この物語は私が以前投稿した『呉√アフター~天より舞い降りし虎の子~最終話』のifシナリオです
いつも通り、キャラ設定、時代背景など等、色々原作とは違うのでご注意下さい
一刀「分かった……『武神』になろう」
一刀は決意の宿った目で管輅を見つめる
管輅「そうですかでは――『ただし』……なんですか?」
一刀は管輅の言葉を遮る。管輅も一刀に耳を傾ける
一刀「俺は基本的にはこの『外史』を……この『外史』の呉を支え続ける…それが認められないのならこの話は断る」
一刀はただ真っ直ぐに管輅の目を見つめる
管輅「…………分かりました。なんとなくそう言うと思っていましたから」
管輅は一刀に微笑みかけながらゆっくりと近づくと
管輅「では一刀さん。この杯にあなたの血を注いで下さい」
そう言って管輅は小太刀と杯を取り出し一刀に渡す。一刀はそれを受け取ると、小太刀で掌を切り、血を杯に注ぐ
管輅は一刀から、小太刀と血の入った杯を受け取ると、小太刀をしまい、黒い紙と筆を取り出し、一刀の血で黒い紙に一刀の名前を書く。すると、一刀の名前の書かれた黒い紙は燃え上がり、目が眩むほどの輝きを放ち消える
管輅「これで一刀さんもはれて『武神』になれました。改めまして、一刀様。主に神になるべきお方との契約、及び雑務を担当している管輅と申します」
そう言いながら管輅は一刀に手を差し出す
一刀「何も変わってない気がするけどいいのかな?」
一刀は戸惑いながらも管輅の手を握る
管輅「まぁ、何が変わったなどの話は後でするとしましょう……今は」
そう言って管輅は一点を見つめる。一刀もつられて管輅の視線の先を見ると、そこには顔を真っ赤にして完全に出来上がっている昴と陽蓮の姿があった
管輅「あのお二人の対処のしかたを考えるべきでしょう」
そう管輅は小さく呟く。それと同時に一刀は昴や陽蓮の居る方向とは全く逆方向へと駆け出す。その後ろからは二匹の猛虎が迫っていた
それから月日は流れ、陽蓮は年をとり、ついにその生涯の幕を閉じようとしていた
その傍らには、何十年前と変わらない姿の一刀と呉の重臣たちが居た
陽蓮「ふふふ。天の御使いは年もとらないのだな」
そう言いながら陽蓮は一刀の頬を撫でる
一刀「ああ。俺も驚いたよ」
そう言いながら一刀はそっと頬に触れている陽蓮の手に触れる
陽蓮「しかし、それならばわしも安心して逝けるというものだな……祭も待って居るだろうしの」
陽蓮は自分の手に触れてきた一刀の手を取ると、そっと力弱く握る
一刀「そうだね。祭さんもきっと酒をこれでもかって言うくらい用意してるとおもうよ」
一刀がそう言うと陽蓮は笑顔を浮かべ
陽蓮「そうか……そうだろうな……。雪蓮、蓮華、小蓮よ」
陽蓮に呼ばれた三人は一歩前にでる
陽蓮「後のことは頼んだぞ。なに、なんだかんだ言ってもお前たちはわしの子だ。上手くやっていけるはずだ」
そう言いながら陽蓮はそっと三人の頭を順々に撫でる。すると、雪蓮は必死に涙を堪え、蓮華と小蓮はボロボロと泣き出した
陽蓮「他の者達もこの三人をしっかり支えてくれ。特に冥琳。お前がこの中では一番まともだからな……頼んだぞ」
陽蓮にそう言われた冥琳は微笑みを浮かべながら
冥琳「当たり前です」
と、涙を浮かべながらしっかり返事をする
陽蓮「……一刀」
冥琳の返事に頷いた陽蓮はまた一刀に視線を戻す
一刀「どうしたの?」
そんな陽蓮に一刀は優しく訊く
陽蓮「わし……いや、私は一刀にあえて本当に良かった……。私のことを将としても、また男としても支えてくれた一刀に本当に感謝している……。お前がこっちに来るのかどうかは解らんがいつまでも待っておるぞ……」
陽蓮の言葉に一刀は涙を浮かべながら頷く
陽蓮「それと、こんな老婆で悪いんだが……最後にもう一度だけ口付けをしてくれないか?」
そう恥ずかしそうに訊く陽蓮に一刀は微笑みかけながらそっと顔を寄せていく。陽蓮も目を閉じる
そして、二人はそっと優しく口付けを交わす。そして、一刀が唇を離すと陽蓮は微笑みながら
陽蓮「ふふふ。祭に土産話ができたわ」
そう言って眠りについた
一刀「お疲れ様……陽蓮」
そう言った途端に一刀の頬に一筋の涙がつたう
雪蓮、冥琳、思春、穏、薫は声を殺して泣き、蓮華、小蓮、明命、琥珀、大喬、小喬は声を上げて泣いていた
一刀は優しく陽蓮の頭を二、三回撫でた後、顔を俯かせたまま部屋を出て行った
そして、その後も何度も別れはやってくる。一刀はその度に涙を流す。そして、一刀に見送られたどの恋姫たちも幸せそうな表情であった
そんな辛い思いをしつつも、一刀はその『外史』を支え続けた
一刀と彼女たちの間の子たちを支え、時には優しく、時には厳しく接し、一人前の人間として育てていく。そうして長い年月がたっても呉はいつまでも繁栄を続けていった
そんなとある日、一刀はお墓参りに来ていた
そこには、陽蓮、雪蓮、蓮華、小蓮、冥琳、祭、穏、思春、明命、亜莎、琥珀、薫、大喬、小喬、昴、響、澪、皐、司、澄。総勢二十人の墓が建てられていた
一刀はそれぞれに花を添えて手を合わせる。そして一つ一つを綺麗に磨き上げていく。そんな一刀の後ろから一人の女の子が現れる
一刀「睡蓮……どうしたんだい?」
一刀はその女の子の真名を呼ぶ
睡蓮「お父様……やはりここにいらしたんですね。私も母様のお墓を磨こうと思って」
そう言いながら睡蓮は陽蓮も墓の前に座ると手を合わせ目を閉じる、しばらくしてそっと目を開けると、墓を磨き始める
そして、睡蓮の後に続いて次々と女の子が姿を現し、それぞれの母親の墓を磨き始める。その誰もがその墓に眠る彼女達の面影を持っていた
一刀(皆……みんなの子供はこんなに立派に育ったよ。正直俺は特に何か父親らしい事をしてやれたとは思えないけど……)
一刀がそんな事を考えていると、一陣の風がそっと一刀を包み込む
そんな風に一刀は微笑み
一刀「これからも支え続けるさ……この魂が尽きるまで」
そう呟いた
その後、呉の地は幾度となく外敵からの脅威にさらされるが、その度に『武神』が呉の将を支え、先陣に立ち続けたと言う
そして、呉国はいつまでも滅ぶことなくあり続ける。
さらに月日は流れ、時代は一刀のいる世界に追いつく
一刀「いってらっしゃーい♪」
そう言いながら手を振る一刀に
蒼蓮「いっふぇふぃまーふ」
もはや何を言ってるのかも解らないが、蒼蓮は口にパンを銜えたまま手を振り返す
一刀(蒼蓮って、俺にとって何孫娘になるんだ?)
それを見送った一刀は家に戻ろうとして
???「待て、この馬鹿」
懐かしい声に止められる
???「母さん、出会って最初の一言が馬鹿ってどうなの?」
その声は一刀が何百年も聞きたかった声、子供に彼女たちの面影を見るたびに泣きそうになった
???「そうですよ母様。ただいま一刀」
夢で何度も姿を見た、何度も声を聞いた
???「あっ! まさかシャオのこと忘れたりしてないよね!」
その度に一人泣いた
???「まぁ、忘れてたとしても思い出させてやるがな」
その度に約束を果たそうと誓った
???「ですね~。それはもうあんなことやこんなことをして」
呉を支え続ける
???「いくらまっても来ないからこちらから来てしまったぞ……一刀」
そんな彼女たちとの約束
???「待ちきれませんでした……えへへ///」
その約束を守り続けようと必死だった
???「全くじゃな。いつまで酒を飲み続けさせる気じゃ」
でも辛かった
???「あの…その…会いに来ました!!///」
心にポッカリ穴が開いたみたいで
???「一刀~。いくらなんでも待たせすぎだぞ~」
どこか物足りなくて
???「本当ですよ。いくらなんでも長生きしすぎです」
どんなに楽しいことでも
???「ちょっと! お姉ちゃんを待たせすぎよ!!」
心からは楽しめなくて
???「え~。小喬ちゃんだって待ってたじゃん」
どんな小さな苦しみも
???「一刀様。ようやく再会できましたね」
その頃の何倍も苦しく感じた
???「これからまた、一刀様に支えられ、時には一刀様を支えたいですね」
その度に思う
???「時代がいくら変わっても私たちの思いは変わりませんでしたね」
彼女達が自分の中でどれほど大きな存在だったか
???「もちろん、一刀様の心も変わってませんよね~」
どれほど大切な存在だったか
???「もう二度と離れないもんね~♪」
だからこそ、涙を拭こう
???「ね~♪」
そして、笑顔で迎えよう
一刀「お帰り。みんな」
そう言って一刀は振り返り彼女達の姿を見ようとしたが
一刀「あれ? よく見えないかも」
涙で視界がぼやけて上手く見えずにいた。そんな一刀を陽蓮はゆっくり抱き寄せ
陽蓮「どうだ。見えるか?」
そう訊く陽蓮も声も震えていた
一刀「余計に見えなくなったよ。陽蓮」
一刀が陽蓮の名前を呼ぶと、陽蓮はさらにきつく一刀を抱く
雪蓮「母さんばっかりずる~い! 私もーー!!」
そう言って雪蓮は後ろから一刀に抱きつく。雪蓮に続いて、他の面子も一刀に抱きつこうとする
陽蓮「えーい! 一刀はおれのものだ!! 触れるなーー!!」
そう叫んで一刀を放そうとしない陽蓮
冥琳「いくら陽蓮様の命と言ってもそれは聞けませんな。それにこの時代では身分はさほど関係ないようですからな……陽蓮さん」
そう言うと冥琳は陽蓮の腕からスルッと一刀を奪い、抱きつく
一気に騒がしくなった周りを見て一刀は涙を流しながら笑う
そこへ――
朱蓮「あーーー!! おじい様が売女に襲われてる!!」
一人の女の子が大声で叫ぶ
冬蓮「本当に!? って、何やってるんですかーー!!」
それにつられて外を見たもう一人の女の子が叫び、窓から飛び出して着地する
そして、次から次へと家の中から女の子が飛び出してくる。さらにはさっき学校に行った筈の蒼蓮まで帰ってきていた
陽蓮「ふむ……もしかしてこいつらは…」
陽蓮はそう言いながら一刀を見る
一刀「うん。えーっと……なんて説明すればいい?」
苦笑しながら首を傾げる一刀に
琥珀「なに言ってんだよ一刀。そんなの簡単だろ」
そう言って琥珀はニヤリと笑う。その顔を見た瞬間に一刀は琥珀の口を塞ごうとしたが
琥珀「あたいたちは一刀の妻だーーー!! そしてあたいが正妻」
すこし遅かった。その咆哮は恐らく呉国中に響き渡っただろう
そして、また始まろうとしていた。
心の底から笑う事の出来た日々が―――
愛すべき者たちと共に過ごせる幸せな日々が――
想いが力となるこの世界、『外史』において、彼女達はある意味最強なのかもしれない
彼女達は恋をした。
ひたすら真っ直ぐに彼を思い続けた。
死して尚、その思いは変わることなく。
想いは力となって奇跡を起こす。
でも、これはきっと奇跡ではなく必然。
強い想いにこの世界が応えただけ。
恋姫たちの物語は続く―――
どうもkarasuです
いかがだったでしょうか? 楽しんでいただけたでしょうか?
今回はクォーツ大佐からのご要望に応えて一刀が孫呉を支え続けるのも書いてみました。
さて、これにて本当に呉√アフターは完結となると思います。ありがとうございました。
続いてはアンケートというかなんというか、相談?のようなものです
まず始めに本当に多くの方が思春個別√に賛同してくださったのはありがたいかぎりです。
ですが、幾つか前の作品にも書いたように他の作品にて上がっておりますので厳しいです。それ以外には、明命、昴、それとたぶん祭という意見が上がっていたと思います。
その中で、祭はすでに新しくとある著者様が上げております。昴については投稿するとなると、放浪記的な感じになると思います。新勢力では書きにくいですね、それとアンケートが多くなります。明命は多分いけます、今後他の著者様が投稿を始めない限りは……たぶん。
他に候補を挙げるとしたら
白蓮(これも白蓮が天下統一するわけではなく、白蓮の側に一刀を常にとまではいかないもののなるべくおいて置く感じになります)、
郷のオリキャラの皆さん(これは昴と同じ)、
凪(真桜と沙和も出しますが、あくまで凪と一刀の視点がメイン)、
愛紗(かなりのチャレンジになるので投稿開始に期間を要する可能性大)、
刹那(華雄)(これは刹那を何処の勢力に持っていくかなどアンケートがいつも以上に多くなるかもしれません。ちなみに董勢力での天下統一はありません……たぶん)
霞(刹那と同じ感じになるかと、さらに確か他にも霞√を投稿されていた著者様がいたような……)
そして、いいから黙って思春やれ
後は……松岡○造√?? 冗談です
この中でもし他に投稿している方がいるというものがありましたら報告下さい。
なるべく二つぐらいに絞ってくださると嬉しいです。
一人でも多くの大佐のアンケート協力をお願いします。
ここまで読んでくださりまことにありがとうございます。これからもほそぼそと続けさせていただきます。
白蓮日記
前回はたった一言しか出番がなかった
いや、一言あっただけ良かったのか? どうなんだろう?
次回はちょっと出番多目がいいな
えっ? なんで前回じゃなく今回に日記が載ってるかって?
それは、作者さんが本気で忘れてたからだってさ……投稿した後、すぐに気が付いたんだけど諦めたらしいぞ……
きっと皆はアンケートの回答の二人のうち一人は私の名前を入れてくれるって信じてるぞ
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一人でも楽しんでいただければ幸いです
過度な期待はせずに生暖かい目で見ましょう
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