反董卓連合合流地点
陣地の中には諸侯の旗が立ち並び、色とりどりの軍装に身を固めた兵士達がいた、さしずめ諸侯博覧会といった感じだ、先に到着していた陳留軍の一刀は続々と来る諸侯を見て。
「すっげぇ、オラなんかわくわくしてきたぞ!」
悟空語で思いっきり感想を語ったりしてたり。
「ええい何を浮かれている!、我等は遊びに来たのではないぞ!」
「ああっ!春蘭に注意されたよ!何だろう、凄く傷ついた、というかきっと雨降るな、雪も」
「そうか北郷、そんなに死にたいか、よかろう大戦の前に血祭りの贄にしてくれる!」
「ふふっ、二人とも仲良くじゃれあうのも良いが袁紹殿から軍議に来るようにと使者が来ているぞ」
少しからかうような感じで俺と春蘭に言葉をかける秋蘭。
「あ、そうなんだ、わかったじゃあ… 悪いけど秋蘭ついて来てくれる?こういうの初めてだし、よくわかんないからさ」
「ん?、まぁそれはかまわないが…」
「じゃあ、皆、行って来るから」
そこまで言って俺と何かを考える秋蘭が軍議に出かけようとすると、あの方が怒った声で。
「ちょっと待ちなさいよ!私を無視する気!軍議に軍師を連れて行かないなんて何の嫌がらせよ!
この変態!強姦魔!全身精液男ーー!」
「ちょっ!おまっ!こんな所で大声で何言ってんだ!ま、周りが見てるし笑い声も聞こえるし!俺の印象悪く思われるだろ!」
「あんたが悪いんでしょ!この品性下劣最低孕ませ男!軍師をないがしろにして戦いに勝てるとでも思ってるの!」
「い、いや、別に荀彧さんをないがしろにした訳じゃないって!、ただ、その…軍議には袁紹さんがいるし…あんまり会いたいんじゃないかなって…」
「勝手に決め付けないで!別にあの馬鹿女の事なんかもう気にしてないわよ!どうせ向こうも私の事なんか覚えてもいないでしょうし!まったくそんなくだらない事で大切な軍議に軍師を連れて行かないなんて脳にいやらしい事しか考えてない証拠よ!」
「す、すみません…で、では一緒に来ていただけますでしょうか軍師様」
「当然でしょ!」
そう言い切ると桂花は足早に軍議の場へ歩み出す、憔悴しきった俺はくくっと笑う秋蘭になだめられながら軍議の場へと向かう、そんな感じのやりとりをする俺達を幾人かの者達が目にする。
その一人は桃色の髪をした巨乳の女の子、名を劉備、真名を桃香をいう。
黄巾の乱の時に仲間達と義勇軍を旗揚げし、幾多の戦果をあげ平原の相までになった人物。
「ふわぁ~、なんか今のやりとり凄かったねぇ~、あの人が噂の天の御遣い様なのかぁ~」
「ねぇねぇ愛紗、全身精液男ってどんな男なのだ?」
「わーーーー!わーーーー!馬鹿!鈴々そんな事言わなくていいし!覚えなくていい!/////」
「そうなのか?」
そう言った小さい女の子、名を張飛、真名を鈴々と言う、こう見えても一騎当千の強者なのである、そしてもう一人美しい黒髪のサイドテールの女性、名を関羽、真名を愛紗と言う、この二人と桃香は桃園で義姉妹の契りを交わした姉妹である。
「ふむ、なかなか面白い人物のようだな」
一人一刀を見て楽しげに笑う白い服の女性、彼女の名は趙雲、真名を星という、武においては関羽、張飛と並ぶほどの武人でもある。
「はわわわわ/////」「あわわわわ/////」
そしてその傍で赤くなってる二人の少女、一人は名を孔明、真名を朱里という、そしてもう一人は鳳統、真名を雛里という、この二人実は天下の大軍師で伏竜鳳雛などとよばれているほどの人物なのである。
「くすっ、あの人達何だか楽しそうだよね、きっとあの人達もこの国を良くしようと思ってるんだろうな」
そんな風に思う桃香をはーーっと溜息をはきながら頭を抱える愛紗であった。
そして今一人、一刀達のやりとりを目撃していた者、そこはに孫の旗が掲げられていた。
「あれが噂の天の御遣いねぇ~、はぁ~、期待はずれだったわ」
くだらないものを見たような感じで溜息をはく褐色の美人、名を孫策、真名を雪蓮という。
孫呉の主にして小覇王とまで言われるほどの武人である、今は袁術の客将として甘んじているがいつか独立する為、今回の遠征で功を上げようとしていたのだ。
「だがあの者達が黄巾党の本隊を壊滅させ、首魁の張角を討って乱を終わらせたのだぞ」
雪蓮の傍らで冷静に話す眼鏡の美人、名を周瑜、真名を冥琳という、孫呉の軍師にして雪蓮とは断金の交わりの仲である。
「相手が弱かったんじゃないの?はぁ~、期待してたのになぁ、強そうでもなければ覇気もない、その上部下に舐められっぱなし」
「まぁそれならそれで良いではないか、我等の悲願の壁とならぬというならそれにこした事はない」
「やぁだつまんないつまんない~、もっとこう力と力でぶつかり合うようなのがいいの~」
「はぁ、まったく、とにかく今は我等も軍議へ行くぞ、遅れたらまた袁術にどんな嫌がらせをされるかもわからんしな」
「ぶぅ~、めんどくさ~い」
そんな風に一刀にまったく興味を示さなかった小覇王孫策、しかし軍議の場でその考えは改める事になるのであった。
連合軍本陣、軍議の場にて
そこでは総大将となった袁紹と陳留の主にして天の御遣いこと北郷一刀が睨みあっていた。
「こ、この三公を輩出した名家の出身にして司隷校尉にしてこの連合軍の総大将のこのワタクシに謝れと言われますの!」
「ああ!」
何故こんな事になったのか少し時間を遡る、軍議に出席した諸侯であったが、総大将になる事、責任を嫌う者とやりたいけど自分からは言いださない袁紹との駆け引きで無駄な時間が過ぎ去り、劉備さんの「もう袁紹さんでいいんじゃないですか」の一言で長々とした無駄な時間は決着した。
その後、洛陽までどう進軍するかを総大将の袁紹に聞いた所
「そんなもの途中にある汜水関、虎牢関を力ずくで押しとおるまでですわ、雄雄しく、勇ましく華麗に進軍しましてね!」
その言葉に場がしーーーんとする、なんかもう馬鹿すぎて言葉にならないって感じで。
その後、先陣を誰にするかといった話になった時、袁紹が俺の後ろに控えていた桂花に気付く、ちなみに俺と袁紹はかなり離れた席だった。
「あら、どこかで見かけた顔だと思いましたら、貴方桂花さんではありませんの?」
麗羽の言葉に場の皆が桂花に注目する、そんな中桂花は何かを堪える様子で、しかし冷静な言葉で。
「はい、お久しぶりです麗羽様、ご挨拶もせず南皮を飛び出した事ここで謝らせていただきます」
「あら、別にかまいませんわよ、たいして気にもしていませんでしたし、しかし何故その貴方がそんな所におられますの?」
「はい、それは私が今この北郷一刀殿の下で軍師をさせていただいているからです」
「あらまぁ、名家の私の所ではうだつが上がらないからと言ってどこの馬の骨ともわからない人の軍師になっただなんて、相変わらずやる事が体と一緒で貧相で地味ですわね」
諸侯から笑いが起こる、その言葉にぐっと堪える桂花、しかし麗羽は続けて話す。
「南皮にいた時もそうでしたけど、貴方はもう少し優雅さや華麗さというものを勉強なさった方がよろしくてよ、容姿どころか献策といったものまで地味で役にたたないでは無能も良い所ですわ、まぁ貴方のような方ははいて捨てる程いますし、私の所からいなくなったのも幸いというものかしら、おーほっほっほ!」
それは自分の所から逃げ出した者への中傷なのかもしれない、麗羽がそこまで考えてたかはわからないが、麗羽の話に笑う者に侮蔑する者、当の桂花は多くの諸侯の面々で辱められ今にも泣き出しそうな状態だった、それでもじっと堪えこの場を乗り切ろうとしていた、が、
「黙れ」
その言葉に場が一瞬静かになる、馬鹿笑いしていた袁紹も静かになる、言葉を発したのは北郷一刀。
「お前に何がわかる、荀文若の才を見抜けなかったような奴が我が国の軍師を貶めるような事を言うな」
「ま、まぁこのワタクシに向かってなんて口の聞き方!ワタクシを誰だと思っていますの!名門の出にしてこの連合軍の総大将ですのよ!」
「関係あるかぁ!!」
今まで聞いた事のないような一刀の声に袁紹も黙る。
「仲間を辱められてまで温厚でいられるほど俺は人間できてないんだよ!あんたがどのくらい偉いとか凄いとか知るかよ!いいか!今度また俺の軍師荀文若を辱めるような事を言ってみろ!ただですむと思うなよ!」
その言葉に場が凍る、ある意味これは袁紹に対する挑戦状、その意味をわかっているのかという感じの諸侯。
「わ、ワタクシに対して何て言い草!だ、誰かこの無礼な人を懲らしめてやりなさい!」
その言葉に、どうするどうするよ?、と戸惑う諸侯、ただ一人笑いを堪える孫策、一触即発のその場を収めたのは。
「け、喧嘩はよくないと思います!」
あまり怖くない、けどよく通る桃色な声、発したのは劉備さん。
「わ、私たちはこれから皆で洛陽で苦しんでる人達を助けるんですから、こんな所で喧嘩なんかしてちゃいけないと思うんです!今は皆が力をあわせて頑張る時だし、仲間割れなんかしてたらそれこそ董卓さんの思うつぼです!」
その言葉に場が少し緩む、そこを桃香の肩をぽんぽんと叩く女性。
「桃香の言うとおりだぞ麗羽、今のはお前も悪かったと思うぞ、いくら自分の所からいなくなったとはいえ、今は他の国に仕えてる者をこんな所で罵倒したらダメだろ」
「ぱ、白蓮さん、ですがワタクシはあの無礼な者を…」
「北郷…、とか言ったか、私は幽州の公孫賛、麗羽の言った事に怒るのは分かるが一応ここは軍議の場だ、私情で連合を亀裂させようとするのは控えて欲しい」
その言葉に一刀は、少し息を整え、深々と頭を下げ。
「諸侯の皆さん申し訳ありませんでした!大事な軍議の場での暴言の数々、この償いはこの連合を勝利と導く働きをする事でどうかお許しいただけませんでしょうか!」
その言葉に諸侯はやれやれと言う者や侮蔑する者、笑いをさらに堪える者と様々だ。
「と、言ってるがどうする麗羽?ここは連合軍の総大将として、名門にして華麗で優雅な袁紹の懐の深い所を見せるべきだと思うがな」
白蓮は麗羽とは古い付き合いなのか扱いをよく知ってるなと思う諸侯の面々、その言葉に麗羽はぐぐっと堪えるような感じになって。
「わ、わかりましたわよ、その無礼な者の事はこれでおしまいにしてさしあげますわ!ですが今度同じような事を言いましたら許しませんわよ!」
その言葉に一刀は。
「はい、お互いの為にも」
そう言い切る。
「はーいはい、じゃあ話の続きをしよう、汜水関の先陣の話だけど…」
公孫賛さんが必死で話をして場を変えようとする、そこを袁紹が
「あら、もう先陣は決まっていますでしょう、北郷さん、先ほど貴方は言いましたわよね、連合を勝利へと導く働きをすると、ではしてもらおうではありませんか、汜水関への先陣、貴方の軍だけでがおやりなさいな、これは連合軍の総大将としての命令ですわよ、できないとは申しませんわよね?」
その言葉に場が「おいおい」って感じになる、情報では汜水関には華雄、張遼という猛将に兵二万五千が立てこもっているという、北郷の軍は三万と数では勝っているものの城を落とすには三倍の兵がいるというこの世界の常識から考えるととても無理に思えた、しかし一刀は
「わかりました、その命令お受けいたします、汜水関を落とし、必ず連合に勝利をもたらす事をお約束いたします」
誰もがその返答に驚く、しかし追随する者もおらず、汜水関は北郷軍のみで当たる事に決まった。
そして、軍議は解散する。
自分の陣に帰る一刀と秋蘭と桂花、言葉を発したのは秋蘭
「しかし北郷、もうあんな事はやめてくれ、冷や冷やしたぞ」
「ははっ…ごめん、でも我慢できなくてさ、今頃ちょっと震えがきてるよ」
そんな二人の会話をその後ろをうつむきながらついて聞く桂花は思い出していた。
”俺の軍師 ”
その言葉が頭から離れない、『誰があんたの軍師なのよ!私は陳留の軍師なんだから!犯す気ね孕ます気ね!』、という想いとは別に
『嬉しい』 という想いが少しだけよぎってしまう。
「しかしこれから大変だぞ、あの汜水関を我等だけで落とすとなると」
「大丈夫だよ、その為の調練はずっとしてきたし、準備も万端、それに、俺たちには王佐の才の荀文若さんがいるから、ね!」
そう問いかける一刀に桂花は。
「えっ!ええ///」
まずい、こいつの顔を見れない、そんな事を思いつい顔をそむけてしまう。
そんなやりとりの中話しかけてくる者。
「北郷く~ん♪」
なにやら甘えた感じの声、一刀は軍議の場での紹介を思い出す、確かこの人は孫策さん、あの小覇王とまで言われた、そう思い緊張して構えてると。
「や~ん、そんな警戒しないでよぉ~、私貴方の事気に入っちゃったんだからあ~♪」
そう甘えた声で近づくその女性をがしっと捕まえる眼鏡の女性。
「雪蓮自重しろ!すまない、私は孫策軍の軍師で周瑜と申す者だ、先ほどのやりとりを見ていて我が主は貴公をたいそうお気に召したようでな」
「は、はぁ、そりゃどうも」
「しかしあの袁紹の顔ったら、あははは、思い出しただけでも笑っちゃうわ~♪
しかし貴方凄いわよね、この国でも最大勢力の袁紹に喧嘩売るなんて、あはははは♪」
「雪蓮お前は少し黙っていろ、それで北郷殿、汜水関だが、本当に貴公らの軍だけで戦う気か?いくらなんでも無謀とも思えるが」
「心配してくれてありがとうございます、でも大丈夫です、その為の調練はずっとしてきましたから」
「ほぉ、まるでこの戦いが起こる事を知ってたかのようだな」
冥琳は一刀のその言葉に鋭く返す。
「我等が助勢できればいいのだが、何分我等は今袁術軍の一部でな、好き勝手できぬのだ、すまないな」
「いえ、そのお言葉だけで十分です、大丈夫、必ず汜水関は落として見せますよ」
そのあまりにも自信満々な言葉に冥琳は背筋が寒くなるのを感じ、少しだけ冷や汗を流すのだった、しかし雪蓮はというと…
「あ~ん、なんかたのもしい~、ねぇねぇ今からでも私たちの所にこない?貴方の軍ごと~♪」
とか無茶言って俺に抱きついてくる、む、胸がぁ!/// そんな雪蓮を再びがしっ!と掴んだ冥琳は「では御武運を!」という感じで雪蓮を引きずって去っていく。
「…なんか凄い人だったね」
あははは、なんて俺が秋蘭、桂花を見ると、秋蘭はそれはもう冷たい目で見てたり、怖いです。
そして桂花さんはというと…
ボカッ!
「いってぇええええ!」
「ふん!この見境なしの孕ませ男!」
なんか俺の弁慶の泣き所けって怒って足早に陣に戻っていってしまった。
「俺、何か悪い事したのかなぁ…」
陣に帰り軍議での顛末を皆に話す俺、罵声を浴びせられ肉体言語を覚悟していた俺だが。
「ははは!先陣か!いいぞ!よくやった北郷!うむ!今から腕がなるぞ!」
「にいちゃんって怒る時あるんだー」「兄様…かっこいいです ぽっ////」
「へえ~大将もやる時やるやん、見直したわ!」
「北郷様かっこいいの~、沙和もいじめられたらかばってほしいの~」
「北郷様……その…これからもお仕え致します(キラキラ)」
なんか誉められたり、まぁ、皆仲間想いのいい子達なんだよね。
そんな和気藹々としてる所に来訪者がやってくる、劉備さんだ。
「劉備さん、さっきはご迷惑かけてすみませんでした、それと、かばって頂きありがとうございます、貴方がいなかったら袁紹とやりあってたかもしれません」
「い、いえ、私も愛紗ちゃんや鈴々ちゃんを馬鹿にされたらきっと黙ってられなかったと思いますし」
うんうんなんかいい子だぞこの子、胸も大きいしなんていうかアイドルみたいな子だ、でも、劉備か…、俺の、敵になるんだろうか…そんな事を考えつい劉備さんを見つめてしまう、そんな俺に劉備さんが話かけてくる。
「あの、ここに来たのは、私たちも北郷さんと一緒に汜水関での戦いへの参加をお願いに来ました」
「え?いや、でも袁紹からは俺達だけって、味方が増えるのは嬉しいけど劉備さん袁紹に逆らったら後で何されるかわからないよ?」
「大丈夫です、それは白蓮…公孫賛さんが色々助けてくれて、私達が参戦するのだけは許してくれたんです!」
その言葉を聞いて、ああ、あの公孫賛さん、人が良さそうだもんなぁ…、色々苦労してくれたんだろうなぁとか思ってしまったり。
「こんな所でいがみ合ってちゃダメだと思うんです、早く、洛陽で苦しんでる人達を助けてあげないといけないと思うんです!だから、北郷さん、力をあわせて頑張りましょう!」
そう言うと劉備さんはの手を握り微笑んでくる、なんかその手が小さくてやわらかくてつい赤くなって劉備さんに見とれてしまう俺。
その時殺気を感じる、劉備さんの後ろの黒髪さんが物凄い殺意を俺に浴びせかけてくる、俺は我に帰り手を離し。
「え、えと、うん、よろしく」
「はい!」
こうして劉備軍との共同戦線ができた、俺は劉備さん達をにこやかに見送り、これからの事を相談しようと陳留の皆の顔を見る為振り向くと…
ひゅうううううううううううう
そこには誰もいなかった…
汜水関
北郷軍3万、劉備軍5千の計3万5千は汜水関の前に布陣をすませていた。
陣形は前衛に北郷軍2万4千が正方形の形で陣を構え、その少し後ろに一刀のいる2千が円陣で構え4千の騎馬がその左右に待機、劉備軍はその後方に配置された形。
それを汜水関の城壁から見た霞は敵陣に「十」の牙門旗を確認すると頭を抱え。
「いきなり一刀とかいな~、たまらんなぁ~」
と、愚痴をこぼす、それをみていた華雄は。
「何だ、あれがお前や恋の言ってた天の御遣いとかゆう奴か、面白い、さっそく打って出て先陣を破り連合を名乗る奴らの士気を挫いてやるぞ!」
そう言って出陣しようとする華雄をどこからか取り出したハリセンでぱかーーーんとどつく霞
「アホか!うちらは篭城する為にここにおるんやろがっ!出て行った所で数で負けるわ!ええか、うちらの目的は時間稼ぎや!長期戦になれば遠征しとるあいつらは糧食やら自国の心配でボロボロになってく、それを待つゆーんが詠の作戦や!何度も言うたやろが!」
「そうは言っても亀のように甲羅に縮こまるのは性に合わんのだ!」
「とにかくや!出たらあかん、ええな!もし出たらうちはあんた見捨てて虎牢関に退くからな!!」
「むう、わかった…」
納得してない華雄ではあったが、しぶしぶ篭城に従う、安心はしてなかったが疲れが溜まってた霞は少し休もうとそこを離れて天幕で眠ろうとしてると兵士が慌てた様子で入ってきて。
「張遼様!華雄将軍が手勢を率いて打って出ましたぁ!」
「あのどあほおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
どどどどどどどど
「だぁれが14歳までおねしょをしていたおもらし娘だぁーーーーー!!!私がおねしょしてたのは12歳までだぁーーー!
あと粥ばっか食ってると痒くなって華雄みたいにいつも体をかゆかゆした粥好きの痒い女になってしまうって何だーーーーー!
お前らかゆって言いたいだけだろーーーーーーーーーーーーー!!!!」
華雄が汜水関から凄い勢いで北郷軍に迫ってくる、その数騎馬5千に歩兵1万の計1万5千、それを見た一刀は
「うーーん、何て沸点の低い人なんだろう、まだ挑発の文言は山のようにあったのに」
「鈴々ももっと挑発したかったのだー」
一刀は城から華雄をおびき寄せる様々な挑発ネタを考えていた、それを声が大きい劉備さんとこの張飛ちゃんに汜水関前に行って言ってもらったのだが最初のおねしょネタとかゆネタであっさり出てきてしまったのだ。
(俺の知ってる三国志とやっぱり大体同じだったか、事前に訓練しててよかった)そう心の中で思う一刀。
「まぁ結果良しって事か、じゃあ皆頑張っていこうか!この戦いで北郷軍の名を世に轟かせよう!」
「「「おおおお!!!!」」」
戦いが始まる
汜水関を出た華雄率いる5千の騎馬隊は正方形の陣を構える北郷軍中央に突撃する。
反撃を予測してた華雄軍であったが抵抗は一切なく、それどころか北郷軍は左右に分断、中央が空き華雄騎馬隊に道を作る形になる、罠を一瞬考えた華雄であったが前方に見える「十」の牙門旗を見つけると一気に速度を上げる。
それに引っぱられる形になった華雄率いる騎馬隊は後方の歩兵部隊と距離ができてしまっていた。
左右に分かれた北郷軍はその歩兵隊にのみ弓を斉射する、その為歩兵隊の動きは鈍化し、完全に騎馬隊と分離される形になる。
華雄が北郷軍の前衛の陣を突破しようかという時、銅鑼が鳴らされその合図とともに分断していた北郷軍は地面に予め張っていた数千の縄を引っ張る。
左右から引っ張られた幾千もの縄は中央を進んでいた騎馬隊の足を引っ掛け落馬するもの、その落馬した騎馬にさらに足をとられ落馬した者を左右に分かれた陣から槍と弓が一斉に襲い掛かる、速度をなくし地に沈んだ騎馬隊はただの標的でしかなく、騎馬隊の多くがそこで討たれる。
しかしそれでも突進してくる騎馬隊に北郷軍本陣から盾に守られた弓隊が一斉射撃、さらに落馬する騎馬隊、しかしそれをもかいくぐってきた華雄、問答無用で突っ込んで前方の盾を破ってあったのは…
ひゅー、どてっ 「ぎゃっ!」
深さは1.5mくらいの落とし穴がいくつも掘られている、華雄がそれにひっかかってもがいているのを見た騎馬隊は速度を緩めてしまう、そこに再び銅鑼の音がなると本陣左右に待機していた北郷軍の騎馬隊、さらに劉備軍の騎馬隊がその穴を避けるように突進し、速度をなくした華雄騎馬隊に襲い掛かる、指揮するのは季衣と流琉、北郷軍の中でも精鋭中の精鋭である、さらに劉備軍の騎馬隊を率いるのは張飛、趙雲、その武は速度を無くした騎馬隊を根こそぎ叩き潰していく。
華雄はやっとの事で穴から抜け出すものの、
「春蘭!華雄を頼む!」
「おう!まかしておけ!我こそは夏候元譲!華雄その首貰い受けるぞ!」
「ちいい!次から次へと小細工ばかりしおって!」
ぎいいいいいん!春蘭が華雄を止める、華雄の突進にその威力を依存していた騎馬隊は完全にその力を封じられる。
その頃、左右に分断していた前衛は華雄の歩兵隊と騎馬隊の間を完全に遮断する横長の形に陣容を変える、数の上で華雄歩兵隊の倍数の北郷軍前衛は盾を並べたその後ろから華雄歩兵隊に矢の雨を降らせる、元々涼州の騎馬隊だった者が篭城の為馬を降り、歩兵になったものもいた為、その戦いぶりは連携を欠き精鋭とはいえないものだった。
被害を出し守るので精一杯の華雄歩兵部隊に後方から速度を増した北郷・劉備の騎馬隊が襲い掛かり華雄歩兵隊を蹂躙していく。
「劉備さん!敵の騎馬隊の残存部隊の掃討をお願いします!」
「あ、は、はい!」
「それから怪我しないように気をつけてね!」
「えっ!…は、はいっ!/////」
すでに華雄の騎馬隊は壊滅したといってもいい、残敵を劉備軍の関羽さんと歩兵隊にまかせ一刀は北郷軍本陣と共に前衛と合流する為前進する。
「く、お、おのれぇ」
華雄は春蘭と戦いながら霞の言っていた事を思い出す、
『夏候惇ゆうのんおんねんけどな、あれ強いわ、うちもギリギリ勝てるかどうかやった』
夏侯元譲 … 強い!
砂塵の舞う戦場を汜水関の城壁からみていた霞はその光景を見て。
「なんやねんこれ… 数が違うゆうても… ここまで一方的かいな…」
次々と討たれる華雄隊、北郷軍は盾を掲げその後ろから弓を放ちながら少しずつ汜水関に迫る。
「……撤退や、虎牢関に撤退や!」
その言葉を聞いた張遼隊は走り出す、城壁から弓を撃つ者を残し逃げる支度をする、他の兵士が張遼が馬で出陣準備をするのを目撃する。
「ちょ、張遼様どちらへ!」
「ちいっと華雄のアホ助けてくる、あんたらは命令通り撤退し」
「お、お待ちください、張遼様お一人を死地へは向かわせられません!」
「死地て、まぁええ、ついてくんのは自由やけどあんたらは逃げるの優先しいや」
「はっ!」
そう言うと城門から出撃する霞率いる騎馬隊、数は500ほど、それを確認した北郷軍の兵が合図を送る、その合図を見た秋蘭は。
「中央を空けろ!無理に阻止しようとしないくていい」
その命令を聞いた北郷軍は中央をざぁっと空ける、そこを進む霞
「はん、無駄な戦いはせんゆう事かいな、とことんやな」
そう言うと華雄の所までかけていく霞、その頃、華雄と春蘭の一騎討ちは決着しようとしていた。
がぁん!
「ぐああ!」
春蘭の剣が華雄の斧を吹き飛ばす
「華雄覚悟!」
「させんわ!」
があああん!華雄の首が飛ぼうかというその間に割って入った霞。
「悪いな惇ちゃん、華雄殺させる訳にはいかん、華雄何やっとんねん!はよ虎牢関に逃げ!ここの戦いはうちらの負けや!」
「くっ!」
華雄は生き残ってる馬に乗ると汜水関向かって逃げていく。
「霞、お前とは確か五分であったな、今ここで決着をつけようか!」
「悪いな惇ちゃん、そういう訳にはいかん、まだうちはここで負ける訳にはいかへんねん」
そう言うと一太刀、強い打ち込みをした後、霞は馬首を返して撤退していく、その速度はまさに神速の如く。
「霞!」
聞き覚えのある声、その声に反応する霞
「一刀… 強いなあんたの所の軍、今回はうちらの完敗や、けど次はそうはいかへんで、恋もおるしな」
「そうか… 、霞、死ぬなよ!」
走り去る霞、一刀の言葉をくくっと笑いながら
「死ぬなってなんやねんな、ほんま訳わからんやっちゃ… はーー、ほんまたまらんなぁ…」
汜水関から撤退していく董卓軍を無理に追撃せず、汜水関占領を淡々とこなす北郷軍。
こうして、洛陽への関門の一つ、汜水関は陥落したのだった。
反董卓軍集結地点、袁紹の陣
「姫~ 北郷さんから使者がきてるよ~」
「あら猪々子さん、あの方もう泣き言を言いにきましたの?あれだけ大言壮語を吐いておきながら情けないお方です事、これだから華麗や優雅といったモノがわからない田舎者は困るんですわ。まぁったく、負けてのうのうと帰ってくるだなんてどういった罰をしてさしあげようかしら」
「それがね姫、北郷さん所汜水関落としたって言ってきてるんだけど」
「はぁ?なぁんですってぇーーーーー!!!????」
北郷、劉備軍汜水関を破る、その報は連合軍をかけめぐる。
あの汜水関を一日もかけず落とした事への驚きと畏怖、その上北郷軍の被害は少なく、まさに完全勝利という大戦果に連合中は沸いていた。
孫策の陣
雪蓮のいる天幕に入ってきたのは冥琳、その顔は暗く、何かを思うようであった。
「何よ冥琳、そんな暗い顔をして~、話は明命から聞いたわよ~、北郷君勝ったって聞いたけど~」
「……、ああ、勝った、それも完勝といってもいいほどの戦いぶりで…」
連合の勝ちはひいては自分達の勝ちでもある、本来喜ぶべき事ではあるのに、冥琳はまったく喜んでるそぶりがない。
「どうしたのよ?何かあったの?」
「……、私は、北郷軍の戦いを密かに見ていた、陣形や戦い、配下の武将の武といったものは見ていて凄まじいものだったよ」
「何かもったいぶってる感じねぇ、何なのよ?はっきり言ってちょうだい!」
この二人は本来隠し事のような事はしない仲である、だが冥琳の言葉にできないような素振りに少し苛立った雪蓮は怒ったように問う。
「すまない、だが私にもそんな事がありえるのかと整理できなくてな」
そう言うと冥琳は深呼吸をして自分を落ち着かせ、言葉を発する
「北郷の軍、あれはあきらかに汜水関を攻略する為に調練された戦い方だった、それゆえに完勝できたのだと思う」
「それがどうしたの?あの子の所には良い軍師…かわからないけど軍議でもいた猫耳の子がいたし、あの子の力じゃないの?武においても夏候姉妹は一騎当千だというし情報では他にも優れた武将がいるって聞いてるけど」
「そうではない、そうではないんだよ…確かに訓練された部隊ならある程度指揮された動きもできるし策を用意すればそれなりに動き戦えよう、だが」
「だけど?」
「北郷軍、あれは1回2回汜水関を想定して訓練された部隊の動きではない、あれは、はるか前より ”その為の訓練” をしてきた部隊の動きだ」
「…それってつまりどういう事?」
「董卓が洛陽に居座り、反董卓連合の檄が各地に送られたのはつい先日の事だ、その檄を受け取った諸侯はすぐに動き出した、鈍い袁術でさえな、報告では北郷の所に檄が届いて北郷軍が動いたのは即日だと言う、この意味がわかるか?」
雪蓮はその言葉から冥琳の言いたい事の意味をようやく理解する。
「つまり…」
「北郷軍は董卓が洛陽に居座る前から董卓軍との戦いを想定し、華雄の存在を組み込んだ上でこの汜水関攻略の為の調練をし続けていた、という事ではないかと私は思っているのだ…まるでこの戦いを予期してたかのように…」
その言葉を聞いた雪蓮は少し目をとじ、そして
「ふっ、ふふふふ、 あははははははは!」
楽しそうに笑い始めた
「凄い、凄いじゃないのあの子!だてに天の御遣いなんて呼ばれてないって訳ね!あははははは!」
楽しげに笑う雪蓮に何か危うさを感じた冥琳は
「雪蓮、あの北郷という男、おそらくこの先我等の悲願に立ちふさがる壁…、いや、そんな生易しいものではないかもしれないぞ」
不安げに語る冥琳の言葉とは裏腹に、雪蓮はさらに楽しそうに
「いいじゃないそれ!それよ!私が望んでいたのはそういうものなのよ!
くっ、あははは!北郷一刀か、どうしよう私…」
強く、そして何か体が熱く火照るようなを感覚を感じた雪蓮は
「あの子と凄く戦いたいわ」
あとがきのようなもの
やっぱり雪蓮さんや桃香さんを出すと華やかになるなぁと。
蜀と呉の人達ももっと書いてみたいなと思ったりしてます。
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魏√って汜水関の戦いって結構おざなりだったんだなと。
戦闘シーンはもうあんま書かないほうがいいかもしれないとか思いました。