No.114802

仮面ライダー×真・恋姫†無双 魏編 終章

BLACKさん

基本的には真・恋姫†無双の魏ルートの話ですが、もしも北郷一刀が仮面ライダーの力を手に入れたらという妄想から生まれました。
そして流れも基本的に原作のままですが、仮面ライダーの力があるためセリフや一刀の態度が違うところや話そのものが大きく違うところも出てきたりします。
そのためそんなの嫌だという方は閲覧をご遠慮願います。
なお、今回で本編は終わりです。
また、一部分に仮面ライダー×仮面ライダーW&ディケイド MOVIE大戦2010のネタバレを含む部分もございますのでご了承下さい。

2009-12-27 20:15:06 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:7675   閲覧ユーザー数:6434

 

 

永きに渡る戦いがようやく終結し、その日は成都で大宴会。

味方もかつての敵も関係なく、皆が大騒ぎ。

しかしその宴会に一刀の姿は無い。

一刀はその城壁で座り込みながら外を眺めていた。

 

「ふう~う」

「こんな所にいたの?」

 

一刀が一息ついている所に華琳が来た。

 

「華琳か。どうしたんだ。大陸連合の立案者が」

「まったく。桃香があんなに酒癖が悪いなんて知らなかったわ。抱き付いてきて……勝手に胸を触ろうとしてくるのよ?」

「お前がいつもやってる事だろ」

「私が桃香を触るのはいいけど、桃香が勝手に触ってくるのは嫌なのよ」

「なんだそりゃ」

「だって、そんな、他人に無理矢理触られた事なんかないんだもの……」

「やっぱり自分主導か」

「当たり前でしょう。私は王よ?」

「あの時、王から解き放つと言った俺が言うのもなんだが、劉備も王だろ?」

「……むぅ」

 

華琳は屁理屈を言われたようで少々機嫌を損ねた様子。

 

「まあそんなことより、これからどうするつもりなんだ?」

「そうね。まず、数日はここで休んで…国に戻るわ。後は呉の制圧部隊を引き上げさせて、街道と宿場の整備かしら。

桃香と雪蓮の統治が安定するまでは兵は貸しておいても良いけれど……」

「あの二人なら、すぐにいらないって言うだろ。先に戻しても良いんじゃないか?」

「かもしれないわね。しばらくは屯田と土木作業に人手がいるだろうから、そちらに回ってもらうわ」

 

そんな時、べろんべろんに酔っ払った劉備と孫策が下から声をかけてきた。

 

「あーっ! 華琳さーん! 何でそんな所にいるのよーっ! みんないるから、こっちおいでよー! ほら、お兄さんもーっ!」

「そうそう! 華琳だって嫌いじゃないんでしょ? 凄く美味しいお酒の作り方の研究もしてって、春蘭から聞いたわよー!」

「……まったくぶち壊しだわ」

 

華琳は二人の酔っ払いに対してため息をついた。

 

「とんだ酔っ払いだな。……行かないのか?」

「行かないわよ」

「大陸全土を巻き込んだ大宴会だぞ。これが見たかったから、今まで戦ってきたんじゃないのか?」

「見たいところはちゃんと見たわよ。これ以上酔っ払いに絡まれるのはごめん被るわね。

さっさと行くわよ、一刀」

「分かった」

 

 

二人は成都の川のほとりに来た。

そして二人は空に浮かぶ月を眺める。

 

「綺麗な月ね」

「ああ、こんなに大きな月は俺は初めて見たかな」

「そうね…。戦っている間は、こんなに落ち着いて月を見た事なかった気がするわ…」

「華琳でも余裕がなかったんだな」

「私だって人の子よ。そうそう上ばかりは見てられないわ」

「そうか……そうだな。しかし俺は本当に華琳に拾われて良かったと思うよ」

「その恩はこれから返してもらえるのでしょう? あなたの天界の知識、むしろ今からの方が意味を持ってくるはずよ」

「ああ、だけど……」

 

突然、一刀の体が透け始めた。

 

「………」

「………」

「帰るの?」

「分からん」

「そうなるのにあなた落ち着いているわね」

「ふん、少し前に気付いちまったからな」

「それは橋玄様への墓参りに行ったときかしら?」

「何でもお見通しってことか。ああ、そのときにはっきり分かった。しかしよく分かったな」

「春蘭じゃあるまいし…。大局……あなたの知る歴史から外れきったとき、あなたは……」

「ああ、きっとな…。だが俺は後悔していない。仮面ライダーとしてこの世界で生きて、

仮面ライダーとして俺が今までやってきたことを……」

「私も後悔してないわ。私は私の欲しいものを求めて…歩むべき道を歩んだだけ。誰に恥じる事も、悔いる事もしない」

「やはりな……。華琳、これを……」

 

 

華琳は後ろを向き、一刀の消えかけている姿を見る。

華琳は一刀が何かを手渡そうとしているのに気付いて、両手を出し、一刀は華琳に渡す。

華琳の両手にあるのは、ブレイバックルとラウズカードにラウズアブソーバー、そしてカブトのライダーベルトだった。

それらの変身ツールは消えかかっておらず、普通に存在していた。

 

「本当はアギトのも渡したかったが、アギトは俺の体内にしかないから渡せないんだな」

「どういうつもり?」

「何、渡すと言ったが、あげるなんて一言も言ってないぜ」

「え?」

「俺は華琳にそれらを『預ける』」

「…ダメよ。そんなの認めないわ」

「認めたくないのは俺も同じだ。だがこればかりは仮面ライダーでも無理だからな…」

「どうしても……行くの?」

「ああ、だがさっきも言ったが、俺はそれらを『預ける』んだ。どういうことかわかるか?」

「ええ」

「俺は必ずそれらを取りに戻る。少しどこか遠くに行くだけだよ」

「そう……恨んでやるから」

「ふ、華琳から恨まれるなんて幸せだな」

「行かないで」

「ごめんな、華琳」

「一刀……」

 

一刀は右手人差し指を天に向かって伸ばし、空を眺める。

 

「また会おう……誇り高き王……」

「……一刀」

「……そして寂しがりな女の子」

「一刀!」

「そして、そして………愛してるよ、華琳……」

 

そして一刀は華琳の目の前から姿を完全に消した。

 

「………一刀?」

 

華琳がその名を呼んでも返事など来ない。

 

「………ばか。…ばかぁ!

本当に消えるなんて……なんで、私の側にいてくれないの……!

認めないって……言ったじゃない! ばかぁ!」

 

その日、華琳は心の奥底から初めて泣いた。

 

 

華琳はそれからずっと華琳は一刀が写っている写真を眺める毎日が続いた。

写真がある理由は一刀が真桜にカメラの原理を簡単に説明して、驚くべき事に真桜はそれをこの時代の技術のみで再現した。

もっともその完成したカメラは現代のものとは出来は良くないが、その割にはかなり出来ており、写真の現像も可能にした。

その一番最初に写したのが一刀なのだが、その写真はあまり鮮明ではなかったので、一刀の顔がはっきり写っていなかった。

その事により、一刀はカメラに写らないようにしてしまい、一刀が写っている写真はこれしかない。

 

「一刀……」

 

華琳はその写真を見るときはいつも涙を流していた。

だから華琳は気付いていなかった。一刀の写真が段々と鮮明になっていた事を…。

そしてその写真は最初は顔がきちんと写ってなかったのが、きちんと顔も写っていたのだ。

 

 

それから一年後。

 

 

とある街道。

 

「すいません、許昌まではこっちの道でいいのでしょうか?」

 

ある青年が老人に道を尋ねる。

 

「ええ、この道をまっすぐに行けばつきますよ」

「そうですか、ありがとうございます」

「待て、お主は………」

 

老人がその青年を引き止める。

 

「お主はもしや……あの時、陳留で会った……」

「今は通りすがりの仮面ライダーですよ……」

 

そう言って青年は許昌へと向かった。

 

(元気にしてるかな、華琳…)

 

その青年はある写真を空に向けて見る。その写真は自分が写っている。

 

 

ここからは出来れば「劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE」の主題歌「ONE WORLD」が流れているものだと思ってください。 

 

 

 

許昌では、久々に三国同盟を祝っての宴会ならぬパーティが開かれていた。

これは前に華琳が一刀から聞いたもので、今日は華琳が主催の回で華琳がパーティ形式でしたいと言って来たのだ。

その理由は今日が、一刀がいなくなってちょうど一年なのだ。

そしてその準備に追われる武将達。

春蘭や関羽、諸葛亮、鳳統、呂蒙、月、詠、黄忠と秋蘭と黄蓋、流琉などがさまざまな料理を作ったり、

周泰が会場にやって来た猫や孟獲を見て、恋と一緒に和んだり、

街では張飛と孫尚香と季衣が遊んでいたり、張三姉妹のライブ準備を袁紹、顔良、文醜がいやいややらせていたり、

袁術と張勲が街の外で華雄と一緒に迷惑な事をしているのを、霞や孫権や馬超が阻止したりなどである。

 

(一刀、元気にしてる? 私はあの後、国をよりよくしたわ。あなたがいなくなった後、悔しがるほどにね……)

 

華琳は一刀との思い出を思い出す。

 

最初に会った時は、自分には分からない事を言うわ、仮面ライダーブレイドに変身して春蘭と秋蘭と少しばかりやりあったり…。

 

最初に真桜と会った時は、からくりにツッコミを入れた後、竹カゴを買わされて一刀が泣いてた事や…。

 

月や恋を仲間にする時に、仮面ライダーカブトの力で脅したりして、皆を無理やり承諾させたり…。

 

自分が関羽と趙雲に殺されそうになった時は、クロックアップして助けに来て、お説教をしたり…。

 

秋蘭の危機に体を無理して、仮面ライダーアギトに変身して定軍山にまでやってきたり…。

 

自分の気持ちを汲んで劉備と戦ったりなど、まだまだある思い出を華琳が思いふけたように思い出す。

 

(一刀、早く帰ってきなさいよ)

 

そして、三国同盟を祝うため、皆が盃を取り、一年目の乾杯を代表して華琳が言う。

 

「それじゃあ、皆かんぱ……」

「主役なしで乾杯する気か?」

 

 

華琳達が声のするほうを向く。そこにいたのは許昌に向かっていた青年であった。

 

「あ、あ……」

『お前は……』

『あなたは……』

『あんたは……』

 

青年はあるものを紙飛行機にして華琳の元に飛ばす。それはその青年自身が鮮明に写っている写真である。

華琳がそれを見ると自分が持っている写真と見てみると、自分の持っているものと同じで、

華琳の持っているものも、鮮明に写し出されていた。

 

「ただいま……。約束どおり帰ってきたよ。華琳……」

 

華琳は手に持っていた盃を落とし、皆の目を無視して、青年の元に走る!

そして、華琳は青年の胸に飛び込んだ。

華琳は泣きながら青年に言った。

 

「ばか……」

「仮面ライダーが約束を破るか?」

「本当に……ばか………ね…。一刀」

「ただいま、華琳」

 

一刀も華琳を強く抱きしめる。

 

(俺はこの子と共に生きる)

 

一刀は空を見上げながら、右手人差し指を天に向けて伸ばした。

こうして北郷一刀、仮面ライダーは華琳の元へと帰ってきたのであった。

 

 

 

 

仮面ライダー×真・恋姫†無双 魏編 完


 
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