「時代遅れの街に今年も
いつも通りの春がやって来る。
街中のカラーチップの店には
「春の新色」と銘打たれた色が
店頭に続々と並び始めているが、

続きを表示

元は何処かの国で
使い古されたようなモノ達から
抽出された色が
大半を占めていると言う事については、
C.T.W.(Colour-Trash World)に暮らす者であれば
誰もが知っている事だった。
他の世界と較べて
「遅れている」とされるこの世界で
これらの色は、
再び誰かの人生や生活を彩る瞬間を、
待ち続けているのだろうか。

交通量の多い電車通りで
ゼンマイ仕掛けのカルガモの親子が、
翼の生えた信号に守られるかのように
横切っていた。
彼らの向かう先にあるフクロウカフェは、
この春開店したばかりなのだが、
この時代遅れの街に於いては
物珍しさと言う事もあるからなのか、
連日のように盛況となっているのだそうだ。
店の中央にある円卓型の
テーブル型の切り株に陣取って、
何やら難しい顔で会合を行う傍ら、
コーヒーとケーキセットのフルコースに
舌鼓を打つ
この街の老賢者や魔法使いの一団も、
すっかりこの店の常連に
なっているようである。
C.T.W.に於いてフクロウと言えば、
「物識りで尚且つ魔法が使える」存在と言う
認識をされており、
教職や(主に魔法に関する)研究職に就く個体も
数多く存在しているのだが、
電車通り沿いで
フクロウカフェを営む
フクロウの店主に関しては
その限りではなく、
魔法が殆ど使えないのだそうだ。
店主曰く
「この店では魔法らしきものと言えば、
ケーキの隠し味に使う魔法のリキュール位」のものらしい。
ちなみに、この翼の生えたリキュールも、
その場で魔法によって
生み出された訳ではなく、
「魔法道具/生物メーカーで製造された、
料理用リキュールの
一般的な量産品」で、
他の従業員同様に
求人広告を見て応募してきたとの事である。
そんな店の一角には、
魔法書を含めた
軟硬様々な種類の本を取り揃えていた
本棚が設置されており、
コーヒーでも飲みながら読書も出来るのだが、
フクロウが店に居るからなのか、
「コーヒーが飲める魔法書専門店」と勘違いして
入って来る客が後を絶たないらしい。
そうした向きの為に
近隣の魔法書カフェ或いは
向かいにある魔法書専門店の
案内も行っているとの事である。

電車通り沿いに並ぶ
花屋の店先に停まっている
トラック型のバスケットは、
元々は車になる事を夢見る
普通のフラワーバスケットだったそうなのだが、
その願いが通じたのか、
ある朝トラックの姿に
変化していたのだそうだ。
それがバスケットの
望んでいた姿であるのかどうかは
判らないのだが、
公道を走行する際に必要な
ナンバープレートや機器類等を
一通り取り付けた上で、
花屋の配送トラックとして
日々を過ごしているとの事である。
今日も荷台の上には
沢山の花が積まれているのだが、
これから配達に行くのか、
それとも
普通のバスケットだった頃の記憶を
色濃く残しているが故に、
少しでも何か花を載せていないと
落ち着かないからなのかどうかは
不明である。

...やれやれ。
春の陽気につられたからなのか、
信号待ちの間に
電車通りの顔馴染み達について、
とりとめもない事を
考えていたようである。
道行く人を乗せた乗用雲や、
ゼンマイ仕掛けのカルガモの親子が
渡り終えたら出発だ。
既に定刻より
数分遅れているのだが、
元より時計が
思い思いの時刻を
指し示しているような
このC.T.W.に於いては、
時刻表など
あってないようなものだ」

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


The town is bathed in the colors of spring, and on Train Street,
where truck-shaped baskets loaded with many flowers can be seen,
a spring-loaded duckling and its parents
were crossing the street to the Owl Café.


(※BingChat、DeepL翻訳を使用・一部改変しております)
(BingChat, DeepL translation used and partially modified)

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

(完成後)A4サイズ(210×297)程に切り取った水彩紙に
水彩絵の具、水彩色鉛筆で描いたもの。