信満々のその言葉に風、稟などは異論を唱える、俺たちの力は反董卓連合の時に見せ付けた、最近は勢力を伸ばしてまともに戦えばかなり被害が出る俺たちよりたいして戦力のない徐州を先に狙うのが普通なのではないかと、それに対し桂花は

 

「あの馬鹿女は大きな宝箱と小さな宝箱を出されて選ぶように言われたら迷わず大きな宝箱を選ぶような女なのよ、強いとか弱いじゃなく、大きいから、もしくはこっちの方が目立つからこっちを攻撃しますわよ!、って考える女なのよ」

 

その言葉に皆は納得する、あの袁紹なら確実にそうだろうねと、それに、反董卓連合で俺達だけが功名を得た事をかなり苦々しく思ってたようだし、俺の事もかなり嫌ってたしね。

 

「まぁ袁紹との決戦はいずれ来ると予想はしておりましたしその為の準備もしていましたが、やはり兵力の差は如何ともしがたいですね、風、貴方はどう思いますか?」

 

「ぐう」

 

「寝るなっ!」

 

「おおう、昨日は夜更かしをしてしまったものでつい…」

 

「また何かよからぬ事を企んでいたのではないでしょうね?」

 

「いえいえ、おにーさんが風を眠らせてくれなかったのですよ、…ぽっ」

 

風の言葉に皆が一瞬にして臨戦態勢をとる、その速さはまさにハヤテの如く!そして狙うは俺の首!

 

「いや、俺何もしてないからほんとに!昨日はずっと一人で書簡のまとめをやってたから!

風頼むからあまり変な事言って俺の命を縮めようとしないでくれ!」

 

「昨日はあんなに激しかったのに…」

 

「やめてください!ほんと頼みます風さんいやさ風様!!!今度何かおごりますからっ!」

 

「では有名店のお饅頭を頼みますね~、さてさておにーさんをおちょくるのはこの辺にしておいて皆さん今後の方針ですが~」

 

風の一言で我に返り武装解除する皆、凪などは「はっ!私は一体何を!」と言ってたり、風恐ろしい子

 

「袁紹さんを注意するのは当然として、南の袁術さんの動向も気になりますね~」

 

「その事ですが徐州方面に派遣していた細作より最新の報告が届き、それによるとどうやら袁術は徐州へ侵攻する準備をしているようです」

 

稟の報告に皆が仔細を聞こうとする、稟の報告では徐州近辺に袁術軍が集結してるとの事、その数は3万、

指揮するのは李豊、楽就、梁剛の三将軍との事、袁術軍徐州侵攻の理由はおそらく袁紹が幽州を得た事に

「妾も新しい領土が欲しいのじゃ~」という理由だと推測される。

 

「雪蓮は出ていないのか」

 

「はい、おそらくは徐州はすぐに制圧できると思ってあえて動かさなかったのではと、あまり功を与えすぎますと人心が孫策殿に向かいますから、ただあの袁術がそこまで考えてるかというのも疑問ですが、単に武功のない者達が功欲しさに自ら買って出たというのが本当かもしれませんね」

 

「袁家は所詮袁家か、で、徐州はどの程度持ちこたえられそうだと思う?」

 

「徐州軍だけならそう長くはもたなかったでしょうね~、でも今は劉備軍がいますから徐州は持ちこたえられるのではと」

 

「ですが戦線が膠着すれば孫策殿の出陣もありえるでしょうね、そうなるといくら劉備の軍とはいえ苦戦は必死かと」

 

「もし徐州が落とされるような事になれば袁術も俺たちを潰しにかかるかもしれないな」

 

「はい~、袁紹、袁術の双方から攻撃されればいくら風達が優秀だと言っても数の差で持ちこたえるのは厳しいでしょうね~」

 

何気に自分の事を優秀とか言いましたね風さん、まぁ実際その通りだけど。

 

「できれば袁紹さんとの戦いに集中したいのでその間は袁術さんにはおとなしくしててほしいのですけどね~」

 

「えっと、その事だけど実は俺にちょっと考えがあるんだけどいいかな、上手くいけばしばらくは袁術は身動きが取れなくなると思う、まぁその代わり南に強敵が出現するかもしれないけど」

 

一刀の言葉に皆が注目する、そして一刀はあるモノを持ってくる、ちなみにソレの存在を知っているのは一刀、月、詠の3人だけである。

そしてソレを見せ、驚く皆にさらに一刀は

 

 

「俺はこれを袁術にあげようと思ってるんだ」

 

 

その言葉に皆が絶句する

 

 

 

 

 揚州

 

この地は元々江東の虎と呼ばれた孫堅の支配する地であった、名君、と言うほどではなくどちらかというと力技で支配していたと言ってもいいほどの孫堅、しかしその孫堅が死んだ事でその力に怯えながら従っていた豪族達は一気に孫家の支配下から離脱していく。

さらに内乱や闘争が相次ぎ対応に苦慮していた所を漁夫の利と言わんばかりに袁術がかすめとっていったのだ。

今の袁術からは想像も出来ないほどの手際の良さで一気に揚州を支配下に置いた袁術、ちなみにそれを指示したのは張勲さん、バスガイドのようなコスして常に袁術ちゃんを愛でてるあんな人ですが実は凄く出来る人なんです。

 

そうなると今まで孫家に付き従ってきた豪族達の矛先は孫家の残党へと向けられていく、すでに数百程度の規模にまで減らされた孫家はなくなく袁術の庇護を求める、袁術は渋った、というか怖がったが、張勲は孫策達を揚州の爪牙にしちゃいましょう~と提案する。

庇護をするかわりに袁術の為に働け、という訳だ、孫策も家臣や妹達の為にその条件を飲む、いつか孫呉復興をする為に虎視眈々とその機会を窺いつつ。

 

しかし張勲さんはほんとに出来る女の子だった。

彼女は孫家の家臣、家族達を各地に分散させ人質のようにする事で孫策の自由を奪い、言いなりにさせる事に成功したのだ。

以後孫策は袁術のほぼいいなりとなり、袁術の為に戦い続ける事になる。

 

 

ぽかぽかとしたいい天気の袁術の本拠寿春

今日も今日とて袁術こと美羽ちゃんは我侭だった。

 

「七乃~、蜂蜜水がもっと飲みたいのじゃ~」

 

「もうっ、ダメですよお嬢様、さっき飲んだじゃありませんか~、あんまり飲みすぎるとまたぽんぽん痛くなっちゃいますよ~」

 

そして張勲、真名は七乃さんは今日も今日とて美羽お嬢様の我侭に困って…なかった。

 

「ううっ!ぽんぽん痛くなるのは嫌なのじゃ~、でも蜂蜜水は飲みたいのじゃ~、うぐうぐ」

 

「ああもうっ!///そんな顔したらあげない訳にはいかなくなっちゃうじゃありませんか~、もうこの七乃殺しめっ♪」

 

なんかそんないつものやりとり、他の国の人達が見ればきっと呆気にとられ馬鹿にする所だが、ここではこれが普通、ここの家臣達も最近はそれを生暖かく見守る事になれはじめていた、いいのかそれでっ!

 

「くぴくぴ、ぷはぁ~、蜂蜜水美味しいのじゃ~」

 

「はぁ~ん///蜂蜜水を少しこぼしながら飲むお嬢様ほんと可愛いですねぇ~♪」

 

「ところで七乃、徐州はどうなっておるのかえ?」

 

「あらあら急に真面目なお話ですね~、そんな変わり身の早いお嬢様もす・て・き♪」

 

「はっはっは、もっと誉めてたもれ」

 

「や~ん可愛い♪えと、それで徐州の事でしたっけ、実はまだお嬢様のものになってないんですよねぇ~」

 

「なんとっ!まだ妾のものになっておらんのかえ?もう結構になるのにどうしてなのじゃ、どうしてなのじゃ~!」

 

「ああんもう、怒った顔も可愛いですね~♪、えっと実は徐州に劉備さん達がいて私達の邪魔をしちゃってたりするんですよ~」

 

「劉備?誰じゃそれ?」

 

「もうっ、忘れちゃったんですか?反董卓連合の時、北郷さん達と一緒に汜水関、虎牢関を破った人達ですよ~」

 

「そんな奴らとっくの昔に忘れたのじゃ、で、そいつらが妾の邪魔をするのかえ?だったらそいつらごとやっつければよかろう」

 

「それがその人達すっごく強いんですよ~、徐州に向かった李豊さん楽就さん梁剛さんはこてんぱんにやられちゃって~」

 

「なんと情けない奴らじゃ!しかしどうすればよいのじゃ~、麗羽は領土を新しく得たのに妾が新しい領土を得れないのはとっても嫌なのじゃ~」

 

「ああん、駄々をこねて泣いちゃうお嬢様可愛い~♪、お嬢様、こんな時の為にお嬢様の爪牙の孫策さんがいるんでしょ♪」

 

「おおっ!そうじゃったそうじゃった、はよう孫策を呼ぶのじゃ、そして徐州をさっさと妾のものにするのじゃ~」

 

「は~い♪、ではさっそく~」

 

 

 

 

そんな感じで孫策の元に袁術から徐州への出兵の命令が下る。

袁術の命令に逆らうわけにもいかない雪蓮は

 

「はぁ、わかったわ、けど兵は借りるわよ、劉備相手じゃ私達だけの兵だけだと勝てないから」

 

「あらあら小覇王なんて呼ばれてる孫策さんとは思えないほどの弱気ですねぇ~」

 

張勲のその言葉にイラッとしながらもなんとか耐え

 

「劉備の所にはあの飛将軍呂布と互角にやりあった関羽、張飛、趙雲てのがいるのよ、あんなのとまともにやりあって無事で済む訳ないでしょ」

 

「そういえばそんな人達がいましたねぇ~、わかりました、じゃあ5千ばかり連れて行っちゃってください~、孫策さんならそれで十分ですよね♪」

 

「孫家の旧臣達を呼び寄せていいんだったらその半分でいいんだけど」

 

「それはダ・メ・ですよ~♪、あの人達にはあの人達のお仕事がありますからね~、それでは頑張ってきてくださいね~♪」

 

そう言ってスキップしながら帰っていく七乃を苦々しく見送る雪蓮と冥琳

 

「張勲か、袁家には人なしと思い油断していた、あ奴がおらねば孫呉復興の行動ももう少し早くできたろうに」

 

冥琳が忌々しいといった感じで語る

 

「済んだ事を言ってもしょうがないでしょ、今はとにかく早く皆を集める事に専念しましょう」

 

「ふっ、雪蓮に諭されるとはな、少し苛立ってたかもしれん、さて徐州だがどうする?」

 

「どうするもこうするも行くしかないでしょ、まぁ呂布ほどじゃないにしても苦戦するのは間違いないでしょうね」

 

二人は今の自分たちの状況に苛立つばかりであった、そしてふとよぎる一刀の言葉

 

「袁術は近いうちにいずれ瓦解する…か、一刀の言った近いうちっていつなのかしらね…」

 

「北郷の言った事を信じてるのか?」

 

「うん信じてるわよ、だって一刀はきっと何かをしてくれるはずだから、それも近いうちに何かきっと…」

 

「勘か?」

 

「そ♪、でもそれだけじゃないわ、北で袁紹が公孫賛を滅ぼしたじゃない、だとすれば袁紹が次に狙うのは一刀の所、まともに戦えば勝ち目はほぼないでしょうね、そこに袁術も呼応して攻めて漁夫の利を狙うならなおの事」

 

「確かにな、北郷は北に袁紹、南に袁術、劉表、まぁ劉表はそうそう戦いに参戦するとは思えんが、それでも囲まれているようなものだしな」

 

「一刀は何をしてくれるのかしらね♪」

 

「あまり期待はしない方がいいと思うがな、雪蓮」

 

「あら、冥琳は一刀の事信用してないの?」

 

「あの男は底が知れん、風のように飄々としてるかと思えば烈火の如く猛り狂う火のような、とにかく未だ真意が読めんのだ」

 

「冥琳にそこまで言わせるならたいしたものね、少し妬けちゃうかも」

 

悪戯っぽく言う雪蓮に冥琳は

 

「ふっ、私は雪蓮一筋だよ」

 

「くすっ、冥琳愛してるわよ♪」

 

そう言って軽いキスをする二人、そして彼女達の予想は現実のものとなる。

 

 

 

 

-伝国の玉璽-

 帝位の正当性を示す権力の象徴としての秘宝、これを持つ者は国を統べる事ができると言われる

 

 

 

寿春

 

そこでは最近ある奇妙な噂が流れ始める、それは

「玉璽が真の主を求めて彷徨っている」「玉璽を持つ者こそ皇帝に相応しい」など、

その噂を聞きつけた美羽様はそれが何やら気になるようで七乃さんに尋ねてみる

 

「のう七乃、最近噂になっている玉璽の事についてなのじゃが、どこにあるのかのう」

 

「さぁ、そもそもその噂って本当かどうか疑わしいじゃないですかぁ~」

 

「ううむ、でももし玉璽を妾が手にしたら妾は皇帝になれるのかの~」

 

「ええ~、それってまずいんじゃないですかねぇ~、皇帝まだいますし~」

 

なんか皇帝を軽んじてるのか軽んじてないのかその二人のやり取りにハラハラするその他の側近さん達

 

「じゃあ玉璽をお嬢様の民に探させましょうか、そうすればきっと早く見つかるかもしれませんよ~」

 

「おお、それは良い考えじゃ!さっそく探させよ!もし見つけたものには褒美の蜂蜜をくれてやる、皆大喜びで探すであろう、わっはっは!」

 

「ああん、そんなもので本気で玉璽を探す人いないと思うけどそんな事にも気付かないお嬢様も素敵~♪」

 

「はっはっはもっと誉めてたも~♪」

 

兵士&側近 ”ダメだこいつら、早くなんとかしないと…”

 

そしてほんとにそんなお触書が袁術領内に張り出される、本気で探す者がいるわけもなく、玉璽という秘宝がそこいらにホイホイある訳もなく、出てくる事はないと思われた、しかし…

 

「お、お嬢様~、た、大変ですよぉ~」

 

「お、おおう!わ、妾はつまみ食いなんかしてはおらぬぞ!ほ、ほんとだぞ!蜂蜜漬けの蜜柑なんかたべてないぞよ!」

 

「ああん、そう言って言っちゃってるお嬢様ほんと可愛いんですから~♪」

 

なんかいつものノリでついほわーんとしてしまう七乃さん、しかし今回は違った、あまりにも大事な事なのですぐ我に変えり

 

「ああ、こ、こんな事してる場合じゃなかった、お嬢様大変です、なんと玉璽が見つかったんですよ~!!」

 

「玉璽?なんじゃそれ?」

 

さすがの七乃さんも少し呆れてしまう、しかしそこは美羽様大好き七乃さん、すぐに立ち直り

 

「お嬢様が民に命じて探させた玉璽ですよ~、それを持つ者は皇帝になれるっていう伝説の秘宝」

 

「おお!そう言えばそんな事を言ってた気がするぞ!それでその玉璽はどこにあるのじゃ!」

 

「はい、それを見つけ出したという商人さんが来てますので王座の間で待ってもらってますよ~」

 

「それを早く言わんか!行くぞ七乃」

 

「は~い♪」

 

そして玉座の間に来た美羽様と七乃さんは玉璽を見つけたと言う商人風の3人の人物達と面会する

 

「お主達が玉璽を見つけた者達かや?」

 

??「へ、へぇそうでございます」

 

「おおよくやった、それで、玉璽はどこにあるのじゃ?はよう見せい!」

 

??「ははっ、これなの~」

 

そう言って差し出した袋を七乃は慎重に受け取り、中を確認した後で美羽に渡す、そして袋から出すとそれは七色の光を放つ印鑑、美羽、七乃ばかりでなく周りの側近や兵士もその美しさに見とれる

 

「お、おおお!こ、これが玉璽かや!な、七乃ど、どうしたらいいのじゃ!」

 

「ああん何か訳が分からず戸惑ってるお嬢様サイコー!もうそれはお嬢様のものなんですから好きにしたらいいんですよ♪」

 

「そ、そうかこれはもう妾のものか!よ、よし妾はこれで皇帝じゃな、皇帝になれるのじゃな~!」

 

その言葉に今までぼけっとしていた側近達が慌て出す、しかしそんな人達をよそに

 

「ああもう、皇帝になる妄想してるお嬢様さいこーーーー!」

 

そんな二人の世界に入れないでした、ちなみにその玉璽を持ってきた三人にはご褒美の蜂蜜を渡され帰っていった。

その三人は特に文句を言うでもなく、まるでそれが当然のように去っていった。

 

 

 

その三人は揚州を離れ、北郷領内に入った所で変装を解き、待っていた人物に事の次第を報告する、

その人物、白く輝く服を着たその三人の主北郷一刀は三人に

「お疲れ様、凪、真桜、沙和」

 

と、労いの言葉をかけるのだった。

 

 

 

 

 

それからしばらくして、美羽様は皇帝を名乗り、「仲」の建国を宣言する。

 

 

 

 

 

袁術が玉璽を得、自らを皇帝と名乗り「仲」の建国を宣言した事はあっという間に揚州、いや国中に伝わる。

ある者は袁術が気が狂ったと笑い、ある者は漢の逆賊だと怒り、ある者は今後どうしたものかと頭を抱え対応に苦慮していた。

 

袁術が皇帝を名乗ってからしばらくして揚州の各地で「偽帝討つべし!」との落書きが書かれる様になる。

それを見た者は不安にかられる者、そして今まで袁術に虐げられた事への鬱憤で武器を取る者と様々であった、それは袁術に組してきた豪族達も同じだった、諸侯の間でも同じく、隣接している劉表は真っ先に袁術を漢の逆臣と非難し、北郷、陶謙などもそれに従う、そして、袁紹なども「あのお子ちゃま、なぁにをトチ狂って皇帝などと、お尻ぺんぺんしてさしあげないといけないようですわね!」と

 

今まで漢の臣下として生きてきたのに急に逆賊になる恐怖、ただでさえ忠誠心のようなもののない袁術の元にいる豪族達の脳裏に浮かぶのは

 

『董卓』

 

弱小貴族でありながら洛陽に入り皇帝に取り入って相国にまでなった為に国中の諸侯から袋叩きにされて殺された者、その配下達も行方不明や降ったりした、その轍を踏むのではないかと。

こうして内外に一気に敵を作ってしまった美羽様、しかし当の本人は

 

「こ・う・て・い♪こ・う・て・い♪」

 

「ああ~ん、お嬢様素敵~♪」

 

と、たいして気にはしていなかった。

 

 

 

揚州・孫策の城

 

徐州へと出兵の準備をしていた雪蓮と冥琳はそんな各地の様子を冷静に見ていた。

 

「はぁ、馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど、まさか皇帝を名乗るなんてねぇ~、何考えてるのかしら」

 

「何も考えてはおらんのだろう、しかしこれでこの揚州は大変な事になるな」

 

「そうね、きっと各地で偽帝袁術を良く思わない者達が蜂起するわ、劉表あたりは攻めてくるかもしれないし」

 

「しかし、何故急にこんな事になったのだ」

 

冥琳の疑問に雪蓮は楽しそうに、そしてさも当然のようにきっぱり言い切る

 

「もちろん一刀のせいでしょ♪」

 

雪蓮の言葉に冥琳は少し考える、確かにそれは考えていた、しかし確証はなく想像の域でしかなかった

 

「私もそうは思っている、あまりにも全てが都合が良すぎるからな、何より玉璽の存在、

あんなものがそう簡単に出てくるわけがない、手に入れるとしたら、帝の近くにいた者、そう…」

 

『董卓』

 

「洛陽に入った董卓はその後相国にまでされ、つねに帝の傍にいた、だとすれば玉璽を手にする事も可能だった、あくまで可能性ではあるが、そしてもし北郷が董卓を保護していたとするなら、いや、きっと北郷の元にいるのだろう」

 

「董卓を渡せって言った時何か凄い隠し玉を持ってるんじゃないかと思ったけどまさかそれが伝国の玉璽だったとはねぇ、あの時の寒気の原因はきっとこれだったのね、無理に董卓を攫っていってたらきっと玉璽を使って袁術に孫呉に纏わる者全ての首と引き換えの報復をしてたかもしれない」

 

「そこまでやるか…いや、やるかもしれんな、あの男なら、仲間の為なら…」

 

しばしの沈黙が流れる、そして再び冥琳が言葉を発する

 

「問題は何を目的としてそれを行ったかだな」

 

「北からの袁紹、南からの袁術挟み撃ちを避ける為に後背の袁術内部を混乱させて無力化させる、そういうのじゃないの?」

 

「そうだな、普通に考えればそうなのだろうが、だがしかし、まだ何かあるような…」

 

何か考え始める冥琳に雪蓮は

 

「今はそれを考えるのは後でいいんじゃない?一刀の言った通りこのままだと袁術は瓦解するわ、

この機会を逃したら孫呉復興の好機はもう二度とこないかもしれないんだし」

 

「ふっ、確かにな、各地の仲間、蓮華様や小蓮様との連絡を密にするか」

 

そう言うと冥琳はある人物を呼ぶ、その人物は”しゅたっ!”っという感じに現れる、その人物は

黒髪で忍者装束のような服を着た女の子、名を周泰、真名を明命と言う、彼女は隠密行動に長けた孫呉の将で、各地に散らばった孫呉の者達との連絡などをとりあってたりする、おそらく七乃も彼女の存在を知らないであろう。

 

「明命、袁術に反発する所にいる家臣達にはそれに呼応するフリをして抜け出すように伝え、未だ袁術に組する者の所にいる者に対しては隙を見て逃げ出せる手筈を手伝ってやってくれ」

 

「はっ!」

 

そう言うと現れた時のように風のように去っていく

 

「思春にも手伝わせましょう、隠密行動ならあの子も役に立つでしょうし」

 

「しかし思春は蓮華様の護衛、いなくなれば蓮華様の身が危険になりはしないか?」

 

「蓮華ももう子供じゃないわ、一人で難局を打開できないようなら孫呉の盟主たる資格はないわ」

 

蓮華、真名であるその人物の名は孫権、雪蓮の妹である、雪蓮は孫呉をこの人物に委ねようと考えている。

大切な妹、大事な孫呉の主となりうる人物、それゆえにこの機会でひとり立ちさせたいとの想いもあった。

 

「一刀が何を考えてこんな事を行なったのかはわからないけどこの機会利用させてもらうわよ!」

 

待ちに待ってた!とばかりに行動を起こし始める雪蓮達であった。

 

 

 

 

 

 

城の中庭では一刀、月、詠がお茶をしていた

 

「まったくあんたには呆れるわ、玉璽をあっさり他人に、それも袁術なんかにあげるなんて」

 

「俺はどうもそういうのに詳しくないんだけど玉璽を見た時の皆の反応見るに結構大変な事したのかな?」

 

「大変な事どころじゃないわよ!はぁ、まったくやっぱこんな奴に渡すんじゃなかったのよ!」

 

「詠ちゃん、ご主人様の事悪く言っちゃダメだよ」

 

「もうっ、月はやさしいんだから!でもボクも実は超絶かっこいい一刀様大好きなんだけどね、くすっ♪」

 

「この馬鹿ち●こぉ!!!ボクの真似して変な事言うなぁ!殴り飛ばすわよ!!!」ドガアっ!!

 

そう言って一刀を殴る詠、その様子を見てくすくす笑う月、なんとも平和な光景

 

 

ここで一刀が玉璽を得た経緯の説明

反董卓連合との戦いが激化する最中洛陽では一刀が月と詠がいるという設定の屋敷に火を放ち、月と詠を荷物に紛れ込ませ陣に帰る所だった、その時

 

「北郷様、これを…」

「これは?」

「伝国の玉璽です」

「玉璽!何でそんなものがここに!?(俺の知ってる三国志じゃ確か古井戸で孫堅がみつけるはず…)」

「李カクと郭汜が帝を拉致していった際、帝の周りの人間を皆殺しにしたのよ、その時玉璽を管理していた者もね、奴らは帝を拉致する事しか考えてなかったようで玉璽の事を忘れてたの、それを保護した、といった所ね」

「成る程、でも俺が貰っていいのか?」

「はい、私が持ってても意味を成さないでしょうし、帝のいない今残してても誰か別の人に使われるだけでしょうし」

「袁紹や袁術あたりがコレを持ったら皇帝を僭称して大変な事になるわね」

「そうか、わかった、これは預かっておくよ、でもこれ、もしかしたら俺使っちゃうかもしれないけどいいかな?」

「ちょ、皇帝を名乗る気!」

「違うよ、ただ、これが必要になる気がするんだ、君達を、そして俺たちを守る為に…」

 

こうして玉璽は一刀の元へと渡る。

 

 

「それで、孫策は動くと思うの?」

 

「動くよ、必ずね、袁術がガタガタになってる今、各地に分散してる孫呉の人達の監視も弱くなってるだろうから、玉璽を得て偽帝となった袁術の支配する揚州は混乱して俺達を攻める所ではなくなる、そして雪蓮達はその隙に各地に分散している旧臣達を集め袁術に叛旗を翻す、そして仇敵の袁術を叩く事にその全力を向かわせる、そして孫策と袁術は互いに削りあって疲弊するどちらかが勝っても揚州は立ち直るのに時間がかかると思う、その間に俺達は袁紹を叩いて北で基盤固めをする」

 

「兵も人も使わず後背の袁術と孫策の行動を制限する、か」

 

「まぁそれも俺たちが袁紹に勝てれば、なんだけどね」

 

「けど小覇王孫策の孫呉の国が出来たら袁術なんかとは比較にならないほどの強敵になるかもしれないわよ」

 

「うんわかってる、でも今はそれしか方法はないと思う、袁紹はおそらく近いうちに大軍でここを攻めてくる、

今南を押さえておかないと勝つ事が難しくなる」

 

「…勝ちなさいよ、じゃないと月がまた苦労する事になるんだからね」

 

「お、心配してれるんだ、詠も段々優しくなってきてくれてるんだね」

 

「ばっ!///ち、違うわよ!言ったでしょ!あんたが負けたら月は逃げ回らなきゃいけなくなっちゃうのよ!

そんな事させられないって言ってんの!」

 

「くすくす、詠ちゃんたら照れてる」

 

「だぁから違うってのにーーー!!/////」

 

なんか真っ赤になって月を説得してる詠が可愛いなとか思う一刀、そんな楽しげな二人を見て

 

「勝つよ、必ず、じゃないとこの国は何も変わらない」

 

「ご主人様、無理はなさらないでくださいね…」

 

「んー、月はいい子だねぇ、うんうん頑張るよーー」

 

そういって月の頭を撫でる一刀、で、当然

 

「だぁから月に馴れ馴れしく触るなってのーーーーーー!!!」

 

乾いた打撃音と月の悲鳴のような声が城に響く

 

 

 

 

 

一刀達が袁紹に、雪蓮達が袁術に対策を練っている時、一刀達にとっては予想だにしない出来事が起こる。

それは、袁紹軍が徐州へと侵攻し、そして

 

 

 

 戦わず袁紹軍に降伏したのだ

 

 

 

 

あとがきのようなもの

 

美羽と七乃さんを書いたら、なんかめっちゃ楽しかったです

この二人もいいコンビだなぁ、恋姫はいいコンビが多すぎる

 

 


 
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