実兄を好きになる。
そんなドラマのような話。それでも、俺は男で―。
もちろん 【兄】なのだから俺の想い人も男だ。
ただ募る激情に身を任せて、兄に切ない想いを寄せる。
押しては引き、押しては引き・・・。
まるで海辺の夕景色のように。
「ゆみにぃ、お風呂いいよ?」
風呂上り、俺は髪の毛を拭きながら兄の弓葉(ゆみは)に声をかける。
大学に出すレポートに目を通していた弓葉は、眼鏡をはずして弟の彩葉(あやは)を見た。
弓葉は書き物や勉強をするときだけメガネを着用している。
その眼鏡を外す一瞬、小さく揺れる髪の毛、そっと細めたとび色の瞳、一つ一つの動作が彩葉を
どきどきさせた。
高校に通いやすい、という理由で一人暮らしをする兄の家に居座り、2人だけでの暮らしを満喫する。
それでもむなしさは否めず、苦しみ、切なさは日々溜まる。
優しい兄は、きっとわがままな自分の申し出を断れなかっただけなのだ。
そう考えれば考えるほど、冷たい感情が胸を覆うように広がる。
「・・・・今入ってくる。さんきゅ、あや」
ふわっと頭を軽く撫でられて、弓葉のにおいが鼻を掠める。
どきりと胸が高鳴り、彩葉はしゃべることすらままならなくなる。
「う、うん・・・」
「彩葉?どうした?」
「な、なんでもないっ・・・」
その瞬間、弓葉が小さく笑ったきがした。
「ゆみにぃ・・・?」
不思議におもって首を傾げると、弓葉が彩葉を小さく抱き寄せた。
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兄を好きになる。そんな漫画みたいな恋を、今俺はしてる。
それは想像以上に つらくて 哀しい
ただ 溢れる想いだけ 受け止められる心の器が欲しい
大好き 大好き ずっと君だけ