No.117481

なんてことない日常 自警団第三部隊編

鳴海 匡さん

前回に続けて、『悠久幻想曲 2nd Album』より、トリーシャ・フォスター。
無印の頃に、「ヒロインエンドを迎えなければ、もしかして」と思い、(ネタバレと心の傷により自主規制)。

主人公の名前は、決まってはいるのですが、あえて伏せてます。
ちなみに『2』では他に、アルベルトの妹・クレアもお気に入りで、いずれは3角関係モノでも書いてみたいです。

2010-01-09 14:06:29 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1025   閲覧ユーザー数:999

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、微笑ましい恋人達の、平和で暖かな、ほんのひとときの安らぎの時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてことない日常 自警団第三部隊編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日は朝からあいにくの曇り空。

もしかしたら晴れるかも。もしかしたら降り出すかも。

そんな、どっちつかずな曖昧な天気。

自警団寮の一室でも、普段は第三部隊の若き隊長として仲間たちを引っ張る彼も、イマイチ出かけるような気分になれず、自室でゴロゴロと休日を過していた。

いつもは五月蝿い使い魔のヘキサも、いつの間にやら出掛けてしまっていた。

 

「退屈だなぁ……」

 

かといって、特にやりたい事ややるべき事がある訳でもなく、逆にこんな日に限って部屋の中は片付いており――数日前にトリーシャがやってくれた――、下手にいじると逆に散らかってしまいそうなので出来ない。むしろ、するわけにはいかない。

 

「まぁ、たまにはこんな日もいいんだろうけど……」

 

そう思いながら窓の外を見ると、雲間から日光が差し込み、徐々にそれが広がっていた。

 

「どうやら晴れてくるみたいだなぁ。なら、折角だし出掛けてみるか」

 

決めたとなると彼の行動は早い。

サッと着替えると、先ほどまでゴロゴロしていた部屋を飛び出した。

昼食をさくら亭で食べた後、特に目的も無くぷらぷらと散歩をしていると、夜鳴鳥雑貨店の前をさしかかった所でトリーシャに出会った。

偶然の出会いに驚きながらも、二人はこの偶然に感謝し、楽しい時間を二人っきりで楽しんだ。

 

トリーシャが夕食をご馳走してくれると言うので、夕食の買い出しをして彼女の家に行く。と、居間ではリカルドがゴロゴロとしていた。そして、それを見て恥ずかしそうに文句を言うトリーシャ。

最初の頃は驚いたものの、フォスター親娘と親しく付き合い始めた昨今では、既に見慣れてしまった光景だ。むしろ、たった二人の親娘の微笑ましいやり取りに、思わず笑みを浮かべてしまう。

それを笑われていると勘違いしたトリーシャは、真っ赤になりながら「お父さんのせいだよっ!!」と言い、夕飯の準備をするべくキッチンと消えて行った。

「いやはや、みっともないところを見せてしまったね」

「いえ、仲が良さそうで安心しました」

「そう言ってくれるとありがたい。これも全て君のお蔭だと、感謝しているよ」

「気にしないで下さい。オレも、トリーシャの悲しい顔を見たくなかっただけですから」

「……ところで、今日は一体どうしたのかね?」

「えっと……街を散歩していたら偶然トリーシャに遭って、何故か荷物持ちをさせられて、気が付いたらここでこうしていました、はは」

 

乾いた笑いを浮べながら、妙な威圧感に、背中を冷たい汗が伝うのを感じた。

居心地の悪い空気が流れる中、ダイニングからトリーシャの、二人を呼ぶ声が聞こえてきた。

食卓では、幸せいっぱいの笑顔が眩しいトリーシャが隣に座って、アレコレと甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。

その度に――正確には、二人の手や肩が触れ、恥ずかしそうに俯く度に――正面に座ったリカルドは眉を震わせ、苦虫を噛み潰しまくったような表情をしていたのだが、幸いにも、もはや視界にはお互いしか映っていなかった若い二人は、目の前の修羅の様子に気がつく事は無かった。

後日、自警団の訓練にて。

 

「なんで俺だけ、通常の3倍のメニューなんですかぁっ!?」

「ん? なんだ、足りなかったか? なら、5倍……いや、10倍でどうだ?」

「いやいやいや、死んじゃいますから、それっ!!」

「……むしろ、そうなってしまえば(ボソッ)」

「はっ? い、今、何か……」

「なんでもない。さぁ、早く訓練に入りたまえ」

「うぅ…、はい、わかりました」

「うむ。それから、今から1時間以内に終わらなかったら、また最初からだから、頑張りたまえ」

「ちょ、ま、自重!!」

 

合掌www


 
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