ルサナ達がいた部屋と同じ広さをした研究室の奥に奴、ジャミラがいた。
ジャミラ「久しぶりだなジュウゴロウ・・・随分と成長したよ・・・」
挨拶は嬉しいことだが、俺にはそんなことは受け入れる状況ではなかった。
ジュウゴロウ「ジャミラ、お前がこの世界と幻想郷を征服するなんて許せねぇ。お前の悪事、ここで断ち切ってやるぜ!」
映姫「貴方を現行犯の罪でついてきてもらいます!」
ジャミラ「フンッ・・・お客も着ているとは、実にいいタイミングだ。ちょうど君達の特等席を用意したのだよ」
サイ「それは一体どういうことですか!?」
ジャミラ「こういうことさ」
そう言った次の瞬間、俺以外のみんなの頭上に小型の機械が飛んできたと同時に球体のバリアが張られ、みんなはそれに捕まって上へあげられてしまう。
魔理沙「な、なんだこりゃ!?」
ロウダイ「やられましたね・・・バリアでできた檻ですか」
映姫「それなら弾幕で壊せばいいことです!罪符「彷徨える大罪」・・・」
ジャミラ「無駄だ、この檻は力を吸収する。俺と戦えジュウゴロウ!」
どうやら俺以外に興味が無いらしい。それによく見ると、アドがなんだか息苦しそうになっているではないか。
おそらく力が薄いせいなのか早く助け出さないといけない。そうするには倒すしかない・・・俺はジャミラに顔を向ける。
ジュウゴロウ「ジャミラ、その決闘にのってやるよ!」
ジャミラ「それでこそロケット団のトップだ」
両手を顔につけながら下へ手を引いていく・・・するとそこにあったジャミラの顔はさっきのではなく、まるで蛇のような鋭い目つきをした顔だった。
ジャミラ「血だ!!貴様の血を見せろぉぉ~~!!」
怪物のように叫ぶジャミラのボールからノクタスとサンドパンが繰り出され、対する俺はトドゼルガとフーディンをボールから繰り出す。
ジュウゴロウ「冷凍ビームとシグナルビーム・・・」
ジャミラ「不意打ち!!」
勢いよく行こうとした俺だが、ノクタスが先制でトドゼルガとフーディンに攻撃をヒットさせる。しまった、フーディンは悪タイプに弱いからこのダメージはヤバいかも・・・と思いきや、今度は砂嵐が発生する。まだ完全に指示してないのに一体何が起きたのか・・・それを予想できるのはサンドパンだった。サンドパンが『砂嵐』を使ったのである。
速いスピードはおそらく『先制の爪』を持たせているのだろう。そして砂嵐のせいでノクタスとサンドパンの姿が消えてしまった。この2体は砂嵐によって影響化する特性『砂隠れ』を持っている。その名の通り、砂の色と混ざって姿を消せるのだ。
このままではマズいと思った俺はフーディンをトドゼルガの背後のほうに移動させ、周りから隙を突かれない作戦に変えようとする・・・の筈が、2体は強い揺れによって地面から突き上げられてしまう。サンドパンが地震を使って先を読んでいたのだ。更にノクタスがニードルアームによって追い討ちをかけられ、フーディンとトドゼルガが倒される。
ジャミラ「さっきの威勢は何処へ消えたのだね!?ジュウゴロウ!!」
ジュウゴロウ「・・・・・・」
口にはできない俺だった。それを見ているサイも心配そうに言う。
サイ「いつもの会長さんじゃない・・・どうして!?」
ロウダイ「集中力が低くなっているんだよ。よく見てごらん、普通では冷静のように見えてるジュウゴロウ君も息が切れかけているんだ」
無理もないことだ。スペルカードを使った勝負をし続けていたせいでポケモンバトルから遠ざけてしまい、集中力が低下していたのである。更に乗せられた疲れがプラスされ、俺の息も上がっているの様子があった。
ジャミラ「何かと思えば、最初から息切れしているとは情けない!!どうやら手間が省けそうで実にありがたい!!」
ジュウゴロウ「うるせえっ!! ボーマンダ、燕返しだ!!」
次ぎに出したボーマンダが体ごといっ回転させながら地面に衝撃波を発生させる。その勢いで砂嵐が吹き飛び、ノクタスとサンドパンを一瞬で倒した。
ジャミラ「なるほど、そのボーマンダが切り札・・・この勝負貰った!!」
そういうと今度はエネコロロとゲンガーが出てくる。だがその瞬間、俺の目に映るエネコロロに衝撃が走った。
ジュウゴロウ「・・・ダークポケモン!!」
ジャミラ「よく分かったな。そう、このエネコロロはダークポケモンだ!!」
一方のサイ達もエネコロロが出てきた瞬間に空気が変わっていた。
映姫「思っていたよりはそんなに凶暴ではないですね・・・」
親父「見た目はそうだ。肉眼ではその正体が見えないからな」
魔理沙「なんでだ?」
ロウダイ「ダークポケモンはダークサーチャーでしか正体が見れないんだ。紫色のオーラを纏ったポケモンがその正体だけど、ジュウゴロウ君はそれが肉眼で見えているみたいだね」
彼の言うとおり、俺の目に映っているエネコロロには紫のオーラが見えていた。
ゲンガーは普通のポケモンみたいだが、この2匹で何をするつもりなのか・・・何か嫌な予感が・・・。
ジュウゴロウ「ならこいつが相手だ、バンギラス!!」
更にボールから鋭利なトゲを生やしたポケモン、鎧ポケモン、バンギラスが出てくる。勢いよく吼えたと同時にまた砂嵐が吹き荒れ始めた。
こいつならゲンガー相手でも怖くはないと思って指示しようとした瞬間、エネコロロがバンギラスの目の前まで移動し、前両足をパチンと叩いてバンギラスを怯ませしまう。猫騙しだ。
ジュウゴロウ「チッ・・・ならばボーマンダ!ドラゴンダイブ!」
今度はうまく通りそうだ。ゲンガーに爪を振り下ろした。ところが・・・
スルッ・・・
一同「!?」
今何が起きたのだろう。突然ボーマンダの爪はゲンガーの体をすり抜けてしまった。ゲンガーは全然平気である。
一体どうしてなのか・・・ドラゴンダイブはゴーストタイプであるポケモンには当たるのに・・・
ゴースト・・・ノーマル・・・・・・ノーマル?
ジュウゴロウ「まさか、ノーマルスキン!!」
ジャミラ「その通り!ゲンガーのスキルスワップで特性を入れ替えたのさ!これで貴様のボーマンダはゲンガーには攻撃できなくなり、更に・・・」
突然砂嵐が雨によってなくなり、逆に雨が全体を濡らし始める・・・と思いきや、ボーマンダとバンギラスが苦しみ始めた。
親父「ダークウェザーか!厄介なことを・・・!」
魔理沙「だーくうぇざー?」
サイ「通常のポケモンをじわじわ弱らせていく暗黒の雨です!」
ジュウゴロウ「くっ・・・ボーマンダ戻れ!!」
ボーマンダを引っ込めれば効果が解除される。俺はすぐにボールをボーマンダへ突き出したが、作動しなくなってしまう。何故だ・・・?
ふと俺が見ると、黒いリングで感電しながら縛り付けられている2体がいた。
ジャミラ「ダークホールドで貴様はボールに戻すことが不可能だ!!このまま雨に苦しむ姿を見届けな!!」
ジュウゴロウ「くっ・・・」
ヤバい・・・完全に俺が押されている。こうしているうちにもアドはどんどん苦しんでいるのだから、急がなくてはならない。そんなことは分かっているのだが・・・
・・・いや、できるかも・・・!
俺は2体の前に立った。
ジャミラ「何のつもりだ?」
ジュウゴロウ「俺が・・・こいつ等の代わりに戦う!!」
なんと俺はポケモンを使わず、一人で戦うつもりなのだ。誰も予想しないことに驚くサイ達に対してジャミラは大笑いをする。
ジャミラ「とうとう馬鹿となったかジュウゴロウ!!トレーナーの恥さらしになさ過ぎるぜ!!」
ジュウゴロウ「お前に教えておきたいのさ、どうして訛ったのかの理由をな・・・」
サイ「!もしかして・・・」
サイは何をするのかがすぐに分かった。俺は1枚の紙・・・いや、スペルカードを取り出す。と、同時に炎が燃え上がった。
ジャミラ「何だそれは・・・?」
ジュウゴロウ「俺の新しい力さ。皇符「破壊弾拳」!!」
それぞれ縛られているダークホールドに飛びつきながらチョップで切断してしまう。誰もが唖然する瞬間であり、ジャミラはその光景に疑いだす。
ジュウゴロウ「エネコロロ、ついでにお前も助け出してやるぜ」
俺はエネコロロに向かって走り出すと、穴あきのグローブを左手につけながらモンスターボールを構えると同時にボールが光りだす。
ジャミラ「マズい!やめさせるのだゲンガー!!」
ゲンガーはシャドーボールを放とうとしたが、バンギラスの冷凍ビームによってゲンガーを足止め状態にしてしまう。俺はゲンガーに気を取られず近づくことができ、左手に力を込めた。
ジュウゴロウ「うおりゃぁぁっ!!」
勢い放出される力がボールをエネコロロに向かって飛んでいく。するとボールが開き、巨大な光の手みたいなのがエネコロロをわしづかみしながらボールへ吸い込ませ、そのまま俺の左手に渡った。
ジュウゴロウ「エネコロロは奪った!行け、バンギラス!」
ジャミラ「しまった・・・!」
ゲンガーは手を止めてしまい、バンギラスの攻撃を受けることとなった。バンギラスの前に突如、巨大な牙をしたオーラが出現する。
ジュウゴロウ「噛み砕く!!」
大迫力の牙がゲンガーを噛み付いた。急所を確実に突いた一撃でゲンガーを倒す。
ダークホールドを破ったおかげで交代も可能なボーマンダとバンギラスをすぐにボールへ戻す俺は、ジャミラに一言を言った。
ジュウゴロウ「ジャミラ。ボーマンダを切り札と思っているみたいだが、残念ながらハズレだ」
ジャミラ「何っ!?」
ジュウゴロウ「俺の切り札は6体全てさ。なんてたって俺は、この世の全てのポケモンを操るトレーナーだからだ!!そしてこの流れを変えるポケモンはコイツだ!!」
手にするボールに勢いを入れて投げる。光から出てきたのは濃い黄色の体にサーフボードを背負ったポケモン。その正体は鼠ポケモン、ライチュウだ。
ジュウゴロウ「新しい力はこれだけじゃないぜ。水符「溜池山皇」!!」
カードを地面へ叩きつけた瞬間に水流が噴出。ジャミラはその水流に押されたせいで水の中へ飲み込まれ、俺はライチュウと共にジャンプした直後でサーフボードに乗り込んだ。
ジャミラ「ガッ・・・何故こんなことが・・・!?」
ジュウゴロウ「トレーナーとは、それ自身もポケモンと一緒に戦っている存在。それを知らないお前はその水で溺れているように何もできないままだ!! ライチュウ、波乗りだ!!」
水は俺とライチュウを誘うようにジャミラの元へ流れ出す。ライチュウは波を操っているのだ。
抵抗できないジャミラを完全に捕らえて勝負あったかと思ったその時、水の中から飛び出た水圧で俺とライチュウは吹き飛ばされてしまう。そして水の中からは青い鰐の姿が現れた。大顎ポケモン、オーダイルだが、こいつもまたダークポケモンのオーラが見えていた。
ジャミラ「水中にしたのが甘かったようだな。オーダイル!そのままジュウゴロウを噛殺せ!!」
オーダイルは泳ぎだと物凄く速いポケモンだ。水中に潜ったと同時にオーダイルは俺に向かって突進してくる。
ライチュウはその危険を感じてすぐに助けようとするが、肝心のサーフボードが無い。ライチュウはキョロキョロと周りを見渡す。
そうしているうちにもオーダイルは俺に接近。
不覚だ。
俺はこのままやられてしまうのか・・・。
ジャミラと戦う前である頃の永遠亭にて、
僕達は門前に到着していた。
バルト「あの化け物、まさか離れたわけじゃないですよね?」
妹紅「そんなわけ無いだろ・・・輝夜!いるんだったら出てこい!輝夜~!!」
「うるさぁ~いっ!!」
門から女の子が出てきた。それを見て驚く僕とエビスさんは、この子が輝夜だと確信する。
輝夜「何よっ!!人がぐっすりと寝ていて何様よ!?」
妹紅「んなこと関係ねぇだろ!!緊急事態だって知らせに来たのに何故危険を察知しないんだ!?」
輝夜「だーかーらー・・・」
天子「その話をしている暇は無いみたいですよ」
緋想の剣を構えている天子さんの先にはあの化け物が姿を見せた。リザードンもガブリアスも警戒している。
輝夜「この化け物・・・私の夢の中で出てきた奴じゃない!!」
妹紅「だから危険なんだよ。分かったのなら下がっていな」
化け物に顔を向けて叫ぶ。
妹紅「おい、テメー!今度はそう簡単に負けはしない!!覚悟しな!!」
そう言った妹紅さんは炎を纏った拳を構える。
不死「火の鳥 -鳳翼天翔-」
拳を前へ振りかざすと同時に弾が発射され、妹紅さんはそれを連射。化け物はそんな弾ですら簡単に避けてシグナルビームで応戦するけど、そこをリザードンが自ら攻撃を受ける。リザードンは庇うことで精一杯だと思うが、これは僕の作戦だ。
リザードンには猛火という特性があるからだ。この特性はピンチ状態のときに炎タイプの技の威力が上がり、一発逆転を狙えることができる。
そうしているうちに化け物は鋭利な姿に変わって接近、そこへ妹紅さんの頭上をガブリアスが跳び越して向き合う。爪と触手との攻防戦が始まった。
両者油断も隙もつくらない見事なスピードに対し、エビスさんは全神経に集中力を高める。もともとガブリアスはエビスさんのもの、単独で行動しているわけではなく、彼が支えているからこそガブリアスは相手と対等できているのだ。
そのあとに妹紅さんも加勢して勢力を増そうとするが、これでも互角みたいなのでキリが無い。何か手を打たなければと考える僕はポケモン図鑑を取り出す。もしポケモンだとすれば何か弱点とかはあるかも・・・。
駄目元でも良いから図鑑を起動した。
図鑑『デオキシス、DNAポケモン。宇宙ウィルスがレーザーを浴びて突然変異で誕生したと言われる地球外生命体のポケモン。
胸の水晶体が本体であり、水晶体から発する力で、レーザーや念力の発射、オーロラの発生、仲間とのコミュニケーションといったことが可能。
水晶体以外の身体の形状・性質を自在に変化させることができ、戦闘時にはアタック・ディフェンス・スピードといった様々な形態(フォルム)に変化する。』
水晶体・・・そうか!
バルト「天子さん、あの水晶体を狙ってください!それが奴の弱点なんです!」
天子「あれね・・・任せてちょうだい!」
自信有り気な天子さんはガブリアスとの戦闘の中へ割り込む。剣と炎と爪、それを対するのは4本の鋭い触手。状況は全く持って互角だった。
僕が言ったことを除けば・・・!
天子「エビスさん、妹紅さん、一瞬だけでも足止めってできますか!?」
エビス「勿論や!」
妹紅「さっきの話を聞いて勝てる気がしてきたぜ!!」
ガブリアスと妹紅さんは触手をタイミングよく掴んだ。問題ない様子でいる天子さんは剣を水晶体に向けて突き刺した次の瞬間、水晶体は剣よって貫かれたせいで急激に弱まり始める。
妹紅「結構効いてるぞ!」
エビス「やっぱあれが弱点やったんや!」
デオキシスはガタガタと体を震わせると元の姿に戻ったと同時に倒れてしまった。そして今まで流れ出ていた緊迫感も消え去り、辺りにあるのは冷たい風だけだった。
バルト「勝った・・・僕達勝ちましたよ!!」
万歳と両手を上げる僕。ハイタッチをするリザードンとガブリアス。リベンジを果たしてガッツポーズをとる妹紅さん。そしてフゥッと息を吐いて落ち着く天子さんとエビスさん。
それを門の影で隠れながら見ていた輝夜さんが僕たちの前に現れる。
輝夜「終わったの?」
妹紅「まぁな。お前の家が壊されなかっただけでも感謝しとけよ」
輝夜「なっ!?うるさいわね!!私だってあの化け物くらい戦えたわよ!!」
妹紅「へー、見せてくせにか・・・」
輝夜「何よっ!!この馬鹿っ!!」
妹紅「何おぉっ!?」
止められそうに無い2人に突然矢が飛んできてそのまま2人に命中。僕とエビスさんは恐怖の瞬間を見てしまった。
エビス「し・・・死んでもうとるがな!!」
「大丈夫、この2人は不老不死だから死なないわ」
門の奥からまた人が出てきた。今度は看護士みたいだけど・・・
バルト「あの、貴方は・・・?」
永琳「私は八意 永琳。貴方達のことはうどんげから聞かせてもらったわ、ジュウゴロウ君の会員だそうだけど」
エビス「そのうどんげってのは・・・」
鈴仙「私よ。名前は鈴仙・優曇華院・イナバ、鈴仙でいいわ」
さっき出会った女の子もやってくる。
永琳「驚いたわ。永遠亭にあんな化け物が迫っていたなんて知らなかったけど、貴方達のおかげで助けられた・・・」
エビス「ワテらは妹紅はんのあとを追ってきたようなもんやけど・・・ってか、ホンマにええんか死んでもうとるのに!?」
妹紅「だから私達は死なないって言ってるだろ?」
輝夜「永琳!何で私まで矢を撃つのよ!」
永琳「さて、あの化け物を処分しないといけないわねぇ・・・」
輝夜「無視!?」
永琳「そういえば貴方、たしかそのボールで捕まえるってジュウゴロウ君から聞いたことあるのだけど・・・」
バルト「モンスターボールですか?でしたら僕がやります」
輝夜「永琳お願い!私を見捨てないで!」
永琳「分かってるわ姫様。あと、そこの人もなるべく壊さないようにしてくださいね・・・」
妹紅「んだとぉ・・・!!」
エビス「妹紅はん!ストップ、ストップ!!」
騒がしくなる前に僕はデオキシスを捕まえようとボールを投げる。赤い光線はデオキシスをボールへ吸い込ませると、地面に落ちて揺れだす。
ところが次の瞬間、ボールは勢いよく開き、中からデオキシスが正常の状態で僕の前に姿を現す。
バルト「えっ!?どういうこと!?」
一同「?」
天子さんが確実に倒したはずなのに、水晶体は完全に戻っているではないか。
バルト「そんなことが・・・」
天子「また弱点を突けば同じこと・・・きゃあっ!!」
デオキシスは鋭利な姿、アタックフォルムに変わって緋想の剣を触手で弾き飛ばし、更に天子さんの首を締め付けた。
叫ぼうとした僕だが、突然体が何か取り押さえられてしまう。その後ろにデオキシスと似た影が掴んでいたのだ。
鈴仙「ちょっと!何よこれ!」
エビス「デオキシスの分身や!手が出せへんで!」
妹紅「くっ、こんなの・・・うおおおおおおっ!!」
次の瞬間に分身が勢いよく吹っ飛ばされる。よく見ると妹紅さんの背中には炎の翼が生えているじゃないか。
妹紅「インペリシャブルシューティング!!」
七色の光弾が分散しながら分身を次々と撃破する。僕たちを捕らえている分身もなんとかしてくれたのはいいが、まだ天子さんがデオキシスに締め付けられている。
妹紅さんは素早く真横に回りこみ、チョップで天子さんを解放させると同時に拳を水晶体に向けて狙った。
妹紅「蓬莱「凱風快晴 -フジヤマヴォルケイノ-」ォ!!」
怒りを込めた一撃は水晶体をまた貫いた・・・かと思いきや、またデオキシスは立ち上がった。
妹紅「何でこいつ倒れないんだ!?」
エビス「! 自己再生や!あいつは自己再生で回復してるんや!」
納得だった。デオキシスは倒れている間に回復していたらしい。するとデオキシスが宙に浮くと、突然水晶体が光り始めたではないか。
輝夜「この永遠亭を壊す気なの!?」
妹紅「止めてやる!!」
妹紅さんはデオキシスへ突撃する。
無茶だ!そんなことしたら・・・!
デオキシス『サイコブースト!!』
妹紅「!?」
デオキシスは妹紅さんに向けて光線を発射した。こんな距離で避けることなんてできず、妹紅さんは正面から浴びて地に果てた。
バルト「妹紅さん!!」
次の瞬間に僕は地面に叩きつけられていた。何が起きたのか分からないままに、他のみんなも地面に倒れてしまった。
今度はスピードフォルムの神速を使ったみたいだ。
エビス「強い・・・」
バルト「うぅ・・・」
なんだか悔しい・・・会長さんに情けないことをしてしまったかも・・・
僕はそのまま意識を失ってしまった。
守矢神社。そこで諏訪子はふと空を見上げた。
何か不吉な予感でも感じたのか・・・諏訪子の心に少しだけ重いものがのしかかった。
早苗「どうかしたの?」
諏訪子「あ、早苗。」
早苗が何か心配そうな顔でいた。諏訪子はなんでもないと答える。
早苗「外にいると危ないってエビスさんが言ってたんだから、あまり出ないほうにしてちょうだい」
諏訪子「分かってる。でも・・・」
早苗「心配ないわ。天子さんがついているからきっと大丈夫よ」
今は信じるしかないと思っている諏訪子と早苗は神社へ戻ろうとしていた。その時、鳥居から武装した男達が8人ほど潜ってきては2人の前に現れたではないか。
早苗「え!?誰なんですか貴方達は・・・」
諏訪子「きゃああああああっ!!」
悲鳴が聞こえたその方向には、諏訪子が男に捕まっていた。助けようとする早苗はカードを取り出すが、背中をムチみたいなので叩きつけられてしまう。
諏訪子「早苗!イヤ、離してぇ!!」
男達は悪あがきする諏訪子を3人がかりで服を掴まれる。
早苗「貴方達・・・一体何なの・・・・・・?」
「我々はシャドー団。この世界は我々が支配させてもらう」
そう、彼等は俺達が戦っている組織、シャドー団の下っ端なのだ。すると奥から神奈子が現れ、今の有様を見た瞬間に怒鳴りだした。
神奈子「おいお前等!!早苗と諏訪子に何しやがるってんだ!!」
下っ端(1)「まだいたのなら黙ってもらう。スリープ、催眠術」
問答無用で下っ端の繰り出すスリープは催眠術を放った。それを見た神奈子は眠くなりそうになるが、千鳥足の状態で堪え切っていた。
下っ端(2)「そらならゴーリキー!地球投げ!」
2人目の下っ端がゴーリキーに攻撃を命じた。神奈子そんな状態から逃げれるわけ無く、掴まれたと同時に270度回転して地面に叩きつけられた。
早苗「八坂様・・・うっ!」
早苗も何かの重みによって苦しめられる。それはトゲトゲポケモン、サイホーンの前足だった。
下っ端(1)「神社の中を調べるんだ」
下っ端(3、4、5)「ハッ!」
直ちに神社の中へ入っていく下っ端。それ以外は3人を取り押さえると同時に連行するつもりでいた。
その時、空から光弾が降りかかってくる。諏訪子はその衝撃で怯んだ下っ端から開放され、岩陰へ隠れる。
誰だ!と叫んで下っ端一同はボールを構える。
霊夢「何の騒ぎか知らないけど、勝手にされたら困るのよね」
萃香「しかしまぁ、酷いことする奴等だな」
その正体はデオキシスの追跡で移動していた霊夢と萃香の2人だった。
早苗「霊夢さん!この人達は幻想郷を乗っ取るつもりです!止めてください!」
霊夢「分かってるわよ・・・。貴方達、私に釣られてみる?」
カードを取り出し、シャドー団一味に挑発を仕掛ける霊夢。下っ端は右からスリープ、ラッタ、ゴーリキー、アーボック、テッカニン、ガラガラ、ゴルバット、ニューラ、ストライクの9体をボールから出して、彼女の前に立ちはだかる。
下っ端(1)「何人来ようとも、我々の相手ではない。やれ!」
合図によって一斉に飛びついた。が・・・
霊夢「霊符「夢想封印」!」
カードを横へ振るうと同時に下っ端のポケモンたちの前で爆発が発生した。気がついたときには一瞬で全滅となっている。
下っ端(1)「只者ではないということか・・・ポケモンも使わずに」
霊夢「私はそんなもの使うわけ無いわよ。あと萃香もその名のとおりに只者じゃないわ」
萃香「そう!私は子供のように見えて何百年も生きてる鬼で・・・Zzzz」
霊夢「って、萃香!!なんで寝ちゃうのよ!!」
立ったままで寝るという荒技にビックリ・・・いや、急に眠ってしまった萃香に驚いて、霊夢は揺すり起こそうとする。
「無駄ですよ。私のキノガッサの胞子は強力なものですからなかなか起きません」
鳥居から白のコートと青い髪をした男と彼が使うポケモン、キノガッサが現れる。
「申し遅れましたが、私はシャドー団幹部のテラーと申します。お見知りおきを、お嬢さん」
テラーは優しく振舞って霊夢に挨拶する。そんな霊夢は歓迎なんて受け入れる気ではいなかった。相手は支配者であるからだ。
霊夢「貴方、この世界なんか奪って何する気なの?」
テラー「勿論総統に褒めさせてもらうつもりです。ですが私達もあまり時間がありません、すぐに消してあげましょう」
そうするとキノガッサの腕が信じられないスピードで伸び、霊夢の頬を掠らせる。幸いにも霊夢は顔を傾けていたので頬に傷を負い、それ以外に大したダメージは無かった。
後ろには神社を調べていた下っ端3人とさっきまで霊夢と向き合っていた下っ端の4人が立っていた。新たにプクリン、ストライク、イワーク、グラエナの4体が繰り出される。
霊夢「今すぐ出て行って・・・と言っても認めてくれなさそうね」
霊夢1人とシャドー団のとの戦闘が始まった。
人里でも魔の手が迫っていた。感づいた我輩も慧音殿も今は彼等、シャドー団と戦っているのだ。
ベンケイ「シャドー団!!この里に用でもあるというのか!!」
我輩は特に緑色の髪をしたキザ男に申しつけていた。鋭い眼で睨むポケモン、グレイシアを連れているのを見てどうもシャドー団の中で幹部ともいえる奴だ。
「あんさん、俺達はこの世界をもっと賑やかにしてあげてるだけですよ。ですから俺達は現代と橋渡しをしようと考えてさ・・・」
ベンケイ「ふざけるな!!この里は慧音殿が必死で守り続けてきた里。貴様等に橋渡しなど必要ない!!それに・・・」
我輩が後ろを見ると、里の住民が下っ端に捕らえられ、家にあるものなどを盗まれたりと、非常に最悪な光景があった。
ベンケイ「名を名乗るがよい!!我輩はベンケイと申す!!」
「へぇ・・・まるで昔話のような運命だな。俺の名はウシワカだ」
グレイシアが飛びついてきた。我輩も出し惜しみの無いつもりでハリテヤマをボールから出して迎え撃つ。
ベンケイ「猫騙し!!」
ハリテヤマが大きい平手でグレイシアの顔を紙一重の距離でパチンと叩いた。先制攻撃できるだけでなく、怯ませることが可能なこの技は殆どが怯みで隙を見せてしまう。
そんなハリテヤマの猫騙しも完璧に決めたのだから隙を見せるはず・・・と思いきや、グレイシアが平手を飛び越して冷凍ビームをハリテヤマの顔に命中させた。
おかしい、何故怯まない・・・?
ウシワカ「あんさん。そんなんで俺のグレイシアは怯まねぇよ」
ベンケイ「ならば何故だ!?精神力の特性ではなく、影分身を使ったわけでもないグレイシアが何故!?」
2体が戦っている中で我輩は問い詰めた。
ウシワカ「俺のグレイシアは冷徹なポケモン。だから恐れることなんて何も無いわけだ」
なんということだろうか。この敵は会長殿と同じくらいの強敵ということか!
ベンケイ「だがそれは最初のほうのみ!例えスピードが遅かろうと、我輩にはこれがありますぞ!」
ハリテヤマが平手を構えた。
ベンケイ「バレットパンチ!!」
高速で動くパンチがグレイシアへ飛んでいく。これならどうだと思っていた我輩だが・・・
スルッ・・・
ベンケイ、ハリテヤマ「・・・!」
ウシワカ、グレイシア「・・・・・・」
紙一重。グレイシアは紙一重でかわしているのだ。ならば連続で攻撃しようとしても全部紙一重でかわされていく。
ふと我輩この展開で思いついた。そう、弁慶が振り回す槍を牛若丸が飛んで避けているようなあの展開と同じだ。
ウシワカ「ようやく気づいたんですか、遅すぎますよ」
ベンケイ「そんなことはあり得ぬ!!我輩は会長殿から力を受け継ぐ者。例え命変えようとも、この使命を果たしてみせしんぜよう!!」
ウシワカ「じゃあ何故あんさんのハリテヤマが弱まっているんだ?」
ベンケイ「何?」
よく見るとハリテヤマの息があがっているではないか。どうやらバレットパンチをやりすぎたせいでスタミナが切れたのだ。
ウシワカ「ここから本気で行くか・・・ダークブレイク」
グレイシアの尻尾が黒いオーラで包まれ、ハリテヤマを攻撃した。威力も信じられない程で、ハリテヤマは仰向けに倒されてしまう。
まだイケるみたいだが、このダメージは深刻だ。
慧音「くっ・・・なんて数なんだ!」
慧音殿は1人だけで200体以上もいるポケモンを相手にしていた。特には足長ポケモン、アリアドスが多く、慧音殿がカードを使う瞬間に不意打ちを仕掛けたりと、実に卑怯なやり方で痛めつけられていた。
下っ端(1)「我々はシャドー団!抵抗するものは全て、ダークポケモンによって排除する!」
ダークポケモン・・・そういえばさっきのグレイシアも聞き慣れない技を繰り出していた。おそらくグレイシアもそのダークポケモンというポケモンなのだろう・・・。
慧音殿はとうとう地面に付くくらい弱まってしまう。これ以上は無理に近いと思った我輩は、新たにドサイドンとカビゴンを投入。慧音殿を助太刀に向かった。
下っ端(2)「フシギソウ!草結びだ!」
それに気づいていた下っ端が指示をし、助けに走っていた2体の足元にわっかみたいにできた草が生え、そこを見事に躓いた2体はドテンと転んでしまう。
近くにいた下っ端がシザリガーとオコリザルで激しいラッシュを畳み掛ける。見るだけで酷いことだ。
慧音「こ・・・国符「三種の神器・・・」
助けなければとカードをまた取り出す慧音殿。しかし周りを見てなかったのか、地面からツボツボの大群が慧音に寄り添った。
慧音「うわああああああ・・・!!」
ベンケイ「!!」
我輩が見たときには慧音殿はツボツボに埋め尽くされていた。ウシワカに顔を向ける。
ベンケイ「貴様だけは・・・許せぬ!!!」
ウシワカ「そうですか・・・フフッ」
ベンケイ「何が可笑しい!!!」
鼻で笑われたウシワカ殿をみて腹を立てた。
ウシワカ「あんさん等はこれからが恐怖ってのを知らねぇみたいだな。もうじき来ることになるぜ・・・」
ベンケイ「な・・・それはどういう意味だ!!」
ウシワカ「見ての楽しみだ・・・」
ウシワカは不敵な笑いをし続けた。
にとりの家である工房。そこではシャドー団と違い、Rのマークがついた服装を着ている男達が占領していた。
それは俺が昔所属していたロケット団の残党だった。下っ端でも科学力が非常にあり、中ではある計画が実行されようとしている。工房の横には怪しげな電波が設置されているのだ。
下っ端(1)「デモンズリベディア接続準備完了。起動を開始する」
下っ端(2)「了解。デモンズリベディア、起動!」
スイッチを押し、用意されていた機械が一斉に動き出す。
下っ端(3)「出力50%・・・60%・・・70%・・・」
メーターはぐんぐんと上がり100%のところで止まる。
下っ端(4)「ポケモン達が次々と活性化を行い始めました」
下っ端(1)「よし、成功だな・・・」
その一方、我輩が見たのはグレイシアとハリテヤマの様子が変わっていく姿だった。
ベンケイ「なんだ!?何が起きているのだ!?」
ウシワカ「どうやら成功したようだな。これで作戦は完了だ」
ウシワカはクスクスと笑う。どこまでも腹立つ奴だと思いきや、ハリテヤマが我輩を襲ってきた。
ベンケイ「何をするのだハリテヤマ!!」
ウシワカ「無駄だ。そいつはもう、凶暴なポケモンだ。ボールの中にいる奴もな・・・!」
するとボールからカイリュー、ヨノワール、カバルドンが飛び出してきた。ウシワカの言うとおりに凶暴となっている。
ベンケイ「貴様!!一体何を・・・うおっ!!」
背後からはドサイドンとカビゴンが襲ってきているではないか。それによく見ると、下っ端共のポケモンも全員凶暴化している。
一体何がどうなっているんだ・・・!?
いまだにシャドー団に襲撃されていない紅魔館。台所で咲夜の料理作りの手伝いをしているロトムに突如異変が起きた。
電子レンジの姿となっているロトムがガタガタと体を震えたと思いきや、蓋を開けたと同時にオーバーヒートを行う。
メイド妖精(1)「きゃああっ!!火が燃え上がってるわ!!」
メイド妖精(2)「誰か消火器を早く!!」
直ちに消火器を3本用意して消火を行う中、咲夜はロトムを止めようとカードを取り出す。その時扉から誰かが入ってくる。
咲夜「・・・お嬢様?」
レミリア「ロトムを止める必要は無いわ。すぐに収まるから」
そう言った直後、紅魔館全体に眩い光で包まれる。それは10秒くらいで終わり、気がつくとロトムは元の状態に戻っていた。火も武士に消火され、残ったのは台無しな料理と焦げてしまった跡である。
咲夜「お嬢様、今のはいったい・・・」
レミリア「ジラーチがロトムの心を取り戻してくれたのよ。何者かがどういう理由でロトムを暴走させたのかは分からないけど、幻想郷に危険が迫っているわ。咲夜、直ちに永遠亭へ向かってちょうだい」
咲夜「・・・分かりました」
その頃の永遠亭。意識を失っている僕の間には、突然デオキシスが三角のシールドに囲まれて静かになる。
それを見ていたエビスさんは一体何が起きたのか・・・と思っていると、突然僕とエビスさんのボールが勝手に開いて、エルレイド、プテラ、ウィンディ、ダーテング、ゴウカザル、バクフーン、ブーバーン、キュウコン、ギャロップ2体、そして倒れていたガブリアスとリザードンが凶暴化してしまった。
輝夜「今度は何なの・・・?」
永琳「・・・暴走・・・みたいね・・・」
僕と天子さん以外は意識が少し残っていたのか、その異変に気づく。
エビス「何でまた・・・お前等、正気に戻ってくれや!!」
エビスさんは叫ぶがみんな無視だった。雄叫びをあげている。
妹紅「よく分かんねぇが、こいつ等を止めてやらなきゃヤバいかもな・・・!」
そう言って弾幕を撃とうとする妹紅さんだけど、エビスさんは突然「やめてくれ!」と叫ぶ。
エビス「あいつらはワテ等のポケモン、いくらなんでもあんさんのパワーではポケモンが耐え切れずに死んでまうで!!」
妹紅「じゃあどうすりゃいいんだよ!?」
その時ガブリアスが妹紅さんに襲い掛かった。その爪は彼女の体を切り裂こうとするが・・・
エビスさんはその犠牲者となってしまった。
見ていたイナバさんも口では表せない表情。上半身に大量の血が流れ出て、エビスさんは意識を失いそうになる。
妹紅「お前・・・何故庇ばったりなんか・・・」
エビス「・・・ワテは・・・」
崩れそうな体は不思議にもまだ立てれる。声も痛みで出しにくくなっていた。
エビス「ワテは・・・このガブリアスとは、縁の深い者同士・・・・・・ワテも会長はんみたいに・・・最後まで信じぬく男になりたいからや・・・!ガブリアス!!ワテを思い出すんや!!」
ガブリアスは少しだけエビスさんを見つめる・・・が、今度は右鰭でエビスさんを弾き飛ばす。どうやらもう通じてくれないようだ・・・。
妹紅「・・・ウオオオオオオオオオオッ!!!」
怒りが爆発。その場で死人を見た彼女は涙を零しながらガブリアスと戦い始める。
このままだと危ないと察知した永琳も、鈴仙に輝夜と天子、そしてバルトを中へ避難させると命じらせた。
天子はあの締め付けで受けたダメージがマズかったのか、意識がまだ戻らない。バルトも同じだった。やはり幼いから体力も違う為に仕方がないのだろう。
鈴仙と永琳は直ちに3人を連れて永遠亭の中へ入っていった。
永琳「私は暴走を止めに行くから、後は頼むわよ」
鈴仙「そんな!私も加勢します師匠!」
永琳はそれを受け入れはしなかった。
永琳「鈴仙。人は必ず、何かを守らなければならない時が来るものよ。それを教えてくれたのは彼、ジュウゴロウ君なの」
鈴仙「!」
永琳「貴方は貴方のことをやり遂げなさい。分かったわね?」
鈴仙「・・・はい・・・」
永琳はすぐさま外へ出て行く。
そして守矢神社でも異変が起きていた。
霊夢「何なの?妖獣がみんな凶暴化してるじゃないの・・・」
テラー「どうやら成功したみたいですね。これで貴方がたを倒せます・・・」
霊夢「それどういう・・・きゃあっ!」
ストライクとグラエナがいきなり攻撃を仕掛ける。慌てながらも避ける霊夢だが、そこをキノガッサが背後を補足した。
口から吐かれた種が一気に芽を出して生え、霊夢の体を絡みつかせたと同時に力が入らなくなってしまう。宿り木の種を撃ったのだ。
テラー「堪能していただけてますか?恐怖というのは実に怖いものです・・・」
霊夢「何よ・・・こんなのはすぐに切り解いて・・・!?」
霊夢はイワークに締め付けられる。空洞となっている乾いた泥の塊を握り潰すかのような惨劇に、岩陰へ隠れていた諏訪子もその恐怖で身が震える。
テラー「さて、どこかへ逃げたあの少女を探すとでもしましょうか・・・」
どうやらテラーは諏訪子を捕まえようとするつもりだ。手を叩きながら「蛍来い」を歌いだす。
ウシワカ「この世界は俺達のものだ」
テラー「私達と共に参りましょう。私達シャドー団と・・・」
下っ端(1)「俺達ロケット団は、お前のような科学力より優れてる。貴様など時代遅れだ!!」
幻想郷中に悪魔の笑い声が響いた。
慧音(・・・もうおしまいだ・・・幻想郷はもう・・・)
霊夢(こんなところで終わったら・・・)
諏訪子(怖い・・・助けて・・・)
妹紅(どうしたらいいんだ・・・!)
鈴仙(・・・ジュウゴロウ・・・)
その時、
鈴仙から出た涙が地へ落ちたその時、俺の体に熱い鼓動が響いた。
ジャミラ「くたばれジュウゴロオォォォォッ!!」
顎を開いて噛み付こうとするオーダイル。俺は最後のポケモンを繰り出し、オーダイルを弾き飛ばした。一同は何が起きたのかと驚く。
俺を守ってくれたそのポケモンの正体は、皇帝ポケモン、エンペルトだ。同時にカードの効果が切れて水が無くなる。
ビショビショになり、体力を激しく消耗して動きづらくなる体を支えながら俺は叫んだ。
ジュウゴロウ「俺はお前を・・・許さなぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~いっ!!!!」
その顔は悪魔のよう。体から湧き出る気迫は鬼のよう。そしてその姿は神のようなもの。ジャミラとオーダイルはそれを見て腰を抜かした。
サーフボードをようやく見つけたライチュウも俺の元に戻ると、エンペルトは波乗りを発動してまた大波を発生させる。
同時にライチュウは波に乗ったエンペルトの背中に飛び乗る。俺はボーマンダで一旦空へ避難し、最後の合図を出した。
ジュウゴロウ「飛ぶんだライチュウ!!これが最後で最高の攻撃だ!!」
俺とライチュウは互いにジャンプ。俺はカードを取り出し、ライチュウは電気エネルギーを最大までチャージする。
皇符「天魔雷光撃」
ジュウゴロウ「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
俺とライチュウの急降下電撃キックがオーダイルへ直撃。更に波乗りの勢いがオーダイルを駄目押しし、その先のジャミラにまで襲い掛かった。
この勢いだ度巻き添えは確実ではないか?と思われるが、俺とライチュウは直撃と同時にバネのようにジャンプしてボーマンダに捕まっていたので、波乗りの被害を受けてはいない。
波がなくなるとそこには無残な姿となっているジャミラとオーダイルが倒れていた。
ジャミラ「馬鹿な・・・私が・・・この私が負けるなんて・・・否!」
ジャミラは弱まっているオーダイルを睨みながら近寄った。
ジャミラ「そうだ・・・貴様が悪いんだ!貴様があの時に止めを刺していればぁっ!!」
ジュウゴロウ「戻るんだオーダイル!」
ジャミラがスタンガンを取り出してオーダイルを殺そうとしていた。危ないと思った俺は直ちにスナッチボールでオーダイルをスナッチ。俺の手に渡る。
そしてこれを見ていた5人も・・・
サイ「酷い!自分のポケモンを殺そうなんてトレーナー失格ですよ!」
魔理沙「全くだぜ」
映姫「しかしあの様子では、もう抵抗できることは無いでしょう・・・」
ジュウゴロウ「さぁジャミラ!皆を解放しろ!」
とうとう追い詰めた俺は、檻に閉じ込めている皆を解放する要求を申し付けた。
ジャミラは仕方なくポケットから取り出したリモコンを操作。檻が地面へゆっくりと降りてくるとくす玉のように半分に割れ、皆は檻から出ることができた。さらに、
ジュウゴロウ「ジャミラ、悪いがパルキアも解放してもらおうか」
ジャミラは顔を上げた。
ジュウゴロウ「お前がパルキアを操っているんだろ!それでデオキシスを捕まえ、全てを支配する・・・それがお前の目的だろ!?」
ジャミラ「・・・ヘッ、お見通しか・・・そうだ、パルキアはこの壁の奥で操っている・・・」
壁の奥・・・と言っても何も変哲の無い壁が立ちふさがっているだけだった。だが奥にいるということは非常に分厚い壁となっているからポケモンの力では破壊できないだろう。
だが俺や魔理沙、映姫には弾幕がある。3人で力を合わせれば破壊できるはずだ。ならばすぐに破壊しようとする俺だが、ジャミラは突然笑い出した。
ジュウゴロウ「何が可笑しい?」
ジャミラ「私を倒しても、止めることは不可能だ。闇は絶対に滅ばない・・・光と闇は常に背中合わせだからな・・・。先に地獄で待ってるぞ・・・」
一同「!?」
ジャミラはスタンガンを胸部に勢いよくつけた瞬間に感電してしまった。水の影響もあるために体中に電流が走り、ほんの一瞬で倒れてしまう。
俺はジャミラに近づいて首もとの脈を計ろうとしたが・・・
俺は首を横に振る。
親父「どうやら、あの世へ逃げられたようだな・・・」
映姫「ならば私が処分しておきましょう。・・・まずはこの壁を破壊をすぐに」
ジュウゴロウ「待て!壁から何かが・・・!」
左側の壁からモニターが出現し、映像が映し出される。それは永遠亭の今の様子だった。バルトとエビスのポケモンの様子が可笑しい。
ロウダイ「これはいったい・・・?」
ポケモン達が吼えながら暴れているではないか。もはや自分の意思では押さえ切れない様子がそこにある中、ガブリアスが前に女の子に襲い掛かる。そして次の瞬間にはエビスが庇い、爪の餌食となってしまった。
サイ「そんな・・・!」
ジュウゴロウ「エビス!!」
エビスの相棒と主の間に起きた惨劇が俺達を目の当たりにする。
≪後編へ続く≫
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ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。
※今回は大長編ということでよりページが多いです。前編、後編とあわせてどうぞお楽しみください。