ギリシア神話に登場するラミア（ Lamiā）は、リビュアの女王であった。その美貌でゼウスに見初められたが、彼女もまた ゼウスの妻ヘラの怒りを買う。ゼウスとの間に産まれた子供は みずから殺すように仕向けられたりして、全ての子を失ってしまう。その悲痛から容姿は獣のよう（紀元前はヘビではない）に変り果て、他人の子を捕らえて殺すようになった。ギリシア人の生活の慣習として、母親たちは子供が悪いことをすると「○○をするとラミアが来るよ」と言うらしい。　リビュア神話の人食いの女蛇の一族がラミアだという説や、アポロンが都市アルゴスに差し向けた子供を喰らう怪物がラミアの別称で呼ばれたり、体の一部が蛇だという記述もある。紀元1世紀頃を境に、ラミアは子供を殺す怪物から、青年を誘惑して最後には喰らう悪霊らの総称として描かれるようになったようだ。ラミアは変身能力と、幻術を所持していた。　絵画『鬼女のキス』（イソベル・リリアン・グローグ、1890年頃）では、英国の詩人ジョン・キーツが『レイミアは蛇体である』と書いたことに影響を受けて、ラミアを半蛇身の女性として描写している。　ある辞書には ラミアは女性の頭と胸を持つが、下半身は蛇であると定義している。しかし神話上の典型的なラミア描写は獣であり、古典的（前3世紀～前1世紀）な記述では、蛇と結びつける具体的な言及がないそうだ。古代神話には他にも 子供を殺された恨みのモチーフにまつわる女怪や、同じリビュアの地にまつわる女怪がいて、そのなかには外見の一部が蛇なものもある。ある伝奇的な人物伝では、女性に化けたそれが「蛇」呼ばわりされている。