No.115654

真・恋姫✝無双 仙人で御遣い 3話

虎子さん

やっと少女の名前が出せました。
今回、あとがきにアンケートを載せてみました。
よろしかったらコメント下さい。

拙い文章ですが、よろしくお願いいます。

2010-01-01 01:33:21 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:5301   閲覧ユーザー数:4437

森の中、少女は自分を助け、そして気絶してしまった青年を膝枕していた。

(この方は、誰なんでしょう?

 着ている上着は、黒くてキラキラして綺麗だし、身分の高い方のんでしょうか?)

少女は、青年の顔を窺う。

(綺麗な顔だなぁ)

などと考えていると

「んんっ・・・」

青年は眉を顰め、ゆっくりと眼を開けた。

青年と眼が合う。

「あ!気がついたんですね?よかったです」

少女が笑顔を作る。

すると、青年の眼から一筋の涙がこぼれた。

「え!?だ、大丈夫ですか?」

(怪我はしなかったはずです!いえ、もしかして、戦う前に怪我を!?)

そんな考えを巡らせていると、青年は少女の左の頬に触れてきた。

「あの、え~と///」

(うぅ~///どうしたんですか?)

別の意味で、慌てそうになる少女。

しかし、青年が

「ありがとう。護らせてくれて」

と言って、微笑んだ。

それを見た少女は

(よかった。あの悲しい顔じゃないです)

そう思い、青年の手を握り

「どういたしまして」

そう、自然と言葉がでた。

 

どれ程見つめ合っていただろう。

少女と青年は、見つめ合ったまま眼を逸らさない。

(うぅ~///どうしよう。恥ずかしい、でも、眼が離せません)

などと少女が赤面していると、

 

「いつまで、ラブってるつもりですか、豪臣(ひでみ)?」

 

と、声がした。

少女は周りを見渡すが誰もいない。

何気なく、青年の腹に鎮座する、まっ白い子虎に眼がいく。

少女と子虎の眼が合う。

そして

「・・・なにか?」

と、子虎が口を開いた。

すると少女は

 

(と、虎が喋った!!!)

 

と、眼を丸くするのだった。

 

「いつまで、ラブってるつもりですか、豪臣?」

その声で、ようやく二人の目線が離れる。

少女は、周りを見渡し、朔夜(さくや)と眼が合う。

「・・・なにか?」

朔夜が、そう尋ねると、少女は固まってしまった。

豪臣は苦笑しながら

「おはよ、朔夜」

「おそよう、豪臣」

声を掛ける。

朔夜も挨拶をし、言葉を続ける。

「起きて早々に、幼気な少女を毒牙に掛けるなんて、良い御身分ですね。ロリコンですか?」

「毒牙?俺が、何したよ?後、ロリコン違う!」

朔夜に言われたことが分からず、そう返す豪臣。

「ほら、見て下さい。あなたの所為で呆然としているじゃありませんか」

(いや、獣のお前に声を掛けられたからなんじゃ?・・・って!)

「朔夜!何喋ってんだよ!」

朔夜の行動を咎める豪臣。

「はいはい、わかりました。だから、早くその子をこっちの世界に戻してあげて下さい」

全く取り合おうとしない朔夜にそう言われ、しぶしぶ、少女に声を掛ける。

「あの~、ちょっと良い?」

「え!?あ、はい!」

ビクッと軽く驚き、答える少女。

「え~と、まず、初めましてからかな?紫堂(しどう)豪臣って名前だ」

「はい!えっと、私は姓が典、名が韋です」

「テン?名前もイとは。失礼だけど変わった名前だね?」

「そうですか?シ様と変わらないと思いますけど」

その言葉に違和感を覚える豪臣。

「いや、俺の姓はシじゃなくて紫堂。名が豪臣だよ」

「!・・・すみません。名前を間違えるなんて。豪臣は字(あざな)かと思ってしまいました」

申し訳無さそうに頭を下げる典韋。

豪臣は、そんな典韋を見ながら

(アザナって、三国志とかの玄徳やら孟徳やらのあれか?)

と、今、自分が居るこの場所について、嫌な予感を感じていた。

「あ~典。頭を上げて。名前のことはもういいから。ちょっと教えて欲しいことがあるんだよ」

「はい、なんでしょう?」

首を傾げる典韋。

「此処、何処?」

「へ?地名・・・ですか?」

「ああ、頼む。教えてくれ」

典韋は訝しがりながらも答える。

「此処は兗州、東郡と陳留の境に当たる森です」

「・・・・・・」

その言葉に豪臣は沈黙せざるを得なかった。

 

典韋の言葉が意味することを豪臣は考える。

(ちょっと待て!兗州?昔の中国の州の一つだよな?

 たしか、東郡は、曹操が初めて太守の任を得た土地で、陳留は、夏候惇・淵が太守をしていた土 地だったはず。

 まさか・・・いや、そんなこと・・・)

「あ、あの~。紫堂様?」

急に黙り込んだ豪臣に不安を覚えた典韋が声を掛ける。

「ああ、ごめん。もう一つ聞きたいんだけど・・・この国の名前は何?」

「漢、ですけど・・・あれ?」

典韋の答えに肩を落とす豪臣。

嫌な予感が的中した豪臣に

「どうやらタイムスリップしたらしいですね」

朔夜が声を掛ける。

典韋は

「ひゃっ!」

と、驚き

「そうみたいだな」

と、豪臣は落ち着いて答える。

(待てよ。典韋・・・!まさか、悪来典韋か!

 でも、なんで女の子なんだ?

 ・・・いや、今はそのことは良い。この時代を把握しないと。

 典韋のこともあるし)

そう思い、立ち上がる豪臣。

「さて、このまま此処に居ても仕方がない。典韋、君の家はこの近くかい?」

「はい、近くの村に住んでいます。

 で、ですね、紫堂様」

「ん?何?」

まだ座ったままの典韋は、上目遣いで豪臣を見上げる。

そして、チラチラと肩の朔夜に眼をやっている。

「ああ、こいつのこと?」

「えっと・・・はい///」

さっきから気になっていたのだろう。少し恥ずかしそうに答える。

「朔夜?」

「分かっています。典韋、私の名前は朔夜と言います。喋ることが出来ます。

 しかし、他言無用でお願いします!」

完全な棒読み。最後は凄みを混ぜて言う。

「は、はい!分かりました!朔夜さん!」

喋る獣に凄まれて、少し顔が引きつる典韋。

(こいつは・・・何で他人にはこうなんだよ)

豪臣は呆れる。

「ほお~?豪臣は様付で、私はさん付ですか?種族差別ですか?」

「は、はい!朔夜様!」

朔夜の睨みに、即、言い直す典韋。

そんな彼女を見ながら

(俺のことも、様付しなくていいんだけどな・・・

 まあ、ご愁傷様です)

心の中で手を合わせる豪臣だった。

 

「じゃあ、君の家まで送ろう」

そう言ってきた豪臣に

「あの、待って下さい。その、紫堂様。私の真名を受け取ってくれませんか?」

そう、典韋が言う。

「マナ?なにそれ」

豪臣は、分からない、と首を傾げる。

「真名を知らないんですか!?」

何で知らないんだろう、そう思いながらも説明する。

「・・・認めていない者が呼ぶと、殺されても仕方ない?」

豪臣は、顔を引きつらせながらも、真名を受け取る。

「私の真名は、流琉です」

「ありがとう、流琉。ちゃんと受け取ったよ。俺のことは豪臣で良いよ。たぶん、この名前が一番 真名に近いから」

「はい、豪臣様」

そう笑顔を見せると

「ハハ、なんだか妹が出来たみたいだな」

豪臣は、嬉しそうに流琉の頭を撫でた。

(私が妹・・・豪臣様が兄・・・///)

「あの、豪臣様!」

「うおっ!何?嫌だった?」

流琉が、バッと顔を上げると、豪臣は残念そうに撫でていた自分の手を見る。

「い、いえ!私、豪臣様のことを、兄様って呼びたいです。

 ・・・いいですか?」

すぐに否定して、上目遣いでお願いする流琉。

そんな流琉を見て、豪臣は

(か、可愛い///・・・何?この感覚?)

「い、良いよ。流琉の好きに呼んでくれて」

そう答えて、また頭を撫でてやる。

「はい!ありがとうございます。兄様///!」

 

 

その後、流琉の怪我は右肩だけでなく、右の足首も少し捻っていることが分かった。

仕方ないので、豪臣が流琉を抱き上げて村に行くことになった。

その道中、流琉は赤く縮こまり、豪臣はそれを見て、ニコニコしていた。

そんな様子を、肩で見ていた朔夜は

 

「すみませんでした、豪臣。あなたを、単なるロリコン等と呼んでしまって。

 訂正します。あなたは、ロリコンでシスコンです」

 

そう言って、ずっと横目で睨んでいた。

 

一時間ほど歩くと、流琉の村が見えてきた。

(この距離で近くか。感覚の違いか)

そう思いながら

「朔夜、流琉の件に関してはもう良い。けど、もう人前で喋るなよ」

「分かっています。相手は選んでいるつもりですから」

と、豪臣は朔夜に釘をさすが、朔夜は気にしない。

豪臣は溜息をつく。

「兄様?」

「ん、大丈夫だよ。流琉」

心配そうに声を掛けてくる流琉の頭を撫でる。

ちなみに、流琉は自分の足で歩いていた。さらに、武器も自分で持っている。

肩の腫れも引いていて、歩きもおかしなところはない。

どうしてかというと

 

【回想・始】

~村に歩いている途中~

「兄様は何者なんですか?」

そう切り出してきた流琉。

「どういうこと?」

流琉が何について聞いているのか(心当たりがありすぎて)分からない豪臣は聞き返す。

「すごく不思議な服を羽織っていますし、何より、朔夜様がいます」

「あ~、これは俺の国には普通にある物だよ・・・」

流琉には、他国から来た、と説明していた。

(朔夜についてはどうしたものか・・・)

豪臣が考えていると、横から

「私は、仙人の式神として、豪臣の仙気から作られた幻獣です」

「おい!朔夜!」

豪臣は慌てるも、朔夜は気にしない。

「良いではないですか?黙っていてもらう代わりと思えば」

「・・・・・・」

そんな遣り取りを見ていた流琉が

「兄様は仙人なのですか?」

と、聞いてくる。

「いえ、まだ半人前の役立たずです」

「おい、酷くないか?」

朔夜の言葉に、豪臣が口を尖らせて言う。

「どこがですか?習った術の半分、いえ、三分の一も遣えない。さらに、札がなければ威力が全く 出せないのでは、そう言われても仕方ないと思いませんか?」

悔しそうに黙る豪臣。

「言われたくなければ、戦闘術だけでなく、操術の修行にも力を入れて下さい。

 まあ、あまり見込みは無い様ですが・・・

 もう話したんです。やってあげたらいかがですか?」

そう言って、目配せしてくる朔夜。

「分かってるよ・・・流琉、ちょっと下ろすぞ」

「はい?」

下ろされた流琉は、何をするのかと心配になる。

「ん?ああ、大丈夫だよ。それより、足首に触るよ」

そんな流琉を余所に、豪臣は、怪我をしている右足首に人差し指と中指で触れる。

そして

「―――、癒(ユ)!」

流琉には聞き取れなかったが、何か呟いた。

すると、痛みが引いていき

「よし、終わり。立ってみて」

そう言われた。

流琉が立つと、怪我は完治していた。そして、驚いているうちに、肩の怪我もあっと言う間に治されていた。

「兄様すごいです!」

「ごめんな流琉、すぐに直さなくて。

 ただ、これを人前で遣うのは憚られて・・・

 流琉に嫌われたくなかったんだ」

豪臣は、申し訳無さそうに頭を下げる。

「大丈夫です、兄様。私は兄様を嫌ったりしてません。

 でも、やっぱり人前で遣うのは危険です。官職の中には、仙人や道士が嫌いな方もいます。見つ かったら何をされるか分かりません」

「ああ、ありがとう。流琉」

そう言って流琉の頭を撫でる。

【回想・終】

 

ということがあったからだった。

 

あとがき

 

どうも、虎子です。

今回で、4日連続での投稿となりました。

 

さて、作品の話ですが・・・

本当に進みませんね、この物語。

遅い! と言われるかも知れませんが、こんな感じでしか書けないのが私なんです。

すみません。

今回やっと、少女の名前を出すことが出来ました。

流琉でしたが、分かりましたか?

わたしの大好きなキャラクターなんです。 え?そんなことは知らなくて良い? すみません。

次に、作中に「東郡と陳留の境」と書きましたが。陳留の北にあるのが東郡です。

ちなみに、両方ともに兗州です。

序章で、春蘭が「州内では無い」と言っていますが、目測を誤った、ということにしておいて下さい。 お願いします <m(__)m>

 

☆最後に、皆様にお聞きしたいことがあります。

5話までは、誰が出るかが決まっているのですが、6話に出すキャラが決まりません。

そこで、皆様にアンケートです。次の三つから選んで下さい。

 

①董卓陣営から出せ!

②いやいや、呉の陣営だろ!

③さっさと、オリキャラ出しちゃえよ!

 

よろしくお願いします。

 

文章中に誤字脱字等ありましたら、コメントにガンガン書いてやって下さい。

 

ご支援、コメントを下さった皆様。本当にありがとうございました。

 

ではでは、虎子でした。

 


 
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