※注意
1、主人公はオリキャラです。(他にもオリキャラがでます。)
2、時代背景メチャクチャ、キャラ崩壊アリ
第一話『天の舞手、外史へ旅立つ』
―『佐野小路(さのこうじ)大劇場』と呼ばれる劇場内-
鳴り止まぬ拍手の中、舞台の幕が下りた。役者達は舞台の控え室に戻っていく。
舞十「お疲れ様でしたー。」
団員の中でも若い人物、佐野小路舞十(まいと)はタオルで汗を拭きながら共に劇を演じたメンバーに声を掛けて控え室をでた。
??「お疲れさん。見事だったぞ」
部屋に戻る途中の舞十は声をかけられて振り向く。
声の主は彼の父であり、団長である誠太郎(せいたろう)であった。
舞十「何か用?汗流して帳簿とか書きに行かなきゃいけないんだけど。」
誠太郎「いつも頑張っている息子を労っているというのに冷たいじゃないか。」
舞十「労いよりも、もっときちんと事務仕事をしてくれた方が僕は嬉しいね。」
誠太郎「私はそういう小難しいのは苦手だから、それは事務の皆とお前に任せた。いわゆる適材適所というやつだ。」
舞十「団長とは思えないよ、その台詞。」
誠太郎「いやいや、それほどでも。」
舞十「ほめてないよ!」
相変わらず自由な父に突っ込む舞十。いつもの光景である。
舞十「用事が無いなら僕はもう行くよ。事務の皆だけにやらせるわけにはいかないし。」
誠太郎「うむ、シッカリやれよ。」
舞十「本来は父さんの仕事なんだけどね。」
誠太郎「スマンスマン。話は変わるが舞十、今夜私の部屋に来なさい。話がある。」
舞十「…了解。じゃあ僕は仕事に戻るよ。それから一昨日の飲み代、来月のお小遣いから引いとくから。」
誠太郎「え?あれは経費で…」
舞十「友達と飲みに行くのが経費で落ちると思ってるの?そんなに裕福じゃないんだからこの劇団。反論、交渉は聞かないからね。」
誠太郎「そ、そんな…orz」
…こんな光景もいつものことある。
―その日の夜-
舞十「今回は一体何の用だろう?」
仕事を終えた舞十は、言われたとおり誠太郎の部屋に向かいながら自分が呼ばれた理由を考えていた。
舞十「また奉納舞の依頼とか?」
佐野小路家は今でこそ劇団をやっているが、実は古くから神々に対し奉納の舞を舞うことを生業としてきた一族なのだ。そのため今でも神社や寺から奉納舞の依頼が来ることがあり、その際(女装して)舞を行うのが舞十の役目である。
舞十「でも父さんもいつになく真剣だったし、何かあったのかな?」
表面上はいつも通りマイペースな誠太郎だったが、自分に部屋に来いと言った時だけその雰囲気が真剣なものに変わったことに舞十は気づいていた。
舞十「まぁ、聞けばわかるか。」
思考を中断し、舞十は扉をノックした。
誠太郎「誰だ?」
舞十「僕だよ。舞十だよ。」
誠太郎「来たか、入りなさい。」
舞十は部屋に入ると、誠太郎の向い側の椅子に腰かけた。
舞十「………」
誠太郎「………」
舞十「…用件は何?」
少しの沈黙の後舞十が切り出すと、誠太郎はいつもは見せない真剣な顔で話をはじめた。
誠太郎「ちょっとお使いを頼みたい。場所はこの間お前が奉納舞をやった寺だ。」
舞十「あぁ、あの御寺ね…。」
舞十は二週間前に依頼された御寺を思い出した。昔は中国とのつながりがあり、その名残か中国の古い品が数多く残されていたというくらいしか特徴のない寺であった。
誠太郎「これを返してきてほしい。そしてできるなら人目につかない所に処分してもらってくれ。これはお前にしか頼めない。」
誠太郎はそう言って布にくるまれた物を取り出し、布を開いた。中身は銅鏡だった。
舞十「これってこの間荷物にまぎれてたやつだよね?」
誠太郎「そうだ。連絡を取ったから間違いない。あの寺のものだそうだ。」
舞十「でも何で僕なの?というかこの銅鏡がどうしたって……!?」
誠太郎「わかっただろ?お前にしか頼めないわけが。」
舞十は驚愕した。僅かながら、この銅鏡から『気配』を感じたのだ。何かはわからない漠然としたものだが、確かに『気配』を道鏡は放っていた。
舞十「確かにこのお使いは僕か父さんにしかできないね。」
下手な人に頼むと何があるか分からない。これの気配がわかる人間が運ぶしかない。舞十はそれを理解した。
誠太郎「すまんな。本当は私がやるべきなんだが…。」
舞十「仕方ないよ。父さんは後援団体との交遊会があるわけだし、こんなこと、団員の皆には頼めないよ。」
真剣な顔から一転、ばつが悪そうに俯く父に舞十は微笑み返した。いつもはダラダラとしているが、息子はもちろん、他人事に対して自分のことのように考える父を舞十は尊敬していた。もっとも…
舞十「じゃあ明日の準備があるからもういくよ。僕がいないからって自由にしすぎないでね。いない間に無駄遣いしてたら、お小遣い減らすだけじゃ済まないよ。」
誠太郎「わ、わかってる。心配するな。」
雑で抜けてる部分も多いゆえに長所も霞んで見えてしまう父に舞十はため息を隠せなかった。
それから3日後-
舞十「誰も付いてきていないね…。なら、このあたりでいいかな。」
舞十は御寺がある山の奥にある人気のない場所に来ていた。あれから寺と相談した結果、銅鏡は人気のない場所に埋めてしまうことになったからだ。住職の話では、奉納舞を行ったあの日、きちんと蔵にしまったはずなのにいつの間にか消えていたらしい。寺の人間も不気味に思ったのか、道鏡は舞十が埋めること、厄除けの意味を込めてもう一度奉納舞を踊ることを条件に二つ返事で了承してくれた。
舞十「さてと、穴はこれくらいでいいかな。後は道鏡を埋めればおしまいだ。」
そう言って舞十が持ってきたバッグから銅鏡を取り出した時だった。
舞十「!! ヤバ!」
舞十は銅鏡のだす『気配』が急激に大きくなったのを感じ離れようとした。しかしそれと同時に銅鏡から光があふれだし、舞十を包んだ。
舞十(なんだ?何かが…見え…)
光の中、銅鏡に何かが映し出されたのを見たのを最後に舞十の意識は途絶えた。
―???―
町へと続く道の外れ、三人の姉妹が焚き火を囲んで野宿をしていた。
??「ねー。次の町までどのくらいー?」
??「たぶん、明日のお昼ごろまでには着けると思う。」
??「えー、明日はお昼まで歩くのー?お姉ちゃん疲れちゃったよー。」
??「我慢してよ姉さん!あたし達だって疲れてるんだから!」
??「持ってる食べ物も少ないし、何より野宿は極力避けたいの。賊とかの危険もあるし。」
??「わかってるけどー。」
わがままな長女を妹ふたりが諌める。だが長女は不満気だった。
??「あーもう。こんなんじゃいつまで経っても大陸一の歌姫なんてなれないよ!」
??「それどころか芽も出ずに終わる可能性もあるわ。」
??「大丈夫だよー。私達三人一緒なら、ぜーったい大陸一になれるって♪ほらー、どんどんおっきくなってるあの星みたいにー」
??「だから!その根拠のない自信は…って?」
??「どんどん大きく?」
長女の不思議な発言につられて妹二人も夜空を見ると、確かに空の光の一つがどんどん大きくなっていた。いや、正確には違った。
??「ちょっと!?あれって大きくなってるんじゃなくてこっちに落ちてきてない?」
そう、彼女たちに向って落ちてきていたのだった。
??「わー、すごーい♪」
??「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
??「二人とも伏せて!」
身をかがめた三人の上を通過した光は、すぐそばの林の中に落ちて行った。
??「何だったのよ、今の光?」
??「そこの林の中に落ちたみたいだけど。」
??「お星様かな?お姉ちゃんちょっと見てくるね。」
??「ちょ、ちょっと姉さん!?」
??「一人じゃ危ないわ!」
妹二人の制止を聞かず、長女は林の中へ入って行ってしまった。
??「どうする?」
??「私に聞かれても…」
自分たちも行こうか悩んでいると、林から長女が走って戻ってきた。
??「おーい。たいへーん。」
??「もー、勝手に一人で行かないでよ!」
??「いったい何が大変なの姉さん?」
??「本当にお星様が落ちてきたなんて言わないでよね?」
??「違うよー!お星様じゃなくて変な服着た人が落ちてきたんだよー!」
??・??「「えぇーーー!?」」
妹二人の驚愕の声が夜空にこだました。
はじめまして。areareと申します。
まずは最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回が初めての投稿という小説初心者の駄文ですが、一人でも面白そうと感じていただけたなら大変嬉しい限りです。
また、ご意見・ご感想をいただけたら幸いです。
ここはいわゆるあとがきとして各話ごとに補足をいれていきたいと思います。
とりあえず自分で変かな~と気になってしまった最後のページですが、主人公がまだ知らない人物なので一応名前を伏せてみました。正体って全然隠せないですね(苦笑)。かなり急ぎ足気味ですが、これから外史の世界に突入です。最後に主人公の舞十の設定を載せます。後でいかそうという設定も書いてあるので一応見ないでおこうと言う方はここでお戻り下さい。
主人公設定
佐野小路 舞十 (さのこうじ まいと)
年齢 17歳(高校二年生)
家族 父;誠太郎(せいたろう) 母;咲姫(さき)…舞十が小学校のときに他界
容姿 背丈は一刀より僅かに低い(1~2cmほど)、体格は普通の男子より若干細めだが、むだのない筋肉がついている。
髪は肩に掛かるくらいの長めで美しい黒髪(運動時などは後ろでまとめる)顔立ちは綺麗で母親似
・小さいころから父の誠太郎と共に劇団『佐野小路団』で生活している。父が雑な性格のためかシッカリ者で面倒見が良く、炊事洗濯果ては団の財布も彼が担当している(実質の支配者?)。自身も役者として出ており、その実力は若くして一流。但し演じるのに夢中になりすぎて自分を忘れることがたまにある。役は基本的に男役だが、容姿も相まって女性の役も演じている。団の皆から好かれていて、役者のほかにも簡単な手品や笛、知識を教えてもらった。父から武術※「千舞(せんぶ)流」を教えてもらっている。動体視力や気配察知の能力が高い。
※補足
千舞流…佐野小路の一族が使う武術。長い棒(棍)を用いてまるで舞うように戦う。変幻自在で予測しにくい戦い方から名がついた。また、奉納舞としても使われる。武器は棍以外でも一応だが応用が利く。
(もちろんこれは自分の考えたオリジナルの武術です。)
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初めまして。areareと申します。
初めての投稿作品となります。
楽しんでいただければ嬉しいです。