No.113957

「少年戦記ガイアテラス」第7話・「一輪の花」Bパートその1

http://www.tinami.com/view/104999 からの続き、スタートから続けて読んでいただいている方がいらっしゃいましたら心より感謝申し上げます。
一応次で一区切りつくことになってますので、できればもうしばらくお付き合いいただけるとありがたいです…http://www.tinami.com/view/122949
なお、実は当方理科系には弱いのでそちらの設定で何か大きな間違いがあれば遠慮なく指摘してください(汗)。

2009-12-23 23:37:27 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:591   閲覧ユーザー数:590

(シーン3続き)

突然のアラームに一気に緊張感を高めるジンとケンスケ、しかしすぐに

ケンスケが「ある変化」をキャッチする。

ケンスケ「ちょっと待って!規則性のあるプロテクト解除通信が何か

    入ってるみたい。」

そう言いながらサイドから通信用のインカムを取り出し、自分の頭にセット

するケンスケ、一方ジンは横からその行動を注視する。

ジン  「プロテクト解除?ってことは要救助緊急信号か?」

ケンスケ「うん…ただ言葉はどうもオケアノス語のようだけどね。」

ジンの言葉に答えつつもケンスケはインカムのスピーカを耳に押し当て、

真剣な表情で通信を聴き続けている。

ジン  「やっぱり敵さんか…。」

半ばあきらめたようにつぶやくジン。

ケンスケ「とりあえず音声翻訳してみるよ。」

 

やがてケンスケはいったんインカムを外し、そしてその音声が操縦室内に

聞こえるように操作をする。すると、コックピット全体にコンピューターの

機械的な声が響き渡っていく。

自動音声『こちらは地球政府第3方面軍、戦闘母艦「サザンスター」所属

    コザ・コハグラ、至急救助を要請する。こちらは地球政府第3方面軍、

    戦闘母艦「サザンスター」所属コザ・コハグラ…』

その音声をバックに、目の前のコンピューターをチェックしながら話を続ける

ケンスケ。

ケンスケ「音声データは完全なるリピート状態を示してるから、自動送信の

    可能性の方が高いんじゃないかな。」

ジン  「こりゃカイトにでも連絡取った方がよさそうかな。」

それだけ言うとジンは体を座席からずらし、少し伸びをする格好で操縦室の

天井を見つめる…。

 

 

シーン4・マキシ操縦室(カイトとの通信)

ジンの言葉を受け、ケンスケは早速マキシの通常通信回線を開いてカイトとの

会話を始める。まずこれまでの一連の流れをカイトに説明したあと、モニターに

映るカイトに向かってケンスケは今後の行動の判断を仰ごうとする。

ケンスケ「というワケなんだけど、どうしたらいいかな。」

カイト 『その通信の発信位置はアメクと方向的に大きくズレてるか?』

ケンスケ「ほぼ進行方向上、さっきから発信源が動いている気配はなさそう。」

カイトからの問いかけに、一度レーダーの方に目をやってから答えるケンスケ。

すると矢継ぎ早にカイトから次の質問が飛んでくる。

カイト 『熱源解析はしてみたか?』

その言葉に、ケンスケはあわてていくつかの機器の操作を始める。

ケンスケ「ちょっと待ってね…アクティブレベルを超える反応は見当たらない

    …かな。」

やがてコンピューターの操作を続けながらケンスケが答える。

 

カイト 『その状況じゃ、罠の可能性は低いかもな…マキシの簡易ステルス

機能は正常に作動してるよな。』

ケンスケ「今のところはね。」

カイト 『ならとりあえず近づけるところまで近づいてみてくれ。こっちでも

    サーチはしてみるが、何か動きがあったらすぐに連絡するんだぞ。』

モニターを通してケンスケの姿をじっと見つめるカイト、それに真顔で応える

ケンスケ。

ケンスケ「了解です。あ、でも念のためこれから先は暗号音声通信に切り替えるね、

    それじゃ。」

カイト 『わかった。気をつけてな。』

その言葉とともにモニターからカイトの顔が消える。と同時にずっと二人の

やり取りを横で聞き続けていたジンが操縦かんを握ったまま声をかけてくる。

ジン  「このまま進んでも大丈夫なのか?」

ケンスケ「相手がまだ動ける状況で、なおかつこちらが目視されなければね。」

そう答えるケンスケの視線は正面の大空を見据えている…。

 

 

通常飛行より少しスピードを落としながら、二人の乗るマキシはその通信の

発信源へと徐々に近づいていく。そのうちレーダーが要警戒のアラートを出し

始め、ケンスケは再びカイトとの通信をつなぐ。

ケンスケ「カイト、聞こえる?」

カイト 『ああ、やっぱりちょっとノイズ混じってるけどな。』

ケンスケの問いかけに答えるノイズ混じりのカイトの声が、微妙に間を開けて

操縦室のスピーカーから聞こえてくる。

ケンスケ「それは仕方ないよ。で、警戒アラート出たけどこのまま進む?」

カイト 『そろそろ何かあってもおかしくはない距離だってことか。』

カイトの言葉が終るのを待って、すぐに次の報告をするケンスケ。

ケンスケ「でも今のところ各種データに変化は見られないよ。」

 

ジン  「どうする?迂回してアメクに直行するか?それとも信号を信じて

    助けに行くのか?」

その声に重ねるように、操縦かんを握るジンも横から声を上げる。それを受けて

しばしの沈黙の後スピーカー越しにカイトの指示が飛んでくる。

カイト 『マキシをどこか見つかりにくい場所に止めてお前ら二人で近づいていく

ってことは可能か?』

一瞬顔を見合わせるジンとケンスケ。そしてまずジンが口を開く。

ジン  「そりゃできなくはねぇけどな。」

ケンスケ「まったく、人使い荒いんだから…。」

続いて小さなため息とともにケンスケの半ばあきらめの入ったような声がする。

カイト 『何か言ったか?』

ケンスケ「いいえ、仰せの通りにいたします!」

カイトのきつい口調にあわてて言葉を濁すケンスケ…。


 
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