No.1147472

紙(かみ)の日記

霊憑ナシさん

魔法使いの小説です。

2024-07-03 14:31:15 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:23   閲覧ユーザー数:23

紙(かみ)の日記

 

 

紙(かみ)は、魔女見習いの元気な少女です。糸(いと)先生の弟子です。魔法学校で紙と糸先生は出会い、お互いを尊敬しながら学び合いをしてきました。紙は海で実施訓練をしてから、糸先生の自宅に帰りました。今は毎日、糸先生に魔法の勉強を見てもらっています。紙は、その日学んだことを覚えているために日記を書きます。

 

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2024年 6月24日

今日糸先生は、星読みの対象を自分にして、占いました。私の幸せのために糸先生のすべて以上のモノを失くせ、という結果でした。糸先生はまず、自分のお金を集める欲を捨てました。自尊心も捨てました。嫉妬の心、奢る心も捨てました。思い出の品も手放しました。私は、少し怖くなりました。そこまでしなくても良いのでは、と糸先生に言いましたが、糸先生の星読みは百発百中です。糸先生は私に、優しくしすぎています。

 

2024年 6月25日

朝起きると、糸先生は魔法で光る扉を作っていました。それは何ですかと私が聞くと、クラスアップだよと糸先生は言いました。ここに入ると戻って来れないから、紙は入っちゃだめと言われました。そんな危険なものを何で作るんだろうと思いました。

 

2024年 6月26日

昨日に比べて、魔法の扉が少し大きくなっていました。先生のしわざです。糸先生は寝不足の顔をしています。糸先生は最近食欲が少ないです。気のせいだよ、と言われました。糸先生はもう一度自分に星読みをかけました。楽しかった記憶を失くせば良いと占いででました。糸先生の、子供の頃の思い出がなくなりました。

 

2024年 6月27日

今日は糸先生の誕生日です。栄養満点を目指した、にんじんケーキを焼きました。糸先生は喜んでくれました。糸先生は、誕生日祝いに来てくれた友人を嬉しそうにもてなしていました。その人達の幸せのために、星読みをしました。みんな楽しそうでした。糸先生は契約している水晶に、自分以外の人を幸せにしてくれるように頼みました。水晶は、糸先生の怒りと憎しみの心を消すことを対価に、願いを叶えてくれました。糸先生の作った魔法の扉が今日も揺らめいています。怖い輝きです。糸先生がいなくなってしまうのでは、と恐怖を感じます。

 

2024年 6月28日

明日、扉に入るよと糸先生に言われました。欲しいものを言ってごらん、今のうちに、と言われました。糸先生が幸せになって欲しいと言いました。僕はみんなが幸せだったら幸せだよ、と糸先生は言いました。糸先生はまた、水晶と契約しました。糸先生は魔法の杖を対価にして、願いを叶えてもらっていました。先生が扉の向こうに行ったらどうなるのでしょうか?糸先生はひどい目にあうのでしょうか。怖いです。

 

2024年 6月29日

朝早く目がさめると、糸先生がすごく悲しそうに泣いていました。糸先生が泣いている所は初めて見ました。怖い、行きたくない、でも行きたい、と糸先生は言いました。弱音を吐いてスッキリしてから、今までありがとうと最高の笑顔になり、糸先生は魔法の扉に入りました。あまりに完璧な笑顔だったので、私は引き止められませんでした。

 

2024年 6月30日

糸先生の友人が家にいっぱい来ました。糸先生の作った魔法の扉を恨めしげに見ていました。でも、糸らしいよ、とみんな言っていました。糸先生の人望が厚いのは前からですが、いなくなったのは悲しいです。みんなで泣きました。糸先生の星読み用のトランプで、私が占いをすることになりました。糸先生の水晶と契約して、彼の強運を祈るといいそうです。水晶は、私達全員の、転生する権利を無くすように言いました。私と糸先生の友人たちは、承諾しました。

 

2024年 7月1日

糸先生の家を、糸先生の友人たちに渡しました。これから私は、旅をしながら他者の星読みをし続けようと思います。他者に奉仕し続けたら糸先生に会えるという星読みが出たので、希望にすがろうと思います。これから私は頑張らないといけません。

 

 

ここで日記が終わっています。紙はきっと、向こう側で糸先生に会えたでしょう。優しかったらきっと幸せに恵まれます。やはり、心が一番に大事なのだと思います。

では、これにて終わります。あなたの未来に幸あれ!

 


 
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